エアコンは快適な生活を送るには、欠かせない家電です。そのエアコンから水漏れが起きたら、床は水浸しになりエアコンを修理するまで使えなくなってしまいます。
そこで今回は、エアコンの水漏れについて、ザベストコンディショニング株式会社で代表取締役を務める石原サンチェス陽一さんに、インタビューをしてきました。
エアコンの水漏れにおける原因と対策はもちろんのこと、もし水漏れが起きてしまったときの応急処置とプロの水漏れ修理のテクニックについて紹介しているので、気になる方はぜひ最後まで読んでみてください。
ザ ベストコンディショニングス株式会社
エアコンの水漏れが起きる原因
エアコンが水漏れする原因は多種多様ですが、大きく分けて次の4つが挙げられます。
1.エアコンドレン(排水)の単純な水漏れ
エアコンドレンの水漏れにはいくつかの原因があり、以下のものが挙げられます。
・エアコンの排水管が詰まっている
・エアコンの排水系統の破損
・エアコンの排水の逆流
それぞれどのようなものなのか、1つずつ見ていきましょう。
(1)エアコンの排水管が詰まっている
最も多いのが、エアコンの排水(ドレン)管が詰まることによって、排水がうまくいかずに水漏れするケースです。
エアコンのフィルターを通り抜けた微細なほこりや、機器の鉄部からはがれたサビ、また黒や白、ピンク色をしたヘドロ状のスライム(ウィルスや雑菌のかたまり)などが詰まっている可能性があります。
これらがドレンパン(水の受け皿)や、水の流れが遅くなる横引き、曲がりの多い部分、防虫キャップ、エアカットバルブ(高気密住宅でドレンの流れを助けるもの)などに溜まり、排水管を詰まらせる事があります。
天井に埋め込まれているタイプのエアコンなどでは、ドレン(排水)ポンプの吸口の詰まりや、水位を感知するフロートセンサの固着などもあります。
(2)エアコンの排水系統の破損
エアコンの排水管が経年劣化や紫外線硬化などで割れていることによって起こる水漏れにも、十分注意が必要です。 理由として、気づきにくい場所で水漏れを起こしている可能性もあるからです。
壁の中など予想外の場所で長期に渡り、気が付かない水漏れが起きることで、カビの発生、建物の躯体への影響など、家が傷む危険性が高まります。
また、ドレンパン(水受け皿)やドレンホースとのつなぎの部分、ホースの延長部分などに無理な力がかかると、割れたり接続がゆるむことで漏れが起きるかもしれません。 また、ドレン排水管の先に腐食性のガスが発生する川や、汚水升があった影響で機器の熱交換器の銅が腐食し、ガス漏れが発生する可能性もあります。
同時に漏れた油によってドレンパンのプラスチックの部分が割れ水漏れに至ることもあり、あまり多くはないケースとはいえ、注意すべき部分です。
(3)エアコンの排水の逆流
ドレン排水管には水の重力で排水させるため、継続的な1/100勾配(1m横に行く毎に1cm下がる傾き)が義務づけられています。機器設置時などにこれが守られていなければ、排水の流れも悪くなり、また排水に勢いも無くなるため、ゴミ等も相対的に詰まりやすくなります。
まれに誤って、まったくの水平にしたり逆側に傾いている施工をしてしまう業者もいます。また、鳥居配管という下がったり上がったりの流れにくい配管施工をしてしまう業者も存在するため、注意しなければなりません。
また、高気密住宅などで換気(扇)のバランスが悪いために、重力で流れるようとするドレン水がストローのように、室内側に引っ張られてきちんと排水されず、水漏れしてしまうことが増えてきています。この場合、汚れが詰まりやすくなってしまいますが、エアカットバルブを付けるといった方法で対処可能です。
オフィス用に多い天井カセット型のような機器の場合、ファンとドレンの位置関係によっては、フィルターや蒸発器目詰まりでもドレンの付近に負圧が生じてしまい、水漏れにつながることもあります。
他にもレアケースとして、配管の設置状況が良くなく、地震といった影響で勾配が変わってしまったり、排水管やドレンパンなどが割れてしまったりケースもあります。もし、地震のあとにエアコンやその周囲から水漏れが起き始めたら、エアコンの排水ルートを確認しましょう。
2.結露による水漏れ
結露による水漏れもありますが、単純な水漏れとは異なります。
冷房の際、同時に除湿をするので蒸発器(上の写真の網のような部分)に露がつきます。ただ、ついてはいけない部分に露が発生すると、露を受ける部分が設けられていないため、そのまま垂れてしまいます。
本来、室内機と室外機間の配管のような湿気が水滴になる温度点になってしまう部分は、びっちりと保温材等で断熱されているものです。しかし、隙間があって湿度の高い空気が入ったり、保温材自体が薄く断熱能力が相対的に低かったりすることで結露の水滴が落ちている部分で不具合が生じてしまいます。
3.撥水による水漏れ(水飛び)
蒸発器の部分や吹き出し口から、水漏れや水飛びが起こることもあります。
本来、風が流れる部分である蒸発器は親水性に優れていなければなりません。しかし、キッチンでの油の飛沫や化粧台でのエアスプレー、新築時の壁紙用接着剤といったものの揮発物質が蒸発器のアルミフィンに付着すると、親水性が落ちてしまい、ワックスかけたての車の水滴のように撥水してしまいます。
他に、水飛びという症状が起きることもあります。水飛びとは、小さな水滴だったのがコロコロと水玉になって風に乗ってエアコンの外に出てくる症状のことです。
水飛びに関してはエアコンのガス欠や過多なガス充填、冷媒膨張弁やセンサの不具合などの影響で蒸発器の部分の温度ムラが発生し、症状を誘発することもあります。
4.蒸発器(熱交換器)凍結による水漏れ
蒸発器凍結による水漏れにはさまざまな要因があります。簡単にまとめると以下の通りです。
- ファンの回転異常
- ファンの汚れ
- 蒸発器自体の目詰まり
- エアフィルタの目詰まり
上記のような要因で蒸発器の風が通りづらく、本来の温度帯より下がりすぎると蒸発器自体が凍り始めます。
その結果、雪だるま式に氷が大きくなって機械停止やサーモオフなどのタイミングでその氷が一気に溶けたとき、ドレンパンで溶けたものを受けきれず、一気に水漏れが発生してしまいます。
エアコンが水漏れの可能性をセルフチェックしよう
ここまで、エアコンが水漏れする原因を見てきました。次は、エアコンが水漏れする可能性を自分でチェックするにはどのような方法があるのか見ていきましょう。
エアコンの排水管の先を見る
外に出て排水管からしっかりと排水されているか、チェックしましょう。主なチェックポイントは以下の通りです。
エアコンのフィルターの汚れの状態を確認する
エアコン前面のカバーを開くと、フィルターの汚れ具合を確認できます。もしフィルターにびっしりとゴミが詰まっていたら、水漏れする危険性があるため、早急に掃除するようにしましょう。
お掃除機能がついている機器でも、ダストボックスや清掃ブラシなどにホコリが詰まって、本来の機能を果たしていないこともあります。 お掃除機能付きだからとほったらかしにせず、シーズン前に確認するようにしましょう。
エアコンの水漏れを起こさないための対策
エアコンの水漏れを起こさないための対策は3つです。
- エアコンの配管をしっかりと固定する
- エアコンフィルターを定期的に掃除する
- エアコンの取り付けやクリーニングは腕のあるプロに依頼する
以下の順に説明していきます。
エアコンの配管をしっかりと固定する
排水管といった配管は、しっかりと固定することが非常に重要になります。特に横引きしている配管は重要であり、排水管自体の重さによって、たるんで勾配が悪くなったり一点に負荷がかかって劣化もしくは破損したりする可能性があります。そのような事態にならないためにも、配管を適宜固定しましょう。
ただし、あまりしっかり固定しすぎるのはおすすめできません。理由とし絵て地震といったことで排水管が動いたときに、負荷が集中して劣化もしくは破損してしまう恐れがあります。そのため、つなぎ部分の固定は、たるまない程度に遊びを設けておきましょう。
エアコンフィルターを定期的に掃除する
フィルターは高頻度で掃除することがおすすめであり、特にほこりの出やすいベッドルームは注意が必要です。掃除の回数は家の中の環境によってフィルターの汚れ具合によって異なるものの、2週間に1回がベストです。2週間に1回が難しくても、最低1か月に1回は掃除するようにしましょう。
前述した通り、エアコンの機能や状態によっては自動掃除が機能していないこともあります。 そのため、自分でフィルターの掃除をすることも、忘れないようにしてください。
エアコンの取り付けやクリーニングは腕のあるプロに依頼する
ドレン配管の施工はもちろんのこと、エアコン自体の施工や機種選定、取り付け位置や高さなど、取り付け時の選択で将来的に水漏れするリスクを減らせます。そのため、エアコンの取り付けは経験豊かなプロに依頼することがおすすめです。
これは水漏れ以外に関しても言えることですが、エアコンクリーニングにおいても価格だけで選ばない事が重要です。
10年以上前から、壁掛型のルームエアコンはどのメーカーも例外なく奥に折れ込んだ湾曲熱交換器(蒸発/凝縮器)が主流になりました。 これは、主に省エネのために熱の交換部分の表面積を広くするためのものです。
また、側面から見るこの山型(逆V型)熱交換器は、正面から奥側が見えません。 そのため、なおさらプロでなければ取り付けが難しくなっています。
また、エアコンクリーニングもプロに任せるのがおすすめであり、本体を外さなければ洗浄用のノズルも届かない部分もきれいにしてもらえます。
さらに主流タイプのエアコンは、機械の背面にあるドレン排水用の溝があります。 この部分の清掃は本体をそっくり取り外さなければ物理的に不可能であり、そも部分に洗い残しのゴミ詰まりがあると非常に高い確率で水漏れを誘発します。
そのためにも、エアコンクリーニング業者を探す際には見た目の価格にとらわれず、電気部品の取り外しやファンの取り外しはもとより、状況によっては本体を脱着作業する技術のある業者を選ぶことが大切です。
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エアコンが水漏れした場合の応急処置
さまざまな対策をしていてもエアコンから水漏れはします。もしも水漏れをしてしまったら、応急処置をしましょう。
(1)エアコンを止めてコンセントを抜く
まずは感電やエアコンの故障を防ぐために、すぐエアコンを止めます。 その後、コンセントを抜きましょう。
コンセントを抜くことで感電のリスクや、更なる機器の故障の可能性を下げられます。もしコンセントを抜かなけれあ、水漏れによって発生した水を通して電気が体に流れてくるリスクを防げます。そのためにも、エアコンに触る前には絶対コンセントを抜きましょう。
(2)水漏れで出た水を拭く
コンセントを抜いたら水を拭き取り、プロに水漏れ修理を依頼しましょう。 上記で述べたように、水漏れはプロに任せたほうがきれいに修理してもらいやすくなります。そのため、水漏れがわかったら最低限の対処をした上ですぐに探しましょう。
【自力で直す】バキュームクリーナー
排水管がつまりやすいということがあらかじめ分かっている場合は、バキュームクリーナーを使ってもよいかもしれません。
商品名 | イチネンTASCO-TA918SX |
価格 | 2,376円 |
特徴 | ・エアコンの水漏れの原因である排水管のつまりを解消に最適 ・角度を調節できるノズルもあるおかげで作業しにくい場所でも手軽に使用可能 |
水漏れはプロじゃないとできないというわけではなく、自力で対処することも可能です。
ただエアコンの水漏れの原因が分からない場合には、プロに依頼する方が確実に修理できる上に無駄な時間もお金も使わずに済みます。
もし自力で修理したい場合には、エアコンの排水管がつまりやすいとあらかじめわかっている場合に行いましょう。
エアコンのプロの水漏れ修理テクニック
エアコンのプロは、水漏れ修理の際にさまざまなテクニックを使います。そこでここでは、一般の人ではできないプロのテクニックを紹介します。
適切な故障の原因の判断
先ほども紹介したように、エアコンの水漏れの原因は多種多様です。プロであれば、これまで数々のエアコンの水漏れの仕方を経験してきているので、テキパキと原因を究明できます。
入手出来ない部品の作成
製造終了より9年が終了しているようなエアコンは、メーカーの部品の製造義務の期間を過ぎており、部品によっては調達困難な事もあります。プロであればドレンパンやパネルなど単純な形状のプラスチック部材の場合には、エポキシ樹脂で部品を作成して水漏れ修理をすることも可能です。
なお、水漏れの穴埋めや部品を成形するときにシリコンコーキング材を用いる場合もありますが、部分によっては、全く適さず、再度水漏れを起こす可能性もあります。そのため、どのような素材で成形するのかは修理時にとても重要であり、プロはその部分を見極めて判断します。
後付けポンプの設置
水漏れ修理をする際、状況によっては地下室のような勾配が取れない部分に設置する場合や、どうしても排水の流れが悪い場合もあります。そのようなときでも、プロであれば容量に見合った後付けの排水ポンプを設置できます。
エアコンの水漏れを直したいならゼヒトモで依頼
「エアコンから水漏れしてきたけど、どこに修理を依頼したらいいか分からない……」
そのような場合、ゼヒトモがAIを使ってあなたにピッタリのプロを複数ご紹介してくれます。
その後、マッチングしたらプロへコンタクトをとり、予算や日時などを相談して自分の希望にピッタリのプロに依頼すればOKです。そのため、エアコンの水漏れに悩んでいる方は、ぜひ下のボタンからお近くのプロをみてください。
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依頼した方の声
エアコンが冷えなくなったので、ご相談しました。電話の段階でだいたいの故障個所を特定してもらい、その日のうちに修理にきていただきました。祖母の寝室で熱中症が心配だったので、助かりました。説明がわかりやすく納得でした。また、お願いします。
迅速な対応をして頂き、水漏れもその場で無事に修理してもらう事が出来ました。 大変助かりました。ありがとうございました。
エアコンの修理をお願いしました。 故障部位もすぐ見つけて下さり対応も迅速かつ丁寧で安心してお願いできました。 お値段もリーズナブルで大変満足できました。ありがとうございました!
最後に、専門家からのコメント
どんなエアコンも水漏れの可能性を秘めています。
まずは、下にテレビなどの電化製品を置かないこと。また万が一水漏れをしたら、すぐに機械のコンセントを抜く(またはブレーカー落とす)ことです。
作業も初期提示の金額だけで選ばず、クリーニングならどこまでの分解作業をやるのか(電気部品や ファンは全部外すのか取付たまま洗うのか? 本体は脱着して全分解するのかなど)取付工事ならどんな部材を使い、どこに配管を通すのか、穴を開けてもいい場所なのか、などを確認した上で、予算や業者の検討に入りましょう。
クリーニング不良や工事の不良の影響は数ヶ月経ってから起こることもあり、水漏れにガス漏れ、油漏れによる建物の補修などお客様の負担とされてしまう事も多々あります。そういう事態を避ける為にも、作業内容や配管の経路、断熱の方法など隠れてしまう部分の写真を撮らせてもらい、記録に残すのも一つの安全策でしょう。
この記事が皆様のヒントになりますように。
ザ ベストコンディショニングス株式会社
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