水に浮かぶ涼しげな睡蓮の姿には癒される方も多いのではないでしょうか。フランスの画家、モネの作品も有名で、多くの睡蓮を描いた作品を遺しています。
睡蓮の名前の由来は「眠(ねむ)る蓮(はす)」。日中には開いている花が、日が落ちる夕刻近くになると閉じてしまい、その姿が眠っている蓮のようだったので睡蓮と名づけられました。
水に浮いている睡蓮ですが、それは長い茎を地下茎から伸ばすという仕組みで浮います。
原産地は熱帯から温帯の地域で、国を問わずこの気候の地域に咲いています。日本では自生するのは未草(ひつじぐさ)の1種類のみですが、この未草を園芸用に品種改良して作られたものが複数種類あります。
ここでは未草を改良して作られ、日本で一般的な品種となっている睡蓮の育て方についてご紹介します。
睡蓮の年間スケジュールは?
春に花を咲かせ、開花期間は秋ごろまでです。次々に花を咲かせるので、約半年間花を楽しめます。種から育てることもできますし、株分けにより苗から育てることもできます。
種まきは3~4月頃に行います。1ヵ月程で芽が出てから、夏前には開花します。花の最盛期は7月~9月頃です。開花のあとには種の収穫もできます。種の収穫時期は10月頃です。
花の時期が終わり種の収穫もできたら、秋から冬にかけて休眠期となります。秋に収穫した種は乾燥させ、翌年の春にまた植えてください。
1.苗の購入
苗から育てる場合には、4~5月頃に購入して植付を行いましょう。花が一番咲く季節である夏までに苗をしっかり成長させます。
2.道具の購入と選び方
睡蓮に適した鉢は、睡蓮鉢です。睡蓮鉢とは底に穴が開いていない陶器製の鉢のことをいいますが、最近はガラス製やプラスチック製など様々な素材のものが出ていますので、好みのデザインを選ぶと良いでしょう。
3.開花
開花時期は6~9月頃です。一つの花が咲くのは3~5日ほどですが、複数の苗を植えていれば最盛期を迎える夏にはたくさんの花を咲かせます。
4.種の収穫
花の時期が終わる9月頃には種ができてきます。種は熟してくると破裂し水の中に沈んでしまうので、収穫したいときは種ができていることが分かったら、袋で覆うなどして種が飛散するのを防止してくださいね。およそ10月頃には収穫できます。
睡蓮の栽培における4つのポイント
1. 日当たりや場所
水の中にある株元までしっかり日光が届く場所に置きましょう。生育期になり葉が増えてくると鉢の中の日当たりが悪くなり、下の方にある葉が枯れて腐ってきますので、そのような葉を見つけたら随時摘み取ってください。
2. 睡蓮を育てる水
睡蓮は水の中に植えるので水やりは不要です。蒸発等により水が減ってきたらその都度水を足してください。水が濁ってきたら全体を水替えをしましょう。
メダカや金魚などの生き物を一緒に飼う際は水替え時にはカルキ抜きした常温の水を使用してください。また、水温と極端に差がある水を投入すると生体がショック死してしまう危険性があります。一度に全部の水を買えるのも避けます。急激な水質の変化は生体にとって危険です。一度に変える水の量は、多くても今入っている水の半分程度にしてください。
水の濁りがあっても、一度に全ての水を変えるのではなく、複数回に分けて水質の安定を保ちながら水替えをしましょう。
3. 肥料は与えるの?
肥料は植付の時点で使用します。根に直接触れない場所に、骨粉や油かすなどの有機肥料を使ってください。化学肥料は水質悪化の原因となるので使用しないでください。
4. メダカや金魚を一緒に飼っていいの?飼い方
メダカや金魚を一緒に飼うのはおすすめです。夏場は鉢にボウフラが発生することがありますが、メダカや金魚はそのボウフラを食べてくれるので、孵化して蚊になるのを事前に防いでくれます。
エサは市販のエサをあげてください。注意点としては、エサをあげすぎるとボウフラを食べてくれなくなるので、量には気を付けてください。
睡蓮の栽培ステップ
1. 植える
鉢植えはやや大きめの鉢に植えましょう。そのほうが花が咲きやすいです。種から育てる場合は3~4月、苗から育てる場合は4~5月に植付を行います。
鉢の3分の1ほどの深さまで土を入れ、そこに種もしくは苗を植えます。土が水の中で乱れないように、しっかり固めておくのがポイントです。その鉢を睡蓮鉢に置き、睡蓮鉢に水を張ります。睡蓮鉢の水の量は、種の場合は鉢に入れた土から、苗の場合は苗の先から15㎝ほど上までの深さにしておきます。
池に植える方法も同じですし、水槽に植えることもできます。ガラスの水槽で植えると鉢や池では見ることができない横からの姿を見ることができ、一味違った楽しみ方ができます。
2. 水の管理
水中の睡蓮が成長してきたら、それに合わせて水の量も調整します。最終的には水深約30cmほどになるまで水を足していきます。
水が濁ってくるなど水質が悪化してきたら随時、水の入れ替えを行うなどして、きれいな水を保つようにしてください。
3. 間引き
成長し、花が咲くまでに葉が増えていきます。葉が増えすぎると、日の当たらない部分の葉が枯れてきて水質悪化につながります。それだけでなく、株元に日が当たらないため花芽が育たなくなり、花が咲かない可能性も出てきます。葉が増えてきたら株元から間引きをしてください。
4. 越冬
生育期、開花の時期を終え、休眠期に入ったら越冬の準備をします。準備といっても、冬に鉢もしくは池全体が凍ってしまうほどの寒冷地でなければ、屋外で越冬できます。
寒冷地では室内に移して越冬させてください。
5. 株分け
越冬が無事終わり、植付け時期の頃に株分けを行います。株分けは、根を洗い、はさみやカッターを使って株を分けて、古い根を切り落として完了です。株分け後は根が乾かないようにすぐに植付けを行ってください。
株分けは株が増えすぎたり根が成長しすぎて鉢からはみ出したりしていれば行います。期間の目安としては3年に1度くらいです。
最後に
睡蓮はお寺などの池に咲いている姿を眺めるものというイメージがありますが、自分で育てて楽しむこともできる植物です。
睡蓮を育てて、夏には自宅を涼しげに彩ってみてはいかがでしょうか。
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