外構(がいこう)とは、建物の外部に設置される塀やブロック、土間コンクリート、階段などの各種設備のことです。「がいこう」という言葉を知っている方でも、側溝を意味する「外溝」との違いを正しく認識できている方は少ないようです。
自宅の周辺設備のリフォームを安心して進めるために、外構と外溝の違いを知っておきましょう。今回は、外構と外溝の違いや、それぞれの工事の役割やメリットなどをご紹介します。
この記事を監修したプロ
後藤 慎悟 さん
株式会社 リスタート
外構と外溝の違いとは
まずは、「外構」と「外溝」についてそれぞれ解説します。
外構とは
「外構」とは、建物の外にある構造物全体のことです。例えば、敷地内にはる駐車場やフェンス・庭・門扉・門柱などが外構に含まれます。
つまり簡単に言ってしまえば、家の建物自体を除く敷地内にある設備は全て外構です。外構はマンションでも戸建てでも外観と合わせて建造物の顔になります。
外溝とは
「外溝」は同じく「がいこう」と読みますが意味は異なります。外溝とは建物の側溝のことで、道路に沿って設けられる水路です。道路に溜まった雨水を排水するために設置されています。
外構工事と外溝工事の役割やメリットの違い
「外構」と「外溝」の違いが理解できたところで、それぞれの工事の役割やメリットを紹介します。
外構工事の役割とメリット
外構工事は、建物や敷地の外側の環境を整える工事です。
つまり、家の外に新しく建造物を設営したり、すでにある建造物を利用しやすいスペース作りのために地面を整備するのが外構工事となります。外構工事のメリットは、居住者の快適さや安全性の向上や、外観をより美しく整えられることです。
外溝工事の役割とメリット
一方で、外溝工事とは雨水や排水を適切に排出するための側溝の工事です。
外溝工事では、建物や敷地の周囲に排水路や側溝を設けることで、雨水の流れを調整し浸水や水害を防止します。
外溝工事のメリットは、建物や敷地の浸水リスクの低減、周辺環境の保護や改善、地盤の保全が挙げられます。
3つの外構タイプ
外構には、大きく分けて次の3つのタイプがあります。
オープン外構:開放的な空間を確保する
クローズ外構:プライバシーを優先する
セミクローズ外構:プライバシーを確保しながら解放感も逃さない
それぞれの外構について詳しく紹介します。
オープン外構
「オープン外構」は、敷地と周囲をあえて仕切らずオープンに見せる外構です。
オープン外構は、道路と自宅の敷地を仕切らないため日当たりや風通しが良く、空間を広く利用できます。
クローズ外構
一方の「クローズ外構」は、フェンスや生垣などで敷地と周囲を完全に区切ってしまう外構です。周辺の目を気にせずプライベートな空間を楽しめるのがメリットです。
しかし完全に区切るのではなく、風通しの良いフェンスや光を適度に入れられる塀を選ぶこともできます。
セミクローズ外構
オープン外構とクローズ外構の中間に位置するのが「セミクローズ外構」です。
一部だけフェンスや塀を設けて、完全には遮断はしていないけど庭の外観がはっきり見えるようになっています。
低いフェンスを用いたり、解放感のあるポイントを設けたりするとよいでしょう。どのタイプも周辺環境を確認し、業者と一緒に検討するのが大切です。
外構工事の種類
外構がどんなものか理解できたところで、詳しい外構工事の種類や内容を知っておきましょう。具体的にどのような外構工事が行われるのか、代表的な3種類の工事を紹介します。
- 玄関周り
- 庭やテラス
- 駐車場
どれも快適な住まいにとって、欠かせない外構です。費用相場もチェックして、自宅リフォームの参考にしてみてください。
玄関周り
玄関周りに含まれる主な設備は、門扉・門柱やアプローチです。それぞれの費用相場は、次のとおりです。
門扉・門柱の設営 | 約15~50万円 |
玄関アプローチの設営 | 約20~50万円 |
門扉は毎日出入りの際に利用するため、操作性を重視したデザインのものを選びましょう。また、防犯性を高めたい場合には、暗証番号式のシークレットスイッチや、室内からの施錠が可能な電気錠を検討してみてください。
選ぶ門扉や門柱タイプによって、工事費用に差が出ます。
玄関までのアプローチには、家の外観に合う素材やデザインがおすすめです。雨風による汚れに影響を受けにくいように、タイルや踏石の設置を検討しましょう。
庭やテラス
庭やテラスの工事には、フェンスやブロック塀の設営、植栽、ウッドデッキの設営など多くの種類があります。代表的な工事内容と費用目安を、チェックしてみましょう。
フェンスの設営 | 約20~80万円 |
ブロック塀の設営 | 約60~110万円 |
ウッドデッキの設置 | 約15~30万円 |
低木や高木の植栽 | 約5~15万円 |
物置・倉庫の設置 | 約2~50万円 |
砂利の設置(1㎡あたり) | 約1~2.5万円 |
芝生の設置(1㎡あたり) | 約0.3~1.2万円 |
庭には、砂利や芝生を敷くケースもあれば、庭には物置や倉庫などの大掛かりな構造物を設けたいと考える人もいるでしょう。そのため、庭の外構工事の費用は幅広くなります。
庭やテラスの空間に合わせて、必要な工事を選択しましょう。
駐車場
駐車場の外構工事には、ガレージの設営やカーポートの設備が含まれます。それぞれの費用目安を、以下にまとめました。
ガレージの設営 | 約100~250万円 |
カーポートの整備 | 約30~55万円 |
壁に囲まれていて、シャッターを閉めれば完全に車を保護できるのがガレージです。建物とひと続きで建設するビルトインガレージであれば、雨に濡れる心配もありません。しかし、ガレージは建造物になるので、費用は最低でも100万円、高くなると250万円程になります。
一方でカーポートは、屋根のみの設置になるので建物ではありません。そのため、ガレージに比べて工事費用を抑えられます。防犯性も検討したうえで、適したタイプを選ぶようにしましょう。
外構工事とエクステリア工事も違いがある?
建物の外部に設置される構造物である「外構」ですが、この外構と区別しておきたいのが「エクステリア」です。エクステリアも家の外側の空間を指す言葉ですが、外構とエクステリアは意味が異なります。
エクステリアとは、建物の外観に関する概念で空間や雰囲気、環境などを意味します。簡単に言うと、家の外の空間や環境そのものです。
エクステリアの対義語はインテリアですが、インテリアは家の中のソファやテレビなどの家具を含んだ空間を指します。同様に、エクステリアも門や駐車場など、家の外の構造物を含んだ空間を捉えた言葉です。
一方で、外構は堀や柵など家の外にある構造物です。つまり、エクステリアは空間そのもので、いくつもの外構によって構成されます。
この2つの違いを踏まえると、こだわりのサンルームや外灯、お気に入りのデザインのポストの設置などが、周辺環境を作り上げるエクステリアの工事です。外から自宅を見た時に、いかに魅力的な建物だと感じさせられるか、そのために施す装飾などが含まれます。
外構工事はどちらかというと、機能性が重視された構造物なので、両者の明確な違いを理解しておきましょう。
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外構工事なら業者に依頼しよう
自宅外部の構造物を設営する外構工事は、大規模な工事になるため、しっかりとした技術をもった業者への依頼がおすすめです。例えば玄関アプローチのタイル敷きの場合も、見た目だけが問題になるわけではありません。
雨や風に耐えられるように、しっかりと1つ1つを敷き詰めていく必要があります。安易にDIYに挑戦して完成度が低いままになってしまうと、その後の暮らしにおいて安全性が確保されないため注意が必要です。
大掛かりになりがちな外構工事は、ノウハウと実績をもった業者に依頼することで、安心して快適に過ごせる自宅に仕上げられます。
外構工事の業者選びのポイント
外構工事を依頼する場合には、次の3つのポイントを意識して業者を選びましょう。
- 施工内容に適した業者か
- 信頼できるか
- 料金が適正価格か
ひとえに外構工事業者といっても、それぞれに得意分野や施工料金が異なります。しっかりと見積もりを取って内容を比べ、信頼できる業者を選ぶのが大事です。
ここで紹介するポイントを参考にしながら、まずは複数の業者に見積もりを依頼してみてください。
施工内容に適した業者か
外構工事を請け負う業者は、施工内容に得意不得意があるのが一般的です。苦手な施工に関しては、受注後に外注をしているケースもあるため、サービスや費用の面でデメリットが大きくなります。
ホームページなどから情報を探し、依頼しようとする工事の経験が豊富かを確認しましょう。自宅と似たような立地や条件での施工実績が見つかれば、安心材料となるでしょう。
信頼できる業者か
信頼できる業者であるかは、外構工事の依頼において欠かせないポイントです。実績や利用者の声を公表している場合は、評価をチェックするようにしましょう。
また、見積もりを取った際のスタッフの対応の良さも判断基準になります。見積もりはわかりやすいか、アフターフォローは充実しているか、質問にしっかり応えてくれるかを確認してみてください。
料金が適正価格か?
費用負担が大きくなりがちな外構工事ですが、価格だけで業者を選ぶのはおすすめできません。作業者の専門性が低い、材料が良くないなど、安いには安いなりの理由がある可能性があります。
長く利用する自宅の整備のためには、ある程度お金はかけてでも納得のできる品質で仕上げてくれる業者がおすすめです。価格と技術力のバランスを確認し、慎重に業者を検討しましょう。
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外構工事の業者が書類に必要事項を記入している
家周りのリフォームを意味する外構工事、側溝を意味する外溝と間違えないようにしましょう。家の快適さに影響を与える外構工事は、ノウハウと実績が豊富な信頼できる業者に任せる必要があります。
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監修したプロのコメント
外構のタイプはオープン外構、クローズ外構、セミクローズ外構とお家の雰囲気やライフスタイルに合わせて選択します。事前にどんな雰囲気が好みかイメージを持っておくと打合せがスムーズでしょう。
費用としては、オープン外構<セミクローズ外構<クローズ外構の順に設置する物が多くなれば高くなることが多いです。同じ内容でも敷地の形や高低差によって金額が変わってくるので注意が必要です。
経験、実績がある業者さんですと敷地の形や高低差を生かした提案も期待できます。また、パース図を作成しイメージの共有をしてくれる業者さんですとイメージの相違などでのトラブルを回避できます。
外構工事の工事期間は2週間~1ヵ月前後となりますので、工事中の対応の良さも口コミなどを参考に業者選びのポイントになるかと思います。
この記事を監修したプロ
後藤 慎悟 さん
株式会社 リスタート
新築外構からリフォーム外構、お庭の植栽工事まで、幅広くお客様のニーズにお応えしています。 打合せにて要望を理解し現地を確認して、要望・実用性・デザインを叶える提案をさせて頂きます。
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