今回ご紹介する芝 貞幸さんの人生は、「仕事とプライベートの境目がなくなり、仕事と趣味がイコールになっている」と言えると思います。
「Zehitomoを活用することで、『ハーモニカが衰退して、なくなってしまう、なんてことはないのではないか?』と思うようになった」とおっしゃる芝さんの、Zehitomo活用方法を紹介します。
関東ハーモニカ連盟の会長
「現在は指導と、関東ハーモニカ連盟の会長をしています。杉並区の浜田山と松の木の2か所でグループレッスンしています。松の木の会場は、宮田東峰さんという有名なハーモニカ奏者の方がスタジオを構えていた場所です。それと別に高円寺の自宅近くのスタジオを個人レッスン会場にしています。」
Zehitomoとの出会いは「最初はなんだったのか、全く覚えていない」
「Zehitomoとの出会いはね、全く覚えていなくて。Zehitomo経由で4〜5人に個人レッスンをしています。生徒は30代から、80代の方もいました。20代の韓国人の方もいましたよ。生徒さんの男女比は半々です。
40代の方は『デイケア施設で働いている、他の職員はみんな一芸を持っているので自分も何か身に付けたい』、60代の税理士さんは『税務署を退職して数年経って、今は個人事務所を立ち上げている、ハーモニカの経験は全くないけれど習得したい』と言っていました。」
子供の音楽レッスンは、本人の熱意が大切
「お子さんのハーモニカレッスンの依頼も来ます。ご両親が子供に習わせたいケースです。Zehitomo経由で渋谷区の5歳のお子さんに出張レッスンをしていました。ご両親は熱心でしたが、子ども本人のやる気がないようでした。
4回ほど通って教えましたが、子供のレッスンは、本人に熱意がないと成り立たないことが多いです。」
Zehitomoを使って、ハーモニカレッスンを希望してくれる人の多さに驚いている
「Zehitomoを使って、これだけの人がハーモニカに関心を持ちレッスンの依頼を出してくれることに驚いています。しかし正直、わたし1人では手が回らないために、提供できるレッスンに限りがあるという現状です。」
「ハーモニカはマイナーな楽器だと思っています。活動している人もみんな高齢になり始めましたから、『なくなっちゃうんじゃないか』と。しかしZehitomoを使い始めて、『人気じゃないか?』、『ハーモニカがなくなる、なんてことはないのではないか?』と思い始めています。」と芝さん。
芝さんの、Zehitomoの使い方
「レッスン依頼の数は、先週は毎日必ず来ていました。昨日も来ていましたよ。こちらから連絡を取る時に費用がかかりますが、高くはないと感じています。
私の使い方は、電話番号を表示してくれている方にはこちらから電話をしますし、電話をするとすぐに話が通じます。メッセージだけのやり取りですと、返信率は50%程度になります。半数の方は返信をくれますが、半数の方は特に返信がないです。」
NTTの研究所で技術者をしていた芝さん
「ハーモニカとの最初の出会いは小学校1年生です。現在は80歳なので、73年経っていることになります。もちろんこれは『続けてやっていれば』ですよ(笑)
私はNTTの研究所で技術者をしていて、画像に関連した仕事をしていました。定年退職をしてからは、時間のほとんど全てをハーモニカに関わることに使っています。」
ハーモニカとの再会は、「お父さんは、何を演奏しようか?」
「1980年頃だったと思うのですが、職場で『ファミリーコンサート』という企画がありました。家族の音楽会です。その時に『芝家として、何をしようか?』という家族会議をしました。」
奥様は幼稚園の先生だったのでピアノを弾いて、子供達はそれぞれバイオリンを弾く、パーカッションを叩くことになったそう。
「では『お父さんは何をしようか?』という時に、子ども時代を思い出してハーモニカを購入しました。するとハーモニカが非常にウケて、たくさんの拍手をもらってしまったんですね。こんなに拍手をもらうんだったら、もっとちゃんとやろうか、と(笑)」と芝さん。
「トンボ楽器のハーモニカを購入していたため、トンボ楽器にレッスンの問い合わせをしました。そこで紹介された先生に会いに行って『1曲吹いてみませんか』と言われて吹いたら、先生に『あなたはもう中級レベルですね』と言われて。私もいい気になっちゃってね(笑)
この時の先生が今、全日本ハーモニカ連盟の理事長をしています。出会った当時の彼は日本オリベッティ株式会社の企画部長か何かをしながら、ハーモニカを教えていました。」
ハーモニカを吹く予定が、音響の専門家になってしまう
「ハーモニカは音が小さすぎてマイクに頼らないと全く聞こえないんです。最初は私は演奏側でしたが、『演奏を聴いてもらうためには、マイクがないといけない』と、自前でマイクを揃えて音響の調整もするようになりました。すると次第に仕事が増えて、音響の専門家として知られるようになりました。
杉並区の、蚕糸の森公園の1万人規模を動員するお祭りの、音響責任者をしたこともあります。」
「私は、教えるのには向いていないんですよ。」
「何箇所かでハーモニカの指導をしていましたが、15年ほど前に母の介護が入って、全てのレッスンを一斉に止めました。止めた時には気分がとてもスッキリしたんです。『ああ、私は人に教えるのには向いていないんだな』と思いました(笑)
何年か前に『ぜひ教えてくれ』と言われたことをきっかけにハーモニカレッスンを再開して、現在に至っています。」
芝さんはこうおっしゃいますが、グループレッスンはわきあいあいと進行して、皆さん演奏を楽しんでいらっしゃったことをお伝えします。
日本とアジア諸国のハーモニカのレベル
「最近は他のアジア諸国の活躍が目立っています。韓国のソウルでのハーモニカの大会を見に行ったことがありますが、非常に感心しました。お子さんが大勢参加して、親御さんも大勢いました。日本で言う『ピアノ』の世界です。日本ではピアノの習い事はとても人気があります。
韓国では、ハーモニカが日本のピアノと同じ?と思うほど、大勢のお子さんが参加をしていました。
演奏のレベルも高く、確実に若いハーモニカ愛好家の皆さんが育っている様子を目にしました。日本でももっと、ハーモニカを楽しんで演奏してくれる人が増えるといいなと思っています。」
日本のハーモニカ界の動向や、演奏家の活躍にも目を配る
「2019年の9月には、NHKのテレビ番組に南里沙さんという若いハーモニカ奏者の方が出演なさっていました。
同じく2019年の9月の『題名のない音楽会』にはハーモニカ特集もやっていて、『ハーモニカ女子の休日』ということでハーモニカ奏者が出演しています。( https://www.tv-asahi.co.jp/daimei_2017/sphone/Broadcast/?pid=0196 )
なんだか、ハーモニカブームが来ているんじゃないかな?と感じています。」
ハーモニカは、管楽器やピアノの先生からハーモニカに転向した人もいます。楽器が違っても、楽器の経験があると音楽の基礎ができていますし、音楽の指導には共通点がたくさんあります。」
ハーモニカを習いたい人や、レッスンを検討している人へ
「私はボランティアで演奏活動をしています。奇数月に行くことにしていて、7月は10箇所に行きました。9月は8箇所の予定です。
習うときは、披露する場を設けると上達しやすいと思います。ハーモニカはマンションでも練習がしやすく、値段も高すぎず、始めやすいけれど奥が深い楽器です。特に音色が柔らかく、聴く人を楽しませることができます。気になる人は始めてみてはいかがでしょうか。」
最後に
芝さんとお会いしてお話しをさせていただいたところ、「80歳」とおっしゃるではありませんか。そしてお話も面白く、何度も笑いました。
仕事が趣味で、趣味が仕事。「仕事と趣味の境目がない」と発言する経営者やビジネスパーソンの方も多くいますが、それは昔からあることのようです。芝さんがまさに、その先駆者でした。
芝 貞幸さま
日本ハーモニカ芸術協会公認指導員、関東ハーモニカ連盟会長。様々なジャンルの曲を演奏するが、特にタンゴを得意としており、1996年には単身ブエノスアイレスに渡り、テレビ・ラジオ・ライブハウス等で演奏し喝采を浴びた。
2018年4月に全日本ハーモニカ連盟総会において、ハーモニカの普及・発展に貢献してきたとして表彰される。