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  6. 築50年住宅をリフォーム!注意点や費用相場を解説
2023/02/21 2024/10/11

築50年の住宅でこれから先も長く安心して暮らすためには、リフォームやリノベーション、場合によっては建て替えを検討した方が良いかもしれません。とはいえ、リフォームと建て替えでは工事費用が大きく変わるため、何を基準にどちらを選択すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
今回は、建て替えかリフォームを見極めるポイントやリフォームの費用相場、使える補助金・助成金制度などを解説します。

この記事を監修したプロ
根本 敦 さん

アイワホーム株式会社

築50年の住宅はどんな状態?建て替えかリフォームを見極めるポイント

ポイント

築50年の住宅は、現代住宅と比べて壁紙や床材、耐震性の高さ、間取りなどさまざまな違いがあり、時代の変化とともに住まいへのニーズや基準が大きく変化しています。
「冷暖房の効きが悪くなった」「天井や壁にカビが生えるようになった」などのサインがある場合、住宅の老朽化を示すSOSです。

水回りの老朽化

キッチン・浴室・トイレなどの水回りは、特に老朽化が進みやすい箇所です。

排水管の腐食や水漏れ、設備の故障などが発生している場合は、早急な対応が必要です。

最新の設備と比較して、使い勝手や機能面で不満を感じることが多くなります。

断熱性の低さ

現行の耐震基準は、1981年6月1日に施行されました。築50年の住宅は、1981年より前の耐震基準で建てられている可能性が高く、地震の規模によっては激しい揺れに耐えられず倒壊の恐れがあるため危険です。

2024年に入ってから日本各地で大規模な地震が発生しており、住宅の耐震性がより一層重視されるようになっています。安心して住み続けるためには、耐震診断を行い、補強工事や建て替えを検討したほうが良いでしょう。

気密性の低さ

築50年の住宅は、壁や窓枠、ドアなどの建材が経年劣化することで隙間が生じて気密性が低くなります。隙間から外から冷気・熱気が入るため、冷暖房効率が下がり、光熱費がかさんでしまうことも。

また、気密性の低さは結露の原因にもなり、室内のカビやダニの発生リスクが高まります。「冬は寒く、夏は暑くなりやすい」「壁や天井が結露する」「室内の温度ムラがある」などの心当たりがある場合、建て替えのサインです。

耐震性

現行の耐震基準は1981年6月1日に施行されました。その後、一度も建て替えや改修工事が行われていない住宅は、現行の耐震基準を満たしてない可能性が高く、筋交いを入れるなどの耐震性能を高める工事が必要です。
断熱性能を高める工事と同様、費用が高額になる可能性があります。

一方、築50年の住宅では束石(つかいし)やコンクリートブロックの上に柱をのせる「独立基礎」の工法が使われていることが多いです。独立基礎では束石と柱がつながっていないため、地震などの衝撃により、柱がずれたり建物が倒壊したりする恐れがあります。

なお、現在の新築住宅では、鉄筋やコンクリートで基礎部分を作る「布基礎」や「ベタ基礎」の工法を用いるのが一般的です。

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間取りが現代の生活スタイルに合わない

築50年の住宅は、現代の住宅と間取りが大きく異なります。当時の住宅は、家族団らんの時間を過ごせる広い茶の間を中心とした間取りが一般的でした。

しかし、現代ではプライバシーを重視する傾向が強く、家族それぞれがプライベート時間を過ごせる個室や、趣味を楽しむための空間へのニーズが高まっています。

現代ではキッチンとリビングが同じ空間にあるオープンキッチンなど、開放的な間取りが人気ですが、50年前の住宅では、お風呂場やキッチンが居間から独立していることが一般的でした。
土間とは、玄関入り口から居間までをつなぐ土足で歩けるスペースのことで、日本の伝統的な家屋構造のひとつです。

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あと何年住むのか

築50年の住宅を建て替えるか検討する際に抑えておきたいのが、「あと何年住むのか」という点。今後のライフプランによって、建物の改修や建て替えの範囲が大きく変わるためです。

この先、10年以上住むのであれば、住宅の快適性や安全性を考え、根本的な改修や建て替えが必要となるかもしれません。

数年後に移住する予定がある場合、その期間のみを快適に過ごすための最小限のリフォームを選択するのが懸命です。

「息子夫婦と二世帯同居することになった」「マンションに引っ越すため建売住宅として売却したい」などの場合は、建て替えが必要となります。建て替えるのかリフォームするかは、家族全員で話し合いましょう。

築50年の住宅をどうする?リフォーム、リノベーション、建て替えの違い

リフォーム リノベーション イメージ

築50年の住宅を暮らしやすいように変える方法としては、リフォームとリノベーション、建て替えの3つを検討できます。各方法の定義や違いについて、比較しながら解説します。どの方法を選ぶか判断に迷ったときは、ぜひ参考にしてください。

リフォームとは

リフォームとは、劣化した部分や壊れた部分を新築の状態に戻す工事のことを指します。建物の基礎はそのままに、間取りを使いやすく変更したり、トイレやキッチンなどの水回りを改修したりすることがリフォームです。

なお、リフォームには、一部分だけを工事する「部分リフォーム」と、住宅全体を工事する「フルリフォーム」があります。いずれも住宅に新しい価値を加えるリノベーションとは異なり、新築の状態に戻すことを目標として実施されます。

リノベーションとは

リノベーションとは、建物に新しい価値を生み出すために実施される工事です。たとえば、耐震性能や断熱性能を高めて、住まいに「安心」や「快適」などの価値を付与することなどが該当します。

ほかにも、現在の暮らし方に合わせて、壁や部屋などの間取りを大幅に変え、広々としたリビングを作るリノベーション工事を実施することもあります。

フルリノベーションとは、内装すべてを取り払い、玄関や窓の位置、間取りなどを大きく変更することです。一度、基礎を部分露出させるため、補強が必要な部分に気付くことができ、住宅を長持ちさせやすくなります。

建て替えとは

建て替えとは、既存の建物をすべて壊し、現在と同じ場所に新しい建物を建てることです。内装だけでなく、外装や住宅の機能、性能などもすべて変更できます。リフォームやリノベーションよりも工事に制約がなく、自由度の高い建築を実現できるでしょう。

リフォーム・リノベーション・建て替え、どの方法がいいのかを判断するポイントとは

判断ポイント

リフォーム、リノベーション、建て替えのどの方法が良いのか判断に迷ったときは、次のポイントをチェックしてみましょう。

  • 予算で選ぶ
  • 耐震性に問題はないか
  • シロアリの被害はないか

それぞれのポイントでおすすめの工事方法を紹介します。ぜひ参考にしてください。

予算で選ぶ

予算によっても、適切な工事方法は異なります。3つの方法のなかでは、住宅をすべて壊して新しく建てる「建て替え」が、もっとも費用が高額になる傾向にあります。

内装を取り払ってスケルトン状態にしてから実施するフルリノベーションやフルリフォームも、費用が高額になることが多いです。また、特定の設備だけ、部屋だけを改修工事する場合でも、新しく導入する設備や資材のグレードが高いときは高額になるでしょう。

まずは複数のリフォーム会社や建築会社に相談し、見積りを取って比較検討することが重要です。見積書を細部まで確認し、信頼できる良心的な業者を選びましょう。

耐震性に問題はないか

現行の建築基準法で建てられた住宅でないときは、耐震性能に問題がある可能性が想定されます。また、現行の耐震基準で建てられている住宅であっても、何度か大きな地震を経験していたり、元々の施工に問題があったりするときは、耐震性能が不十分な可能性があります。

高額な費用をかけてリフォームしても、倒壊してしまっては意味がありません。まずは現在の耐震性に問題がないか、専門業者にチェックしてもらいましょう。安全性を確認してから、必要に応じて補強工事なども行います。

シロアリの被害はないか

築年数が経っている住宅は、雨や湿気に長期間さらされているので、シロアリの被害が生じているケースがあります。

シロアリの被害が見つかったときは、補修工事ではなく建て替えを検討できます。専門業者に、シロアリの被害が出ていないか調べてもらってから判断しましょう。

築50年の住宅をリフォームするメリット・デメリット

リフォーム

築50年の住宅をリフォームするかどうかは、メリット・デメリットをよく理解したうえで慎重に判断しましょう。

メリット

愛着ある住まいに住み続けられる

リフォームを行うことで、家族の思い出が詰まった家の雰囲気を損なわずに快適性を向上できます。

断熱材の改善や床暖房の導入、キッチン・浴室・トイレなど水回りに最新設備を設置することで、使い勝手が向上し家族みんなが快適に過ごせる空間になるでしょう。

ライフスタイルに合った住まいを実現できる

さらに、リフォームは単に機能性を向上させるだけでなく、現代のライフスタイルに合った住まいを実現できます。

仕事部屋を増設したり、趣味を楽しむためのアトリエやシアタールームを作ったり、自動洗浄機能付きレンジフードやサンルーフを設置して家事導線を改善したり……。家族構成や生活の変化に合わせて空間を自由にデザインできるのも、リフォームを行うメリットです。

デメリット

工事費用が高額になる

築50年ともなると、目に見える部分だけでなく、基礎や柱、梁などの構造部分や、配管などの見えない部分にも劣化が進んでいる可能性があります。そのため、リフォーム工事中に予期していなかった老朽化が見つかり、追加工事が必要になるケースも少なくありません。結果として、当初の見積もりを大幅に超える費用がかかってしまうことがあります。

工事期間が長引く可能性

築年数が経過している住宅は、想定外の箇所の補修や改修が必要になることが多く、その結果、工事期間が長引く可能性があります。長期間の工事は、生活への負担が大きくなる可能性も考慮する必要があります。

築50年のリフォーム費用相場は?

費用

築50年の住宅のリフォーム費用相場は300万~1,000万円といわれています。とくに水回りの設備はすべて交換するほうがよいため、グレードにもよりますが200万~500万円の高額な費用がかかりがちです。

また、建て替えの場合には、建物の広さなどにもよりますが1,500万~2,000万円は必要になります。工事の種類や設備・資材のグレードによっても費用は大きく変わるため、リフォーム会社から見積りを取って確認しておきましょう。

工事内容が同じでも、リフォーム会社によって費用が大きく変わる可能性もあります。予算内で工事を実現するためにも、複数のリフォーム会社から見積りを取って比較検討することが大切です。

築50年の住宅リフォームに使える補助金・助成金

子育てエコホーム支援事業や長期優良住宅化リフォーム推進事業など、築50年の住宅リフォームに使える補助金・助成金を紹介します。

「高齢の両親が安心して暮らせるよう、バリアフリーにしたい」「省エネ対策も兼ねて、窓や水回りをリフォームしたい」と考えている方は、補助金・助成金を活用しましょう。

子育てエコホーム支援事業

対象となるリフォーム工事①開口部の断熱改修
②外壁、屋根・天井又は床の断熱改修
③エコ住宅設備の設置
④子育て対応改修
⑤防災性向上改修
⑥バリアフリー改修
⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
⑧リフォーム瑕疵保険等への加入
※④~⑧については、①~③のいずれかと同時に行う場合のみ補助の対象
受給条件以下の①②を満たす方
①エコホーム支援事業者※と工事請負契約を交わしてリフォーム工事をする方※エコホーム支援事業者とは、、補助金の交付申請を代行し、受け取った補助金を建築主に還元するために登録された住宅事業者。②リフォームする住宅の所有者であること
補助額補助額は、工事内容によって異なるため、公式ホームページの「対象となるリフォーム工事」からご確認ください。
着工日の期間2023年11月2日~交付申請まで(遅くとも2024年12月31日)
手続き期間・交付申請の予約2024年4月2日~予算上限に達するまで(遅くとも2024年11月30日まで)※
・交付申請期間2024年4月2日~予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)※
※締切は予算の執行状況に応じて公表。交付申請の予約を行っている場合、当該予約期限または2024年12月31日のいずれか早い日まで交付申請が可能。

参照:子育てエコホーム支援事業|国土交通省

長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業
対象者・リフォーム工事の施工業者または買取再販事業者・個人の住宅所有者・既存住宅(中古住宅)の所有者・戸建住宅、賃貸を含む共同住宅の所有者
・若者・子育て世帯
対象工事・省エネ化のための工事・耐震性向上のための工事・バリアフリー化工事・三世代同居に対応するための工事・子育て世帯向けの工事・テレワーク環境の整備・高齢になったときに向けての改修工事・自然災害対応のための工事
受給条件・リフォーム後の住宅が耐震性や省エネ性において一定の条件を満たしていること。・インスペクション(建物調査)を行うこと
助成金額工事費用の1/3(1戸あたり100万円が上限)

参照:長期優良住宅化リフォーム推進事業

介護保険における住宅改修

対象となるリフォーム工事・手すりの取付け・段差の解消・床または通路面の材料の変更・引き戸への扉の取り替え・和式便器から洋式便器に取り替えなど
受給条件・要支援1~2・要介護1~5いずれかの要介護認定を受けていて有効期間内であること
支給限度基準額20万円(要支援、要介護区分にかかわらず定額)・ 要介護状態区分が3段階上昇、または転居 した場合、再度上限額20万円まで請求できる
申請の流れ1. ケアマネジャーに相談する2. 書類提出3. リフォーム工事の施工、完成4. 助成金の支給
申請期限リフォーム工事の着工前。ただし、やむを得ない状況のときは、工事完成後に申請可能

参照:介護保険の住宅改修|厚生労働省

築50年の住宅をリフォームする際の注意点

注意点

築50年の住宅をリフォーム・リノベーションするときは、次のポイントをチェックしておきましょう。

  • 住宅診断を行う
  • 耐震性など防災面を確認する
  • 断熱性・気密性を高める
  • 配管・配線を新しくする
  • 建築基準法を確認する

それぞれのポイントで何を検討すべきか、また検討する際の注意点を紹介します。ぜひ参考にしてください。

住宅診断を行う

高額な費用をかけてリフォームをしても、基礎が劣化し、住宅そのものの寿命が短くなっているときには、建て替えが必要になってしまいます。リフォームやリノベーションの費用を無駄にしないためにも、工事前に基礎部分や耐震性などを調べる住宅診断を実施しましょう。

なお、戸建て住宅では自由に住宅診断を行えますが、マンションなどのケースでは管理会社に相談してから行うことが必要です。住宅の性能・状態を把握するためにも、まずはしっかりと調査をしておきましょう。

耐震性など防災面を確認する

住宅において、安全性は何よりも大切です。安心して暮らしていくためにも、あらかじめ耐震性能などが現在の基準に合っているのか専門家に確認してもらうことがおすすめです。

ただし、マンションなどの集合住宅では、専門家によるチェックにも管理会社の許可が必要になります。万が一、何か問題が見つかったケースでも、個人の一存では補強工事を勧めることができません。中古物件を購入してリフォーム・リノベーションを検討している場合は、防災面に問題がないか確認してから購入することが必要です。

断熱性・気密性を高める

住宅の暮らしやすさを決めるポイントともなるのが、断熱性や気密性です。壁や床、天井などに高性能の断熱材を入れておくなら、外気温に左右されにくい快適な住宅になるでしょう。窓や玄関ドアなどを気密性の高いものにすることで、空調設備の効きがよくなり光熱費削減も期待できます。

ただしマンションの場合、壁は共有部分となるため、勝手に工事をすることができません。専門家に物件の性能を調べてもらう前に、管理会社への確認が必要となる点に留意しておきましょう。

配管・配線を新しくする

築年数が50年ほどになると、配管や配線にも劣化が生じていると考えられます。水漏れや漏電が起こる可能性もあるので、工事前に配管や配線を確認してもらい、新しいものに交換するほうがよいでしょう。

ただし、配管や配線の交換も、マンションでは戸建てのように勝手に行うことができません。リフォーム・リノベーションを行う前に、マンションの建物全体の修繕・補修計画について確認しておくことがおすすめです。

建築基準法を確認する

現行の建築基準法を満たし新しい耐震基準に沿った住宅になるよう、リフォーム工事の内容を決めることが必要です。リフォーム会社と相談し、工事内容や耐震対策についてしっかりと検討しておきましょう。

また、建築基準法では、耐震関連だけでなく防火対策や建物の高さなどについても細かく規定されています。法律に則った建物を完成させるためにも、各規定についても確認しておきましょう。

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この記事を監修したプロ
根本 敦 さん

アイワホーム株式会社

複合商業施設、アパート、マンション、戸建ての新築工事から、リフォーム・リノベーションまで、幅広く手がけている。大きな工事の年間施工数も50件以上の実績を誇る。 長年の経験で培った提案力には定評があり、さまざまなニーズに対応可能なプロ。

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