06/08/2022

【対談レポート】牛尾氏×福井彩香 常盤橋タワーで仕掛ける、新しい時代のオフィス/新たな働き方とは

常盤橋タワーではじまった、就業者向けアメニティサービス「Zehitomo Beauty」。サービスのローンチに携わってきた、三菱地所株式会社の牛尾さんと、Zehitomo Beautyの福井の対談インタビューをお送りします。常盤橋タワーで仕掛ける、新しい時代の働き方のカタチとは。


プロフィール

牛尾莉緒(うしお りお)
2017年三菱地所株式会社入社。入社時より『常盤橋タワー』『Torch Tower』の開発・企画を担当し、現在はビル営業部に在籍。

福井彩香(ふくい  あやか)
株式会社リクルートに入社し、事業戦略やブランディングの構築に従事。その後、NYにてプロシンガーとして活動後、日本に帰国してZehitomoに入社する。新規事業開発ディレクター。「Zehitomo Beautyネイルサービス」プロデューサー。



ーー 常盤橋タワーではじまった、ビューティーやウェルネスなどの、就業者向けアメニティサービス。この事業が展開されることになった、きっかけを教えてください

2021年7月にオープンした、常盤橋タワー

牛尾:「TOKYO TORCH」の第一弾である、常盤橋タワー。これからの「働く」を豊かにするシンボルタワーとして2021年6月に竣工しました。中には就業者の共用サービススペースなど、コミュニケーションを促進するための様々なプログラムやサービスが提供されています。

実際に運用が始まった、アメニティサービスですが、「新しい時代を代表するオフィスビルは、いったいどんなものなのだろう….」と、社内ではさまざまな議論がありました。

共用空間としてカフェテリアラウンジを作ることなど、ハードの部分は早い段階から決まっていました。ただ、その中でどのようなサービスを提供すべきかの検討は、なかなかに難しいものでした。



福井:当時はゼヒトモのサービスをリリースして3年目。これから拡大していくフェーズにあり、サービスの認知を広げる方法を考えていました。そこで思いついたのが、オフィスビルやレジデンスなどの不動産アメニティとしてプロのサービスを提供し、多くの方に知ってもらうということです。

インスピレーションになったのは、ニューヨークなど海外のオフィスビル。例えばロックフェラーセンターでは、ビル就業者向けの福利厚生として、フィットネス、マッサージ、ヘアブローなど、さまざまなサービスが提供されてます。仕事で忙しくても、「受けたい時に必要なサービスを受けられる」のが当たり前の世界でした。


働く女性を例にあげると、日本では出産してお母さんになったら、何かを我慢しなきゃいけない場面って多いと思うんです。でも、ニューヨークではオフィスで隙間時間を使って、ネイルやヘアケアを受けることができる。これって、究極のワークライフバランスですよね。

この素晴らしい取り組みを、日本でも展開しようと思いました。ただ、アイデアはあっても私たちにとって全く未知の領域。オフィスビルの中でサービスを展開することは、現実的に難しいものでした。

そんな時、三菱地所さんとお話する機会をいただいたんです。新しい時代のオフィスビルとなる常盤橋タワーでなら、私の思い描いていた世界が実現できると思いましたね。



牛尾:弊社は2018年に本社が移転したのですが、環境の変化と同時に社員にも変化が現れました。それまでは、きっちりとした枠組みの、いわゆる日本の大企業のイメージ。

ところが移転をきっかけに、服装がカジュアルになったり、出勤前に自分の時間を楽しんだり、夜は残業をせずパッと帰る日もあったり。生産性高く働くために、それぞれのベストな方法を、自由に楽しんでいるという印象ですね。

だから、常盤橋タワーができた時にも、働く場所が変わると人の働き方や生き方も変わる。オフィスビルの在り方は、そこで働く人々のライフスタイルにも大きく影響する、と確信していました。だから必ず良いものを作りたかった。

私たちの想いを実現する担い手として、ゼヒトモさんは親和性が高いんじゃないかと考え、事業を一緒に展開していくことになりましたね。



福井:不動産アメニティとなると、さまざまなニーズに応えられるカテゴリーの豊富さだったり、安心して受けられるサービスの質の高さが必要だと思うんです。

ゼヒトモのサービスには、美容やフィットネスなど約500種類のカテゴリがありますし、専門性の高いプロが揃っています。そこから更に、プロのスクリーニングをして、弊社のトッププロがオフィス内でサービスを提供する。そうすれば、三菱地所さんが目指す世界観を、私たちのサービスで実現できると思いましたね。


ーまさにタイミングと役割が一致したわけですね。そこから、ZehitomoBeautyが始動したのでしょうか。


福井:どのカテゴリーからサービス提供すべきかを考えた時、まずネイルサービスが候補に挙がりました。ネイルはある程度の単価が見込めますし、毎月継続したケアが必要なのでリピート率も高い。事業化した時に、黒字が見込めそうな領域だったからです。就業者からのニーズが高いことも、大きな決め手でしたね。


牛尾:社内でどんなサービスが良いかヒアリングをする中でも、美容系のサービスを希望される方は多かったです。ネイルは一対一のサービスですし、運用方法を見極めるのにはちょうど良いと思いました。

ただ、就業者は男性の比率が高く、ネイルの利用者は女性がメインです。客層は絞られてしまいます。誰でも参加できるサービスから始めたいという思いがあったので、より広いターゲットが見込めるウェルネスの分野も同時に進めていくことにしました。


福井:プロジェクトが始動するにあたって、さまざまな議論がありましたが、牛尾さんがおっしゃってくださったのが「まずはやってみよう」ということでしたね。これは私たちにとっても、非常にありがたいお言葉でした。


牛尾:サービスを作ったら、そこに足を運んでもらう仕組みが重要です。常盤橋タワーで実際に就業する方が足を運ぶようになるサービスとは何だろうかと。机上で考えるよりも、生の声を吸い上げることが必要でした。

ビルの中でパーソナルトレーニングを受けるって、結構ハードルが高いと思うんです。ましてや運動習慣もなく、ジムにも通ってない人にとっては、現実的ではないでしょうし。

告知の方法・予約システム・サービスの内容まで、どういったものが求められているのか。ニーズマッチの検証をして、より良いサービスにブラッシュアップして行きたいなと思います。



福井:告知の方法は、まだまだ課題感も多いですね。今回のウェルネスイベントは私が企画したのですが、「運動」とアプローチするのではなく、オフィスワーカーにありがちな、肩こり改善とかストレッチとか、「健康増進」の観点からアプローチしました。リフレッシュのためと言われたら、ハードルは下がります。コロナ禍では、リモートワークによる体や気持ちの不調を改善させたいとか、無理のない自然な動機につながりますよね。


牛尾:意外と就業者の方って、オフィスでのイベントを求めてるかもしれませんよね。


福井:イベントの反響を見ても、ニーズはあると思います。フィットネスのイベントは、リピーターの方も多いんです。「忙しくて運動の時間は取れないから、仕事の合間に受けられるのはすごく良い」という声もいただいています。就業者の方の悩み事に、どうやって入り込み、行動してもらうかは大切ですね。

サービスのクオリティには自信があるので、ぜひ一度チャレンジしてみてほしいです。体験していただければ、圧倒的なWOWをお届けできるはず。一人でも多くの方に知っていただいて、サービスが広がるきっかけになればと思っています。


ーコロナ禍でサービスのローンチ。苦労も多かったのでは。


牛尾:そうですね。サービスを使っていただく仕組み作りは、正直なところ今も苦戦しています。今回のようなサービスは、会社が福利厚生として推奨することが多いです。オフィス環境を整えることは、社員の満足度を高めます。

ところが、サービスローンチのタイミングで、コロナ禍が到来。社員を守るために、出社を控えることを推奨する動きになりました。サービス利用の促進ではなく、「出社しないでください」と、会社側が発信するようになった。

日本ではまだ、働く場所でアメニティサービスを受けるという文化に馴染みがありません。それを変えるには、企業の後押しなど、大きな動きも必要です。今まで試行錯誤して、玉を込め続けてきたものを実装するというフェーズだったので、大変でしたね。


ただ、コロナ禍でサービスを展開して、良かったと感じたこともあります。それは、サービスを提供する側であるプロの皆さんの活躍の場を創出できたというところです。コロナ禍において雇用が社会問題になる中、なおさら感じました。

ビルのテナントで、ネイルなどのアメニティサービスを展開している例は数多くあります。この場合は、利用者が少なければ「需要がない」と判断され、終了してしないことが多いですが、今回の取り組みはゼヒトモさんが事業とする「プロのすき間時間」と当社が持つ「遊休資産」を繋げる背景がある。TOKYO TORCHのプロジェクトは、「日本を明るく元気にする」というコンセプトを掲げていますし、この事業が働くプロの方の一助になれば幸いですね。



福井:実際に弊社のプロの方々にとって、非常に魅力的な機会になっていると思いますね。フリーランスで活動しているプロも多く、より広い活躍の場を求めています。TOKYO TORCHという大きなプロジェクトに関われることは良い経験になると喜ばれますし、オフィスビルで安定的にサービスを提供できることも魅力ですよね。

三菱地所様のビル内で、究極のワークライフバランスを創るというビジョンに共感してくださり、「新しい働き方を一緒に作りたい」と登録してくださる方もいるほどなんです。

プロと顧客を繋げ、継続した集客/仕事獲得をお手伝いすることがゼヒトモの大きな役割。その中で今回の三菱地所様との取り組みは、プロにとっての新たな活躍の場を広げるだけでなく、継続した集客も期待できます。だからこそ、私たちも自信を持って、プロの皆様にゼヒトモのサービスを勧められる。お客様、プロ、そしてゼヒトモの主幹事業にとって、さまざまな相乗効果となっています。


牛尾:それは嬉しいことですね。


ーこれから、常盤橋タワーやTOKYO TORCHでは、どのようなことを仕掛けていくのでしょうか


牛尾:デジタル技術の導入も、いまは過渡期だと思っています。丸の内で活動する方は、オフィス就業者、買い物のお客様、飲食店のシェフなど、さまざまです。そこで生活する方たちの、出会いやつながりを生み出す仕組みを展開したいですね。ビルの入館証なども、固有のIDで一元管理できるようになるとか、最新デジタルの実装で「働く」を豊かにできたらと思います。


福井:御社がハード面である不動産を機軸に、今の時代に求められるワーカーさんのニーズをソフト面までに進化させ、テクノロジーで繋いでいく。まさに、新たな働き方、社会を作っていく取り組みですよね。


牛尾:常盤橋タワーがオープンしてから、メディアの取材を受ける機会も多いのですが、「オフィスでネイルを受けることができる」というのは話によく出てきますね。

これは、今までになかったことをやっているからだと思うんです。テナントさんにネイルショップが入ることはあったけれど、オフィスの共用部に「呼べば来る」のは今までなかった。新しい取り組みに、可能性を感じている方は多いのでしょう。

より良いサービスにするため、まずはしっかり利用率をあげていく。そして、利用者の方の声をしっかり拾って、プロダクトに活かしていきたいです。今後はジャンルも広げて行きたいですね。

コロナ禍が終われば、常盤橋タワーに入居するテナントさんも増えるでしょう。それまでに、もっともっとブラッシュアップして、より良いサービスを作るのが私たちの努めです。働くことだけでなく生きることそのものをつくるのが、「TOKYO TORCH」のプロジェクト。このまちで働く方々のライフスタイルをサポートできたらと思っています。


福井:牛尾さん、本日はありがとうございました。



Zehitomo Beauty とは

「Zehitomo Beauty」では、時間や場所にとらわれず、Zehitomoのプロによるネイルサービスが受けられます。施術所するのは、厳しい選考を通過した技術力の高いZehitomo認定プロ。サービスを受けられる機会を広げることで、オフィスで働く方々の才能や生産性が最大限発揮できるようサポートします。

目指すのは、仕事と生活が調和し高め合う、「究極の」ワークライフバランス。2022年春には、レジデンスでの提供も開始し、今後もターゲットやジャンルを広げて展開予定です。

【プレスリリース 】Zehitomo、常盤橋タワーでライフスタイルサービス「ZehitomoBeauty」を提供開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000026982.html


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