屋根の雪に関しては、落雪被害が毎年多く報告されているため、慎重に対処する必要があります。とはいえ、どのように屋根の雪を下ろせば良いのか、万が一トラブルが起きた場合はどう対処すればよいのか、迷っている方も多いでしょう。
本記事では、屋根の雪の対策や正しい雪下ろしの手順などをご紹介します。トラブル事例や対処法なども解説していくので、ぜひ参考にしてください。
屋根の積雪を放置するとどうなる?
屋根の積雪を放置すると、建物が倒壊したり、落下した雪に埋まって圧死・窒息死したりするリスクがあります。
雪といえば柔らかくてふわふわしたイメージを持っている方もいるでしょう。 しかし、雨が降ったり、雪が溶けたりすると水分が増えます。 雪は水を含むと重量が増えて固まり、鈍器にも変わるほど危険なものに。 泥団子をイメージするとわかりやすいかもしれません。
また、落下する際のスピードも合わさると、より危険な凶器にもなり得ます。 そのような危険なものを放置するのは、どれほどリスクがあるのか、以下で詳しくみていきましょう。
屋根の積雪が原因でトラブルに発展することも
屋根の積雪を放置しておくと、さまざまなトラブルに発展する可能性があります。 場合によっては近隣住民や家のそばを歩いていた人にも被害が出るケースがあるため、迅速に対処することが大切です。
隣の家からの落雪によるトラブル事例
隣の家からの楽雪によるトラブル事例には、以下の3つが考えられます。
- 物損事故
- 人身事故
- 敷地の占拠
以下で、それぞれのトラブル事例を詳しく見ていきましょう。
<物損事故>
落雪が起きると、自宅の庭にある家財道具や車などが破損する可能性があります。窓のサッシや植木鉢などが壊れるのも大変なことですが、特に屋根や雨樋(あまどい)が破損すると、雨漏りしやすくなってしまいます。
雨漏りしやすくなると、床が水浸しになったり、家が腐りやすくなったりする可能性もあります。 落雪はただ物を壊す危険性があるだけではなく、二次被害に発展する可能性もあるので、十分な注意が必要です。
<人身事故>
屋根から落ちてきた雪が原因で、近くを歩いていた人が怪我をしてしまう可能性があります。 雪の多さによっては、死亡事故に発展してしまうかもしれません。 屋根の雪の対処が遅れてしまえば、重大なトラブルになりかねないため、早急な対応が重要です。
<敷地の占拠>
自分の家の屋根から落ちた雪が、隣の敷地内に入ってしまった場合は、相手の敷地を占拠してしまいます。 雪の量によっては、生活に影響が出ることもあるでしょう。
特に、入り口や門周りなどに雪が落ちた場合は、雪かきをしてから出なければいけないので、相手に多大なる迷惑をかけてしまいます。 ものが壊れたり、怪我を負わせたりした場合でなくても、ご近所トラブルになる可能性があるため、注意が必要です。
落雪のトラブルと民法の関係性
落雪のトラブルに関しては、以下の民法が定められています。
第218条
雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止 「雨水」には雪も含められている 落雪や溶けた雪の水が隣地に入らないために、対策を行うことが推奨されている
第709条
不法行為による損害賠償 落雪対策を怠り、近隣に悪影響を与え過失があると認められた場合、損害賠償の可能性がある
第717条
土地の工作物等の占有者及び所有者の責任 落雪対策に不具合があった場合、また、施工不良があった場合も損害賠償の責任を負う可能性がある
民法でも落雪対策をとるように推奨されています。 落雪対策をとっていない、また対策をとっていても不具合があった場合は、過失が認められて損害賠償を請求される可能性があります。 これからも付き合いがある近隣住民とのトラブルのリスクもあるため、迅速な対応が大切です。
落雪トラブルで損害賠償は請求できる?
隣の屋根から雪が落ちてきてトラブルに発展した場合は、責任のある隣家に損害賠償を請求できます。
証拠の提示が必要になる場合もあるため、被害を受けた箇所は写真や動画に残しておきましょう。
証拠があると有利になる可能性が高まります。
ただし、落雪対策が行われていたにもかかわらず不可抗力でトラブルが起きた場合や、雪下ろしを定期的にしていた場合は、損害賠償を請求できないこともあるため、注意してください。
屋根の積雪対策
落雪被害を出さないためにも、屋根の積雪対策をしておく必要があります。 積雪対策の種類によって、費用や内容などが異なるため、自分の家に合っているかを確かめた上で検討してみてください。
雪止めの設置
手軽な方法としておすすめなのが「雪止め」の設置です。 雪止めを設置することで、大量の雪が一気に落ちるのを防ぎます。 雪止めは、比較的積雪量が少ない地域におすすめの方法です。 大量の積雪だと、雪止めを設置していても制御できない場合があるので、別の対策をした方が良いでしょう。
雪止めの設置にかかる費用相場は、約7〜40万円です。 施工会社や設置する範囲、雪止めのタイプなどによっても費用が異なるため、まずは見積もりを出してもらいましょう。
無落雪屋根へのリフォーム
積雪量が多い地域に住んでいる場合は、無落雪屋根のリフォームがおすすめです。 屋根の下に雪が落ちないように設計されており、雪下ろしの必要もなくなるのが大きなメリットです。 無落雪屋根には大きく分けて、V字形になっているスノーダクトタイプと、平面のフラットルーフタイプの2種類があります。
しかし、屋根全体を変えなければいけないため、費用相場は約100〜300万円と高額になってしまいます。 また、太陽光パネルの設置も難しいため、これから太陽光パネルを考えている方は別の方法を検討しましょう。
落雪設備・融雪設備の導入
積雪量が多い地域の方は、落雪設備や融雪設備の導入もおすすめです。 融雪設備とは、内部にヒーターを設置することで、屋根の表面の雪を溶かすものです。 ヒーターで雪が溶けるため、雪下ろしの手間が省けます。 下ろした雪のスペースも確保しなくて良いため、大雪でも敷地内が雪で埋め尽くされる心配は少ないでしょう。
設置費用の相場は約150〜300万円です。 しかし、融雪機能を使う場合は電気代がかかります。 設置費用だけではなく、月々の電気代もかかるので、慎重に検討することが大切です。 落雪設備では、屋根の頂上にヒーター線を収納した金属パイプを設置します。
雪が積もると金属パイプが働き、頂上の雪を溶かして落雪させる設備のことです。 落雪設備の場合は溶かして雪を下ろすものではなく、強制的に落雪させる設備のため、ある程度のスペースが必要です。
こちらもヒーターを使って落雪させるため、電気代がかかります。 設置の費用相場は約30万円です。 また、すぐ隣に家がある方の場合は、落とした雪が隣地に入ってしまう場合があるので、おすすめできません。
自分で屋根の雪下ろしをするなら?
屋根は滑りやすくだけではなく、勾配があるためバランスも崩しやすいので、気をつけなければいけません。 足場も狭くなるため、事故に巻き込まれたり、転倒したりなどの報告が相次いでいます。 自分で雪下ろしをする場合は、何よりも安全確保を第一優先としてください。
1.まずは雪下ろしする目安を把握する
築年数が古い物件ほど、早めの雪下ろしが必要だと言われています。 建物が軋んでいたり、雨が降って雪の重量が重くなったりした場合は、すぐに雪おろしを始めましょう。
2.雪下ろしに必要な項目をチェックする
雪下ろしを行う際は、以下の項目をチェックしてください。
- 作業人数
- 雪下ろしの必要な状態かどうか
- 気温
- 装備
雪下ろしには危険が伴うため、必ず上記の4つのポイントを確認してからおこないましょう。 雪下ろしに必要なものは、スコップ・スノーダンプ・ラッセル・手袋・軍手 滑り止めがついている長靴などです。
3.雪下ろしスタート
雪下ろしは以下の順番で行っていきます。
1.足場の確保
まずは、足場を確保してください。 屋根は滑りやすく、バランスを崩しやすいので、しっかりとした足場を確保することが大切です。
はしごで屋根に登る時は、1人での作業は避けましょう。 複数人で協力して、安全第一で行ってください。
2.命綱をつなぐ
屋根からの転倒を防ぐために、命綱をハーネスとつなぎましょう。
3.雪下ろしする
雪下ろしを一気に行うのは避けてください。 一気に下ろすと足場が滑って転倒や転落のリスクが高まってしまいます。 滑らないように雪を残しながら、少しずつ下ろしていきましょう。
雪かき・雪下ろしのプロを探す
屋根の雪下ろしは自分で実施もできますが、転倒、転落などの危険が伴うため、プロに依頼するのがおすすめです。プロに依頼すれば、近隣トラブルにも配慮した上で安全に雪下ろしをしてくれます。
怪我やトラブルのリスクを避けるためにも、ぜひゼヒトモでプロの業者を探してみてください。
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