その可憐な見た目でも人気のなでしこ。花が好きな人なら、一度は育ててみたいと思うのではないでしょうか。「なでしこ」という名前は、「花がとても可愛らしく、子供を撫でるかのように愛でたくなる」ことに由来していると言われています。
なでしこの原産地は?
地域によって様々な種類のなでしこが存在し、その種類によってヨーロッパ、アジア、北アメリカ、アフリカ、南アフリカが原産地とされています。
ナデシコの品種の種類と特徴
カワラナデシコ
日本各地に自生する多年草で、秋の七草の一つに数えられている品種です。花びらに深い切れ込みが入っているのが主な特徴です。
セキチク
元来中国を原産とし、ヨーロッパで品種改良が行われました。「セキチク」(石竹)という名前は葉の雰囲気が竹に似ていることから命名されたそうです。比較的濃い発色で、様々なカラーバリエーションがあります。
ダイアンサス
ダイアンサスとは「初恋」「カラーマジシャン」など様々なナデシコの総称を指します。原産はヨーロッパ、東アジアで、そのほとんどが「四季咲き性」の強い品種としても知られています。
タツタナデシコ
ヨーロッパ原産の宿根草。花に蛇の目模様がついており、花が咲かない冬でもその葉の美しさから観賞用として楽しめます。様々な花の種類(カーネーションなど)の交配元として活用されてきました。
テルスターシリーズ
テルスターシリーズは二十センチほどの背丈の矮性品種。ヒゲナデシコとセキチクの種間雑種で、一年のうち何時種を蒔いても強く育つ「四季咲き性」のナデシコです。
ヒゲナデシコ
アメリカナデシコという別の名を持つヒゲナデシコ。小花が茎の先端に集まっているのが特徴のヨーロッパ原産のナデシコです。
ヒメナデシコ
可憐で繊細な見た目をもつヒメナデシコは、ヨーロッパ原産の小型種。こぼれ種でも自然に増えるので、栽培が比較的簡単と言えそうです。
ナデシコの年間スケジュールは?
1.種まき
通常は秋に行いますが、春に種を蒔くことも可能です。秋であれば9月〜10月ごろ、春なら4月〜5月が最適です。種まきの際は種が重ならないようにまんべんに蒔きましょう。
2.育苗
プランターなどに種を蒔き育てます。種まきを終えたら深植えにならないよう、その表面を薄く用土で覆います。その後は日陰で水やりを十分に行い、本葉が3〜4枚になるまで育てましょう。
3.開花
一季咲きのナデシコは4月〜6月がメインの開花時期。一方、四季咲き性のナデシコは主に4月〜11月が開花時期ですが、通常一年を通して花を楽しめます。
ナデシコの栽培における各ポイント
1. 日当たりや場所
風通しが良く、且つ日当たりの良い場所を見つけてあげましょう。例えば、ベランダや軒下などに置いてあげると適度な風や日当たりを確保することができます。
2. 水やり
生育時以外は乾燥気味を好む植物なので、水のやりすぎには注意しましょう。土が乾いていたら水のやりどきです。
3. 肥料
液体肥料を年に二回与えてやります。四季咲き性の品種は、通年にわたって肥料をあげましょう。
4. 用土
ホームセンターなどで販売されている、通常の草花用用土を使用してください。十分に強く育ってくれます。
5. 病気や害虫
主にかかる病気は2つ、葉に褐色の斑点ができ結果的にしおれてしまう斑点病や、根腐りを起こす根腐病が挙げられます。
また、害虫で代表的なのは、クロウリハムシというナデシコの葉を食べてしまう害虫です。クロハリムシはネギを嫌うため、ナデシコの近くに同時に植えてあげると除虫効果が得られるかもしれません。
なでしこの栽培ステップ4つ
1. 種をまく
種を蒔いた後は花数を増やすため、まず新しく出た芽をハサミで3センチほど芽切りという工程を取ります。切り取った芽は水揚げをして、挿し木用土に挿した状態で発根を待ちます。
また、株が混み合うことで植物全体の風通しが悪くなり病気が発生しやすくなるので、育てているうちに生長が悪いと感じられる苗があれば、間引きを行いましょう。
2. 植える
鉢植えでも庭植えでも可能ですが、鉢植えは苗のふた回りほど大きな鉢やプランターを選びましょう。ナデシコは強く生育も盛んな植物なので、小さい鉢だとすぐ成長した根で鉢がいっぱいになってしまいます。
庭植えはあらかじめ土を20〜30センチほど掘り起こしておき、水はけを良くするために軽石や腐葉土を一割ほど混ぜ込んでおくと、根腐りを起こすことなく元気に成長してくれます。
3. 水やりと追肥
育苗の時期は水を十分に与えますが、本葉が3〜4枚になり定植を終えたら、土が乾いている時にのみ水やりを行いましょう。追肥は液体肥料を週に一度、固形肥料を月に一度のペースで継続的に与えてやります。
4. (必要であれば)剪定
夏になると暑さで蒸れてしまうことがあるため、必要であれば剪定(切り戻し)を行いましょう。通常は花が終わったら草丈の半分ほどの長さに剪定し、風通しを良く保ってあげます。高い丈の品種の場合は株元近くで剪定してあげましょう。切り戻しを行うことで、再度生長し花を咲かせてくれます。
最後に
なでしこの種類から育て方まで順を追って解説しました。植物について知識が増えると、育てる楽しみが更に増しますよね。「なでしこ」という名前の由来の通り、まるで子供を愛でるかのように手間と愛情をかけて育ててあげてください。
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