ここではピアノの練習方法をお伝えします。幼児から上級者まで、多くの生徒の練習をみてきたピアノレッスン講師によるおすすめの練習方法も紹介します。
山田 真由美さま
オトバネ株式会社代表取締役。東京芸術大学を卒業後、ピアノを中心に音楽のレッスンを提供する。レッスン相手は10歳に満たないお子様からプロの歌手まで幅広い。
100本以上のテレビコマーシャルへの楽曲提供や、子供向け教育番組の遊びを監修するだけでなく、実際の演奏や編曲、国内外の大学で教鞭をとるなど、音楽に関連する仕事に数多く携わる。
<INDEX>
1:ピアノの先生おすすめ 初心者向けの練習方法3つ
2:ピアノの練習の構成 4つ
3:ピアノの練習方法4つ
4:さまざまなピアノの練習4つ
5:最後に:ピアノ講師 山田真由美先生より 練習のポイント2つ
1:ピアノの先生おすすめ 初心者向けの練習方法3つ
1.ミニトマトを握る手の形をつくる
手の中にミニトマトを入れているような感覚をイメージしてみてください。トマトは潰れてしまうこともあるので、力を入れずに包み込むような指を形づくらなくてはいけません。
そのイメージで手と指をふんわりと構えます。指がぎこちなくまっすぐになったり、手が平らに潰れたようにならないように意識します。
2.タコさんウインナーを握る手の形をつくる
手の中にプチトマトを入れていた手の形から、今度はタコの形をしたウインナーを手の中に入れているような感覚をイメージしてみてください。
タコさんウインナーは足が外に反り返ったような形をしています。そのタコの足の部分を外側に向けて握るような指のかたちを意識すると、力が入りにくい薬指や小指にも意識がいくようになります。
3.脱感作練習(だつかんされんしゅう)
音階を弾くときに付点をつけて弾く練習です。「ドレミファソ」を「ドーレミーファソー」「ドレーミファーソ」など、付点をつけながら、もしくは付点の反対のリズムにしながら練習をすると、音の粒が揃うようになります。
リズム練習とも言われますが、「あえて弾きづらいいくつかの付点やリズムを使って練習する」ことが脱感作療法を連想させるため、山田先生は「脱感作練習」と呼んでいらっしゃいます。
2:ピアノの練習の構成 4つ
1.指の動きをスムーズにする練習
基礎基本の教則本を使って、指をスムーズに動かすことができるようになるための練習をします。
2.練習曲
練習曲の教則本を使って、練習をします。練習曲の教則本には、バイエル、ハノン、バーナムピアノテクニックなどがあります。それぞれの教則本には1巻、2巻とあり、冊数を重ねて積んでいく練習をするものです。何種類かを同時進行することもあります。
長調や短調、転調など、学ぶことはたくさんありますが、曲に合わせて学んでいくため単調さが減り、楽しみやすくなります。
3.曲の練習
弾けるようになりたい曲、発表会などで披露したい曲などの練習をします。
4.ピアノの練習は、異なる種類の練習を組み合わせる
ピアノの練習は、指の動きをスムーズにする練習、音への理解を深める練習、曲の練習を組み合わせて行います。
ピアノを始めてどの程度の期間が経過しているか、習熟度はどの程度かによってもそれぞれの練習に割く時間やメニューは異なりますが、どのようなレベルのプレイヤーも必ずこれらの練習をしています。
例えばまだ初心者であれば「曲を弾きたい」という気持ちが先行しますが、基礎基本の練習に時間を多く使って、曲を弾くためのスキルを身につけましょう。
しかし例えば「もうすぐピアノの発表会で、あの曲をステージで弾く」という状況であれば「練習時間はが合計60分として、練習内容の内訳は指の動きをスムーズにする基礎の練習は15分程度にして、音への理解を深める練習は省いて、曲の練習を45分」ということもあります。
プレイヤーのレベルや、目的とゴール、講師やレッスンプランに応じて練習内容の構成が変わります。
3:ピアノの練習方法4つ
1.指を動かす練習〜教則本「バイエル」を使用する練習
バイエルとは、初心者向けの指を動かす練習ができる教則本(教科書)です。片手ずつから練習できるような曲が多数掲載されています。
子供向けのバイエルや大人向けのバイエルなどがありますが、例えば「子供が『子供向けのバイエル』を使っていた、家にある」ということであれば大人が子供向けのバイエルと使って練習しても、何の問題もありません。
最初のページから最後のページまで、全ての練習を終わらせることを目的に、取り組んでください。
2.指を動かす練習と音階を理解するための練習〜教則本「ハノン」を使用する練習
バイエルを最初から最後のページまで終えたら、バイエルは卒業して、ハノンという教則本(教科書)にうつります。
実に基礎基本の練習で、「あの曲が弾きたいのに」「早く曲の練習をしたい」という気持ちになってしまう地味な練習です。しかし料理で「野菜の切り方」「魚のさばき方」がわからないとおいしい料理が作れないことと同じで、ハノンを使用する地味な練習を続けることで、伸びやかな演奏をするための技術や基礎が身についていきます。
また、黙々と取り組むと自分の指の動きが変わることもわかります。弾いている本人がそのことを理解すれば、意味のある練習であることもよくわかります。
3.楽譜の記号を理解するための練習〜「ツェルニー」「ブルグミューラー」を使用して練習曲を練習
「ツェルニー」も「ブルグミューラー」も、練習曲の掲載された教則本です。ピアニストや音楽大学に通う人たちも、練習を始めたばかりの頃はこれらの教則本の練習曲に取り組んでいます。
スタッカートやスラー、さまざまな拍子など、曲によって色々な表現を要求されます。曲それぞれの個性を理解して表現する力を伸ばすことも求められます。
4.完成させたい曲の練習
「ツェルニー」や「ブルグミューラー」の曲を全て終了する頃になると、ソナチネやバッハなどの曲に取り組みます。曲によって難しさも長さも異なるため、ピアノ教室に通っていたり、先生に師事しているのであれば先生と相談して取り組む曲や教則本を決めます。
先生によって教え方はさまざまなので、先生に勧められるように練習を深めることもできますし、弾けるようになりたい曲を教えてもらうこともできます。
4:さまざまなピアノの練習4つ
1.練習室を活用する
有料での貸し練習室やレンタルスタジオを活用する練習方法です。活用すると、ピアノのレッスンに幅をもたせることができます。自宅のピアノや、ピアノ教室のピアノは「慣れてしまう」ことがデメリットと言える時があります。
発表会やコンクールなどでは、初めての場所の初めてのピアノを弾くことがほとんどです。ピアノは、製造しているメーカーや種類が違えば、弾き心地も全く変わります。ピアノが備え付けられている練習室などを活用すると、いつものピアノとは、違うピアノを弾くことができます。
また、夜に練習をしたいけれど自宅で夜にピアノの練習ができない、というようなときにも活用できます。
2.自宅のピアノで練習する
のびのびと慣れた場所の慣れたピアノで、心置きなく練習しましょう。メトロノームなどを使って基礎基本の練習を繰り返したり、いつも間違えてしまう難しい場所を10回でも20回でも繰り返し練習したり、自分のしたい練習に没頭できます。
3.ピアノのレッスンに通う
週に1回程度のペースでピアノ教室に通うと、生活や練習ペースにもリズムができます。「毎日自宅で自己練習をしよう」と思っても、「時間がない」とか「明日にしようかな」とか延ばしてしまうこともあるかもしれません。
ピアノのレッスンの予定を入れておくと「レッスンの前日は必ず自己練習をする」とか「ピアノのレッスンの帰りは行ってみたかったカフェに行く」とか、ピアノのレッスンにも私生活にもリズムができます。
また、自宅と学校、自宅と会社などの往復の生活以外の人間関係や、自分の居場所ができるのは、心の支えやストレス解消にもつながるでしょう。
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4.ピアノのアプリを使ってピアノに興味を持つ
練習というよりも、ピアノに興味を持ってもらう方法と言えるかもしれません。子供に習い事としてピアノを始めてほしいと思っているご両親や、ピアノの練習を嫌がるお子さんには、ピアノの曲が出てくるようなアプリや、ピアノの鍵盤を弾くようなアプリで遊ばせてあげることで、興味関心を引くことができるかもしれません。
アプリによっては大人でもハマる人も多く、有名なアプリもいくつもあります。ゲームをきっかけにピアノや音楽に興味を持ってもらいましょう。
5最後に:ピアノ講師 山田真由美先生より 練習のポイント2つ
(山田先生と生徒さま)
1.仲間を見つける
ピアノを練習する時に、近いレベルで同じように練習している人がいると、仲間意識が生まれます。一見自分の身の回りにはい内容でも、例えばインターネット上で練習内容を報告しあうようなコミュニティを見つけることもできます。
LINEでグループを作って報告し合うようなこともできると思います。ぜひ仲間を見つけてみてください。
2.いい先生と出会う
まずは先生選びに慎重になるといいと思います。最初になるべく多くの先生の体験レッスンを受けて、比較検討してみてほしいです。まずは先生との出会いがたくさんある方がいいです。
一度出会った先生を何度も変えていくことをショッピングと言いますが、「何度も先生を取っ替え引っ替えする」のはあまりいい方法ではないと思います。
例えば「地域で有名な音楽教室に体験レッスンに行ってそのまま入会」という流れもあるかもしれませんが、現在は昔よりも先生と生徒が出会いやすくなっていると思います。
最初に複数の先生と出会って、その中から先生を吟味して選んで、まずは選んだ先生のレッスンを10回、20回などまとまった回数受けてみてください。
自分で吟味した先生とレッスンを繰り返すうちに、生徒にとっても生徒にとっても、いい意味で「わがままを言える関係」になっていきます。お互いにレッスンの日時の融通を利かせることなどもできるようになります。
教える側ももちろん、生徒を応援したいと思っているので、モチベーションが上がるようなレッスンをしてくれると思います。その逆に、生徒も先生のモチベーションを高めることができるんですよ。そうするとピアノの練習も、教えてもらう時間も、どんどん楽しくなりますよ。