就職活動や転職活動をしている人の悩み事の一つに、履歴書の資格欄に何を書くかというものがあります。とりあえず「普通免許取得」とは書いてみたものの、たいていの人は持っていますから、インパクトに欠ける気がしないでもありません。ここで「英検取得」と書いて、面接官に好印象を与えるという手があります。
今回は、そもそも英検とは何なのか、履歴書に「英検取得」と書くときのポイント、そして、履歴書が面接官に与える印象をそれぞれ紹介していきたいと思います。
英検とは?ポイント3つ
1.正式名称と主催者
正式名称は実用英語技能検定です。英検は小学生から社会人まで、幅広い層が受験する国内最大級の資格試験です。
主催者は公益財団法人 日本英語検定協会です。「実用英語技能検定」等の英語能力判定事業のほか、様々な機会を通じて、実用英語の研修・教育事業やその普及向上に繋がる事業への助成等を行っている組織です。
2.日本での知名度、世界での知名度
英検は日本で最も知名度のある試験です。第1回目の試験は50年以上前の1963年8月という歴史があります。
受験者数は平成28年の実績で339.4万人です。聞く・話す・読む・書くの4技能を総合的に評価することから、英語力を証明する上で非常に信頼性の高い試験です。しかしながら、日本人向けの検定試験のため、世界での知名度はありません。
3.英検とTOEICの知名度はどちらが上?
TOEIC L&Rの日本国内受験者数は平成28年の実績で約250万人です。第1回目の試験は38年前の1979年12月です。国内受験者数とその歴史を比較すると、英検に知名度の軍配が上がります。
TOEIC L&Rは、歴史的に見ると、いまから40年前の1977年、日本人が発案しETS(Educational Testing Service)と共に開発した日本人向けの英語試験だったという経緯もあり、日本と韓国では圧倒的な人気を誇っています。一方で、世界での知名度は実はあまり高くはありません。
しかしながら、英検の海外受験会場がアメリカとイギリスで合計4か所であるのに対し、TOEICプログラムは世界約160カ国で受験可能で、年間約700万人の受験者がいます。世界での知名度はTOEIC L&Rのほうが大きいと言えます。
英検を履歴書に書くときのポイント3つ
1.何級から書ける?
高校卒の人は準2級から、中学卒の人は3級から書けます。
文部科学省の生徒の英語力の目標設定によると、高校卒業段階で準2~2級以上、中学校卒業段階で3級以上を達成した中高生の割合を50%とすることとされています(「第2期教育振興基本計画」より)。面接官に学校で英語の勉強に積極的に取り組んできたという印象を与えることができます。
ちなみに、ここで述べた基準は最低ラインの話です。決して英語が堪能であるという証明ではありません。ビジネスで英語を使いたい人はさらなる精進が必要になります。
2.いつ受験したものを書くべき?
取得した期日は特に問題にはなりません。確かに、履歴書には取得年月日の記入欄はありますが、何年前であろうと取得したという事実に変わりはありません。正直に自信を持って、取得した年月日を記入しましょう。
ついでながら、英検を留学に活用する目的の人は、合格証明書発行日から数えて2年間と定めがあるので注意が必要です。
3.英検の開催月は何月?毎年同じ?
6月、10月、1月の計3回実施されています。毎年同じです。
英検3級の難易度と履歴書での見え方
難易度
中学卒業程度の難易度です。取得年齢の目安は14歳です。
2017年度第1回からライティング問題が導入されました。読んでわかるレベルではなく、綴りを正確に書けるレベルまで語彙力を高める必要があります。
履歴書での見え方
中学卒の応募者であれば、学校で英語の勉強にしっかり取り組んできた人であるという印象を与えます。英検3級を保持していることを理由に、英語を使う業務を任せられるという可能性はありません。
自分の能力を高めようとする向上心や目標に向かって挑戦するポジティブな姿勢があるという点で、面接官に好印象を与えることができます。
高校卒以上の応募者は、書かなくてもいいです。高校の英語の授業を真面目に受けていれば準2級レベルの英語力は身についているはずです。中学卒業程度の力が証明されているけれどもそれ以上の英語力は未知数となれば、面接官にマイナスの印象を与えかねません。
英検準2級の難易度と履歴書での見え方
難易度
高校中級程度の難易度です。取得年齢の目安は17歳です。高校の授業の予習復習をこまめにして、定期テストでしっかり得点できていれば、準2級の取得は容易にできます。ついでながら準2級は今から23年前、1994年に新設された級です。
履歴書での見え方
高校で積極的に英語の勉強に取り組んでいる姿勢がうかがえます。文法の基本は理解できていますが、英語を使うビジネスの現場で戦力となるにはまだまだ力不足です。
内面的な向上心や積極性がうかがえますが、英語力についてはやや頼りない印象を与えます。
大学卒以上の応募者はむしろ書かなくてもいいです。中途半端な英語力をあえて公表する必要はありません。自分自身が専攻している得意分野を面接官に売り込んで、採用を獲得する作戦を考えましょう。
英検2級の難易度と履歴書での見え方
難易度
高校卒業程度の難易度です。取得年齢の目安は18歳です。準2級の単語レベルが3600語に対して2級は5000語です。合格のためにはしっかりとした単語・熟語問題の対策が必要になります。
履歴書での見え方
英検の公式サイトに「ビジネスシーンでも採用試験の履歴書などで英語力をアピールできます。」と明言されていますので、堂々と資格欄に書けます。
しっかりとした文法の知識を持っています。英語を使うビジネスの現場で要求されるリスニング力、スピーキング力は十分とは言えませんが、戦力となる最低ラインとみなされます。
今後も英語力を伸ばす努力をしていくことと、具体的に英語力を生かして会社にどのような貢献ができるのかを強調して、面接官に好印象を与えましょう。
英検準1級の難易度と履歴書での見え方
難易度
大学中級程度の難易度です。取得年齢の目安は大学2年生ですから20歳ということになりますが、英語を専門とする大学生でなければ、かなり難しい内容の試験です。
単語レベルは7,500から8,000語です。
履歴書での見え方
「実際に使える英語力」を持っているという印象を与えます。
新卒で仕事を探している就活生は、大学で英語の勉強をかなり本格的にやり込んでいるという印象を与えることができます。外資系の会社や海外赴任を志望する人は、就職活動を有利に進める材料になります。
転職先を探している人は、しっかりとしたコミュニケーション力のある人だという印象を与えることができます。即戦力として会社に利益をもたらせる人材だということを具体的に主張して、採用を獲得しましょう。
英検1級の難易度と履歴書での見え方
難易度
大学上級程度の難易度です。大学4年生で取得するとすれば24歳が取得年齢の目安になりますが、合格率10%の狭き門です。TOEIC900レベルよりも上の難易度です。
単語レベルは12000語です。
履歴書での見え方
英語のスペシャリスト。電話による交渉から会議の発言まで英語を使う業務は全て任せて安心だという印象を与えます。
しかしここで注意すべきは、英語の能力を鼻にかけすぎてはいけないという点です。英語力を強調しすぎて肝心の自己紹介や志望動機が伝えられなければ、英語しか能のない人というマイナスのイメージを与えかねません。
自分自身の魅力と、志望する会社にかける情熱をしっかり伝えた上で、さりげなく英語力をアピールしましょう。
最後に
履歴書に書くときに英検がいいのか、TOEICがいいのか、それとももっと有効な資格があるのかという問題がよく議論されますが、実はそれはあまり重要な問題ではありません。これまで見てきたように、英検を持っている人は堂々と「英検取得」と履歴書に書いて問題はありません。
履歴書で伝えるべきは、みなさんが英検の資格に裏打ちされた英語力によって会社にいかに貢献できるかという情熱の部分です。
これまで述べてきた英検の履歴書での見え方を参考にして、みなさんの魅力と志望理由、そして英語力を面接官にしっかり伝えましょう。
みなさんが希望する会社の採用を獲得することをお祈りしています。
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