洗面所は毎日使用するという方が多く、キッチンの排水口よりも頻繁に水の流れが悪くなってしまう場所でもあります。今回の記事では洗面所が詰まってしまった時に知っておくと便利な5つの知識をお届けします。
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その1:洗面所の排水口や排水溝が詰まる原因を知っておこう
その2:排水溝に関する基礎知識を付けておこう
その3:洗面台のつまりの原因となる箇所を把握していこう
その4:詰まりを解消する方法を知っておこう
その5:詰まり解消のための事前対策を知っておこう
その1:洗面所の排水口や排水溝が詰まる原因を知っておこう
まずは、なぜ洗面所の排水口や排水溝が詰まるのか。その原因を一つずつ確認していきましょう。
※「排水口」はシンクから水が出ていく口、「排水溝」は水が下水へと流れていく管のことを指します。
詰まる原因(1)髪の毛
洗面所の排水口が詰まりを起こす最大の原因は、髪の毛です。
洗面所を使用して朝のシャンプーをするという方もいますし、洗面台の前でドライヤーをするという方もいます。
人は一日に70本から100本程度の髪の毛が自然に抜けます。これは、「秋だから」や、「夏だから」のように、季節に関係なく一日にこれだけの髪の毛は抜けます。もちろん、抜け毛は普段生活している間に自然と抜け落ちたりしますが、シャンプーをした時とドライヤーをした時に最も多く抜けます。
シャンプーの時は水の力で抜けた毛が他の髪の毛とくっついて落ちないことが多いため、実際はドライヤーの時に最も多く抜け落ちます。洗面台の前でドライヤーをする方は、ドライヤーの後、洗面台の上に髪の毛が何本も落ちているのを見かけると思います。水でそれらの髪の毛を流すと、その髪の毛がヘアキャッチャーや排水溝に詰まってしまう可能性があります。さらに家族が複数人いる場合は、人数に応じて2倍、3倍と排水溝を流れる髪の毛の量が増えていき、それに比例して詰まりのリスクは増えていきます。
詰まる原因(2)ぬめり
洗面台の排水口が詰まる原因として、髪の毛の次に挙げられるのはぬめりです。
ぬめりは、それ単体で詰まりを引き起こすというよりも、髪の毛に絡み付いてさらに多くの汚れや髪の毛を引き寄せる原因となります。
水と髪の毛だけであれば、つまりのきっかけにはならず水がさらさらと流れてくれますが、排水管内部にぬめりが付着し、そこに髪の毛が付着することによって、その部分が核となり、さらなる髪の毛の付着やゴミの付着に繋がっていくのです。
このぬめりは元々ほとんどが石鹸やハンドソープなどのカスが元になっています。
詰まる原因(3)水垢
洗面所の排水溝が詰まる原因三つ目は水垢です。
水道から出る水は、純粋に100%水の分子だけで構成されているわけではなく、その中にはカルシウムやマグネシウムなどといった金属イオンも含まれます。これらの金属イオンが炭酸塩となって固形化したものが水垢です。
ちなみに、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどが多く含まれている水のことを硬水といいます。逆の意味の言葉に軟水があります。硬水と軟水の違いは、これらの金属イオンの量なのです。
そのため、洗面所で流す水に軟水器などをつけてイオンを除去し、軟水だけが流れるような設備にすると、水垢による詰まりを防ぐことができます。
ちなみに、軟水の方が泡立ちが良くなるので、洗面所での洗顔の際や、シャンプーの際に、使用する石鹸の量やシャンプーの量を節約することができます。
すると、ぬめりの原因となる石鹸カスやシャンプーカスも抑えることができるので、間接的にですが、ぬめりも抑えるという意味でも詰まりの防止に役立ちます。
詰まる原因(4)固形物
ある日突然排水溝が詰まってしまう場合には、固形物が詰まっていることが考えられます。
基本的にはヘアキャッチャーが固形物の落下を防いでくれるのですが、ヘアキャッチャーの目は粗いので小さなものだとすり抜けてしまう可能性があります。
よく落ちてしまう固形物の代表的なものは、歯磨き粉のキャップです。家庭用の大きめのサイズのものであればそこまで問題はありませんが、ホテルでもらってくるようなタイプの使いきりの小さな歯磨き粉のキャップは、排水溝の隙間を流れていってしまう可能性があります。
ヘアキャッチャーの隙間のサイズによっては、その歯磨き粉のキャップがすっぽりはまってしまい抜けなくなるということもあります。プラスチック製の歯磨き粉のキャップは水に浮く性質を持っているため、排水トラップの部分で流れていかずに髪の毛などと絡まって、大きな詰まりのきっかけとなります。
その他、細かなものとしてはピアスなどのアクセサリー用品です。
多くの洗面台には大きな鏡があり、女性の場合、そこで出かける前にお化粧をしたり、アクセサリーをつけて最終チェックをしたりします。その際に、誤ってピアスの穴などの小さなアクセサリーを落としてしまうことがあります。洗面台はお椀型になっているので排水溝の方に吸い込まれ、ヘアキャッチャーをすり抜けて中に落ちてしまうのです。
この場合、詰まりが発生するということも問題にはなりますが、もっと大きな問題は、そのアクセサリーが高価なものであった場合、一刻も早く取り出さなければ金属が錆びてしまったり、汚れがついてしまったりする恐れがあるということです。
こうした高価なものが排水溝の中に入ってしまった場合は、流している水を溜め、パイプ内部の水が流れないようにして、トラップの部分でアクセサリーが留まるようにしましょう。その奥まで小さなアクセサリーが流れてしまうと取り出すことは非常に困難になります。
その2:排水溝に関する基礎知識を付けておこう
続いて、排水溝についての基本的な知識を身に付けておきましょう。
(1)排水トラップとは?
排水管などから悪臭や害虫などが上ってこないようにするために排水管に水溜りを作ります。その部分のことを「排水トラップ」と言います。
排水トラップには場所によって色々なタイプがあります。台所などですと、ゴミ受けの下に円筒状の排水トラップが付いており、洗面所の場合は、洗面台の下のパイプがP字やS字になってトラップになっていることがあります。
中には、排水トラップがないタイプの洗面所もありますが、そういった場合はニオイや虫が排水口から家の中に入ってくることがあるため、パイプをP字やS字のものに変えることをお勧めします。
(2)P字トラップ
洗面台の下にあるパイプのうち、P字状になっているパイプのことをP字トラップといいます。
Pの字の出っ張り部分で、水が溜まるようになっています。そのため、この出っ張り部分で詰まりが発生することがよくあります。
(3)S字トラップ
P字トラップと似ていますが、S字になっているパイプのことをS字トラップといいます。
P字はパイプの最後は壁に取り付けられていますが、S字の場合は床に伸びています。S時の場合は、凹んでいる部分と出っ張っている部分で詰まりが発生しやすくなっています。
その3:洗面台のつまりの原因となる箇所を把握していこう
続いて洗面台のつまりの原因となる箇所について見ていきます。
詰まりやすい場所(1)ヘアキャッチャー
洗面台の排水口の一番上の部分に取り付けられているゴミ受けのことをヘアキャッチャーといいます。
古い洗面台は、目に見える場所にそのままヘアキャッチャーが置かれています。比較的新しい洗面台は、洗面台のフチに押しボタンが付いており、押すとヘアキャッチャーを封鎖する栓が空き、水が流れ、逆に引くと封鎖する栓が閉まり、水を溜めることができるようになります。
この形だと、ヘアキャッチャーにどの程度髪の毛や石鹸カスが付いているのかが目に見えて分からないため、気付いた時には水が流れないほど詰まっていることがあります。
ただし、このヘアキャッチャーのつまりは、手で簡単に取ることができるので、つまりの原因がヘアキャッチャーだった場合は、すぐにその詰まりを解消することができます。
詰まりやすい場所(2)S字トラップ・P字トラップ
前述のS字トラップとP字トラップも詰まりやすい箇所の一つです。
ヘアキャッチャーが原因でない場合、つまりの原因の多くは、このトラップの部分になります。
トラップというのは、下水道のニオイが洗面所に立ち上ってくるのを防ぐために水で蓋をするために存在しています。
180度のカーブがあると、水が流れ終わっても、その部分に水が残ります。
これが下水道から流れてくるニオイや虫などが洗面所に来るのを防いでくれているのですが、その場所にぬめりや髪の毛、そして落としてしまった物が詰まるとどうにもこうにもいかなくなります。
その場合はトラップを解体する必要があります。解体は簡単な作業ではないためプロに依頼をするのも一つの選択肢となります。
詰まりやすい場所(3)排水パイプ、排水管
S字トラップから壁、または床に向けて伸びているのが排水パイプです。そして床下配管に繋がりますが、これが配水管です。そして最終的には排水管は屋外につながっていきます。
排水パイプやS字トラップP字トラップなどは、錆びないように樹脂製のものやステンレス製のものがありますが、排水管になると、鉄管や塩ビ管の使用量が多くなります。
鉄管の場合、築年数によっては錆が生じ、その錆が発展すると、排水管に穴を開けてしまうことがあります。塩ビ管の場合は、汚れが付きにくかったり、錆びにくかったりという性質があるので、つまりは起こりにくいです。
排水パイプや排水管のつまりの場合は一世帯での管理の範疇を超えることもあります。プロへの相談と併せて水道局への相談の必要も出てきます。
その4:詰まりを解消する方法を知っておこう
詰まる原因や詰まりやすい箇所について知った上で、それらの解消方法について知っていきましょう。
解消方法(1)パイプクリーナーを使用する
パイプクリーナーとは、パイプの汚れやぬめりを落とす洗浄剤です。
一般的なのは液体タイプですが、ジェルのタイプや錠剤タイプのものも販売されています。また、パイプクリーナーというのは商品名ですが、ほぼ同じ成分の類似商品もたくさん販売されています。大きな違いはないので、近くのドラッグストア等で販売されているものの中で選ぶと良いでしょう。
使い方は簡単で、パイプクリーナーを排水溝の中に流し30分から1時間程度時間をおいて再び水を流すだけです。これでのちのちの詰まりの原因となるぬめりや水垢、髪の毛などを簡単に流すことができます。
1週間から2週間に1回程度、このパイプクリーナーを使用することによって、常に排水溝の流れは良くなり、深刻なつまりに発展する原因を元から除去することができます。
解消方法(2)重曹と酢を利用する
お酢の中にはクエン酸が含まれており、水垢やカルキ成分を分離するという働きをしてくれます。
さらにて悪臭を抑えたり、雑菌の繁殖を防いだりする効果もあります。クエン酸というのは重曹と混ぜ合わせることにより汚れを落とす力が強化されます。
もしご家庭にパイプクリーナーがない場合、このクエン酸と重曹を混ぜて使用することによってパイプのメンテナンスをすることができます。
まずは「重曹2:お湯2:お酢1」の割合で材料を準備します。それから排水溝の管の中に重曹を挿入し、しばらくたってからお酢とお湯をかけます。するとシュワシュワと泡が立ち、パイプの内部のぬめりなどが除去されていきます。
解消方法(3)ストローを使用する
ストローを有効利用する掃除法もあります。
ストローの先端を尖らせるような形で斜めに2ヶ所カットします。横から見ると先端が三角形に尖っているような形になります。その後、先端から5ミリ程度の間隔をあけてハサミで切り込みを入れます。先端をカットした時と同じ角度で両側から切れ込みを入れていきます。
そして、そのストローの尖っている先端を排水溝の中に突っ込みます。すると切れ込みの角度的に刺す時はスムーズに刺せて、引く時は中に詰まっているものが引っかかりやすい形状になります。
つまりの原因がヘアキャッチャーのすぐ下、トラップよりも手前の部分にある場合はこの加工したストローによる掻き出しで、ある程度取り出すことができます。
経済的にも優れている清掃法なので、原因究明も併せて一度試してみると良いでしょう。
解消方法(4)ラバーカップを使用する
お椀型のゴムの底の部分に棒が付いている、詰まりを取り除くための道具です。よく学校のトイレに置いてあるのを見たことがある人も多いでしょう。
これは、水圧を利用して水道管内部の汚れの原因となる物質を取り除くための道具です。
ラバーカップを使用する際には、まずオーバーフローの穴を塞ぎます。オーバーフローの穴というのは、洗面台に溜まった水の量が一定以上を超えないように排水する穴のことです。洗面台の使用者から見て真正面に設けられた楕円形の穴がそれに当たります。
この穴は、そのまま排水溝につながっているので、この部分が開いた状態のままラバーカップを使用しても、そこから水圧が逃げてしまうので効果が半減してしまいます。
ガムテープなどで空気が漏れないようにしっかりと塞ぎましょう。塞ぎ終えたら、排水口の蓋やヘアキャッチャーなど、不要なものを全て取り外し、洗面台の中に水を溜めます。水の量は、ラバーカップのゴムの部分が全て水面より下に来る程度の量にしましょう。水が溜まったらラバーカップの中心が排水溝に来るようにして、その状態で押したり引いたりを繰り返します。
固くて押せない時は、棒を斜めにすると押しやすくなります。コツは、押す時はゆっくり押し、引く時は力を入れて一気に引くということです。
汚れが取れるのは、多くの場合引く時のため、引っ張る際の水圧を大きく掛けるようにします。逆に押す際には力を入れ過ぎると空気と一緒に水が跳ねて濡れてしまうためゆっくりと行いましょう。
一発で詰まりが取れる場合もあれば、押したり引いたりを何度も繰り返し、つまりの解消までに5~6分かかる場合もあります。つまりが解消される時は、ラバーカップの棒にも詰まりが抜けた時の感覚が伝わってきます。また、ゴボゴボという水が流れる音もするので、詰まりが解消されたことは分かるでしょう。
10分以上繰り返しても詰まりが解消されない場合は、水圧の変化では取れないタイプの詰まりが発生している可能性が高いので、別の方法での解決を試みましょう。
解消方法(5)ワイヤーブラシ
ラバーカップを使っても汚れが取れず、詰まりが解消されない場合は、ワイヤーブラシを使用します。ワイヤーブラシはホームセンターなどに行けば500円程度で購入することができます。
これは、「パイプクリーニングホース」とも呼ばれ、ワイヤーの先端に汚れを掻き出すためのブラシがついているものです。作りの良いものだと、手前にハンドルがついていて、ハンドルを回すと先端のブラシが回転するという作りになっています。
このワイヤーブラシを洗面台の排水溝の中に入れて奥に押し込み、ハンドルを回転させて中のブラシを回して詰まっている髪の毛や汚れなどを巻き取ります。ワイヤーになっているので、押し込むことによってトラップの奥までブラシを伸ばすことができます。
多くの場合、詰まりの原因となっている部分にワイヤーの先端が当たると手応えがあります。その部分でハンドルを回し、ブラシを回転させることによって、汚れを巻き取ることができます。
大量の髪の毛と、それに付着したぬめりなどが一気にごっそりと取れるので、ワイヤーブラシで詰まりを取る時はそれを確認する心の準備も必要です。
解消方法(6)ピーピースルー
主に水道業者が利用する、つまり解消のための薬剤に「ピーピースルー」というものがあります。
使い方は水に溶かして排水溝に流し、待つだけという簡単なものですが、パイプクリーナーよりもかなり強力につまりの原因物質を溶かしてくれます。
ピーピースルーにはいくつかの種類がありますが、最も強力である「ピーピースルーK」と言われるシリーズは、完全に詰まってしまった排水溝でも、その全ての詰まりの原因を一気に取り除いてくれます。
ただし、強力すぎる薬品なので使用時には注意が必要です。水に溶かした際に一気に高温になるので、排水管の材質によっては溶かしてしまう危険性もあります。また、皮膚や目には絶対に付着しないようにしなければいけません。
その強力さゆえに、ピーピースルーKは医薬用外劇物に指定されています。医薬用外劇物とは、毒性が強く、取り扱いに注意が必要なものの中でも医薬品以外の化学物質のことです。購入時には、氏名や住所、職業などを記入して、受領書を提出しなければいけません。
使い方としては、ピーピースルーKはフレーク状になっているため、それを排水溝に流し込むだけでも効果はあります。ただし、先ほどもお伝えしたように、かなり高い反応熱を発するため、一度耐熱容器で溶かし、反応熱の温度が落ち着いた段階で排水溝に流し込む方法も取られます。
多くの場合業者が使用するものであるため、ご自身での使用を検討されている方はしっかりと情報を入手してから検討するようにしましょう。
解消方法(7)プロに頼む
洗面台のシンクは毎日使う分汚れがたまりやすい場所で、頑張ったのに自力ではどうしても落ちないという嘆きも多く耳にします。
その場合はプロの清掃業者に頼ることをお勧めします。
その5:詰まり解消のための事前対策を知っておこう
最後に事前に防ぐ手立てについてです。
予防手段(1)隔日でのヘアキャッチャーの清掃
ヘアキャッチャーの掃除は、そこの溜まった髪の毛等を捨てるだけで済みます。しかし、つまるまで放置をしておくとぬめりが強くなったり、髪の毛が絡んでいたりと、決して綺麗でないその除去に時間を要することになります。
それを避けるためには頻繁に掃除を行い、厄介になる前に毎回清潔にすることです。
面倒を思われる方も多いと思いますが、つまってしまったヘアキャッチャーに苦戦するよりも容易な作業なので習慣化するようにしましょう。
予防手段(2)トラップを外して掃除
トラップを取り外し、清潔にすることにより見えない部分でのつまりをしばらく防止することができます。
一度解体して完全に綺麗にしてしまえば、その後は定期的なパイプクリーナーの使用で事足りるようになります。
トラップの解体は一般人でもできないものではありませんが、慣れてないこともあり難易度は高いです。難易度の高い清掃はその道のプロへ依頼するのが最適であるので、プロへの依頼を検討してみましょう。
最後に
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