内窓のリフォームをする際、補助金制度を利用できる場合があります。リフォームにかかる費用負担を軽減できるため、積極的に活用しましょう。また、制度によって対象となる工事や補助金額などの要件が異なります。各制度について正しく理解し、賢く利用することが大切です。
今回は、内窓のリフォームで利用できる4つの補助金制度についてご紹介します。対象となるリフォームや補助額、申請方法などを解説しているので、内窓のリフォームを検討している方はぜひご覧ください。
内窓へのリフォームで使える補助金制度一覧
内窓リフォームに利用できる国の補助金制度をまとめると、以下のとおりです(2023年1月時点)。
補助金制度名 | 補助対象のリフォーム工事 | 補助金額・上限額 | 申請期間 |
住宅の断熱性向上のための先進的設備導入促進事業 | 窓の断熱改修 | 1戸あたり上限200万円 | 2023年(令和5年)3月下旬~2023年(令和5年)12月31日 |
既存住宅における断熱リフォーム支援事業 | 高性能建材(断熱材・ガラス・窓)を用いた断熱改修 | 費用の1/3戸建ては上限120万円集合住宅は上限15万円 | 2023年(令和5年)1月16日~2023年(令和5年)3月3日 |
こどもみらい住宅支援事業 | 必須要件は以下 開口部の断熱改修外壁、屋根・天井または床の断熱改修エコ住宅設備の設置 | 費用の1/3 上限60万円 | 2023年(令和4年)1月時点で終了 |
長期優良化リフォーム推進事業 | 住宅性能を上げるための改修工事 | 費用の1/3 上限250万円 | 2023年(令和5年)1月31日まで |
そのほか、地方自治体が運営する補助金制度を活用できる場合もあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
住宅の断熱性向上のための先進的設備導入促進事業
「住宅の断熱性向上のための先進的設備導入促進事業」とは、窓の断熱性能を高める改修工事を対象にした補助金制度です。既存住宅の断熱性を高め、省エネに対応した住宅を増やす目的で設置されました。内窓を設置して断熱性を高める工事のほか、断熱性能の基準を満たした窓に交換する工事などが対象です。
補助金の対象となるリフォームとは?
「住宅の断熱性向上のための先進的設備導入促進事業」の補助対象や要件は以下のとおりです。
対象となる世帯 | 全世帯 |
対象となる住宅 | 戸建住宅および共同住宅(集合住宅) |
対象となる工事 | 住宅の所有者が、登録事業者と契約して実施する工事であり、窓を断熱性能を向上させる改修工事(リフォーム) |
対象となる契約・工事期間 | 契約:2022年(令和4年)11月8日~2023年(令和5年)12月31日 着工:事業者登録日以降 |
申請の対象となるためには、指定の期間内に工事契約を締結し、業者が事業者登録した日以降に着工しなければいけません。
対象となるのは窓の断熱に関する以下の改修工事のみとなっています。
- 既存の窓に内窓を設置する工事
- 既存の窓枠を利用し、ガラスのみ交換する工事
- 既存の窓枠に加えて新たな窓枠を設置する工事(カバー工法)
- 窓枠ごと交換する工事
ドアは、申請の対象外である点に注意しましょう。
また、どのような窓も補助金の対象となるわけではなく、熱貫流率の基準を満たしている必要があります。熱貫流率とは、熱が窓ガラスを通過する割合のこと。熱貫流率が低ければ、それだけ熱が通過しづらく、室内の熱が外へ流れ出ることを防げます。この熱貫流率の基準を満たす高性能な窓への改修のみが、補助金の対象です。
補助額はどのくらい?
「住宅の断熱性向上のための先進的設備導入促進事業」の補助金の上限は、1戸あたり税込み200万円です。補助金額は、補助単価×施工箇所数で算出されます。住宅の種類や窓リフォームの工法、断熱性能のグレードなどによって補助単価が異なるので注意しましょう。
内窓の設置に関する補助単価は以下の表のとおりです。
<戸建住宅・低層集合住宅における補助単価>
※断熱性能SSは熱貫流率1.1以下、Sは1.5以下、Aは1.9以下です。
<中高層集合住宅における補助単価>
※断熱性能Bは熱貫流率2.3以下です。
なお、補助金の申請下限額は税込み5万円であるため、単価5万円以下で1箇所施工するだけでは申請できません。
申請方法と期間は?
「住宅の断熱性向上のための先進的設備導入促進事業」の申請は、リフォーム事業者が行います。交付申請が承認されると、登録事業者に補助金が支給され、事業者が工事発注者に全額還元する仕組みです。
今年2023年(令和5年)の申請期間は、3月下旬〜12月31日の予定となっています。対象となる断熱改修工事がすべて完了してから、申請するようにしましょう。
リフォーム業者の事業者登録後、着工する必要があります。しかし「こどもみらい住宅支援事業」に登録している事業者については、事務局が設置された2022年(令和4年)12月16日以降の着工でも補助金の対象です。
なお補助対象が重複しない場合、2023年から国がスタートさせたほかの補助金制度とも併用できます。
詳しくは、以下をご覧ください。
参考:先進的窓リノベ事業
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」とは、省エネ対策のため、断熱性能に優れた建材を用いた断熱リフォームを支援する補助金制度です。
断熱材・窓・ガラスを用いて、住まい全体の断熱改修を行う「トータル断熱」。窓を用いて居間をメインに断熱改修する「居間だけ断熱」の2種類に分けられており、併用はできません。戸建て住宅・マンションともに対応している制度です。
補助金の対象となるリフォームとは?
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」で補助金の対象となるリフォーム要件については、以下のとおりです。
なお、家庭用蓄電システムや家庭用蓄熱設備の導入に対しても補助金を支給していますが、今回は内窓の設置に関する部分のみを紹介しています。
対象となる世帯 | 全世帯 |
対象となる住宅 | 戸建て住宅・集合住宅(個別)・集合住宅(集合全体) |
対象となる工事 | 省エネ効果(15%以上)が見込まれる、高性能建材(断熱材・ガラス・窓)を用いた断熱改修 |
集合住宅の個別とは、集合住宅(マンション)の所有者または所有予定者が個別に申請することです。一方の集合住宅の全体は、管理組合の代表者が申請することを指します。事務局が設けた基準に沿って、各メーカーが「補助対象製品」として登録を行っています。
補助額はどのくらい?
ガラス・窓・断熱材などの高性能建材を用いた改修に対する補助金額と上限は、それぞれ以下のとおりです。
戸建住宅1戸あたり | 集合住宅1戸あたり | |
補助金額 | 補助対象経費の1/3以内 | 補助対象経費の1/3以内 |
上限 | 120万円 | 5万円 |
内窓の設置では、1平方メートルあたり3万円が基準単価です。
なお、リフォームに使用する登録製品の断熱グレードごとに補助金の基準単価が設けられています。グレードが高い、つまり断熱性能が高い製品を選ぶ方がメリットが大きい制度です。
申請方法と期間は?
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」の申請は、事前に行いましょう。事務局の審査を経て交付決定の通知を受けた後に、着工する必要があります。申請方法に留意して、工事のスケジュールを立ててください。
2023年(令和5年)1月公募では、期間は2023年(令和5年)1月16日〜2023年(令和5年)3月3日17時までとなっています。
詳しくは、以下をご覧ください。
こどもみらい住宅支援事業
「こどもみらい住宅支援事業」は、省エネ性能を持つ住宅の取得や改修を促進するための補助金制度です。子育て世帯や若者夫婦世帯に向けた制度ですが、全世帯を補助の対象にしています。
補助金の対象となるリフォームとは?
「こどもみらい住宅支援事業」は、新築とリフォームのどちらについても申請できます。
補助金の対象となるリフォーム要件は、以下のとおりです。
対象となる世帯 | 下記の条件を満たす全世帯 こどもみらい住宅事業者と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事する方 リフォームする住宅の「所有者」等である方 |
対象となるリフォーム工事 | 必須要件 開口部の断熱改修外壁、屋根・天井または床の断熱改修エコ住宅設備の設置 |
上記のとおり、子育て世帯や若者夫婦世帯をターゲットにしているものの、条件を満たせばすべての世帯が申請対象です。
対象となるリフォーム工事の要件について、内窓の設置は開口部の断熱改修に該当します。対象製品は、基準となる性能を満たしており、なおかつ事務局に登録されている製品です。
補助額はどのくらい?
内窓の設置リフォームについては、工事面積ごとに1箇所あたりの補助額が定められています。
面積 | 1箇所あたりの補助額 |
2.8平方メートル以上 | 2万1,000円 |
1.6平方メートル以上2.8平方メートル未満 | 1万6,000円 |
0.2平方メートル以上1.6平方メートル未満 | 1万4,000円 |
上限額は原則30万円ですが、子育て世帯と若者夫婦世帯については上限額が引き上げられます。子育て世帯と若者夫婦世帯で既存住宅を購入している場合の上限は60万円、そうでない場合は45万円です。
申請方法と期間は?
「こどもみらい住宅支援事業」の補助金交付申請は、こどもみらい住宅事業者に登録されている業者が行います。リフォーム工事施工者は、こどもみらい住宅事業者への登録後に着工しなければいけません。
補助金は事業者に支給され、事前に施工主と事業者で定めた「共同事業実施規約」における方法に基づき、事業者が全額還元します。
申請期間は、当初2022年(令和4年)3月28日から2023年(令和5年)3月末までの予定でした。2023年1月現在、補助金申請額が予算上限に達したため、交付申請の受付を終了しています。
詳しくは、以下をご覧ください。
参考:こどもみらい住宅支援事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」とは、既存住宅の性能向上支援を目的に設置された補助金制度です。有資格者が建物現況調査を実施し、調査によってメンテナンス・維持保全の計画を立て、自治体に申請します。
工事費用のほか、調査費用や、子育て世帯や3世代同居対応のための改修工事費用なども補助の対象となるのが特徴です。
住宅性能の基準ごとに、以下の2つの事業タイプが存在します。
- 評価基準型:性能項目のうち、劣化対策・耐震性・省エネルギー性能の項目について、評価基準に適合する住宅へのリフォーム
- 認定長期優良住宅型:劣化対策・耐震性・省エネルギー性能・維持管理の全項目について、認定基準に適合する住宅へのリフォーム
今回は、通常申請型である「評価基準型」についてご紹介します。
補助金の対象となるリフォームとは?
補助金の対象となるリフォーム内容は、以下のとおりです。
<特定性能向上工事必須項目>
- 劣化対策
- 耐震性
- 省エネルギー対策
<特定性能向上工事任意項目>
- 維持管理
- 更新の容易性
- 高齢者等対策(共同住宅のみ)
- 可変性(共同住宅のみ)
<そのほか対象となる費用>
- 調査費用
- 子育て世帯向け改修工事にかかる費用
- 3世代同居対応改修工事に要する費用
- 防災性・レジリエンス性の向上改修工事に要する費用
このように、既存住宅の性能を向上させるさまざまな工事は、補助金対象となります。
補助額はどのくらい?
評価基準型では以下の2パターンの補助額算出方式が設定されており、どちらかを選択する仕組みです。
- 単価積立方式:補助工事単価を積み上げた額の1/3の金額
- 補助率方式:補助対象に該当する工事費の1/3の金額
なお、共同住宅の共用部分の改修については、補助率方式の利用が定められています。
補助金上限は、原則1戸あたり税込み100万円です。3世代同居対応改修工事を実施する場合や、若者・子育て世帯または既存住宅の購入者が改修を行う場合、基準を満たす省エネを実施する場合は、上限が150万円に引き上げられます。
申請方法と期間は?
補助金の交付申請は、長期優良住宅化リフォーム推進事業に事業者登録をしている施工業者が行います。事業者登録後に契約や調査を実施し、住宅を登録した後に着工、交付申請、という流れです。申請して補助を受けるためにも、工事の請負契約の締結が必要になります。
令和4年度では、住宅登録は2023年(令和5年)1月20日まで、交付申請は2023年(令和5年)1月31日までとなっています。期限内に登録・申請が完了するよう、工事のスケジュールを立てましょう。
詳しくは、以下をご覧ください。
地方自治体の補助金もチェックしてみよう!
そのほか、地方自治体が運営する補助金・助成金制度を利用できることもあります。
たとえば、東京都が実施する「既存住宅省エネ改修促進事業」は、窓やドアの断熱改修工事に対して補助金を支給する制度です。
リフォームの対象となる製品は窓・ガラスであり、補助率は助成対象経費の1/3以内となっています。上限は1戸あたり税込み100万円で、交付申請期間は2024年度(令和6年度)まで。戸建住宅・集合住宅ともに利用できるため、ぜひチェックしてみてください。
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