英語のリスニングやスピーキング力を効率よく向上させたいと考えたときに役立つ学習方法が「シャドーイング」です。ビジネス英語向けの勉強法としても、注目を集めています。
この記事では、シャドーイングの具体的なやり方や、その効果・メリットについて詳しく解説します。うまくいかないときの対策や上達のコツもあわせて紹介しますので、参考にしてください。
英語のシャドーイングとは
シャドーイング(Shadowing)とは、音声を聞きながら少し遅れて発音する英語学習方法です。リスニング力やスピーキング力、リーディング力といった英語スキルを総合的に向上させます。
ネイティブの発音、リズム、イントネーションを真似しながら練習することで、インプットとアウトプットを連動させた学習が可能です。自然な英語を身につけられるため、基礎から短期間で集中して上達を目指せます。
初心者からビジネス英語を学びたい方からある程度の語学力がある方まで、目標やスキルに応じて幅広く対応している勉強法となっています。
シャドーイングのやり方はこの2種類
シャドーイングには、いくつかの種類があります。中でも代表的なのは、「プロソディ・シャドーイング」と「コンテンツ・シャドーイング」の2種類です。
どちらも英語力向上に大きく貢献する学習方法であることは変わりませんが、やり方や目的が異なります。そのため、どちらが自身に適しているのかを見極めることが大切です。
それぞれの方法を詳しくみていきましょう。
プロソディ・シャドーイング
プロソディ・シャドーイングは、文章の意味をあまり重視せず、発音やリズム、イントネーションに重点を置いて行う方法です。音の「抑揚」や「強弱」に注意を払い、ネイティブの発話をそっくりそのまま真似することを目的としています。
プロソディ・シャドーイングのメリットは、自然な発音やリズム感が鍛えられる点にあるため、初心者におすすめです。発音に不安がある方にも適しており、スピーチやプレゼンテーションの場で役立つ英語力も身につけられます。
コンテンツ・シャドーイング
コンテンツ・シャドーイングは、音声の内容や意味を理解しながら行う方法です。英文の内容をしっかり理解し意味を頭に入れたうえで、音声に少し遅れて発話します。
この方法では、発音の向上に加えてリスニング力やリーディング力を総合的に高める効果があります。プロソディ・シャドーイングからワンランク進んだ学習法なので、中級以上のレベルの方におすすめです。
日常会話はもちろん、ビジネスシーンにおいて必要な理解力と表現力も磨けるでしょう。
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英語の発音練習方法と5つのポイント >>>
シャドーイングで期待できる効果・メリット
シャドーイングは、英語のさまざまなスキルをバランスよく習得することができます。
ここでは、シャドーイングで得られる具体的な効果やメリットについて解説します。
リスニング力が向上する
シャドーイングのメリットとして、まずリスニング力の向上が挙げられます。繰り返し行うことで、英単語を正確に聞き取る力を養うことができます。
単語やフレーズの細かい発音、音のつながりなどに敏感になり、ネイティブスピーカーとの会話にも対応できるようになります。学習を重ねるごとにリスニングに対する苦手意識がなくなり、自信もつくでしょう。
スピーキング力が上達する
シャドーイングでは、インプットだけではなくアウトプットすることで、正しい発音やリズム、イントネーションを体得できます。英文を何度も復唱する過程で、自然と文法やフレーズが頭に定着しやすくなり、スピーキング力の上達につながります。
英文が読めても話せない初心者や、発音を矯正したいという方にとって、シャドーイングは有効な英語学習方法といえるでしょう。
リーディング力が向上する
シャドーイングで文章を音声として追いかけることで、英文の意味や全体像を素早く理解する力が鍛えられます。
英文の構造や語順に慣れてくると、リーディング速度の向上も期待できるでしょう。速読が必要な英語関連の資格試験や、ビジネスシーンでの英文読解にも役立つ可能性もあります。
どこでも実施できる
場所を選ばずに英語学習ができることも、シャドーイングのメリットです。
教材となる音声さえあれば場所や時間を選ばないため、移動中はもちろん、運動中や家事の合間、入浴中など気軽にシャドーイングができます。このように隙間時間のフル活用することも可能なので、なかなか英語学習に時間を割けない忙しい方でも続けやすいのが魅力です。
初心者必見!シャドーイングの具体的なステップはこの5つ
シャドーイングは総合的な英語力向上に役立つトレーニング方法ですが、正しい手順を踏まないと効果が半減します。
ここでは、シャドーイングを始める際に知っておきたい5つの学習ステップをご紹介します。
(1)英文を見ずに音声を聞く
最初に、英文を見ずに音声を1回聞いてみます。はじめのうちは、英文の意味を完全に理解する必要はありません。大まかな内容やトピックをつかむことが目的です。わからない単語や文法があっても、あまり気にせず進めましょう。
英文の意味を把握するよりも、音声のスピードやイントネーション、リズムに耳を慣らすことが大切です。聞き取れないようであれば、最初は速度を落として再生してもいいでしょう。
(2)英文を確認する
次に、音声に対応する英文テキストを確認します。このステップでは、音声を聞いたあと、自分が聞き取った内容と実際の英文の内容が一致しているかどうかをチェックします。
わからない単語や文法、表現があれば、この時点で意味や構造を調べて細かい部分まで把握するようにしましょう。文章全体の意味を正しく理解することが、リーディング力をはじめとする英語力の向上につながります。
(3)英文を見ながら音声を発音する
続いて、英文を見ながら音声に合わせて一緒に音読してみます。ここでは、シャドーイングのようにワンテンポ遅らせるのではなく、同時に発音するようにしましょう。
何度か繰り返し慣れてきたら、自分の音声と音源の異なる部分を修正していきます。発音やアクセント、イントネーションを意識して繰り返し練習することがポイントです。ネイティブスピーカーならではのリズム、音の高低にも注意を払いながら進めましょう。
(4)英文を見ながらシャドーイングする
次に、英文を見ながらシャドーイングを行っていきます。音声をただ追いかけるのではなく、よく聞いてリズムやイントネーションを真似ることに重きを置きましょう。これは、先述したプロソディ・シャドーイングの前段階です。
最終的には何も見なくても音声に忠実に再現できるように、正確な発音を意識しながら何度も繰り返し練習しましょう。
(5)英文を見ないでシャドーイングする
最後に、英文を見ずに耳からの音声のみでシャドーイングを行います。発声のリズムや発音に完全に慣れてきたら音だけを頼りにシャドーイングすることで、実際の会話に近い練習ができます。
録音して自分の発音やスピードを確認するのも効果的です。この段階まで進めば、より上級レベルの英文の意味も理解しながら行う「コンテンツ・シャドーイング」を目標にして練習を継続していきましょう。
シャドーイングがうまくいかない!原因はこの3つ
ここでは、シャドーイングがうまくいかない大きな原因を3つご紹介します。あわせて学習を進めるうえでの注意点も解説しますので参考にしてください。
1. 使っている教材の速度が自分のレベルに合っていない
シャドーイングを成功させるには、自分に合った難易度の教材を選ぶことが重要です。使用する音声のスピードや文章のレベルが自分の英語レベルに合っていないと、スムーズな学習が進められません。
特に、シャドーイング初心者が無理にスピードの速いニュースやドラマなどの音声を使ってしてしまうと、単語を聞き取るだけでも大変です。その結果、意味を理解できないばかりか、音声の速度についていけず挫折してしまうこともあるでしょう。
初級レベルの方は、スピードの調整が可能なオンライン教材やアプリを選ぶことをお勧めします。YouTubeの動画など、無料のものを活用するのもひとつの方法です。
自分のレベル感を確認するために、スクールの体験レッスンなどを受けてみるのもいいかもしれません。
2. 事前に英文や単語の内容を理解していない
トレーニングを始める前に、音声に含まれる単語や文法の理解ができていないと、正確にシャドーイングすることは難しいでしょう。リスニングが追いつかず上達につながっていかず、挫折の原因になることも。
シャドーイングを行う際は、事前に音声の内容をチェックし、完璧ではなくてもある程度の必要な語彙や文法を把握しておくことが大切です。
3. 音声のどおりに発音していない
聞こえてくる音声をそのまま発音するシャドーイングですが、音の変化やリズムを聞いてきちんと再現しないと、学習効果を十分に実感することはできません。
ネイティブスピーカーの発音を真似するときにはただ繰り返すのではなく、音の強弱やリズム、つながりを意識するのがポイントです。さらに、何度か繰り返して、音声と自分の発音を比較しながら練習することで、より精度の高いトレーニングが可能になります。
【初級・中級別】シャドーイングに取り組むコツとアドバイス
シャドーイングは英語の習得レベルに合わて、学習内容を変える必要があります。
ここでは、初級者・中級者それぞれに向けて取り組むコツやアドバイスをまとめています。
初級者向け
まず、発音やリズムに慣れることから始めましょう。あまり難易度の高い音声を使わず、初心者向けの英会話教材やスクリプト付きの音声を選ぶことがポイントです。
初めから完璧を目指すのではなく、少しずつ音に慣れていくことも大切です。英語に触れる機会や習慣がない方は、シャドーイングを実践する前に英会話教室やオンラインスクールの利用をおすすめします。
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中級者向け
ビジネス英会話など、より実践的なシャドーイングにチャレンジしてみましょう。ニュースや映画などの音声を使用することで、自然な英語表現が学べます。
会話のスピードが速い音声にも挑戦してみると、ネイティブスピーカーの速度にも慣れていきます。英会話教室でネイティブ講師などによるプロの指導を受けて、徹底的に弱点を克服するのもいいでしょう。
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この記事では、シャドーイングの具体的なやり方や効果・メリットなどを解説しました。シャドーイングは、英語スキルを総合的に向上させたい方におすすめの英語学習方法です。
独学での学習に不安がある方は、プロの指導を受けるのもひとつの手段です。
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