お墓をきれいに保つためには、定期的な墓石クリーニングが必要です。墓石クリーニングは墓参りの際などに自分で行うこともできますが、時間がない場合には業者に依頼することもできます。
本記事では、墓石クリーニングを自分で行う方法について解説します。また、業者が実施できるクリーニング作業もご紹介しますので、墓石クリーニングを業者に頼むか迷っている方はぜひ参考にしてください。
墓石クリーニングを自分で行う方法
故人が眠る墓石は雨や風にさらされているため、普段から手入れが必要です。お線香の跡など墓石周りの掃除も欠かせません。
しかし、長年が経過すると掃除だけでは落としきれないコケやカビ、シミ、水垢など何種類もの汚れ等が付着してきます。洗剤などを使って汚れを除去し、墓石に彫刻された文字などをきれいに保つことが必要です。
ここでは、墓石クリーニングを自分で行うために必要な準備や手順などを解説します。
墓石クリーニングに必要な準備
墓石クリーニングを自分で行う場合、以下の準備が必要です。
- 雑巾など:水拭き・乾拭き用に各2枚ずつ用意する
- バケツ:水を入れて運びやすいものを選ぶ
- スポンジ:柄付きが便利・墓石を傷つけない柔らかいものを選ぶ
- ほうき・ちりとり:セットになっているものを選ぶと便利
- ブラシ:彫刻文字や蓮華など溝の細かい部分の掃除用・柔らかい毛を選ぶ
- 軍手・ゴム手袋:軍手は草むしり用・ゴム手袋は水仕事用
- 剪定バサミ:お墓周辺の植栽を整える
- ヘラ:コケを落とす。小さいものが使いやすい
- ゴミ袋:ゴミを入れるほか、掃除道具の持ち運び用に複数枚用意する
墓石クリーニングの手順
墓石クリーニングの手順は、以下のとおりです。
- お墓周りの植栽を整える
- コケの除去・雑草をむしる
- 墓石の埃を除去し、周辺の掃除をする
- 草木や雑草、ゴミなどを集めてゴミ袋へ入れる
- 墓石に水をかけ、雑巾で拭く
- 墓石に錆などがあれば、墓石用の洗剤で洗浄する
- スポンジで花筒や線香皿を洗う
- 墓石を全体的に水で洗い流す
- 乾拭きする
お墓は、基本的に水洗いで掃除します。高いところから下のほうに向かって水をかけ、雑巾ややわらかいスポンジで水拭きをしてください。汚れは水分につきやすいため、洗ったあとは雑巾やタオルなどで乾拭きします。
墓石クリーニングをする際は周辺に気を配り、マナーを守って実施しましょう。ゴミを捨てる場所も事前に確認し、管理事務所などがある場合は墓石クリーニングを行うことを伝えておくことが重要です。
墓石クリーニングには高圧洗浄機がおすすめ
お墓の場所が遠いなどで墓石クリーニングの頻度が少ない場合は、高圧洗浄機の使用がおすすめです。長い間掃除できていないと、墓石に汚れがこびりついたり、カビやコケが生えたりすることもあるでしょう。しつこくなった汚れを手作業で落とすのは非常に困難です。
高圧洗浄機であれば高い圧力で汚れを洗い流し、手作業では落ちにくい頑固な汚れも落とすことができます。広い範囲も簡単に洗浄できるため、1台用意しておけば効率的な墓石クリーニングが可能です。
墓石に付着しやすい汚れを把握することも大切
墓石には、日々のほこりや花粉、鳥のフンなどの汚れが付着しやすくなります。汚れは水が溜まりやすい部分に集まりやすく、特につなぎ目や細かい溝は汚れやすい箇所です。
墓石に付着しやすいのは、主に以下のような汚れです。
水垢・黒ずみ | 水分の溜まりやすい部分や、掃除が行き届きにくい墓石の繋ぎ目などにホコリや花粉などが溜まることでできる汚れ |
コケ・カビ | 陽当たりの悪い場所など湿った環境の場合、石に菌が付着しコケやカビが発生しやすくなる |
シミ | お墓参りのお供え物を放置したり、落葉が腐食したりして付着する汚れ |
虹彩現象(虹ヤケ) | 墓石に付着したホコリや大気中の成分が乱反射し、墓石の表面が虹色に見える現象。虹ヤケとも呼ばれる |
墓石クリーニングは業者に依頼できる
除去しにくい墓石の汚れは、専門業者に依頼することできれいに掃除が可能です。業者はプロ用の洗浄機材などを使い、石材の頑固な汚れを一気に除去してくれます。
自分で行う墓石クリーニングとは、どのように違うのか見ていきましょう。
自分でやる墓石クリーニングとの違い
墓石クリーニングを自分で行う場合と業者に依頼した場合では、使用する洗浄機材や器具、洗剤などが異なります。業者には墓石クリーニングに関するノウハウもあり、自分では落とせなかった汚れの除去も期待できます。
ただし、依頼する際は必ず墓石クリーニングの専門業者であるかの確認が必要です。業者の概要だけでなく、実績も併せてチェックしておきましょう。
墓石に関する知識・ノウハウのない一般のクリーニング業者に依頼してしまうと、墓石に合わない道具や洗剤・薬品を使用して石材を傷つけられてしまう可能性があります。業者に依頼する場合は、慎重に選ばなければなりません。
墓石クリーニング業者が実施できる作業
墓石クリーニング業者には、石塔・竿石を磨くなどさまざまな作業・洗浄を依頼できます。具体的に依頼できる作業としては、墓地の区画内の掃除やコーティング、ひび割れの補修など部分的なメンテナンス清掃などがあげられます。
定期的なクリーニングを依頼すれば、墓石をきれいに保てるため安心です。ここでは、墓石クリーニング業者が実施できる作業をご紹介します。
石塔・竿石クリーニング
墓石クリーニング業者は、石塔・竿石など石材を用いた場所のクリーニングを行います。石塔とは、お墓を構成している石の中で中心となる石の部分です。一般的に、竿石・上台・中台・芝台という4つの大きな石で構成されています。一番上にある竿石は「〇〇家」などの彫刻が施されている部分です。
クリーニングでは、これら石材部分に付着する水垢やサビ、コケなどの除去を実施します。仕上げには本磨き・水磨きなど、石材の質に応じた適切な処理が行われるのが一般的です。
外柵クリーニング
外柵とは、隣接する墓所との境界を明確にするための外枠のことです。地崩れや陥没を防ぐ役割も果たしています。
外柵は汚れが目立ちやすい場所ですが、広範囲になるため自分で掃除するのは大変です。特に広い外柵の場合は、業者に依頼することで効率的に洗浄できます。
業者に依頼した場合は洗剤や高圧洗浄などを使い、経年によりこびりついた頑固な汚れのクリーニングも可能です。外柵クリーニングでは草刈りを無料で行う業者もあるため、事前に確認してみるとよいでしょう。
墓誌クリーニング
墓誌とは、故人の戒名や没年月日が彫刻された石板のことです。石塔に戒名を彫刻するスペースがなくなったときに設置します。墓誌に汚れが付着すると戒名が見にくくなるため、定期的なクリーニングが必要です。
クリーニングでは墓石を傷つけない専用の薬剤を使用するため、頑固な汚れを浮かしてきれいにできるというメリットがあります。
戒名の彫刻された溝の細かい部分は丁寧な洗浄が必要であり、墓石クリーニングの業者に依頼すれば、高圧洗浄機などを駆使してきれいにすることができるでしょう。
区画内の掃除
墓石の洗浄だけでなく、区画内の掃除も依頼できます。雑草の処理やゴミ・落ち葉の清掃だけでなく、業者によっては花立・香炉の清掃などの依頼も可能です。
オプションで除草剤の散布やお花・お線香のお供えを行っている業者もあるため、確認してみるとよいでしょう。
墓石クリーニングと区間内の掃除をまとめて定期的な管理を依頼すれば、料金が安くなる場合もあります。定期的なクリーニングを依頼することで、お墓をきれいに保てるので、ぜひチェックしてみてください。
墓石のコーティング
石塔をクリーニングしたあと、コーティングを依頼することもできます。
墓石は常に雨風や紫外線にさらされているため、きれいにクリーニングしてもまたすぐに汚れてしまいます。しかし、コーティングを行えば汚れが付きにくくなるため、ツヤのあるきれいな状態を長く保つことができるでしょう。普段のお手入れも楽になります。
コーティングには紫外線を吸収する効果もあり、墓石の色褪せを防ぐことが可能です。水との親和性が高いコーティング剤を使えば、雨が降ったときに汚れを自然に流すことができます。
外柵撥水のコーティング
外柵の汚れを防ぐコーティングもできます。外柵は汚れが目立ちやすいところですが、撥水コーティングを施すことで汚れがつきにくくなり、掃除も簡単です。墓石のコーティングを合わせて行えば墓周り全体の清掃が楽になり、業者に依頼する頻度も減らせるでしょう。
コーティングの費用は、外柵の面積により変動します。コーティングは自分で行うこともできますが、その際は墓石用のコーティング剤を購入しなければなりません。きれいにコーティングするのが難しいようであれば、業者に依頼することをおすすめします。
ひび割れの補修
紫外線や風雨にさらされている墓石は、経年劣化でひび割れを起こしている可能性があります。業者にクリーニングを依頼する際は、ひび割れ等のメンテナンスも一緒に行うとよいでしょう。
ひび割れの補修では、主に接着剤やシリコン系のコーキング剤を使った施工が行われます。
専門業者では、ほかにもお墓の傾きや目地直し、彫刻部分の色入れ直しといったさまざまなメンテナンスに対応しています。クリーニングと同時に依頼すれば、お墓をよりきれいに保てるためおすすめです。
墓石クリーニングの費用相場
墓石クリーニングの費用相場は、以下のとおりです。ぜひ、依頼する際の参考にしてください。
石塔・竿石クリーニング | 約1万5,000円前後 石材の大きさ・建立年数により価格は変動する |
外柵クリーニング | 1㎡あたり約5,000円〜 仕上げる面積により価格は変動する |
墓誌クリーニング | 約5,000円〜 面積により価格は変動する |
区画内の掃除 | 1㎡あたり約5,000円〜 面積により価格は変動する |
墓石コーティング | 約3万円〜 墓石の大きさや建立年数、コーティング剤の耐用年数などで価格は変動する |
外柵撥水コーティング | 1㎡あたり約5,000円〜 仕上げる面積により価格は変動する |
ひび割れの補修 | 1ヵ所につき約1万円程度 |
墓石クリーニングは自分で?業者で?
墓石クリーニングを自分で行うか、代行業者に依頼するかは迷うところです。自分で行えば費用は抑えられるものの、手間がかかります。業者であれば、電話対応で気軽に施工を依頼でき、安心して任せられるのがメリットと言えるでしょう。
ここでは、墓石クリーニングを自分でやる場合と業者に依頼する場合、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
墓石クリーニングを自分でやるメリット
墓石クリーニングを自分でやるメリットは、費用を最小限に抑えられることです。お墓が近く、掃除をする時間も十分にとれるという場合には、費用をかけずに自分で行う方がメリットが高いといえるでしょう。
自分で墓石クリーニングをすることには、納得できるまでお墓をきれいにできるというメリットもあります。また、お墓は先祖への感謝の気持ちを込めながら自分で行うことに意味があると考える方もいるでしょう。
墓石クリーニングを自分でやるデメリット
墓石クリーニングを自分でやる場合、費用がかかるとともに労力や手間がかかるというデメリットがあります。効率の良い方法がわからず、汚れがひどい場合は落とせないこともあるでしょう。「時間をかけてもあまりきれいにならなかった」という結果にもなりかねません。
また、墓石は適切な道具や洗浄剤で洗う必要がありますが、合わない道具や洗剤を使うと墓石を傷つけてしまうこともあります。マナーを心得ていないと、周りに迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。
墓石クリーニングを業者に依頼するメリット
墓石クリーニングを業者に依頼する場合、プロの技術で汚れを確実に落とせるのがメリットです。高圧洗浄機など汚れを落としやすい道具や墓石専用の洗剤を使用してくれるため、墓石を傷つける心配もありません。
落ちにくいサビなどは専用の薬品で除去してくれるなど、費用をかけただけの成果が得られます。
忙しくてお墓を管理する時間がとれない人にとって、労力や手間をかけずにお墓をきれいにできるというのは大きなメリットでしょう。
墓石クリーニングを業者に依頼するデメリット
業者に依頼すると効率的に墓石の汚れを落とせますが、高い費用がかかるのはデメリットです。また、実績がある良い業者を探すことにも労力がかかります。
良い業者が見つかれば良いですが、誤って墓石クリーニングに慣れない業者に依頼してしまうと、費用をかけたのに満足のいく仕上がりが得られない可能性があります。かえって傷やシミが残ってしまうこともあるでしょう。
ただし、「お墓が遠方にある」「忙しくて掃除をする時間がない」という場合には、業者に依頼するのがおすすめです。良い業者を見極められれば、費用対効果は高いといえるでしょう。
業者へ依頼する方必見!悪徳業者の見極め方
墓石クリーニングを業者に依頼する場合は、悪徳業者に注意する必要があります。悪徳業者を見分けるには、まず見積書を依頼しましょう。その際、以下の項目に着目してください。
- 見積書は詳細な内訳があるか
- 施工についての説明が記載されているか
見積書に明細の記載がなく、費用一式としている場合は悪徳業者の可能性があります。具体的にどのような作業を行うかの記載がない場合も要注意です。
見積もりに作業ごとの明細が記載され、金額の根拠を明確に示してくれる業者を選ぶようにしましょう。
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今回の記事では、自分で墓石クリーニングをする方法や業者に依頼するメリット・デメリットをご紹介しました。墓石クリーニング業者に依頼することで、ご先祖のお墓をきれいに維持することができます。費用はかかりますが、遠方に住んでいる方やお墓を適切に管理したい方は業者に依頼するのがおすすめです。
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