吉田 哲也さまは、有限会社TY Planningの代表取締役として、Webサイト制作(ホームページ制作)やWebに関するお客様のご相談を受けていらっしゃいます。
今回は、「Web制作会社に仕事を依頼すると、どのような仕事をしてくれるのだろうか」「Web制作会社に仕事を頼むときは、どのようにすれば良いのだろうか」と考える、ホームページを作成したい人、仕事を依頼したいお客側の目線に立って、お話を伺いました。
吉田 哲也さま
有限会社TY Planning代表取締役。ホームページ制作も出来るwebコンサルティング会社として、ホームページ制作だけでなく、webマーケティング、サイト運営体制なども視野に入れ、クライアントの現状を把握したうえで最適なweb改善施策を提案。上級ウェブ解析士、Googleアナリティクス認定資格であるGAIQ、Googleアドワーズ認定資格を保持。
Q.ホームページ制作を業者に依頼するときに、業者を選ぶポイントを教えてください。
サイト制作の目的を確認してくれるかどうか
「なんのためにwebサイトが必要なのか」「Webサイトを制作することで何をしたいのか、どのような結果を出したいのか」、サイト制作の目的は企業や個人によってそれぞれ異なります。
目的をヒアリングしてくれる業者は、型にはまったデザイン、サイト構造ではなく、目的に沿った最適なサイトを制作してくれると考えることができます。
制作後の運営面まで検討しているか
Webサイトは作って終わりではありません。情報を更新したり、商品販売をするサイトであれば商品を追加変更したり、メンテナンスや運営が必要です。そのとき、メンテナンスとどうするのか、業者が行うのか、依頼主が自分でしていくのか、依頼主が自分でメンテナンスをしていく場合はどのようにしていくのかを配慮して検討してくれる業者を選びましょう。
作業項目ごとに見積もりを出してくれる
不透明な費用請求がない業者を選びましょう。この金額で何をするのか、どの作業にこの金額がかかるのかを明確に出してもらいます。
Q.自分でホームページを作れるサービスが多数あります。そのようなサービスがあってもなお「ホームページ制作のプロに依頼したほうがいい」というポイントを3点ほど教えてください。
サイト制作の目的に沿ったコンテンツを掲載できる
作りたいコンテンツを作ることと、目的を達成するために用意しておいたほうがいいコンテンツを設置することは似ているようで異なります。プロであれば、サイト制作をしたい/してほしい依頼者の目的に沿ったコンテンツ掲載をアドバイスすることができます。
打ち合わせ時にいろんな選択肢を聞くことができる
自分に知識がないことは、調べていてもうまく調べることができなかったり、調べる作業だけで時間を費やしてしまうこともありますが、プロであれば最初から「A, B, C, そしてDという選択肢がありますよ」という提案ができます。
業者に頼むからこそ、作成できる
自分で作れるサービスは、いつでも作ることができるので作業が完了しません。夏休みは長いからと、宿題を先延ばしにして「いつのまにか8月も終わる」という子供がわかりやすい例でしょうか。
業者を起用すると「いつまでに完成させる」という納期が設定されるからこそ、サイトがきちんと完成します。
Q.プロの目線で考える、自分でホームページを作ることのメリットとデメリットをそれぞれ教えてください。
メリット
・初期費用が安い
・修正も自分で出来る
・すぐに作成出来る(すぐに作成出来るからいつまでも作らない方もいます)
デメリット
・デザインや構成に納得できない点があっても、原因やアドバイスを聞くことができない
・文字を実際に入れてみると雰囲気が変わってしまい、思うようなデザインにならない
・知識や技術を必要とする細かいカスタマイズができない
Q.よくある依頼やよくある質問、それらに対する簡単なアドバイスがあれば教えてください。
ホームページの新規作成依頼
何を目的としてサイトを制作するのか、制作をしたいのかが曖昧な依頼が多いです。Zehitomoさんを通じて依頼が来る案件の場合、依頼詳細が未記入のものも多いので、応募せずにスルーしてしまうこともしばしばあります。
会社やサービスの内容を紹介するサイト、メルマガなどで顧客リストを集めるサイト、物を売るサイトなど、ざっくりとでも良いので、作りたいサイトの目的や業種・サービス内容、どのように運営していきたいかなどの希望が書かれていると提案がしやすくなります。
リニューアル依頼
現状のサイトの問題点が把握出来ていない状態で、フルリニューアルを依頼される方が多いです。しかしアクセス解析や導線を解析すると、部分的なリニューアルで十分なこともあります。
いきなりサイト全体をリニューアルするのではなく、データを解析しながら検証していくほうが効果的なことも多いため、まずは現状のデータの解析をおすすめしています。
私の会社では、リニューアル前のWeb解析・提案、実際のリニューアル作業など、作業別に請け負うような依頼も受け付けています。
Q.「このような依頼は珍しい!」「こんな仕事もあるのか!」と思わされた相談や、依頼を教えてください。
WordPressで作成したサイトの不具合原因究明のお仕事を受け付けたことがありました。依頼者さまご自身で作成されていたのですが、不具合の原因が分からず、原因究明と解消方法のアドバイスのみをさせていただきました。
Q.ホームページ制作を検討しているお客様に対してのアドバイスなどがあれば教えてください。
どのようなページを作りたいかが具体的に決まっていて、プロに相談する必要もない方は、簡単に作れるサービスや安い業者に依頼しても問題ないでしょう。
サイトの目的や効果測定方法、効率の良い運営方法、集客方法などを検討しながら制作したい方は、経験豊富なプロに相談してください。
ヒアリングや事前調査にきちんと時間とコストをかけることが、ホームページ制作の成否を左右します。ツールやサービスの進化によって制作にかかる時間は短縮される傾向がありますが、納得のいくホームページを作るためには、きちんと目的や運営体制を検討してから作る必要があります。
Webサイト制作は必ずしも正解があるわけではなく、データを取りながら、効果検証・改善する、という作業がとても重要です。作りっぱなしではなく、解析・改善しながら最適解を導き出すものです。
サイトの完成だけを目的とせず、運営しながら事業の成果につなげる視点でご相談いただければ幸いです。
Q.吉田さまが現在の会社を立ち上げるに至った経緯を教えてください。
2001年からweb運営会社の内部制作スタッフとして働き、今でいうオウンドメディア運営のような、 無料集客サイトの制作と運営を行っていました。
副業がてら手がけたアフィリエイトサイト運営が上手く収益を上げ、 給料を上回ったところで独立。2006年に法人化しました。
法人化のタイミングで、アフィリエイト案件以外にも、Web制作やWebマーケティング支援業務を受託し、新規事業立ち上げのお手伝いや、住宅メーカー / コンサルティング会社 / ECサイトなど、多岐に渡る業種のサイトの制作面と集客面の両方から携わらせていただいております。
仕事上、気をつけていることは2つ、運営上の生産性と、データを取っての検証改善です。効率良く事業の収益を上げるためのWebサイトが、生産性を落とすことにつながらないように気をつけています。
サイトを制作した後にブログの更新が滞ったり、コンテンツが更新されなかったり、経営者はOKと言っていても担当者レベルでストップしたり、運営上の失敗例は少なくありません。これは弊社以外でも起こることです。
特にSEOを行えば、検索エンジンから無料で集客出来ると誤解される方もいるのですが、コンテンツ制作の人件費、スタッフの労働時間なども検討し、広告を出すのとどちらが効果的かどうかを組織体制とも照らし合わせて計算し、提案しています。
公開前に考え込みすぎるよりも、プロトタイプを作成し、データ収集、検証改善を繰り返すという流れを提案するようにしています。
以前は、紙媒体と同じように作り込んでから公開というwebサイトが多かったのですが、判断材料のない中で考え込むことでプロジェクトが停滞することも少なくありません。
それよりも、プロトタイプ(試作段階のもの)を制作して公開し、ユーザーの生の反応をデータで検証して、改善と修正を繰り返していくという形が、特に新規立ち上げのビジネスには向いています。
リニューアルに関する仕事も、アクセス解析やヒートマップツールのデータを元に、改善の提案を行っています。
作って終わりのwebサイトではなく、判断材料を増やし、動きながら改善するというのが最近のwebマーケティングの最適解なのかと考えています。
現状分析などの相談のみでも対応可能ですので、興味のある方はご相談いただければと思います。
最後に
いわゆる成功事例、「こうすれば必ず勝てますよ」という型を提供するWeb制作会社は少なくありません。そのような業界で、吉田さまのように経営者が自らサービス提供内容や仕事にかける思いを語ってくださるWeb制作会社は、めずらしいのではないでしょうか。
ZehitomoはまさにWebを活用したサービスを展開していることもあり、吉田さまのようなデータに基づいた丁寧なサービスを提供してくださるプロフェッショナルの皆さまにご活用いただいていることは、大変ありがたいことです。
吉田さま、ありがとうございました。今後ともどうぞ、よろしくお願いいたします。