爪のおしゃれの中でもジェルネイルは、人気を保っています。シーズンに合わせたデザインなど、爪から季節感を取り入れる人も多数います。
ここではジェルネイルや爪のおしゃれに携わる専門業者のご協力のもと、ネイルサロンとネイルアートについて説明します。
取材にご協力をいただいたネイルサービス
ピカソウネイルサービス
ピカソウ株式会社運営する、東京都23区を中心とした出張ネイルサービスです。ネイリスト検定1級、ジェルネイル検定上級、ネイルサロン衛生管理士の資格を保持するネイリストなどが多数在籍しています。
ネイルについて
ネイル産業市場は2005年は1114億円でしたが、2014年には2166億円にまで伸びています。ネイル産業の市場規模は2005年から2014年まで右肩上がりで、一度も数字を落とすことなく規模を拡大しています。日本国内でネイル産業が人気を博していることが伺えます。
以下、ネイルケアでどのようなことを行うのかについて解説していきます。
1.手指の消毒
施術者(ネイリスト)とお客様の手指を消毒します。感染症や疾患の有無も確認します。
2.ファイリング
爪の長さと形を整える作業のことをファイリングと言い、爪切りやヤスリを使って整えます。形にはスクエア、スクアエオフ、ラウンド、オーバルなどがあります。
形や長さは自分の好みや生活習慣に応じて選びます。飾りをたくさん乗せたいのであれば爪が長いと映えるでしょう。ただし爪が長いと缶を開けづらい、パソコンのキーボードを打ちにくいなど日常生活でのデメリットもあります。
3.キューティクルケア
爪の根元にある甘皮をケアする作業のことをキューティクルケアと言い、キューティクルの状態に応じていくつかの作業をします。
4.プッシュアップ
キューティクルにキューティクルリムーバーを塗り、フィンガーボウルと呼ぶお湯を入れた小さなボウルに指を浸し、キューティクルを柔らかくします。プッシャーと呼ばれる木や金属でできたキューティクルを押し上げる道具を使い、キューティクルを押し上げます。
5.ガーゼプッシュ
プッシュアップの工程で押し上げたキューティクルを、ガーゼを使い除去します。
6.ニッパーでささくれなどの除去
ニッパーと呼ぶ、ペンチ(工具)に似た形の道具を使い、ささくれを除去します。ガーゼを使って撮りきれなかったキューティクルの除去も行います。
7.ファイリング
爪表面を整える作業のことをファイリングと言います。
ネイルサロンの種類
爪のお手入れをしてくれるサロンにはいくつかの種類があります。
1.ネイルサロン(ネイル専門の店舗)
ネイリストが在籍し、ネイルケアやネイルアートサービスを提供します。顧客は女性が中心であることから、主婦層に向けた託児サービスを用意している店舗もあります。
2.美容院やまつ毛エクステサロンなど、他の美容サービスを同時提供している店舗
ネイルサロンの中には、ネイルケアやネイルアートだけでなく、まつ毛エクステやエステなど、ネイル関連サービス以外の美容サービスを同一店舗内で提供している業態もあります。
ネイリストに爪をケアしてもらいながら、アイリストにまつ毛エクステをつけてもらい、同時に施術を受けることで時間短縮ができたり、ネイルケアの後にそのままヘアサロンに移動して髪を切ってもらうというヘアケアサービスを受けることもできます。
3.出張ネイルサロン/出張ネイリスト
ネイルケアを希望する顧客の自宅や指定する場所にネイリストが訪問し、ネイルケアサービスを受けることができる業態です。自宅だけではなく、オフィスやイベント会場、高齢者介護施設などに出張することもあります。
ネイルサロンやネイリストを選ぶ際に注意すべき点
国民生活センターによる以下のアドバイスに沿って、注意点を解説します。
・つけ爪は爪に負担をかけるものであるということを知っておくようにしましょう。
・つけ爪用の接着剤や用材を使うときはかぶれや化学やけど、引火に注意が必要です。購入時は表示をよく確認し、使用の際も慎重に取り扱いましょう。
・自分で施術する場合の衛生管理をしっかり行い、異常を感じたらすぐに受診しましょう。
・サロン選びに注意し、認定資格なども参考にしましょう。
・無理をして施術を続けず時々は爪を休ませましょう。
1.つけ爪は爪に負担をかけるものであるということを知っておくようにする
爪は呼吸をし、日々伸びています。つけ爪などを装着することで、爪は呼吸ができなくなります。爪が伸びて切りたいと感じても、つけ爪を外さなくては自分の爪を切ることができません。
また、つけ爪を外すのが面倒だからと、つけ爪をつけたままにしたり、爪を伸ばしたままにすると爪に負担がかかります。ネイルケアは定期的に行いましょう。
2.つけ爪用の接着剤や用材を使うときはかぶれや化学やけど、引火に注意が必要。購入時は表示をよく確認し、使用の際も慎重に取り扱う
つけ爪用の接着剤などが指についたり、接着剤の匂いなどで気分が悪くなる可能性もあります。また、ネイルケア用品は引火性のものもあります。購入時に保管方法や使用方法を確認し、表示にしたがっれ保管や利用をしましょう。
3.自分で施術する場合の衛生管理をしっかり行い、異常を感じたらすぐに受診
有資格のプロフェッショナルではなく、あまり知識のない状態で自分自身でネイルケアに臨む時は、清潔を保ち安全な場所で行います。
ジェルネイルでは爪にジェルをのせて、紫外線ライト(UVライト)を照射する工程もあります。様々な工程の中で違和感や異常を感じたら、すぐに施術を取りやめ、かかりつけの医師に相談しましょう。
4.サロン選びに注意。認定資格なども参考に
日本のネイルサロンには法的規制がなく、ネイリストにも国家資格はありません。ネイルサロンやネイリストを選ぶときは、以下の資格を持っているかどうか確認すると技術のめやすになります。
- JNAジェルネイル技能検定
- JNECネイリスト技能検定
- HNCEネイルサロン衛生管理士
- I-NAIL-Aネイルスペシャリスト技能検定
- I-NAIL-Aジェルネイル検定
5.無理をして施術を続けず時々は爪を休ませる。
つけ爪やジェルネイル、マニキュアなどは爪に負担がかかります。つけ爪は接着剤を、ジェルネイルは爪の表面に傷をつけることでジェルの持ちが長くなります。
ネイルのトラブルについて
1.ネイルサロンに関する衛生管理制度の状況
日本のネイルサロンには、制定された法律や法的規制はありません。
厚労省は2010年に『ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針』を発表しています(平成30年6月現在)。理容師、美容師の業務は法律で定められた衛生基準を満たしている必要があるため、ネイルサロンの経営者はこの法令に習って衛生管理を行うところが多いようです。
しかしネイルサロンに対する法令ではないため義務ではありません。つまり、理美容に関する衛生基準に沿った衛生管理を行っていないネイルサロンもあります。この法令に則って施術が行われるネイルサロンを利用すると良いでしょう。
2.理美容に関する法律の内容
アメリカのネイルサロンは、衛生措置や消毒などが法律で規定されています。日本も、ネイルサロン業界の規模拡大と業界の発展が続いているため、法令措置が取られ、消費者から寄せられる爪やネイルサロンに関連するトラブルも減ることが期待されます。
理美容に関する衛生基準の法令は以下の通りです。
理容師法第9条
理容師は、理容の業を行うときは、次に掲げる措置を講じなければならない。一 皮ふに接する布片及び器具は、これを清潔に保つこと。二 皮ふに接する布片は、客一人ごとにこれを取りかえ、皮ふに接する器具は、客一人ごとにこれを消毒すること。三 その他都道府県知事が条例で定める衛生上必要な措置を行うこと
美容師法第8条
美容師は、美容の業を行うときは、次に掲げる措置を講じなければならない。一 皮ふに接する布片及び皮ふに接する器具を清潔に保つこと。二 皮ふに接する布片を客一人ごとに取り替え、皮ふに接する器具を客一人ごとに消毒すること。
3.トラブルが起きる要因
爪の上に乗せるジェルや爪の補強チップを巡って、トラブルが発生することもあります。ネイリストの技量不足や、ネイルサロンの教育や衛生管理の不備が要因となってトラブルに発展します。
4.グリーンネイル
本来の爪と、爪の上に乗せたジェルや、爪の形をしたチップとの間に水分があり乾燥しないまま施術をされることで、カビが生える現象をグリーンネイルと言います。緑色のほか、黒ずんでくることあります。真菌感染なので、発見した場合は速やかに内科や皮膚科などの医療機関に相談しましょう。(国民生活センターにも相談が寄せられています。)
出張ネイリストの費用と相場
価格重視: 5,000円〜10,000円
それでは、出張ネイリストをお願いするのはいくらぐらいかかるのでしょうか?Zehitomoに寄せられた約150件以上の依頼の価格データをもとにお伝えすると、最も安い金額で5,000円〜10,000円ほどの金額でした。
このくらいの価格ですと、ちょっとした爪のお手入れや、シンプルなマニキュアをお願いするなどといった依頼が多いです。手軽にまずはやってみたい方や、普段の爪のお手入れをお願いしたい場合はこのあたりが妥当な金額になるでしょう。
標準/平均: 10,000円〜20,000円
出張ネイルにおける最も平均的な金額は10,000円で、こちらが標準的な価格と言ってよいでしょう。ハンド・フット両方にジェルネイルをして欲しいという案件や、シンプルな柄でネイルをお願いしたいという案件が目立ちます。
20,000円に近づくに連れ、手の込んだネイルをお願いしたいという案件が多くなります。
最高品質: 20,000円〜30,000円
最高価格の価格帯になると、長さだしコミのかなり手の込んだネイルや、複数人のネイルを同時にお願いしたいといった案件が目立ちます。結婚式などの大事な場面でネイルをしたい、もしくはイベントがあるので複数の方にお願いしたいという際に良いでしょう。
出張ネイリスト、出張ネイルサービスとは?実際に出張ネイルを体験
ピカソウ株式会社より、お二人のネイリスト様に、実際にオフィスに来ていただきました。
テーブルや椅子はオフィスにあるものを使用。手際よく道具が広げられていきます。
手元を照らすデスクライトも持参してくださいました。殺風景だったオフィスが、だんだんとネイルサロンのようになってきました。
道具はこのようなキャリーケースに入れてお持ちになっていました。
ジェルネイルのサンプルが置かれます。このジェルネイルのサンプルは、出張先を問わず人気なものが集まっています。人間の爪の色に近いピンク色やベージュ色が揃っています。仕事場や学校など、ドレスコードや身だしなみ規定がある場でも悪目立ちしない、自然な色です。
今回用意してくださった色には、人気の自然なピンク色やベージュ色だけでなく、青色や緑色もありました。
まず1人目のジェルネイル施術に入ります。ジェルネイルを塗布した爪に紫外線ライト(UVライト)を照射して、ジェルネイルを固めます。ダンスフロアーのような華やかな光。
2人目のジェルネイル施術に入ります。「えっ?もう、急に2人目?」そうです、ピカソウ株式会社さまは内容に応じて複数名のネイリストが出張をして、1名のお客様に対して2名のネイリストで施術を行います。つまり、驚くほど早い。
2人目の爪も、綺麗になりました。はっきりした色なので大きく綺麗な形の爪にもよく映えます。くすみがかった赤色は、レンガのような色味です。爪の先の形は好みの形に整えてくれます。今回は丸くしてもらいました。最初の2名は、2名連続で1色のカラーを使い、根元までしっかり色を塗ってもらいました。
早速3人目の施術に入ります。ジェルネイルを塗る前には、爪を切り表面を整え、長さと形を調節してくれます。
できました。グレージュという色で仕上げています。グレージュ色は「グレー」ですがベージュとピンクが混ざったような、肌馴染みのいい色。無彩色のグレーのような無機質さはありません。根元を透明にしたグラデーションのデザインなので、色を使っている面積も少なく、シンプルで爽やかな印象も与えます。
4人目の施術がスタート。どの色がいいか、どのような塗り方がいいかなかなか決まらず「どうしよう?」と迷います。「どうしよう?」と迷っている間に、ネイリスト2名体制でどんどんケアが進みます、早いです。4人目は濃いめのピンク色にしました。
ここで5人目は男性。「ピンク色のお爪になさる、というオーダーで間違いないでしょうか?」というジョークが入り、本当にネイルサロンのような和やかさ。
営業職など、人前で指を見せる機会の多いビジネスパーソンは、男女問わず爪のケアを気にかける方が多いそうです。「男性のお客様でも、定期的にネイルケアをなさる方は多いです。透明のジェルを塗る方もいらっしゃいますよ」
仕事中に一息つくタイミングは、無理やり捻出しないと取れないこともあります。忙しくて立て込んでいる、時間に追われていると、ランチの時間さえも惜しんで働くビジネスパーソンもいます。しかしオフィスでこのようなサービスを受ける機会があると、強制的に「一時停止」の時間を取ることができます。
野次馬がやってきました。
さらに野次馬がやってきました。男性ばかり、全員興味津々です。
最後の仕上げで、どんどん爪が磨かれました。「おお、ピカピカになってる」と男性陣も大盛り上がり。水も弾いてしまいそうな、ガラスのように輝く爪になりました。
さらに6人目も男性です。「僕、ネイルケアを受けるのは実は初めてじゃないんだ」とのこと。まさかのネイルケア経験者でした。「目の色に合わせて青色に塗ったら?」「会社のロゴマーク入れてもらったら?」と余計な野次が飛び交います。
ここはオフィス、突然仕事の話が舞い込みました。いつものオフィスでケアをしてもらっているからこそ、仕事の話もすぐにできます。仕事の話をする間にも、ネイルケアはどんどん進みました。
「前にネイルケアをしてもらった時は、爪やすりで何度も強くこすられて、痛かった」という苦い思い出があるそうです。今回は「全然痛くない」とのことでした。
7人目は女性、再びジェルネイルの施術です。ネイリストさんに「この道具は何ですか?」「これはどうやって使うんですか?」など、普段触れない道具について質問をしながら進みます。
ネイルケアをしてもらっている間に、何色のジェルでどのような塗り方にするか考えます。あっという間にケアが終わり、色を塗る段階へ。選んだのはグレージュ色。今回、選んだ人が2名で1番人気の色でした。甘すぎず、暗すぎない色でどんな洋服にも合いそうです。
8人目、最後のジェルネイル施術。ネイリストさんはニコニコと笑顔で対応してくださいます。塗ってもらう側も、笑みがこぼれて良い雰囲気です。
オフィスワーカーらしい淡いピンク色。「普段他の企業では『オフィスカラー』とも言える淡いピンク色やベージュ色を選ぶお客様が多いのですが、今回はお一人だけでしたね」とネイリストさん。「出張ネイリストさんにオフィスに来ていただく」タイプのネイルの依頼では、ぜひ会社の服装規定の有無やドレスコードを事前にお伝えしておくといいかもしれません。
まとめ:出張ネイルを依頼した結果
今回は計3時間半で、8名に対して施術していただきました。
- ネイルケアとジェルネイル塗布:6名(うち1名はジェルネイルのオフあり)
- ネイルケアのみ:2名
世の中に多いネイルサロンでは、店に入ってから〜施術〜終わりまで1時間はかかります。当然ケアの内容やアートの内容によっても変わりますが、1時間はかかります。
今回の出張ネイルは、ネイルケアやオフ、ジェルネイルの塗布など様々な工程がありましたが、3時間半で8名の施術をしていただくというかなりのハイスピード施術でした。ハイスピードで素早い施術だからと、雑な仕上がりでもなく、美しく保ちのいい仕上がりとなっています。
Zehitomoでジェルネイルやネイルケアの依頼を出すと、地域のネイリストから複数の見積もりを受け取り、比較することができます。