「イベントに写真撮影に来てほしい」、Zehitomoにも多く依頼をいただきます。イベントの撮影は、会場や内容によって写真家の腕が問われる、フォトグラファーにとって難しい仕事です。
ここでは数々のイベント撮影や、企業との仕事、写真の受賞歴も多数お持ちのZehitomoプロに、イベント撮影について、永田様のこれまでの実績についてお話を伺いました。
イベントへ撮影に来てくれるカメラマンを探している人、イベント撮影の仕事をしてみたいと考えているカメラマンの皆様にも、ぜひとも読んでいただきたい内容です。掲載の許可を受けている写真もいくつか紹介いたします。
永田 正男さま
企業内広報誌からインタビュー、車、自転車雑誌まで幅広く撮影するフォトグラファー。高解像度の360°パノラマ写真撮影にも対応する。写真制作会社で広告写真撮影を習得し、キャリアをスタート。フリーランスになって30年以上経過。
仕事の実績は、土木学会、京成電鉄、千葉大学、TAC、八重洲出版、サンシャインシティ、リクルート、リクナビなど。
受賞歴は第29回ニコンフォトコンテストインターナショナル2002〜2003 ラブ&ピース第二位、2012 EPSON国際写真パノラマ賞 VR / 360銀賞、2013 EPSON国際写真パノラマ賞 VR / 360銅賞など。
Q.早速ですが、イベント撮影の実績を教えてください。
コンテンポラリーのイベントSchmuck(ドイツ、ミュンヘン)
3月のミュンヘンでは、街全体で数えきれない回数の展覧会が行われます。その中の一つPinacothek der Moderne会場で、ドイツ、イギリス、日本の学生の三校合同展が行われ、会場、展示作品、人物を撮影しました。この写真はオープニングの会場風景です。あとで本になりました。
タイムトライアル、ヒルクライム競技の2日間のイベント
自転車雑誌の代理店から依頼を受け撮影しました。このイベントは秋田で夏に開催されます。会場の雰囲気、出場ライダー、コースなどを撮り、この写真は1日目のタイムトライアルです。あとで雑誌になり販売されました。
一般財団法人様の40周年記念式典
出版社代理店様からの紹介で撮影しました。午前中は式典、午後からホテルでパーティーというスケジュールで、登壇者、会場、パーティ会場、出席者、料理などを撮りました。
Q.イベント撮影のフォトグラファーを選ぶとき、どのようなフォトグラファーを選べばいいでしょうか?
クライアント様の希望を聞いてくれること、見積もりがはっきりしていること、納期を守れることです。
Q.お客様がイベント写真撮影をフォトグラファーへ依頼する~完了までの流れを教えてください。
撮影依頼を受けてから打ち合わせを行います。見積もりを出す際には希望を聞き、当日の撮影にのぞみ、フォトグラファーからお客様に写真を納品して完了です。
Q.イベント写真の撮影は、事前にフォトグラファーと打ち合わせをする担当者の機転が試されます。
イベント撮影を依頼したいと考えている担当者に向け、「このような準備や根回し、会場準備をしておくと良い写真ができますよ」というアドバイスがあれば教えてください。
撮影許可書
撮影許可書の必要がある会場やシュチュエーションもあります。担当者がフォトグラファーに必ず伝えてください。また、フォトグラファーを選ぶとき、撮影許可証の有無を聞いてくる人はイベント撮影の場数を踏んでいると判断できます。
許可証がなければフォトグラファーが立ち入れず、撮影もできませんので確認してください。
紹介と挨拶
フォトグラファーを主催者やイベント会場管理者にも紹介して、挨拶をしてもらいましょう。その際にどこから撮影していいのか、どこから撮影するといい写真が撮れそうか、逆に立ち入ってはいけない場所などがないか、フォトグラファーに情報を伝えましょう。
早めの会場入り
カメラマンによって方針は違いますが、カメラマンがスケジュール上差し支えないようであれば、早目に会場に入ってもらいましょう。複数のカメラマンがいるイベントでは、撮影場所の場所取りなどが優位に進みます。
また、立ち入れる場所、立ち入ってはいけない場所など、会場内の把握がスムーズに進みます。
Q.これまでのイベント写真撮影のお仕事で、印象に残った良いお仕事エピソードがございましたら教えてください。
1985年スペインで撮影した、International Six Days Enduroというオフロードバイクのイベントです。このイベントは毎年国を変えて、6日間開催されます。
2015年に改めてスペインで開催が決まり、記念本が発行される運びになった際、記念本の写真は80%ほど私の写真が使われました。ちなみに書籍のISBN番号は846083885-2です。
Q.これまでのお仕事で、「これは困ったな」というエピソードがございましたら教えてください。
自転車レースの表彰式の撮影のタイミングで、ほとんどのカメラマンはだいぶ前から撮影のタイミングを待っていたのですが、写真販売サイトのカメラマンが遅れて来ました。
そのカメラマンが「カメラマンが並んでいては映り込むからカメラマンたちはもっと下がれ」と他のカメラマンを押しのけ始めたことがありました。
カメラマンにも種類があり、会場によってはカメラマンに応じて撮影スポットを提供するのですが、その会場はカメラマンの撮影場所と撮影動線が被ってしまいます。しかし双方にとって「このポジションが、いい作品が撮れる」という場所があるため譲り合いもうまく行かないことがあります。
ムービカメラマンと住み分けが出来ている会場では問題がないのですが、このときのような狭い会場などでは動線が重なるときは大変で、困りました。
Q.永田さんのこれまでとこれからについて聞かせてください。
オフロードバイクを始めたことをきっかけにモーターサイクルスポーツが好きになり、そのつながりで大学では機械工学を専攻していました。プレイヤーとして競技スキーにも打ち込んでいました。現在はレースなど動的な被写体の撮影に携わっています。
フォトグラファーとしてのキャリアは、スタジを写真から始めました。カメラ、船外機、ワインなどのコマーシャル撮影していました。
エディトリアル撮影を始めた頃(エディトリアル撮影とは、報道用の写真や映像の撮影のこと)、動く被写体の経験があまりなく、車雑誌の走り撮影でタイヤが回転しているカットがなくクレームをいただいたことがありました。
独立したのは車やバイク系の専門誌の出版をしている出版社を紹介してもらったことがきっかけです。それからだんだんとモータースポーツや競技の写真撮影に携わり、現在はフリーのフォトグラファーとして仕事を受けています。
最後に
「私自身、これまでもこれからも、新しく興味のあることに色々と取り組んできました」、と永田さん。
被写体が動いていれば動いているほど、一瞬を切り取って写真に収めることは難しいです。その難しい撮影に携わってもなお「新しいことにもっとチャレンジしたいです。人は、どんどん新しいことにチャレンジしたほうがいいと思います。」と語ってくださいました。
永田さんのような意欲的なプロにもっと活用していただけるサービスになるよう、Zehitomoもさらなる品質向上を目指します。
永田さん、ありがとうございました。今後ともどうぞ、よろしくお願いいたします。