戸建て住宅にお住まいの方の中には、「屋根の塗り替えって本当に必要なの?」といった疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
屋根材の種類や築年数によって塗装工事の必要性は異なります。色褪せやひび割れなど、塗装工事が必要なサインを見逃してしまうと、雨漏りなどの深刻な問題を引き起こす可能性もあります。台風や強風による被害対策としても、定期的な点検と修理は欠かせないでしょう。
この記事では、屋根塗装の必要性について解説します。塗り替え工事が必要な劣化症状、費用相場のほか、失敗しない塗装業者の選び方もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
屋根の塗装・塗り替え工事は必要?
屋根塗装・塗り替えの必要性は、建物の状況によって大きく変わってきます。
以下は、塗装工事を検討する判断材料になりま。
- 屋根材の種類
- 築年数
- 住まいの立地条件
まず、トタン・スレート屋根・鋼板・コロニアルなど屋根材を使用している場合は、定期的な塗装によるメンテナンスが欠かせません。
また、同じ素材を使用していても、新築から5年経過した建物では、まだ塗装工事を行う優先度は低いですが、築10年を経過すると屋根の防水性を保つために塗装工事の優先度はグッと高まります。
さらに、住まいの環境によってもメンテナンスの頻度は変動します。例えば、海沿いの住宅では塩害による腐食が進行しやすく、工場地帯にある住宅であれば排気ガスによる劣化が早いため、内陸部より頻繁に塗装しなければなりません。
このように、屋根の塗装工事は画一的な基準では判断できないため、建物それぞれの状況を総合的に見極めることが大切です。
屋根の塗装・塗り替え工事をしないとどうなる?
屋根の塗装・塗り替え工事を怠ると、以下のようなリスクが生じます。
- 屋根の防水性が低下する
- 紫外線による劣化が進行する
- 外観の経年劣化が資産価値を下げる
順番に解説します。
屋根の防水性が低下する
屋根塗装を行わないと、雨漏りのリスクが高まります。
特に、スレート屋根やセメント瓦は、経年劣化によって表面に細かい亀裂が入りやすい屋根材といわれています。雨風はこの隙間から屋根内部へと浸透し、防水性能が徐々に低下していきます。一度浸入した水は、屋根材の内部で腐食や劣化を引き起こす原因となるでしょう。
このまま放置すると雨漏りだけでなく、天井にはシミ、壁にはカビが発生しやすくなります。さらには建物の構造部分が腐食する可能性もあります。最適なタイミングで塗装工事を行うことで、建物を雨水から守ることが重要です。
紫外線による劣化が進行する
紫外線による劣化は、屋根材の表面にひび割れや色褪せを引き起こします。屋根材は一年中、強い日差しにさらされているため、屋根の塗膜が劣化し、紫外線の影響をダイレクトに受けてしまうのです。夏場は特に紫外線が強く、劣化のスピードを早めます。
また、塗装には紫外線を反射し、屋根材を保護する役割があります。これにより建物の寿命を延ばすだけでなく、断熱効果で室内の温度上昇を抑える効果も期待できるでしょう。
外観の経年劣化が資産価値を下げる
経年劣化が進んだ屋根は、建物の資産価値を下げる原因となります。塗装工事をせずに放置すると、屋根の色あせや汚れが目立ち、建物全体も古びた印象になってしまうためです。
特に不動産売却時には、美観を損ねた屋根は、建物全体の管理が行き届いていない証として認識されてしまいます。定期的な塗装によるメンテナンスで屋根を美しく保つことは、建物の資産価値を維持するためにも重要といえます。
屋根の塗装・塗り替え工事が「必要な屋根」と「そうでない屋根」がある
塗装工事の必要性は、屋根材の種類によっても大きく異なります。
ここでは、「粘土瓦」と「それ以外の屋根材」における塗装工事の必要性について解説します。
粘土瓦:屋根の塗装工事は不要
ゆう薬瓦・いぶし瓦などの粘土瓦は、塗装工事によるメンテナンスは必要ありません。耐用年数が長く、風雨や紫外線に強い特徴を持っているのが理由です。
ただし、瓦自体の色味を全体的に塗り替えたい場合は、塗装工事をおすすめします。粘土瓦も経過とともに若干の色あせが起こるため、美観性を重視する場合は塗装を検討しましょう。
粘土瓦以外:屋根は塗装工事は必要
スレート屋根・セメント瓦・モニエル瓦・金属屋根など、粘土瓦以外の屋根材を使用する建物では、定期的な塗装によるメンテナンスが必要です。
例えば、金属屋根はサビが発生しやすく、放置すると劣化が急速に進行します。特に、トタン屋根の場合はサビになりやすい材質のため、10〜15年に一度の塗り替えが推奨されています。このように、適切な時期に塗装工事を行う必要があるのです。
塗り替え時期は、屋根材の種類によって異なるため、専門業者に相談することをおすすめします。
屋根の塗装・塗り替え工事が必要な劣化症状
屋根の塗装・塗り替え工事が必要になる症状の有無をチェックして、早めに対処することが重要です。
塗装工事を検討すべき劣化症状は、以下のとおりです。
- 色あせや塗膜の剥がれが生じている
- サビ・ひび割れが発生している
- カビやコケが付着している
- 屋根の形が変形している
それぞれ詳しく解説します。
色あせや塗膜の剥がれが生じている
屋根の色あせや塗膜の剥がれている症状は、防水性が低下している証拠です。
このまま放置すると、屋根材自体の劣化が加速します。塗膜が剥がれた部分から雨水が染み込み、建物内部にまで悪影響を及ぼす可能性もあります。
サビ・ひび割れが発生している
サビやひび割れの発生も、屋根の劣化症状をあらわすサインです。前述した通り、金属屋根はサビの発生とともに劣化が急速に進行します。小さなひび割れでも、そこから雨漏りにつながる可能性があります。
特にサビは、そのまま放置すると周囲に広がり、補修費用が高額になってしまうので要注意です。
カビやコケが付着している
カビやコケの発生は、屋根の保護機能が低下している証拠です。これらが付着すると、屋根材の劣化が加速するだけでなく、美観の観点からも好ましくありません。
また、カビやコケには水分が含まれるため、屋根材の劣化をさらに早める原因になることも。その重みで屋根材に負担がかかり、建物の耐久性にも影響を与えます。
屋根の形が変形している
屋根材の変形は、最も深刻な劣化症状の一つです。変形が起きている場合、すでに建物の構造に影響が及んでいる可能性があります。変形の症状があらわれたら、塗装工事のみならず、屋根材自体の補修や交換も検討しなければなりません。
屋根の塗装・塗り替え工事は築10年前後が目安
初めて屋根塗装を行う時期として、一般的に築10年前後が目安とされています。このタイミングで適切なメンテナンスを行うことで、建物を長持ちさせられるでしょう。屋根材の種類によって耐久性は異なりますが、多くの場合、築10年を過ぎると塗膜の劣化が目立ち始めます。
ただし、築10年前後というのは、あくまでも目安です。建物の状態や使用している屋根材によって、適切な塗り替え時期は変動します。現場の状況に応じて、葺き替えなども含めた検討が必要なケースもあるでしょう。
信頼できる業者に定期的に点検を依頼して、劣化の進行具合を確認したうえで判断することをおすすめします。
屋根の劣化が激しい場合は塗り替えしても効果なし
屋根の劣化が進行しすぎると、塗装工事による補修では十分な効果を得られません。屋根材の劣化が深刻な箇所を塗装するのに、シリコン塗料やウレタン塗料を使用しても、防水性や耐久性の回復は見込めないからです。せっかく塗装工事を行なっても、無駄な投資になってしまいます。
屋根材を固定させる下地材として使われる野地板(のじいた)の腐食や欠け、著しい破損が見られる場合は、塗装による補修ではなく、屋根材自体の張り替えを検討する必要があります。
屋根の塗装・塗り替えによるメンテナンス費用の相場
屋根塗装・塗り替え工事にかかる費用は、一般的な2階建て住宅(塗装面積が50~80㎡)を想定した場合、40〜60万円が相場です。
ただし、実際の費用はさまざまな要因で変動します。屋根の面積はもちろん、屋根材の劣化状態や施工難易度によっても異なってきます。
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また、塗装費用は、使用する塗料のグレード・種類にも大きく左右されます。それぞれの耐用年数と1㎡あたりの単価を表にまとめましたので、塗料を選ぶ際の参考にしてください。
塗料の種類・グレード | 耐用年数 | 単価/㎡ |
---|---|---|
ウレタン系塗料 | 5~7年 | 1,500~2,000円 |
シリコン系塗料 | 6~12年 | 2,000~2,500円 |
フッ素系塗料 | 8~15年 | 3,000~5,000円 |
基本的に、耐用年数が高い塗料ほど単価も高くなる傾向にあります。熱の吸収を抑制できる「遮熱塗料」もありますが、瓦屋根など屋根材によっては効果が期待できない場合もあるため注意が必要です。
なお、外壁も劣化しているようであれば、屋根の塗装と同時に施工もおすすめです。足場を組む費用が1回分で済むので費用の節約につながります。
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屋根塗装の判断に迷ったら専門業者に相談を
屋根塗装を検討するべきかどうかの判断は、塗装業者に任せるのがおすすめです。屋根材の種類や劣化状態を見極めるには、専門的な知識と経験が必要だからです。
塗装専門の業者に点検を依頼すれば、屋根材の種類をチェックしたうえで、適切に劣化状況を確認してくれます。多くの塗装業者は無料で現場調査を行っているケースもあるので、気になる方は業者に相談してみましょう。
優良な屋根塗装業者を選ぶチェックポイント3つ
屋根の塗装業者を選ぶ際、押さえておきたいチェックポイントは以下の3つです。
- 見積もりを比較する
- 施工実績・口コミをチェックする
- アフターフォローの充実度を確認する
それぞれ詳しく解説します。
チェックポイント1:見積もりを比較する
屋根塗装の見積もりは、必ず複数の業者から取得しましょう。業者によって使用する塗料の種類、工法、金額設定が異なるためです。特に重要なのが塗料の選択です。耐久性の高いフッ素塗料や無機塗料など、品質の良い材料を提案してくれる業者を選ぶと良いでしょう。
また、見積書には、足場設置や養生にかかる費用なども明確に記載されているかも確認しましょう。
チェックポイント2:施工実績・口コミ・資格の有無をチェックする
施工実績と口コミのチェックは、業者を選ぶうえで必要不可欠です。施工実績が豊富な業者は、さまざまな建物や屋根材に対応してきた経験があります。業者のホームページなどで、過去の施工事例やビフォー・アフターの写真を確認しておきましょう。
また、地域での評判や顧客の声も、業者選びの重要な判断材料となります。業者のホームページに口コミなどの掲載があれば、事前に確認しておくことをおすすめします。あわせて、スタッフの保有資格も確認しておくと安心です。
チェックポイント3:アフターフォローの充実度を確認する
長期的に屋根をベストな状態に維持するためには、業者によるアフターフォローが充実しているかどうかも重要です。塗装後の定期点検や不具合への迅速な対応が、屋根の寿命を左右します。
優良業者の多くは、施工完了後のサポート体制を整えており、保証内容も明確です。また、工事中もスムーズにコミュニケーションできる環境が整備されているかどうかも、アフターフォローの質を判断する重要な指標となるでしょう。
ゼヒトモで屋根塗装のプロを探す
今回は、屋根塗装の必要性について解説しました。
屋根の塗装工事は、建物全体を長持ちさせる役割があります。塗装業者を選ぶ際は、見積もりの比較や施工実績の確認、アフターフォローの充実度などもあわせてチェックしましょう。
- できるだけ安く屋根塗装工事をしたい
- 屋根塗装工事の見積もりを取りたい
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