中学生の塾選びに際して、先生の選び方、中学生の勉強方法には塾がいいのか?家庭教師がいいのか?という視点で解説します。
中学2年生後半から意識し始める人も多い「高校受験とは何か?」というポイントから、高校受験のタイミングで一気に広がる進路の選択肢について、どのような学校があり、どんな特色があるのかも理解しましょう。
「ああ、小学生だったのに、制服を着るようになって」と、中学校に進学しても3年間は意外とあっという間です。高校受験のことを考え始めるのに遅いということはありません。
多くの子供に指導をしている専門家にも意見をいただいています。ぜひ子供の勉強や受験について、真剣に考える際の検討材料にしてください。
高校受験の先生を選ぶ時のポイント5つ
1.集団指導と個別指導、どちらが子どもに合うのか考える
集団指導とは、学校と同じ、1人の先生に対して大勢の生徒が授業を聴講するスタイルです。
個別指導とは、生徒の人数が少なく、よりわかりやすく、先生にも話しかけやすい、質問しやすい、子供達のペースに合わせやすいスタイルです。どちらにも、メリットやデメリットなどがありますので、「自分の子供にはどれが合うか?」という視点で考えてあげてください。
学校の集団授業でついていくことができる、ある程度いい成績を出しているお子さんは、塾でも集団授業で、学習についていくことができると思います。
しかし学校の集団授業についていけない、質問がしづらいというお悩みがあれば、個別指導塾や、先生と生徒が1対1で学習をした方が成果が出ると思います。
子供の性格や特徴を見て選んであげるだけではなく、もちろん子供自身が、塾に通うことや勉強をすることに前向きであることも必要です。家庭でもぜひ、お子様と話をしたり、コミュニケーションをとってくださいね。
2.先生の実績を知る
経歴、指導歴、有名校への受験合格実績がどのくらいあるかだけでなく、「我が子の希望する進路や進学に対して指導ができそうか?」という視点でも先生を選びましょう。
また、勉強ができることと指導が上手なことはイコールではありません。勉強ができる人からといって「生徒が勉強ができるようになるために、導くことができる」わけではありません。
先生自身の経歴だけでなく、どのような生徒をどのような進路へ導いたのか、「学年何位だった生徒を何位まで伸ばすことができたのか?」「こんな成績だった子が、このような成長をして、結果としてこの高校に合格したのか」など、具体的な成果を把握しましょう。
3.先生の人柄
子供の成績を伸ばすためには、先生と子供の相性が大切です。塾は、誠意をもって授業しているか、指導内容があいまいでないか、子供が先生に良い印象を持っているかなどをチェックし、子供と相性が良い先生かどうかを時折確認する必要があります。
家庭教師は1対1での対面授業なので、第一印象を重要視し、信頼できそうな先生かどうか、会話の中で判断してみましょう。人間関係のため、先生側ばかりに要求するのではなく、子供や保護者側も相手に誠意を見せることが円滑な関係につながります。
4.費用を比較する
塾の費用は、入塾金0~21,600円、受講頻度は週3~4回(1回90~130分)程度、3科目で約25,900~34,900円程度、5科目で約36,100~45,900円程度が相場です。
家庭教師の費用は月4回(1回90分)で18,000~22,680円、1回120分は23,200~27,648円程度が相場です。
塾は高校受験関連の情報が豊富で、指導内容やカリキュラムが充実しています。夏休みから受験勉強を始める子供も多く、決まった時間勉強したり、計算や英単語などの宿題が適度に出されれば、受験に向けて学習習慣も身に付きます。
全国模試などを通し、自分のレベルを把握でき、志望校選択の目安にしたり、モチベーションのアップにつながります。
家庭教師は割高にはなりますが、部活と勉強を両立したい、マイペースで勉強したい、苦手科目に集中したい、行き帰りが心配などのニーズにマッチします。
5.授業を受けてみる
体験授業などを活用して、授業を受けてみましょう。自分に合いそうなのか、先生がどんな人なのかを確認して塾の雰囲気を知るために、授業を体験してみましょう。
まずは体験授業などを受けてみましょう。その後、テスト対策講習などの2〜3週間などある程度まとまった期間の授業に入会し、受講してみると、「この先生や塾は、合う」「違うかもしれない?」などが、理解しやすいと思います。
塾と家庭教師の費用の比較
塾
大手塾は、中学1年生から高校受験コースがあり、その平常授業の月謝は、中学1、2年生の場合、国数英理社の5科目で約20,000~33,000円、国数英の3科目で約6,000~20,000円程度で、上述の相場より低いです。
中学3年生になると授業時間も日数も増えるため、月謝は相場より上がり、5科目で46,000~56,000円、3科目の場合は料金が下がることもあれば、5科目の場合と同料金でその分各教科の授業時間が長くなることもあります。
さらに季節講習は、中学1、2年生は、春が約18,000~43,000円程度、夏が51,000~90,000円程度、冬が18,000~43,000円程度です。
中学3年生に関しては、季節講習として春が30,000~58,000円程度、夏が134,000~160,000円程度、冬が36,000~100,000円程度です。冬は冬期講習以外に、正月特訓や直前講座などがそれぞれ約35,000~63,000円程度で行われ、10,000円程度で小論文対策のようなピンポイントな講座もよく開催されます。
中学3年生はテストも増え、例えば模擬試験が5,000円前後、志望校に合わせた入試演習が5,000~15,000円程度が、1回の試験でかかります。
小中一貫校の生徒向けに小学5年生から高校入試コースを提供する塾も多いため、5年生から高校受験を意識して塾通いする生徒もいれば、中学生の途中から塾に入る生徒もいます。受験年である最後の1年(中学3年生の1年間)は、平常授業料に461,000円~650,000円、季節講習や特別講座、テストなどに約356,000~503,000円かかり、年間合計として中学3年生でかかる塾費用は約816,000~1,153,000円です。
地元に密着した塾もおおむね相場通りで、中学3年生の授業料は年間で280,000~550,000円程度です。
模擬試験を行っている塾では、模擬試験代が年間で25,000円程度かかります。小規模な塾では、設備費や冷暖房費、教材費、コピー費などが別途発生することが多く、年間で30,000円程度です。
合計すると中学3年生の1年間にかかる費用は335,000~605,000円です。大手進学塾と同じように入塾金もかかり、時間や日数に柔軟に対応してもらいやすいですが、時間が増える分料金も上がります。
また、集団指導か個別指導かによって料金の変動があります。
家庭教師
高校受験に向けた家庭教師の費用は、一般的なパターンとして120分授業を週に1回受けると仮定すると、中学1、2年生では上述の相場通りで年間で約288,000~384,000円になり、中学3年生になると年間で約307,000~432,000円です。
さらに難関校志望、約432,000~960,000円程度まで上がることもあります。
進学塾と併せて家庭教師を利用する生徒が増えていますが、家庭教師一本で高校受験にのぞむ場合、中学3年生になると時間や日数を増やすことが多く、そしてそのぶん料金が上がります。
例えば、120分授業を週2回にすると年間で約614,000~864,000円程度、難関校志望では約864,000~1,920,000円程度になります。
一般的には、教えてもらう教師によって費用が変動します。また、授業料以外の費用として、教師の交通費がかかります。
家庭教師派遣企業を利用すると20,000円程度の入会金や数千円のサポート費用なども発生しますが、現役大学生からベテラン教師、出身校で選べる教師だけでなく、1時間あたりの費用が10,000~15,000円する医学部出身の教師や、「カリスマ」と呼ばれる名物教師まで、様々な教師が在籍しています。
費用は、塾か家庭教師か?、という違いだけではなく、塾の場合は「集団指導か、個別指導か」によっても費用が変わります。
高校受験とは
高校受験とは、義務教育の中学校を卒業後、高等学校へ進学するための入学試験のことです。高等学校には、私立高校、公立高校、高等専門学校があり、教育課程には、全日制、定時制、通信制があります。
学科には、普通科、専門学科(工業、商業、農業、水産、看護、福祉、家庭、情報など)、総合学科(普通教育と専門教育を履修できる)があります。
高校受験は、私立高校か公立高校かだけでなく、子供が何を学びたいか、大学進学や希望職業などにも関わるため、将来の方向性もよく考えた上で決定できるようにしたい、人生のポイントのひとつです。
高校受験は、どの高校に進学したいか、また、その高校がどのような高校かによって大きく異なります。
例えば翔真塾のある愛知県は、入試の点数と内申点の両方を合算して合否が決定されます。
内申点の点数を上げるためには、一朝一夕で培えるものではないため、中学1年生の頃から意識して、対策をし始めることが大切です。
私立高校とは
私立高校は、教育に独自の理念を持つ民間人や団体が設立した学校です。それを受け、各学校で教育方針や指導に違いがあります。公立高校に比べて学費は高額ですが、設備や環境は充実しています。
また、教師の異動がほとんどないため、一貫した指導を受けることができます。私立高校は学校ごとに特色があり校風、学力にも違いがあり、子供の性格、学ぶ方向性、希望進路に合わせ選択する必要があります。
学科は普通科の占める割合が多く、その中で成績優秀者を集めた特進コース、大学進学に焦点を合わせた進学コース、文理コースなど、進学のための教育体制を整備する学校が多く見られます。
入学制度は、一般入試(学力検査3科目と面接で選抜)、推薦入試(出身中学の推薦書や調査書、面接、作文などで選抜)があります。偏差値の高い進学校では、推薦制度がない学校もあります。
公立高校とは
公立高校は、地方自治体が設立した学校です。公の学習が行われるため、文部科学省の学習指導要領にしたがい、平均的な教育が行われます。原則として、その都道府県に居住していることが受験の条件になります。
学区制のある自治体もあり、受験できる学校が限られる場合もあります。普通科、専門学科、総合学科があり、普通科では大学進学に合わせ、2年~3年次に文系・理系に分けることもありますが、私立高校ほど細かくコース分けしません。
公立高校の教師は公務員で、一定期間で異動するため私立高校に比べると教師の入れ替わりは多いです。
入試制度は、推薦選抜(学校推薦・自己推薦)、特色選抜(実技検査を重視)、一般選抜(内申書、学力検査5科目、面接、作文)があります。一般選抜が前期と後期に分かれている自治体もあります。
入試制度や加点方法も自治体ごとに違い、内申点重視、学力検査重視などの違いもあるため、あらかじめ調べましょう。
高専(高等専門学校)とは
高専は、専門性の高い実践力のある技術者を養成するための高等教育機関です。中学校卒業後、5年間の一貫教育で多くの実験・実習を通し、実践力を身に付けます。
現在、全国には国公立、私立合わせて57校が設置されており、専門分野には、機械・材料系、電気・電子系、情報系、化学・生物系、建設系、建築系、商船系、複合系があります。
卒業後は、就職のほか、さらに深い知識と技を習得するため専攻科への進学、大学への編入など、希望進路に合わせて選択できます。
卒業時に実践的な知識と技術を持ち合わせているため、就職率は100%と毎年安定しています。
全日制と通信制の違い
全日制は、平日の日中に登校し授業を行う高校で、通常課程とも言います。一般的に高校といえば全日制のことで、修業年限(教育を受ける期間の呼び方)は3年です。
通信制は、登校せず主に自宅で自主学習する高校です。登校は月に数日~年に数日、学習方法はテキストや動画授業によるもので、それをもとにレポート課題や筆記試験を受け、単位を取っていきます。修業年限は3年以上です。
自主学習が基本のため、参考書なども使い学習する強い意志と意欲が必要です。3年間で卒業できるよう、学習面などを指導する通信制サポート校もあります。
学費の比較
私立高校の学費
平成29年度の初年度学費平均額は、授業料396,313円、入学料162,356円、施設整備費等169,611円で、合計728,280円です。そのほか、寄付金、教材費、教科書代、制服代、修学旅行積立金、PTA会費などもあります。
国による就学支援金や奨学給付金制度もあるため、利用すると負担を軽減できます。国による支援金は保護者の所得により金額が変わるため、事前確認が必要です。
学校により成績優秀者やスポーツの実力者には特待生制度があり、学費の免除や支援を受けることもできます。
公立高校の学費
平成28年度の初年度学費平均額は、授業料118,800円、入学料5,650円で、合計124,450円です。設備費等はありませんが、教材費、教科書代、制服代、修学旅行積立、PTA会費などで初年度は10万円前後かかります。
公立高校は就学支援金により授業料が無料、教材費等に対しても奨学給付金制度がありますが、いずれも所得制限があるため確認が必要です。
最後に
まずは子供の国語、数学、英語の土台を作ってあげましょう。
勉強は全て、基礎が大切です。特に国語、数学、英語は、他の教科の成績にも影響します。中学1年生のうちからの、土台となる基礎固めが必要になります。
ですから塾は、中学1年生の頃から通い始めても早すぎることはありません。
子供自身が、塾に通うことや勉強をすることに前向きであること。そして保護者が子供の性格や特徴を見て選んであげること。この2つのバランスをとっていい先生や塾、家庭教師を選ぶことで、子どもの学力向上につながります。
それぞれの家庭で、お子様と話をしたり、コミュニケーションをとってあげてください。
原田 一郎さま 監修
愛知県尾張旭市を中心に、個別指導や少人数授業をメインで子供に指導を行う「翔真塾(しょうしんじゅく)」代表。開講以来、地元のみなさまからご愛顧いただき、現在は2校を運営している。
現在は、ご相談に応じて通塾(子供が塾に通うこと)に限らず、家庭教師や、ご近所で数人集まる場に出張して授業を行うサービスなども提供する。
Zehitomoで受験勉強指導の依頼を出すと、地域の先生から複数の見積もりを受け取り比較することができます。