手話とは、身振り手振りや表情で伝える視覚言語です。最近ではドラマの影響もあり、手話に興味を持っている方も少なくないでしょう。手話を覚えることで、耳が聞こえない方とのコミュニケーションがスムーズになり、考えや想いも伝わりやすくなります。機械を通さず、相手の手の動きや表情で会話ができるため、より交流を深められるでしょう。
今回は手話について詳しく解説します。合わせて、日常生活で利用できる簡単な手話も紹介するので、ぜひ覚えてみてください。
手話とは
手話とは耳が聞こえない方や話すことが難しい方が、手や指、表情などを利用して考えや思いを相手に伝える視覚言語です。耳が聞こえない方や話すことが難しい方の中でコミュニケーションを図る大切な手段でもあります。
手話は手の動きだけが重要なのではない
一般的に手話と言えば、「手の動き」のみをイメージしている方も多いでしょう。手話は手の動きだけが重要だと思いがちですが、実はそうではありません。手の動きだけでは、嬉しさや悲しさなどを十分に表現することは難しいです。
また、普段でもメールでのやりとりで、「相手の感情がわからない」と思ったことはありませんか?いつもの会話でも、実は言葉ではなく、相手の表現を読み取って会話していることが多いのです。
手話においては、手の動きだけではなく「顔の表情」も重要なポイントとなります。手話は音がない言語だからこそ、「顔の表情」でも感情や想いを表すことが大切なのです。
手話は世界共通ではない
手話は世界共通の言語ではありません。アメリカにも「アメリカ手話」があり、中国には「中国手話」が存在しています。
手話は世界の中でも126種類あると言われており、国だけではなく地域によっても違いがあります。日本国内にも「方言」がありますが、それと同じように、手話も国や地域によって方言があるのです。
手話で喜怒哀楽を表現する方法
ここからは、日常生活で使える手話を動画とともに紹介します。日常生活で使える手話を知っておけば、音声入力変換ツールや筆談などを使用しなくても、コミュニケーションをスムーズに取れるようになるでしょう。
「楽しい」「嬉しい」の表現方法
- 両手の手のひらを広げながら胸の前に持ってくる
- そのまま交互に2〜3回手を上下させる
にこやかな表情をすることで、より楽しい感情を伝えられるでしょう。
「悲しい」の表現方法
- 両手の親指と人差し指の先を合わせる
- 目の下に持っていき、そのまま頬に沿って交互に上下させる
涙の雫の形を作るようにイメージするとわかりやすいでしょう。
「怒る」の表現方法
- 手のひらを開いた状態で、5本の指を軽く折り曲げる
- お腹のほうに両手を持っていき、そのまま胸のほうにグッと突き上げる
怒りがお腹の底から爆発するようなイメージで行うとわかりやすいでしょう。
手話で相手への思いを表現する方法
続いて、手話で相手の思いを表現する方法を紹介します。好きや嫌いの表現は、相手に思いを伝える時だけではなく、ご飯を食べる際や何か行動する場合でも使えるものです。幅広い用途で使えるので、覚えておくと便利でしょう。
「好き」の表現方法
- 片手の親指と人差し指を開き、あごの下にもっていく
- 親指と人差し指の先をくっつけるように、下に引く
「好き」という意味以外にも、「〇〇してほしい」と相手に要望を伝えるときも、この表現を使います。
「嫌い」の表現方法
- 親指と人差し指を閉じたまま顎の下に持っていく
- 親指と人差し指の先端を離すように開きながら胸の下まで引く
「嫌い」の手話は、「好き」の手話の逆の動きをするのが特徴です。「好き」の手話は、親指と人差し指を開いて閉じていましたが、「嫌い」の場合は逆に閉じた状態から開いていきます。
また、「〇〇したくない」というときにも、こちらの表現を使います。
「幸せ」の表現方法
- 親指と人差し指の間にあごを近づける
- そのままあごを包むようなイメージで下に引きながら指を閉じる
「好き」を意味する手話では親指と人差し指のみでしたが、「幸せ」を表現する場合は5本指を使います。
「幸せ」を意味する手話の動きは、「好き」の動きと似ているので、セットで覚えやすいです。
「かっこいい」の表現方法
- 片手の指を軽く曲げる
- 相手のほうに手のひらを向ける
- そのまま手首をくるっと返して顔の後方に持っていく
猫の手をイメージすると分かりやすいかもしれませんね。
「面白い」の表現方法
- 両手で拳を作り、小指側がお腹に向くようにセットする
- そのまま2〜3回程度、軽くお腹を叩く
交互に叩いても、同時に叩いても同じ意味になるので、自分がやりやすい方法で覚えて大丈夫です。
手話で自分の感情を表現する方法
続いて自分の感情や欲求を相手に伝える手話を紹介します。自分の感情や欲求を伝える手話を覚えれば、グッと表現の幅が広がるでしょう。
「笑顔」の表現方法
- 親指以外の4本の指をくっつける
- そのまま顔の側面に沿うように持っていく
- 頬を親指とその他4本の指で包むようなイメージで、閉じながら横に話していく
- 2〜3回繰り返す
顔の横で三角を作るようなイメージで行うと分かりやすいでしょう。
「元気だよ」の表現方法
- 胸の前で拳を作る
- そのまま2回程度、上下させる
「元気」の他にも、「頑張る」「張り切る」などの意味でも使用できます。
「難しい」の表現方法
- 片手の親指と人差し指の先を合わせる
- 頬の横に持っていき、つねるように捻る
「難しくてできない」「〇〇だから難しい」などの表現もできます。
「おいしい」の表現方法
- 片手の手のひらを頬に当てる
- 2階程度ぽんぽんと頬を叩く
「お腹が空いた」の表現方法
- 手のひらを自分側にして胸の前でセットする
- そのままお腹にかけて手のひらでえぐるように沿わせる
最後は手のひらが床を向くようにしましょう。
「おめでとう」の表現方法
- みぞおちくらいの高さで両手に拳をつくる
- パッとお花が咲くようなイメージで手を開く
手話で日常会話を表現する方法
挨拶や「お疲れ様」「ありがとう」などは、日常生活でよく使う言葉でもあります。手話を覚える際は何から始めればいいか分からないと迷ってしまうでしょう。
まずは、使用する機会の多い日常会話の手話を覚えてみるといいです。早速日常会話で使用できる手話を紹介します。
挨拶の表現方法
挨拶は最もよく使用する言葉といっても過言ではありません。挨拶の手話には基本の形があります。
挨拶の基本の形
- 両手の人差し指を向かい合わせる
- お辞儀をするように人差し指をを曲げる
基本の形に、朝・昼・夜の時間帯を表す手話を組み合わせることで、「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」を表現できます。
おはようの場合
- 片手でこぶしを作り、こめかみからあごに向かって手を下げる
- 両手の人差し指を向かい合わせて、お辞儀をするように曲げる
こんにちはの場合
- 人差し指と中指を合わせる
- 額の中央に人差し指を当てる
- 両手の人差し指を向かい合わせて、お辞儀をするように曲げる
自分の顔を時計に見立てて、時計の長針と短針が「12」を指している場面をイメージすると、分かりやすいでしょう。
こんばんはの場合
- 肘を曲げて両手を開く
- 手のひらを相手側に向けながら顔の前で交差させる
- 胸の前まで下げて手のひらと甲を重ね合わせる
- 両手の人差し指を向かい合わせて、お辞儀をするように曲げる
「ありがとう」の表現方法
- 片方の手の平を下に向けて胸の前で固定する
- もう片方の手で固定した手の甲に垂直に当てて、上に上げる
同時に頭を下げることで、より強く感謝の気持ちを伝えられるでしょう。
「すみません」の表現方法
- 親指と人差し指で眉間を軽くつまむ
- 手を垂直にして顔の前に出す
同時に頭を下げることで、「申し訳ありません」という深い謝罪を表現できます。
「お疲れ様です」の表現方法
- 胸の前で片方の手の甲が上になるように拳を作る
- もう片方の手でも拳を作り、固定した方の手の手首あたりを2回軽く叩く
困ったような表情をすると、「面倒」「大変」などの意味になるので注意してください。
「さようなら」「また今度」の表現方法
「さようなら」は普段私たちがしているジェスチャーと同じです。手のひらを相手に向けて左右に振るだけなので分かりやすいですね。
「また今度」を表す手話は次の通りです。
- 片方の手で拳を作る
- 手首を自分の胸の方に90度傾けて胸の前で横にしたまま、ピースサインを作る
- 両手の人差し指を立てて、近づけるように重ねる
「分かりました」「分かりません」の表現方法
「分かりました」は、片方の手を胸の前に持っていき、そのまま2回叩くことで表現できます。
「分かりません」は片方の手で肩を2回程度払うことで表現できます。
本格的な手話を習いたいなら教室に行こう
今回は一部ではありますが、日常生活で使える手話を紹介しました。しかし、手話はもっと奥が深く、いろいろな表現方法があります。本格的に手話を習いたいなら、手話教室に参加してみましょう。手話教室に通うことで、2つのメリットが得られます。
- 初心者関係のところが多いため、気軽に通いやすい
- 実践を通して学べる
それぞれのメリットを見ていきましょう。
初心者歓迎のところが多いため、気軽に通いやすい
手話教室には「初心者歓迎」のところが多いです。手話教室に入会しても馴染めないのではないかと不安を感じている方もいるでしょう。しかし、同じ興味を持った方が手話教室には集まっているので、はじめての方でも通いやすい環境が整っています。
また、手話教室にはいろいろな方が通っています。手話を学ぶのがはじめての方や聴覚障害者の方、手話に詳しい方など、いろいろな方と知り合えるチャンスが豊富なのも大きなメリットです。普段は知り合う機会が少ない方と出会えるので、交流の幅が広がります。
手話を学ぶのがはじめての方と出会えれば、同じスタートラインから始められるので、切磋琢磨しあいながら学べるのも魅力的です。練習を重ねるごとに、お互いできる手話が増えてくるので楽しみながら手話で会話ができるでしょう。手話の練習を通すことで、趣味仲間と自然に絆が深まっていくかもしれません。
実践を通して学べる
手話教室に通うことで、実践を通して学べます。座学だけではなかなか覚えづらいことも、実践を通すことで、目で見て、体験して、情報をインプットできるので動きが身に付きやすくなります。
手話は練習を重ねることで自然に体が覚えて、身に付いていくものです。最初は難しいかもしれませんが、同じことを学ぶ仲間が周りにたくさんいるので、楽しく学べるでしょう。
まとめ
手話は立派な言語の一つです。理解するまでには時間がかかるかもしれませんが、経験を重ねることで自然と身についていくでしょう。
手話を覚えることでコミュニケーションの幅が広がり、より多くの方との人脈を広げられます。近年ではオンライン授業など、気軽に学べる手話教室もあるので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?
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