七五三の参拝をするときは、成長の記録を残すために写真も撮影しましょう。参拝時の写真や、スタジオでの写真など、いくつもの選択肢があります。
写真を撮影することが日常的に、一般的になりましたが、プロカメラマンによる撮影はやはり仕上がりが違います。
ここでは七五三の写真撮影を数多く行ってきたプロカメラマンにもお話を伺いました。使っている写真は全て、プロカメラマンによる撮影写真です。
プロカメラマン:山口 絵里子さま
casha casha 代表。軽井沢でブライダルを中心にフォトグラファーとして撮影に携わる。ウェディングのスナップ撮影やロケーションフォトだけでなく、家族写真や七五三などの出張撮影など老若男女の被写体を得意とする。
七五三とは?
(山口さんの撮影なさったお写真。無断転載厳禁)
11月の澄み切った青空の下、きれいに着飾ったお子さんとご家族が神社にお参りされている姿を見かけることがあります。
七五三は、7歳、5歳、3歳の子どもの成長を祝う日本の年中行事のひとつです。七五三の始まりについては、様々な説がありますが、徳川五代将軍綱吉の長男徳川徳松の健康を祈って始まったとするのが有力です。
江戸時代に始まった行事で、本来は数え年で行っていましたが、現在では、満年齢ですることも多くなりました。11月15日(本来は、旧暦)に、収穫を終わってその実りを神様に感謝し、その月の満月の15日に、収穫と子どもの成長を感謝するため、氏神様にお参りしたことがきっかけです。
明治以降は、新暦の11月15日に行われるようになりましたが、現在では、11月15日だけでなく、11月中の土・日・祝に家族そろってお参りするということも多くなっています。また、北海道など寒いところでは、1か月早い10月15日に行うこともあります。
なぜ、7歳、5歳、3歳に祝うのでしょうか。今では七五三という一つの行事と考えられていますが、実際は、それぞれが別の行事でした。3歳は、主として女の子の「髪置きの儀」で、江戸時代には3歳までは髪を剃る習慣があったのですが、それが終わるという意味でした。5歳は、「袴儀」で男児が袴を着始める儀式でした。7歳は「帯解きの儀」と言って、女の子が、それまでの子ども用の帯から大人と同じ幅の広い帯を結び始める儀式でした。
最近では性別にかかわらず、男女ともに3回すべて参拝する人もいます。子供が千歳あめを手にきれいに着飾った姿を見るのは、親にとっては大きな喜びでしょう。
七五三の写真撮影とは?
撮影はいつ?タイミングや時期
(山口さんの撮影なさったお写真。無断転載厳禁)
七五三の写真撮影をいつしたらいいのか?言い換えれば、いつお参りすればいいのかですが、数え年でも満年齢でもどちらでも問題ありません。兄弟姉妹と一緒にするのに合わせて、兄弟姉妹で満年齢、数え年の違いがあってもいいでしょう。家族の事情に合わせてでも、家族が問題なければ問題ありません。
数え年の3歳、つまり満2歳だとまだまだあどけなさが残っています。それはそれでかわいいですが、慣れない着物で心配という面もあります。そのあたりも、ご家族の判断です。
撮影する季節は、必ずしも11月中にこだわる必要もありません。ただし11月以外の場合、神社によっては事前の予約が必要なこともあります。お参りをしてもいいか参拝予定の神社に確認をしましょう。屋外の人気な場所での写真撮影をお考えであれば、写真に他の人が写り込まないようにするためにあえて混雑する時期を避けてもいいでしょう。
平日でも、大安や仏滅などの六曜(ろくよう)によって混雑の度合いも違います。例えば、大安の日はどうしても混みます。あくまでもお子さんやご家族の希望とスケジュールに合わせましょう。
【プロカメラマンに質問】七五三の写真撮影を依頼する時に「事前にこんなことを教えてくれると見積もりが出しやすい」というような情報や内容があれば教えてください
1.どんなお写真をご希望されているか(お子様1人、ご家族3人で、祖父母様も含めてなど)
2.お子様の年齢と性別、お名前も(撮影時にお呼びかけしやすくなります)
3.ご祈祷されるか、されないか
(ご祈祷せずに神社さんやお寺さんでのロケーション撮影のみの方もいらっしゃいます。その際、撮影の許可が必要な場合もございます。)
男の子の撮影衣装
(山口さんの撮影なさったお写真。無断転載厳禁)
衣装には、大きく分けて和装と洋装があります。和装は、羽織と袴の組み合わせです。小道具の刀を持たせてくれる衣装レンタルもあります。
洋装は、スーツを着用します。7歳であれば小学校入学用のスーツがあるご家庭もあるため、それを着てもいいでしょう。3歳、5歳は「両親が何を着せたいか」よりも、「子供達の成長を喜んでくれる祖父母や親戚は袴姿が見たいか、スーツ姿が見たいか」という基準で考え、子どもの祖父母に相談してもいいでしょう。
写真スタジオならお参り用の衣装をレンタルもでき、撮影時に、おうちにある衣装を着ることも可能なところが多いようです。
女の子の撮影衣装
(山口さんの撮影なさったお写真。無断転載厳禁)
女の子の衣装も、和装、洋装があります。和装は晴れ着です。晴れ着、髪飾り共に、持参しなくてもスタジオが貸してくれることが多々あります。確認しましょう。
ひらひら、フワフワする衣装やキラキラするティアラな、外国のお姫様のような衣装を貸してくれるレンタルもあります。
写真スタジオなら、お参り用に衣装をレンタルすることも可能ですし、撮影時におうちにある衣装を着ることも可能なところが多いようです。
親や親戚など、一緒に撮影する人の撮影衣装
(山口さんの撮影なさったお写真。無断転載厳禁)
お子さんが和装の時は、両親は、着物でもスーツなどの洋服のどちらでもいいですが、お子さんが洋装の場合は、ご両親も洋装の方がいいでしょう。
七五三はお祝いです、女性はブラックフォーマルは避けて華やかなカラーフォーマルやスーツなどがいいです。女性はコサージュやアクセサリーも忘れずに。男性はスーツを着用しましょう。
和装をご希望の女性は、華やかなお祝いの日にふさわしい訪問着や付下げ、色無地などがいいでしょう。スタジオによっては子供の母親の衣装レンタルを扱っていることもあります。
【プロカメラマンに質問】七五三の写真撮影を成功させるポイントを教えてください
特に小さいお子様は、撮影に飽きてしまうのも早いです。
「撮影をがんばったらあとでご褒美(ごちそうなど)があるよ!」とお声をかけてくださる親御様もいらっしゃいます。
そのような「あとでこれがある」という、つまらなさを散らせるようなものをあらかじめご準備いただくといいかもしれません。
飽きること前提で、子供の好みを最も知るご両親が「子供の気をひく何か」を準備していただくと撮影がスムーズに進みます。
また、撮影許可が必要な場所で撮影をご希望でしたら、事前にご確認いただけるとありがたいです。
やはり、お子様の視線や表情を引き出すためには、ご家族のお声がけが1番です!
お子様お一人で撮影する場合など、カメラマンの隣でお子様に向かって声をかけていただけると助かります。
七五三の写真撮影の相場〜全国7箇所
(山口さんの撮影なさったお写真。無断転載厳禁)
東京
東京で七五三のスタジオ撮影では、お子様の衣装代込みで1カット約5,000円前後から、80カットで約28,000円前後から、80カットでアルバムなど込みで約55,000円前後からです。
写真撮影を依頼することでお参り用の衣装のレンタルが割引になるプランがあるスタジオなどもあります。
出張撮影では、60分の撮影時間で約19,800円~、休日は4000円前後割増しです。撮影だけを行うカメラマンに依頼をする場合、衣装はネットレンタルなどで自分で用意します。11月より前に予約や撮影をすることで早割が適用されるところもあります。
横浜
横浜で七五三のスタジオ撮影をすると、撮影料、衣装代込みのセット価格の場合、データだけもらうプランで約25000円前後、アルバム仕上げのプランで約38,000円前後、ギフト用のアルバムで仕上げるプランで約58,000円程度です。
兄弟で撮ると割引があることもあります。撮影料と衣装、データのみで約15,000円(休日は割増)前後、アルバムや印刷などで仕上げてもらうと値段が変動します。
埼玉
埼玉で七五三の写真撮影をすると、衣装、撮影料、データ込みで平均約40,000円前後、台紙ボードが付くと約50,000円前後、アルバム付きで仕上げると約65,000円程度です。
早割や兄弟割があるところもあります。お参り用の衣装代が含まれるスタジオと別途というスタジオがあるためあらかじめ確認します。
札幌
札幌での七五三の撮影は、撮影料と衣装レンタル、データ、アルバム代などがそれぞれ別に設定されているところが多いようです。
撮影料だけで約4,000円、データをもらう、印刷やアルバムで仕上げるなどで別途料金が追加されます。衣装レンタルは「すべての料金が30,000円を超えると無料」など、スタジオによって異なります。
大阪
大阪での七五三の写真撮影は、「撮影料、衣装代、ヘアメイク、データまですべて込みでこの価格」というプランが多いです。費用は、約21,000円~70,000円と幅があります。価格差は、選べる衣装の数や種類などの差、写真家が受賞歴があるかどうかなどの差です。また、台紙やアルバムで仕上げるなどのプランでは費用が別途かかります。
福岡
福岡で七五三の写真撮影をすると、スタジオが神社に併設されているようなプランもあります。金額は撮影料、衣装代、データ料など込みで約19,800円〜100,000円など、幅があります。
値段の差はアルバムや動画まで含むか否かの違いです。男の子と女の子で値段が違う場合もあります。
【プロカメラマンに質問】これまでの七五三の写真撮影のお仕事で、印象に残った良いエピソードがございましたら教えてください
撮影当日に、「このカメラマンさんは、えりこさんだよ」と、ご両親が私の名前をお子様に覚えさせてくれました。
あまりないことなので、とても嬉しかったです。
そしてお子様も私の名前を覚えて呼んでくれたため、お返しに「私は魔法が使えるんだよ」と言ってお子様のお名前を当ててあげました。
もちろんお子様のお名前はご両親から前もって聞いていたのですが、「すごい!」とお子様がびっくりしていたのがとても可愛くて、ほっこりしました。
特に子供は、両親の緊張などを察する力も強いです。このようなやり取りでカメラマンと被写体になるご家族やお子さんの関係が良好になると、カメラマン側も表情を引き出しやすくなり、自然な笑顔のお写真が撮影しやすくなります。
【プロカメラマンに質問】これまでの七五三の写真撮影のお仕事で、「これは困ったな」というエピソードがございましたら教えてください
お子様は撮影に早く飽きてしまいます。そのため、「撮影の後半ではなかなか笑ってくれない」といったこともありました。
機嫌が悪くなるとカメラマンの声掛けでも笑ってくれなくなることも多々あります。
また、小さいお子様に袴を着せると、足元は草履を履いて歩きます。
しかし子供にとって慣れない草履で歩くのは大変なので、撮影時に「履きたくない、いやだ」と草履に履き替えてくれないということもございました。
「突然慣れない服を着させられて、草履をはかされた」という経験で子供が抵抗を示さないように、「こんな服を着るんだよ」「こんな服を着るから、こんな履物を履くんだよ、楽しみだね」と話しかけて、当日までに子供の気持ちをいい方向に高めておいていただけると、当日の撮影もスムーズに進みます。
【プロカメラマンに質問】七五三の時期は混雑することもあり、もし希望するスタジオやカメラマンの予約が取れないこともあります。どのようにしたらいいですか?
七五三の時期は「お日柄もよく」という挨拶からもわかるように、気候がいいため結婚式や運動会なども多く行われ、カメラマンの手配が難しいことが多いです。
できましたら早めのご予約をしていただく、または、時期をずらしての撮影をご検討されてはいかがでしょうか?
初夏や夏などの、緑の中での撮影も素敵です。
また、やはり土日は埋まりやすいため、平日ですとカメラマンの予定が合う場合も多々ございます。
平日は他の七五三の方や観光客の方々も少なく、ゆっくり撮ることができます。
【プロカメラマンに質問】七五三の撮影を検討している読者の皆さまへ、アドバイスをお願いいたします
お子様のお着物の姿はとってもかわいいです。
またとないお子様の成長を、どうぞ「写真」という形で残してはいかがでしょうか。
また、七五三の撮影ではママやお祖母様がお着物をお召しになることも多いです。ご自身のお着物姿を残す、動きにくいため撮影はカメラマンに任せてしまうといった意味でも、カメラマンに撮影をご依頼いただくことをおすすめいたします。