もとの空間を活かしながら、快適な住まいを作ることができるマンションリフォーム。設備や建材の選び方を工夫すれば、予算300万円でもリフォームが可能です。今回は予算300万円でできる、リフォームの内容をプランや箇所別にご紹介。費用を抑えるコツやリフォームする際の注意点についても解説します。予算をなるべく抑えてリフォームしたい方は、ぜひご覧ください。
株式会社ワイズアンドルイスデザイン工務店
予算300万円でできるリフォームとは?
予算300万円でリフォームを行いたい場合、家の全てをゼロからフルリノベーションするスケルトンリフォームは難しいです。
しかし、リフォームができないわけではありません。一般的な70平米ほどの広さで間取り3LDKの場合、予算300万円では以下の3つのパターンのリフォームが可能です。
- 水回り中心のリフォーム
- 内装中心のリフォーム
- 全面リフォーム
ここでは、それぞれのリフォームについて解説します。
1. 水回り中心のリフォーム
トイレやキッチン、洗面台などの水回りを中心にリフォームを行う場合、工事にかかる費用は以下のとおりです。
工事 | 費用 |
洗面台の設置と洗面所の内装工事 | 約20万~30万円 |
クロスの張り替え | 1平米あたり約1,200円 |
ハイグレードのキッチン設置 | 約120万円 |
ハイグレードのユニットバス設置 | 約100万~140万円 |
タンクレストイレ設置 | 約40万円 |
このように、水回りの設備をハイグレードタイプに交換し、クロスを全面的に張り替えられます。予算300万円以内に収めるためには、床の張り替えは難しいでしょう。
2. 内装中心のリフォーム
内装リフォームを中心に水回り設備を少し交換する場合も、300万円でリフォームできます。工事内容ごとの費用相場は、以下のとおりです。
工事 | 費用 |
クロスの全面張り替え | 約40万〜50万円 |
床の全面張り替え | 約50万〜75万円 |
水回り設備の交換(2〜3個) | 約90万~200万円 |
スタンダードなクロスや床を全面的に張り替える場合、トータルで約100万円ほどかかります。無垢フローリングやデザイン性の高い壁紙など、内装にこだわる場合は、さらに費用がかかるでしょう。残りの予算で水回り設備を交換する場合、洗面所やトイレなど、2〜3個ほどリフォームできます。
3. 全面リフォーム
設備のブランドやグレードにこだわらなければ、全面的なリフォームも可能です。予算300万円でできるリフォーム内容には、ローグレードの水回り設備の交換や量産クロスへの張り替え、床の上張りリフォームなどが挙げられます。費用相場は、以下のとおりです。
工事 | 費用 |
洗面台の設置と内装工事 | 約20万~30万円 |
ローグレードのキッチン設置 | 約60万円 |
ローグレードバスの設置 | 約60万~80万円 |
タンク付きトイレ設置 | 約15万円 |
量産クロスへの張り替え | 1平米あたり約800円 |
床の上張りリフォーム | 1平米あたり約6,000〜8,000円 |
安い設備を選べば、予算内でマンション全体をフルリフォームすることも可能です。なるべく費用を抑えてフルリフォームを検討している方は、安い設備をぜひチェックしてみてください。
【箇所別】予算300万円で行えるリフォーム
ここでは、リフォームの箇所ごとに予算300万円で行えるリフォーム内容をご紹介します。
- 水回りのリフォーム
- 壁紙・床の張り替え
- 間取り変更
- 和室から洋室に変更
リフォーム箇所を検討する際に、ぜひ参考にしてください。
水回りのリフォーム
キッチンやトイレ、洗面所、浴室などの水回り工事にかかる費用は、一般的には以下のとおりです。
工事 | 費用 |
キッチン | 約100万〜300万円 |
トイレ、洗面所 | 約20万〜40万円 |
浴室 | 約80万〜200万円 |
もちろん工事内容によって費用は異なり、最新でハイグレードな設備に交換する場合は費用が高くなります。また、配管移動のような大がかりな施工が不要な場合、費用を抑えられます。
壁紙・床の張り替え
壁紙や床の張り替えは、張り替える面積と使用する素材や床材のグレードによって異なります。一般的な費用の目安は、以下のとおりです。
工事 | 費用 |
クロスの張り替え | 1平米あたり約1,500~2,500円 |
フローリングの張り替え | 1畳あたり約3万~6万円 |
費用をなるべく抑えるためには、既存の量産品を使用する必要があります。無垢材や断熱材を使用する場合は、さらに費用が高くなる点に注意が必要です。
間取り変更
「3LDKを2LDKにする」というように、壁を壊して部屋の間取りを変更する工事では、約20万〜30万円と比較的安くリフォームできます。また、すでにある建具を利用するリフォームなら、約150万円前後で間取りを変更できるケースが多いです。
一方、リビングダイニングを新たに設置する場合や、壁一面に収納を設置する場合などは、大がかりな工事が必要です。約1,000万〜1,500万円程度の費用がかかるため、300万円以内に収めるのは難しいでしょう。
和室から洋室に変更
和室から洋室に変更するリフォームの場合は、6〜8畳あたり約25万〜100万円の費用がかかります。費用には、壁・床・天井の施工のほか、押し入れをクローゼットに交換する工事費用も含まれます。
リフォーム費用を300万円に抑えるコツ
リフォーム費用を300万円に抑える際は、工事箇所や設備のグレードを検討するだけでなく、コツを押さえることも大切です。以下では、リフォーム費用を抑える5つのコツについて解説します。
- 相見積もりをとる
- 地元の工務店に工事を依頼する
- グレードを下げる
- リフォームパックを活用する
- 補助金や減税制度を利用する
コツを理解して、リフォームにかかる費用負担を減らしましょう。
相見積もりをとる
業者に依頼する際は、1社のみに相談するのではなく、複数業者に依頼して相見積もりをとりましょう。相見積もりをとることで、業者ごとのリフォーム内容・サービス・費用を比較検討できます。
リフォームにおいては定価が存在しないため、1社のみでは適正価格がわからない場合が多いです。業者ごとに設定価格や建材の仕入れ価格が異なるため、3社以上に依頼して相見積もりをとりましょう。
地元の工務店に工事を依頼する
リフォーム会社によって、工事にかかる費用は大きく異なります。
大手のハウスメーカーやリフォーム業者に依頼する場合、実際にリフォームを行うのは下請け業者である場合が多く、高額なマージンが発生します。そのため、工事費用は高くなる傾向です。
費用をなるべく抑えたい場合は、地元の工務店への依頼をおすすめします。直接工事を担当してくれるため、マージンが発生しません。
グレードを下げる
同じ箇所のリフォームでも、使用する建材や設備のグレードを落とせば、大幅に費用を削減できます。どうしても予算内に収めたい場合は、メーカーやブランドにこだわらず、コストパフォーマンスを重視することが大切です。
建材や設備のなかでも、機能やデザイン性に拘ったオーダーメイドのものは高額な費用がかかります。既製品を上手に使用しましょう。
リフォームパックを活用する
リフォームプランとは、設備代・工事費・出張費・保障費などを含めたプランのことです。事前に値段が設定されており、見積もり不要でプラン内の工事をすべて行ってくれるため、予算を組んでリフォーム内容を検討するのが面倒な方にもおすすめできます。
リフォームパックを活用すると複数の工事を一括で行ってくれるため、工期が短くすむのもメリットです。
しかし、リフォーム内容を個別に選ぶことはできません。以前もリフォームを行っている場合は、リフォーム箇所が重複してしまうリスクがあります。
補助金や減税制度を利用する
リフォームでは、補助金や減税制度を利用できる場合が多いです。リフォームにかかった費用の一部が支給されたり、所得税や固定資産税の減税につながったりするため、積極的に活用しましょう。
住宅のリフォームで利用できる補助金や減税制度は、以下のとおりです。
制度名 | ポイント | 補助金・控除額 | 期間 |
耐震リフォーム | 耐震改修をした際に減税される | 所得税:最大25万円固定資産税:2分の1 | 所得税:1年間固定資産税:翌年1年間 |
バリアフリーリフォーム | バリアフリー改修をした際に減税される | 所得税(投資型):20万円所得税(ローン型):62.5万円固定資産税:3分の1 | 所得税(投資型):1年間所得税(ローン型):5年間固定資産税:翌年1年間 |
省エネリフォーム | 省エネ改修をした際に減税される | 所得税(投資型):25万または35万円控除所得税(ローン型):62.5万円固定資産税:3分の1 | 所得税(投資型):1年間所得税(ローン型):5年間固定資産税:翌年1年間 |
住宅ローン控除 | リフォームの際に住宅ローンの控除が受けられる | 最大400万円 | 10~13年 |
具体的な制度の内容は自治体によって異なります。お住まいの市区町村の窓口に確認したうえで、利用する際は忘れずに申請しましょう。
フルリフォームする際の注意点
マンションのフルリフォームを行う際の注意点は、以下のとおりです。
- 工事できない箇所がある
- リフォーム前に管理会社に許可をとる
- リフォームローンは慎重に検討する
それぞれのポイントを理解し、安心してリフォームを行いましょう。
工事できない箇所がある
マンションのリフォームでは、構造上工事できない箇所があります。
たとえば、排水のための配管スペースを動かせないため、トイレの位置を大きく変えるリフォームはできません。また、コンクリート壁で建物の重量を支える壁式構造の場合、コンクリート壁を撤去できないため、間取りの大きな変更は難しいでしょう。
このように、工事できない箇所がある点には注意が必要です。
リフォーム前に管理会社に許可を取る
マンションのリフォームをする際には、規模にかかわらず事前に管理会社に許可を取りましょう。管理規約によってリフォームできる範囲や内容が異なったり、リフォーム会社が指定されていたりするためです。
管理規約上不可能なリフォームを無断で行ってしまった場合、自費で元に戻さなければならない可能性があります。トラブルを防ぐためにも、リフォーム前に許可を取ることが必要です。
リフォームローンは慎重に検討する
リフォームローンを利用する場合は、ローン会社を慎重に検討しましょう。ローン会社によって、金利は異なります。リフォームローンは住宅ローンに比べて金利が高い傾向にあり、適当に選ぶと将来的な支出が増えてしまいます。
複数社から相見積もりをとり、比較検討したうえで、納得のいくローン会社と契約することが大切です。
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プロからのコメント
簡潔に言うと、300万円でのフルリフォームは可能です。しかし、設備機器のグレードと更新する内装の化粧範囲は限定されてしまうもの。
とにかく新しくしたいという方には、300万円の範囲内で安価な設備機器を採用し最低限の内装の更新もすることも可能です。
ただ、設備の質をある程度重視したいという場合は、部分的にリフォームすることも検討されてみてはいかがでしょうか。
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