世界三大香辛料のひとつである唐辛子は、世界中の料理で使用されています。原産は中南米で、メキシコでは紀元前5,000年前より使われていました。
日本には16世紀の半ば、ポルトガルの鉄砲と一緒に入ってきたと言われています。当時の外国の代名詞である「唐」から来た辛子ということで「唐辛子」という名前が付きました。
唐辛子というと辛いものばかりと思いがちですが、ピーマンやパプリカなども唐辛子の仲間です。
唐辛子の年間スケジュールは?
唐辛子は原産地が中南米ということもあり、高い温度を好みます。そのため唐辛子を育てる時期は、春から夏にかけてが適しています。
唐辛子は種から苗に育つまで65日~80日かかります。そして苗から収穫までが約1ヶ月半から2ヶ月、つまり、 種から育てるのであれば4ヶ月ほどかかります。
1.種まき
唐辛子は、種から定植できる苗に育つまで2ヶ月以上かかります。そのため種まきは4月初旬にするのが良いでしょう。
2.育苗
種まきして1週間ほどで発芽します。健康な芽を選んでポットに移し、保温に気を付けながら約2ヶ月かけて定植苗に育てます。
3.開花
株丈15~18㎝の定植苗に育ったら畑に植え付けします。それから約1ヶ月~1ヶ月半で開花します。
4.収穫
唐辛子が開花してから2、3週間で収穫敵期となります。4月に種まきしてから収穫できるまで約4ヶ月、7月下旬から8月にかけて収穫できるようになります。
唐辛子の栽培における各ポイント
1. 日当たりや場所
唐辛子は寒さに弱く、暑さに強い植物です。種まきから始める場合は遅霜に注意し、日当たり・水はけの良い場所で育てましょう。
2. 水やり
唐辛子は根を浅く張るため、乾燥には弱い植物です。朝夕たっぷりと水をやってください。土壌の乾燥を防ぐために、敷きワラや保湿効果の高いピートモスなどを敷いておくのも良いでしょう。
3. 肥料
唐辛子の定植用畑には、苗植え付けの1週間前に化学肥料と堆肥を混ぜたものを、畑全体に撒いておきます。
そして植え付け後は、2週間おきに追肥を行います。
4. 用土
唐辛子畑の用土は、赤玉土6、腐葉4の割合の土に堆肥を混ぜた土を用意してください。
もし自宅にある土を利用する場合は、定植苗植え付けの2、3週間前に苦土石灰を土に混ぜアルカリ性の用土にしておきましょう。
5. 病気や害虫
唐辛子がかかりやすい病気としてモザイク病があります。モザイク病は葉などに濃淡のまだら模様ができ、株や葉が縮れたり、枯れたりします。モザイク病にかかった葉を見つけたら、他への感染を防ぐため直ぐに摘み取りましょう。
また唐辛子を好む害虫にアブラムシなどがいます。こちらも見つけ次第に駆除しておきましょう。
唐辛子の栽培ステップ
1. 種をまく
育苗箱またはプランターに、2cm間隔で深さ1cmくらいのところに種を撒きます。種をまいてから1週間ほどで発芽しますので、本葉1、2枚でポットに植え替え定植できるまで苗を育てます。
もちろん最初からポットで育ててもかまいません。その場合は直径3cm深さ1cmくらいのところに、2、3粒づつ種まきしてください。そして1箇所から数本芽が出た場合は、健康な芽をひとつ残し他は間引きしましょう。
2. 植える
ポットに移植してから70~80日くらい、株丈が15~18㎝になったら定植用の畑に植え付けます。それぞれの株間は25㎝以上間隔をあけて植えてください。株間が狭いと光量不足や風通しが悪くなって、生育に影響します。
3. 水やりと追肥
唐辛子は乾燥に弱いので、土の表面が乾いたらたっぷり水をやってください。
特に夏場にかけては土が乾きやすくなるので、敷き藁などを利用すると良いでしょう。定植用の畑に植え付けした後は、2週間に1度、化成肥料を株元に撒いてください。
4. 支柱で誘引
植え付け直後の唐辛子の茎は細いため、風などで倒れやすい状態です。転倒防止のために早めに支柱を立てておくと良いでしょう。細く折れやすい茎なので、茎に回した紐を8の字に交差させて支柱に誘引してください。また1番花が咲いて側枝が伸び始めたら整枝を行い、本支柱以外にも側枝を支える3本仕立てにしてください。
5. (必要であれば)剪定
1番花が咲き側枝が伸び始めたら、それより下の勢いの良い側枝2、3本を残して、他は切り取ってしまいましょう。そして1番果は必ず摘みとるようにしてください。そのまま残してしまうと株全体の生育に影響がでます。
6.収穫のタイミングと方法
定植畑に植え付けてから約2ヶ月、種まきから4ヶ月して収穫になります。赤く色づいたものから順次収穫していきます。収穫の際は手で千切りとらないで、ハサミやナイフでヘタのすぐ上を切り取るようにしましょう。
唐辛子を育てるメリットと栄養素3つ
1.カプサイシン酸
唐辛子の栄養素といえば、やはりカプサイシン酸です。カプサイシン酸は体温を上昇させ脂肪を燃焼します。更に食欲増進や消化促進にも効果があり、食欲が落ちる夏などにはオススメの香辛料です。
2.βカロテン
βカロテンはプロビタミンAとも呼ばれ、体内でビタミンAに変換される栄養素です。体内の粘膜を正常に保ち、抗発ガン作用や免疫賦活作用があります。唐辛子には、このβカロテンが多く含まれています。
3.ビタミンC
意外かもしれませんが、唐辛子にはビタミンCが豊富なのです。そのため肌荒れや疲労回復に効果があります。他にビタミンEなども多く含まれ、抗酸化作用があるため動脈硬化など生活習慣病にも効果があります。
唐辛子がおいしい!にんにくを使って作れるメニュー3つ
1.ペペロンチーノ
正式名「アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」、通称ペペロンチーノはパスタの基本とも言える料理です。アーリオはにんにく、オーリオはオリーブ油、ペペロンチーノは唐辛子の意味で、少ない材料で美味しいパスタが作れることから、別名「絶望のパスタ」とも呼ばれているそうです。
2.キムチチゲ
冬の定番料理キムチチゲは韓国の家庭料理です。韓国は、シベリアからの寒気が流れ込むため、冬はかなり冷え込みます。その寒さの中で育った独特の漬物文化が、唐辛子・にんにくで白菜などの野菜を漬けて作るキムチ。白菜キムチと魚介類や肉類を一緒に煮込んで食べるキムチチゲは、体が温まります。
3.パッタイ
最近はタイ料理を中心に、エスニック料理が大人気ですね。中でも女子に人気なのがタイの焼きそば・パッタイ。刻みにんにく、唐辛子、もやし、エビなどの魚介類、砕いたピーナツなどを、太めのビーフンと一緒に炒めた焼きそばに、パクチーをたっぷり載せていただきます。
最後に
成人病予防や抗がん作用、ダイエットにも効果があると、ますます注目されている唐辛子。自宅で育てる場合は、種から育てるより苗を買ってきて植え付けから始める方が、手軽にできてオススメです。
唐辛子は収穫まで長い期間かかるので、じっくりのんびり育ててください。
フラワーアレンジメント関連の最新記事
鮮やかなグリーンの葉の中に咲く真っ白な花、そのコントラストが美しいスパティフィラム。 スパティフィラムという名前はあまり有名ではありませんが、カラーや水芭蕉に似ている観葉植物として、一度は目にしたことがあると思います。 […]
ピリッと舌が痺れる爽やかな辛さと豊かな香りを持つ山椒は、日本で古くから親しまれてきた香辛料のひとつ。 山椒は旬が短く、また殺菌・防腐作用があることから、佃煮や味噌などの長期保存できる料理に使用されてきました。鰻の蒲焼きな […]