和室天井をリフォームするため、天井板をクロスで張り替えるとおしゃれな雰囲気を演出できます。クロスの他にも木材を使用したさまざまな張り方の種類で空間は見違えますよ。本記事では和室天井張り替えの費用相場や天井材の種類、張り方の種類などについて解説した上で、初心者にもできるDIYの方法を紹介します。
想いを形に工房
和室の天井を張り替える方法
リフォームするにあたって採用できる和室の天井は、主に7種類あります。どのような方法を選ぶかによって見た目の印象や部屋の雰囲気が変わるため、完成図をイメージしながら選びましょう。
- 格天井(ごうてんじょう)
- 竿縁天井(さおぶちてんじょう)
- 折り上げ天井(おりあげてんじょう)
- 目透かし天井(めすかしてんじょう)=底目張り(そこめばり)
- 船底天井(ふなぞこてんじょう)
- 網代天井(あじろてんじょう)
- 掛け込み天井(かけこみてんじょう)
格天井
格天井(ごうてんじょう)は、天井面を升目に組んだ天井のことです。本来は書院や寺院、宮殿など格式を重んじる部屋で用いられていましたが、伝統的な日本家屋にも使用されています。
ただ近年は、玄関や和室に格天井を組み込む事例が増えているようです。
- 工法:6cm角程度の角材を正方形の格子状で縦横に組んで裏板を張る
- 種類:格間が小規模の格天井が「小組格天井」、天井の中央部を一段高くしたのが「折上格天井」
- おすすめの人:格式高い雰囲気に仕上げたい
竿縁天井
竿縁天井(さおぶちてんじょう)は、天井板を竿で押さえて天井を張る工法です。竿縁には杉、ヒノキが多く用いられますが、天井板は杉が使用されるのが一般的です。 竿縁天井は日本建築でもっとも使用される天井形式で、「竿淵天井」や「棹縁天井」と呼ばれることもあります。
- 工法:天井板の下に意匠として「さお縁」と呼ばれる細い角材を、30~40cm間隔で取付ける
- 種類:竿縁天井に竿を2本ずつ寄せる「吹き寄せ」、竿縁の断面が猿の頬の形に成形された「猿頬竿縁天井」などがある
- おすすめの人:格式高い印象にしたい、通気性を良くしたい
打ち上げ天井
打ち上げ天井は野縁(のぶち)と呼ばれる棒状の下地を組み、羽目板・縁甲板・石膏ボードなどを張る工法です。打ち上げ天井は、和室だけでなく洋室の天井でも使われています。
施工で天井が高くなるため、施工前に比べて、より部屋が広く感じるようになるかもしれません。
- 工法:天井下地を組んで合板または天井板などを下から打ち付け、天井板と壁面との交わるところに見切り縁を取り付ける
- 種類:「目透かし天井」とも呼ばれる
- おすすめの人:洋風の要素を取り入れた雰囲気にしたい、天井を高くしたい
目透かし天井(めすかしてんじょう)=底目張り(そこめばり)
目透かし天井は、板と板の間に目地を取り、透かして張る工法です。打ち上げ天井の一種で、一般的な住宅で多く用いられています。目地の底部分に目地板という板を敷くため、底目張りとも呼ばれます。フラットな見た目になるのも特徴です。
- 工法:天井板の継ぎ目をぴったり合わさず少し空間を持たせて張る工法
- 種類:種類:打ち上げ天井の一種。底目張りとも呼ばれる
- おすすめの人:すっきりとした印象に仕上げたい
船底天井(ふなぞこてんじょう)
船底天井は天井の中央を高くし、両端に向けて下げて仕上げる工法です。船の底をそのまま天井に張り付けたような形状をしている事から、船底天井と呼ばれています。左右への傾斜が大きいものの別名は「屋形天井」や「拝み天井」などです。
- 工法:天井の中央部分を両端より高くし、勾配をつけることで船底のような形にする工法
- おすすめの人:天井が高く感じられるため、リビングや和室など広い空間を求める人,伝統的な和の雰囲気を大切にしたい人
網代天井(あじろてんじょう)
網代天井は杉や竹などを薄く板状にしたものを、互い違いに編み込んで張る工法です。有名な「市松模様」を初めとし、「亀甲模様」「籠目模様」といった模様がランナップとして挙げられます。模様の種類が豊富でデザイン性が高いのが特徴です。
- 工法:竹や杉、檜などの素材を使い、細い木の棒を格子状に編み込んで組むことで独特の美しい模様を生み出し工法
- おすすめの人:自然素材を取り入れたい人、通気性の良い空間を作りたい人
折り上げ天井(おりあげてんじょう)
折り上げ天井は天井の一部分だけを一段高くしてつくる工法です。天井が高くなり、開放感を感じられる部屋にできます。おしゃれなデザインを取り入れたい時におすすめの天井です。
- 工法:天井の中央部分を凹ませて周辺より一段高くした工法
- おすすめの人:広がりのある空間を求める人、スタイリッシュな空間を求める人
天井板の素材
天井に使われる木材は、主に杉やヒノキ、サワラや竹などです。無垢材と呼ばれる素材は切り出した天然木を使い、木目の味わい深さを感じられるというメリットがあります。
また、左官仕上げと呼ばれる天井には漆喰が使われる事が多く、質感に特徴があり保湿性や耐熱性に優れている素材です。
他にも、天然岩を素材とした無機質系天井材は「ロックウール板」と呼ばれていて、吸音性能や防火性、断熱性などに優れています。
壁紙にも使える仕上げ材であるクロス天井材は、ビニール素材でできている事が多く、防汚性能や防カビ性能などに優れており、高い機能性を求める場合におすすめです。
天井板に使われる木材の木目
天井板に木材が使われる場合、木目は「板目(いため)」「柾目(まさめ)」の2種類に分けられます。
板目とは木材の中心以外を縦に切り出した時に表面に現れる模様です。
一方、柾目とは木材の年輪などを切り出した時に表面に現れる平行、もしくは直線状の模様を指します。
一般的なものを並柾目、模様が細いものを糸柾目、模様が粗いものを荒柾目と呼んで区別しており、板目と柾目の中間のような模様のものは流れ杢(ながれもく)という呼称です。
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木材を使った天井の張り替え費用
天井を張り替える面積 | 費用相場 |
6畳 | 5万円~12万円 |
8畳 | 7万円~15万円 |
10畳 | 8万円~20万円 |
天井の張り替え費用は、20㎡(10畳程度の広さ)の天井面積を張り替えたい場合は、8万円〜20万円程度が相場です。
6畳の場合は、5万~12万、8畳の場合は7万~15万程度が費用相場ですが、実際の費用は施工内容によっても大きく異なります。
例えば、プリント合板、天然木化粧合板、無垢木材といった材料が異なる場合は、当然値段が異なります。また、船底天井や網代天井などの天井は手間や技術が求められ、値段が高い傾向にあります。
また、天井の下地が破損していたり劣化が進んでいたりする場合は、下地も一緒に新しく張り替えなければなりません。このような時は、更に費用がかかる事もあるので施工前に注意しましょう。また、天井に木目に節が少ない無垢材を使う場合も費用が高くなります。
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張り替えだけじゃない!和室天井のリフォーム方法
天井板の張り替えは、下地の劣化状態によって費用や日数がかさむ事もあります。大規模なリフォームを避けるためにおすすめなのが、天井板に塗装を施す方法や壁紙クロスを張る方法などです。準備物はホームセンターや通販ショップなどで購入できて、張り替え工事より比較的簡単に行えるので検討してみてください。
天井板に塗装
天井の板目などを生かしつつ、部屋の雰囲気を変えたいなら、塗装を検討してみましょう。 築年数が長くなると、徐々に劣化や色褪せが目立ってきます。塗装を行うことでそれらを一新させるのも方法の1つです。天井板の塗装にかかる費用相場は、1㎡あたり1,200円ほど。ただ天井板の状態によっては、さらに費用がかかる事例もあるので注意しましょう。
【天井板の塗装工法】
- ペンキを塗りたくない箇所を養生する
- 電気を外して天井板の拭き掃除をする
- 天井板に溝がある場合はパテで埋める
- 天井板にペンキを2~3度塗りする
壁紙クロスを張る
天井の雰囲気を変えたいなら、壁紙クロスを張るのもおすすめです。天井板の上から壁紙を貼るだけなので、簡単に施工できます。またビニールクロスや織物クロスなど壁紙クロスの種類は多くあるため、自分の好きな柄や色を自由に選べるのも利点です。
壁紙クロスを貼る施行費用は、1㎡あたり900円〜1,500円ほどになります。費用相場に幅があるのは、選ぶクロスによって価格が異なるためです。 壁紙クロスはDIYすることで費用を抑えられますが、やり方を間違えると完成度が低くなります。DIYに不安がある方は、業者を選ぶといいでしょう。
【壁紙クロスを張る工法】
- 糊を塗りたくない箇所を養生する
- 電気を外して天井板の拭き掃除をする
- 天井板に溝がある場合はパテで埋める
- 天井に壁紙クロスと同じ幅で基準線を書く
- 基準線を合わせて壁紙クロスを貼る
和室の天井を高くする
また、張り替え以外のリフォーム方法として天井板を外すというものも挙げられますが、これはDIYでは難しいため基本的に業者依頼が必要となります。
天井は二重構造になっているので、表面の天井板を外すと天井を高くできるため。全てを張り替えるリフォームとは異なり既存の天井を利用する施工法です。
施工費用は20万円~30万円程度と比較的高額となり、工期は1週間程度かかるため、あくまでもコストカットにこだわりたいという人には難しい方法ですが、張り替えを避けたい場合は有用だと言えます。
DIYで行う和室天井リフォームの注意点
和室の天井をDIYする時には、ゴミや埃を吸い込まないように換気を忘れずに行いましょう。外気を取り入れることによって塗料や接着剤が乾きやすくなり、作業環境も良くなります。
また、作業は必ず複数人で行うのが大切なポイントです。天井板を外す担当や受け取る担当、ハケにペンキを浸ける担当など、分担作業をして安全面と効率の良さを確保しましょう。
マスキングテープやビニールシートを使って養生する時は、周囲にペンキがとんだり板材がぶつかっても問題ないように隙間なく仕上げるのが重要です。作業後の状態もイメージしておいてください。
ペンキを塗る前に下地塗りの作業が入る場合は、カビの発生や塗装の剥がれを防ぐために隅々までムラなく行き届くように塗るように心がけましょう。
和室の天井で気をつけるべき注意点
和室で天井を張り替えるときは、日本で古くから因習とされる構造にならないように注意しましょう。
和室の中では「床の間」が最も重要な位置とされています。天井を支える「竿縁(さおぶち)」と呼ばれる部材が床の間と直角にならないようにしなければなりません。床の間に対して竿縁が刺さらないように気をつけて施工してください。
和室の天井リフォームはプロに任せよう
和室の天井はDIYでも張り替えられますが、仕上がりに満足できない可能性もあります。綺麗な状態が長持ちする天井にしたいのであれば、プロに依頼するべきです。
しかし、悪質な業者も存在しています。優良業者を選ぶ際には、まず相見積もりをとりましょう。相見積もりとは、複数の業者から同時に見積もりをとる方法です。一社ずつ見積もりをとる時間と手間を省けるため、ぜひ検討してください。
業者選びの際は、親身に相談に乗ってくれるか、アフターフォローや施工後の保証がしっかりしているかといった点にも着目しましょう。費用面だけではなく、担当者の対応も決め手のひとつです。
また、見積書は必ず確認しましょう。項目が少なすぎたり、「無料」という文言が使われていたりする場合は要注意です。「人件費」とひとくくりにしている項目がある見積書も信頼できないので、詳細な内訳を明らかにした状態で施工を依頼してください。
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和室の天井板を張り替えるには、いくつかの方法があります。格天井や竿縁天井、打ち上げ天井など張り替えの方法によって、見た目の印象や部屋の雰囲気が変わるでしょう。
マンションの一室で大規模な工事を避けたいなら、天井板を塗装したり壁紙クロスを貼ったりする方法もありますが、やり方を間違えると満足のいく仕上がりにならない可能性もあります。 DIYをするのが不安であれば、リフォーム業者に依頼することも検討しましょう。
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監修したプロのコメント
DIYで出来る工事では塗装は可能だと思います。我が家ですから仕上がりはご自分が納得できればそれで良いかと思います。しかし、その仕上がりもプロが見れば仕上がりの悪さはわかります。
仕上がりは無視して楽しくDIYでも良いでしょうし、仕上がりをしっかりされたい時は和室の天井貼替リフォームは経験豊富なプロに頼まれて欲しいと思います。
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