フランス料理といえば「複雑な工程が必要で作るのが難しい」「高い食材や調味料を使っている」とイメージしている方も多いでしょう。
しかし、そのイメージはお店でフランス料理を食べるからこそ。フランスの家庭料理のことを知れば「作るのが難しい」「高くて手が出ない」などのイメージはがらりと変わるでしょう。
フランスの家庭料理は、味付けや調理方法などがシンプルなので、気軽に挑戦できます。普段の食卓のレパートリーも増やせるでしょう。
今回は、簡単に作れるフランスの家庭料理を紹介します。フランス料理の歴史についても触れていくので、ぜひ最後までご覧ください。
フランス料理の歴史とは
フランス料理は、14世紀ごろから発祥したのが原点です。 フレンチといえばマナーや作法などが厳しいイメージを持っている方もいるでしょう。
しかし、フランス料理が誕生した当時は食べ方が自由で、フォークやナイフなどは使わず、手で食べるのが一般的でした。
フランス料理のはじまり
本格的にフランス料理の歴史がはじまったのは、17世紀ごろでした。 この頃に高級な宮廷料理モデルの「オートキュイジーヌ」が誕生し、現在でも最高峰のフレンチとして確立しています。
多くの宮廷料理人がさまざまな調理技術を研究し、フレンチという料理概念が広まっていきました。 とはいえ、フランス料理が食べられたのは、宮廷内でも一部の特権階級を持つ人だけでした。
フランス革命による変化
フランスでは18世紀末に「フランス革命」が起きています。フランス革命が起きると、宮廷で働いていた料理人の多くが失業し、街中でレストランを開くようになりました。
お客様を集めるためには、大衆も楽しめるように工夫しなければいけません。 庶民でも味わえるような料理を試行錯誤し、このころから市民の間でもフランス料理が食べられるようになりました。
現代のフランス料理
現代でも様々な調理技術が誕生しており、時代に合わせたフランス料理に進化しています。 1970年代では濃い味付けは避けられ、素材の風味を生かすような調理法が考案されました。
味付けに頼らず素材を楽しめる食べ方が、新たな流行になったのです。 しかし、1980年代になると、再び濃い味が求められるようになりました。 本来のフレンチ料理に戻りましたが、今日も発展を続けています。
フランスの家庭料理を再現するのは難しい?
「フランス料理を作るのは難しい」とイメージしている方も多いでしょう。 しかし、フランスの一般家庭で作られている料理は、意外にシンプルなので、再現は十分に可能です。
見た目が華やかで、豪華な食材を使った料理は、あくまでもレストランでフルコースを頼んだときの話。 家庭料理では調味料やハーブを使うものの、いたってシンプルな調理工程なので、挑戦しやすいのが特徴です。
簡単に作れるフランスの家庭料理2選〜前菜編〜
ここからは、簡単に作れるフランスの家庭料理を料理ジャンルごとにご紹介します。 まずは、おすすめの前菜から見ていきましょう。
じゃがいものガレット
「ガレット」といえば、そば粉の生地を使って四角くたたんだものをイメージする方も多いでしょう。 フランスのガレットは、素材を使って生地にするのが特徴です。
<用意するもの>
- じゃがいも 2個
- オリーブオイル 小さじ2杯
- バター 30g 塩 小さじ1/3杯
<作り方>
- じゃがいもの皮をむく
- 5mm幅の薄切りにして、数枚重ねて端からさらに5mm幅に切る
- フライパンにオリーブオイルを引いて中火で熱する
- 切ったじゃがいもを円形になるように薄く平らに広げる
- バターを千切りながら全体に乗せる
- まんべんなく塩を振る 側面に香ばしい焼き色が付いたら、ひっくり返す
- 弱火で8分程度焼き、仕上げに塩を振る
じゃがいものガレットは用意するものも少なく、手軽に作れるのが特徴です。 また、作る際はじゃがいもを水にさらさないようにしましょう。
水にさらさないことでじゃがいものデンプンが出るため、きれいに焼き固められます。 フライドポテトやマッシュポテトとはまた違ったカリカリとした食感が楽しめるため、間食にもおすすめです。
カナッペ
カナッペとは、バゲットに好きな具材を載せるだけのお手軽前菜です。ここでは、おすすめの具材をご紹介します。
<用意するもの>
- バゲット 鮭(お刺身用) 150g
- 塩コショウ 少々
- オリーブオイル 大さじ1
- ケイパー 小さじ1
- レモン汁 小さじ2
- マヨネーズ 大さじ1
- レモン(輪切り) 2~3枚
- ディル(なくてもよい) 適量
- トマト 1~2個
- オリーブオイル 小さじ1
- 塩 小さじ1/2
- バジル 2枚
- 粗びき黒コショウ 少々
- カッテージチーズ 大さじ2
- バゲット 1/2~1本
- ニンニク 1~2片
<作り方>
- サーモンを1cmの角切りにし、塩コショウ、オリーブオイル、ケイパー、レモン汁と合わせて冷やしておく
- レモンを輪切りにして、4等分に切る トマトは横半分に切り、種とヘタを取って1cmの角切りにする
- キッチンペーパーなどで水分をとっておく
- 生バジルを細かく刻み、トマト、オリーブオイル、塩と混ぜ合わせて冷やしておく
- 輪切りにしたバゲットをトースターでこんがりと焼く
- ニンニクの根本を切り、焼いたバゲットに擦りつける
- マヨネーズを塗り、その上に冷やしておいたサーモンとレモン、生ディルを乗せる
とても簡単に作れて見た目が華やかなので、ちょっとした集まりやホームパーティーにおすすめです。 好きな具材をのせて楽しめるので、自分だけのカナッペを作ってみてはいかがでしょうか?
簡単に作れるフランスの家庭料理3選〜メイン編〜
次に、簡単に作れるメインのフランス家庭料理をご紹介します。華やかな見た目と食べ応えのある仕上がりになりながらも、難しい調理工程は少ないので、手軽に挑戦できるでしょう。
アッシ・ド・ブフ・パルマンティエ
アッシ・ド・ブフ・パルマンティエとは「おふくろの味」とも呼ばれている、家庭料理の定番です。
<用意するもの> ※3人分
- 玉ねぎ 1/2個
- にんにく 1片
- マッシュルーム 3個
- 牛ひき肉又は合挽き 200g
- 水又はブイヨン 100ml
- じゃが芋 500g
- バター 100g
- ナツメグパウダー 少々
- 塩コショウ
- お好みのチーズ 20g
<作り方>
- 玉ねぎとニンジンをみじん切りにする
- マッシュルームを小さめの角切りにする
- ひき肉を解さずそのままフライパンで炒める焼き目がついたらひっくり返し、徐々に解す
- 玉ねぎ、ニンニク、マッシュルームを加えて軽く炒める
- 水またはブイヨンを加えて、水分が飛ぶまで煮る
- 塩胡椒で味を整える 好みでスパイス、赤ワイン、トマトで味をつける グラタン皿に平らになるように移す
- じゃがいもの皮をむき、2cmの角切りにする
- 水から柔らかくなるまで煮る
- お湯を捨てて、熱いうちにフォークなどで潰す
- バターを加え、塩、ナツメグパウダーで味を整える
- グラタン皿に平らになるようにじゃがいものピュレを入れて、チーズをかける
- 200℃〜220℃のオーブンで焼く(火を通してあるため、焼き色をつけるだけで良い)
作る工程は多く感じますが、難しい調理工程はありません。 じゃがいもとひき肉の香ばしさと風味がマッチするので、食べ応えがあるでしょう。 クリスマスなどのイベント時にもおすすめです。
ブフ・ア・ラ・ブルギニョン
ブフ・ア・ラ・ブルギニョンは、牛肉の赤ワイン煮込みのことです。メインディッシュにふさわしい食べ応えのある料理です。
<用意するもの>※2〜3人分
- 牛肉 400g(すね肉など好みの煮込み用部位)
- ベーコン 70g
- 小玉ねぎ 480g
- にんじん 大1本 (200g)
- マッシュルーム 1パック
- 芽キャベツ 5〜6個
- 金柑の皮 3個分
- 油 バター 40g(30g:小玉ねぎ用、10g:ベーコン・マッシュルーム用)
- 砂糖 大さじ1
- 小麦粉 大さじ4
- ビーフストック 200ml(コンソメをお湯で溶いたものでも代用できる)
- ブーケガルニ 適量
- 塩 少々
- こしょう 少々
- にんにく(包丁の腹で潰したもの) 2片分
- 漬け込み用野菜(セロリの葉・玉ねぎ) 適量
- 赤ワイン 300ml
<作り方>
- 一口大にカットした牛肉を、ニンニク、漬け込み用の野菜、赤ワインに漬け込んで、最低2時間から一晩おく
- 牛肉を取り出して水気を切ったら、ベーコンを角切りに、野菜類は一口大に切る
- 鍋に油と漬け込んでいたニンニクを入れて、香りがたったら牛肉を入れる 塩こしょうをふりながら、全面を強火で焼く
- ニンニクとお肉を取り出す
- 漬け込み用の野菜を入れて油をなじませたら、小麦粉を入れてしっとりするまで炒める
- 漬け込み用の赤ワイン汁を加えてアルコールを飛ばし、ビーフストック、ブーケガルニ、金環の皮、にんじん、牛肉、ニンニクを戻して、蓋をして2時間煮込む
- フライパンにバターと砂糖を入れ、砂糖が香ばしくなったら小玉ねぎを入れて炒める
- 100mlの水を入れて、柔らかくなるまで蒸し煮にする
- 柔らかくなったら牛肉が入っている鍋に加え、バターで炒めたベーコンとマッシュルームも加える 最後に芽キャベツを入れて煮込む
塩胡椒で味を整える 赤ワインの芳醇な香りと、ほろほろと解ける牛肉は、まさに特別感が満載です。家族や恋人の誕生日や記念日などに作ってみてはいかがでしょうか?
ラムの香草パン粉焼き
こちらは少ない材料で作れるレシピです。 パン粉をつけて焼くだけなので、日常の食卓にもおすすめです。
<用意するもの>
- ラム肉[骨付き] 8本(400g)
- おろしにんにく 小さじ1
- ハーブソルト 小さじ2
- パン粉 適量
- オリーブオイル 大さじ3
<付け合わせ用>
- ベビーリーフ 適量
- レモン(くし形切り) 適量
- マッシュポテト 適量
<作り方>
- ラム肉におろしニンニクを全体的に塗る
- ハーブソルトも同じく全体にまぶし、3分ほど時間を置く
- 両面にパン粉をまぶして、手でしっかり押さえる
- フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、ラム肉を入れて、両面に焼き色がつける
- 火が通るまで弱めの中火で焼く
- 器に盛り、付け合わせ用のベビーリーフ、レモン、マッシュポテトを添える
カリッとしたパン粉とハーブソルトとおろしニンニクで味付けをしたラム肉は、お酒とも楽しめます。
簡単に作れるフランスの家庭料理2選〜デザート編〜
最後に、簡単に作れるデザートもご紹介します。
梨のコンポート
今回紹介するのは、白ワインで煮込むコンポートです。 砂糖が少なめで、素材の味を生かした味付けになっており、少し大人なデザートです。
<用意するもの>※ 2人分
- 梨 1個
- クローブ 2個
- 白ワイン 1カップ
- 水 1カップ 砂糖 60g
<作り方>
- 梨の皮をむいて芯を取り除く
- 4等分にしたら小鍋に入れる
- 白ワイン、水、クローブ、砂糖を加え、弱火で20分煮る
基本的には煮るだけなので、面倒な手間はありません。 コンポートの中でも甘さが控えめなので、甘いのが苦手な方でも食べやすいでしょう。
クレームダンジュ
クレームダンジュはアイスクリームのような見た目ですが、実はチーズケーキなんです。ふんわりと優しい食感なので、お子さんでも食べやすいでしょう。
本来はフロマージュブランというチーズを使うのですが、今回はヨーグルトとクリームチーズで代用したレシピをご紹介します。
<用意するもの>※4人分
- クリームチーズ 100g
- グラニュー糖 50g
- ヨーグルト(無糖) 100g
- 生クリーム 100g
<作り方>
- クリームチーズをボウルに入れて木べらで柔らかくなるまで練る
- グラニュー糖を入れて馴染ませる
- ヨーグルトを少しずつ入れ、ダマにならないように泡立て器で混ぜる
- 別のボウルで生クリームを泡立て器で泡立てる
- クリームチーズのボウルに生クリームを入れて、全体的に混ぜる
- ザルや粉ふるいにクッキングシートを敷いて、生地を流す
- 一回り大きいボールに乗せ、ラップをして冷蔵庫で12時間以上おく
付け合わせで、ブルーベリーのジャムや蜂蜜などをかけるのもおすすめです。 少し変わった食感が楽しめるので、チーズケーキが好きな方はぜひ作ってみてください。
フランスの家庭料理を再現!おすすめ調味料
フランスの家庭料理を再現する際に欠かせないのが調味料です。 より本場に近い家庭料理を作りたい方は、ぜひ以下で紹介する調味料を集めてみてください。
砂糖・塩
調理をする上で欠かせないのが、砂糖と塩です。フランスの家庭料理で使う際は、精製塩や岩塩がおすすめです。粒子の細かな精製塩は食材に均一に行き渡りやすくなるため、味がなじみやすいでしょう。 粒子が粗い岩塩は、マリナードなどにおすすめです。
また、通常の料理に高級感を持たせてくれるのが「トリュフ塩」です。 豊かで香ばしいトリュフの香りは、嗅ぐだけでも気分を高まらせてくれるでしょう。 砂糖は三温糖がおすすめです。 甘みに奥行きが出やすく、野菜のピュレなどに向いています。
オイル
オイルには数え切れないほどの種類があり、それぞれ用途も異なります。 その中でもフランスの家庭料理に向いているのが、ピュアオリーブオイルとエクストラバージンオリーブオイルです。
ピュアオリーブオイルは香りの主張が弱いため、加熱料理にも向いています。 エクストラバージンオリーブオイルは香りの主張が強く、サラダや前菜などにおすすめです。 加熱してしまうと香りが飛び、絡みも増すのでおすすめはできません。
また、お肉料理を作る際はくるみオイルがおすすめです。 お肉をソテーするときに使うことで香ばしい香りが出るため、食欲がそそられます。 ドレッシングに入れることで香ばしさが出るため、野菜等との相性も抜群です。
ワイン
フランスの家庭料理では、白ワインや赤ワインなどもよく利用します。 基本的に安いものでかまいませんが、「料理用」になっているものはおすすめできません。 渋みや旨味が薄くなっているため、料理に奥行きが出なくなる可能性があります。 通常のアルコール売り場で販売されているワインの方が、コクが生まれやすく、料理との相性が良いでしょう。
家庭料理のプロを探す
フランスの家庭料理は調味料や調理工程もシンプルなので、気軽に挑戦できます。 しかし、本格的な味を学びたいなら、家庭料理のプロに学ぶのがおすすめです。 作る工程の中でのワンポイントアドバイスももらえるため、料理のスキルアップもできるでしょう。