ハナミズキと聞くと、どんな花を思い浮かべるでしょうか?明るく華やかな花を咲かせるハナミズキは、家庭での園芸でとても高い人気があります。ハナミズキという名前は、ミズキ科の植物の中で花を咲かせることから命名されたと言われています。
赤や白、ピンクの花を咲かせ私たちを楽しませてくれますが、実はそんな美しい色の花びらのように見える部分は「苞」(つと)と呼ばれる葉の一種で、実際の花は中心にある「花序」(かじょ)の部分なんです。わずか4mmほどの大きさの花が集まって、花序を作っています。
ハナミズキの原産地
ハナミズキの原産地はアメリカ東部、そしてメキシコ北東部です。明治時代に日本がアメリカへ贈った桜のお礼として、1915年に日本へやってきました。
ハナミズキの品種の種類
ハナミズキにはおよそ10種類の品種がありますが、日本で最もよく見かけられるのは「チェロキーチーフ」という赤色の花を咲かせる品種です。特徴として花付きの良さが挙げられ、街路樹などとして多く用いられます。
他には「レッドジャイアント」と呼ばれる濃い赤色の花を咲かせる品種や、白い花の品種では寄せあうように咲く小ぶりの花が印象的な「クラウドナイン」、5月頃に白から黄金色へと姿を変える「ディブレイク」など様々な品種が存在します。
ハナミズキの年間スケジュールは?
ハナミズキの1年は落葉期の11月~3月に始まります。この時期に苗の植え付けを行い、根がつくのを辛抱強く待ちます。根がつくまでにかかる期間はおよそ3~4年ほどとされており、育生環境によって多少前後します。
根がしっかりと張ってから花が咲き始めるので、苗を植えてから花が咲くまでの期間もおよそ3~4年が大体の目安と考えてよいでしょう。開花時期はちょうど桜の花が終わる頃、4~5月となります。
1.苗の購入
苗を購入し、栽培をスタートさせるのに最適な時期は11月~3月にかけてです。その中でもまだあたたかさの残る11月や3月がいいでしょう。
2.育苗
育苗は地植えか鉢植えかで方法が異なります。地植えの場合は植え付けをした直後に十分な水やりを行い、あとは真夏の猛暑の際に水分を補給してやるだけでOKですが、鉢植えは土が乾いたら水やりをするようにしましょう。
3.開花
先述したようにしっかりと根が張るまで開花は望めませんが、開花の準備が整ったハナミズキは通常4月~5月、桜の花の終わりを受け継ぐように咲き始めます。
ハナミズキはプランター栽培できるの?
ハナミズキは植木鉢(プランター)での栽培も可能です。しかし鉢植えは地植えよりも水やりや追肥の必要回数が多く十分な管理が必要になるので、自分の生活スタイルに合うのはどちらか比較検討してみましょう。
ハナミズキの栽培におけるポイント5つ
1. 日当たりや場所
一年を通して日当たりの良い場所を好みますが、真夏の強い日差しが長時間あたり続けるような場所だと株元が極度に乾燥し、枯れてしまうことがあります。西日があたらず、主に午前中に日光を浴びられる環境が最適でしょう。
2. 水やり
地植えの場合は真夏など土が特に乾燥する時期に行います。一方鉢植えのハナミズキは土が乾いていないかこまめにチェックし、その都度水やりをするようにします。
3. 肥料
油かすと骨粉を均等に混ぜたもの(主成分は花付き・実付きを良くするリン酸)や粒状堆肥を肥料として与えます。
鉢植えのハナミズキは成長に更なる栄養を必要とするので、開花前の9月~2月頃には月に一度のペースで追肥を行うと良いでしょう。
3.開花
開花時期のはずなのに花が咲かない……という場合は次のような理由が考えられます。待ってみる、待っていられない方は少しずつ追肥をするといいかもしれません。
- まだ木そのものが成長途中にあり、葉枝や根などを伸ばす方にエネルギーを使っているため。
- 適切な用土が使われていなく、栄養不足になってしまっている。
- 前年に花が咲き過ぎたため、今年の開花に必要なエネルギーが足りない。
- 剪定を行う際、誤って花芽を落としてしまったため。
4.用土
ハナミズキには水はけ、水持ちが良い用土が適しています。もし水はけが悪いと感じたら牛糞・豚糞堆肥やもみがらくん灰を加え、耕してあげると良いでしょう。
5.虫害
ハナミズキによく見られる病気はうどんこ病です。風通しの悪い場所に置いておくとかかりやすいので、湿気の多い梅雨の時期は時に注意してください。
コウモリガの幼虫やテッポウムシ(ゴマダラカマキリの幼虫)の発生が多く見られるので、害虫がついてしまった場合は薬剤(オルトランやスミチオンなど)で適切な処理をしましょう。幼虫が未だ小さいうちに駆除を行うのが賢明です。
ハナミズキの栽培ステップ
1. 種をまく
ハナミズキの種は、秋に熟するハナミズキの実から採取します(「とりまき」と呼ばれます)。果肉部分を取り除いてよく洗ったら、その直後に蒔くか次の春まで冷蔵庫で保管するか選びましょう。
種から発芽し成長したハナミズキには、日光を満遍なく浴びさせるため、絡み枝や徒長枝が見られた際に剪定(間引き)を行います。その際、花芽まで切り落とさないよう(芽切り)十分に気をつけてください。
2. 植える
ハナミズキは地植え(庭植え)でも鉢植えでも問題なく育つ、強い植物です。しかし鉢植えにした場合は、根が育ちすぎる前に一回り大きな鉢へ植え替えるようにします。
3. 水やりと追肥
地植えのハナミズキには頻繁に水やりをする必要はありませんが、鉢植えにしたものは状態をよく確認しながら、土が完全に乾かないように水やりを行いましょう。
4. 花を楽しめる期間
花を楽しめる期間は、ちょうど桜の花が終わるころの4月~5月。特に5月が花の見どころです。
5. お礼の肥料を与える
開花にエネルギーを多く使った木の体力回復のため、花が終わった後の6月頃、お礼として追加の肥料を与えてあげましょう。
最後に
皆に愛されるハナミズキの名前の由来から育て方まで、必須情報をコンパクトに紹介しました。これからお庭などにハナミズキを迎え入れたいと考えている皆さんの参考になれば幸いです。
ハナミズキは根が張るまで辛抱強く待てるかが勝負ですが、手間をかければその分応えてくれる頼もしい植物でもあります。是非ハナミズキの栽培に挑戦し、その美しい姿を堪能してください。
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