「これからダイエットのためにランニングを始めようかなぁ…」、「ランニングを始めたけど、なかなか痩せないなぁ…」、「ランニングを止めたとたん、リバウンドが激しい」なんていう方、多いのではないでしょうか?ランニングは手軽に始められるスポーツですが、我々の身体に備わっている“予測適応能力”により、実は逆効果だったりするのです。そもそも“予測適応能力”とは?ランニングと筋トレへの効果についてお伝えします。
ランニング後の筋トレに関するポイント
1.“予測適応能力”を理解する
これまで人類は数百万年におよび、様々な環境の変化に適応し生き残ってきました。気温の変化や、飢餓との戦い等々。この長きに渡る進化の過程で我々人間の身体は、直面した環境の変化からその先を“予測”し、身体を変化させて“適応”する能力を身に付けました。
それが“予測適応能力”です。
2.ランニングと“予測適応能力”による反応を理解する
ランニングにより“予測適応能力”はどのような反応をおこすのでしょうか。ランニングは長時間動き続けますが、そこで身体は「今後も長時間動けるように、低燃費の身体になる必要がある。エネルギー消費の激しい“筋肉”を最小限にして、脂肪を蓄えてエネルギー備蓄を行うべき」と判断し、適応を始めるのです。これは長年人類が向き合ってきた“飢餓状態”を恐れているためです。
ダイエットのために始めたランニングが、逆に太りやすい身体をつくるきっかけになってしまいます。ただし勘違いしてはいけないのが、ランニング中はエネルギーを消費しますので、脂肪燃焼は行われます。頻繁にランニングの時間を設けられて継続していくと、脂肪を備蓄しようとする反応に対し消費が上回りますのでダイエットにつながります。問題は、頻繁に走る時間をもうけられない方が陥ってしまう現象だということです。
それでは、なかなか頻繁に走る時間をもうけられない方が、ランニングにより脂肪燃焼効率を上げるにはどうしたらよいのかについて触れていきましょう。
3.筋肉をつけてエネルギー消費の大きい身体をつくることが重要
筋肉が発達することによって、エネルギー消費は大きくなります。エネルギー消費が大きいと脂肪燃焼量が増し、痩せやすい身体になります。筋肉量の多い痩せやすい身体でランニングをすれば、脂肪燃焼量は大きくなりダイエット効果が得られるのです。
4.“予測適応能力”を利用して効率よく筋肉をつけることが重要
ここで“予測適応能力”を利用した効率のよいトレーニング方法について触れていきます。“予測適応能力”をつかって“筋肉をつけさせる”には、週に一回一時間、強い負荷のかかる時間を設けることが重要です。
強い負荷といっても、重いバーベルを上げ下げしなければならない…わけではありません。
以下は力学の公式です。
負荷(力)=質量 × 加速度
つまり、強い負荷をかけるには“速く”動かせばよいのです。速く動かすようにすれば、筋肉にかかる負荷は大きくなります。強い負荷のかかった身体は、予測適応能力により
「今後も強い負荷に耐えられるよう、筋肉をつけよう!」
という反応をおこすのです。そして、短時間で済ませる理由は他にもあります。長時間筋トレをしてしまうと、ランニングの際におこる“予測適応能力”の反応と同様のことがおこってしまいます。
つまり、筋肉を付けないでエネルギー消費を抑えようという反応です。また、強い負荷をかけている間は使っている筋肉に対する“集中”が必要ですが、長時間集中力を維持することが難しいためです。
週一回でよい理由は、筋肉の回復はニ~三日に対し、筋肉と骨をつなぐ靭帯の回復に一週間を要するためです。やればやっただけ筋肉がつくかと思って頻度を上げてしまうと、靭帯を損傷し、回復に更なる時間を要することになってしまうのです。
最後に
上記に示した内容は、全て私の実践結果をもとにしております。ランニングを一日だけ行ったあとの一週間の身体の変化を測定したところ、走った直後は1kg弱体重がおちています。その後一日毎に体脂肪率が増加し、一週間後には3%の体脂肪率が増加。重さにすると2kg弱の脂肪が増加しました。身体が“長時間動き続けてもエネルギーが枯渇しないようにしよう”という適応の結果であることが分かります。
人間が新たな環境に適応するとき、脳内に“幸せホルモン”が分泌されて適応を楽しめるようにできています。そうして人間は、これまで直面した様々な過酷な環境の変化を乗り越えてきたのです。筋トレとランニングを組み合わせ、様々な環境の変化を体感させてあげましょう。
また、
「筋肉がつくと身体が重くなって走りづらいのでは?」「筋トレをすると手足が太く見えてしまうのでは?」
ということをよく訪ねられますが、実はその理由は“運動に適さない筋肉”をつけてしまうのが原因です。人間は運動に適した身体、つまりは機能的に優れた身体に対して本能的に魅力を感じるようになっています。運動に適した筋肉づくりのポイントは、重心のおき方と、姿勢、栄養バランスにあるのです。