観葉植物としても人気のコーヒーの木、最近は100円ショップなどでも見かけるようになりました。コーヒーの木は熱帯アフリカが原産地で、その種類は100にも及びます。コーヒーは今でこそ味わい深い嗜好品となっていますが、当初は秘薬として飲用されていたのです。
それが15世紀、宗教上で飲酒が禁止されているイスラム教徒に、嗜好品として飲まれるようになったのが、今のコーヒーの始まりです。
コーヒーは育てるのが難しい木です。コーヒーが健やかに育つには降雨量・日当たり・気温・土壌の4つの条件があり、それを満たす地域をコーヒーベルトと呼び、赤道を中心とした北緯・南緯ともに35度までの地域を指します。残念ながら日本はその中に入っていません。
コーヒーの木を育てる際の年間スケジュールは?
コーヒーは種まき、または苗から始めても結実するまで3年以上かかります。一般的には6~10年が収穫のピークと言われています。
1.苗の購入
最近は100均でも購入できるコーヒーの木ですが、苗は葉の艶が良く濃い緑色をしたものを選んでください。植え付け・植え替えともに5~7月頃にするのが良いでしょう。
2.育苗
コーヒーの木は根を張るスピードがとても速い木です。2年に一度、または樹高が30cmになったら一回り大きな鉢または地面に植え替えましょう。
3.開花
コーヒーの花を見たこと、あまりないですよね。コーヒーの花は3~5年目の春に初めて開花時期を迎えます。白くて可憐なジャスミンのような花が葉の根元に咲きます。コーヒーの花は開花して3日ほどで散り、小さな果実をつけます。北半球では、4~7月頃に花を咲かせます。
4.収穫
コーヒーは開花から8ヶ月くらいかけて、赤く熟した実になります。真っ赤になることから、「コーヒーチェリー」とも呼ばれます。春に開花して収穫は12~3月頃。最初は1株で40粒ほど収穫できたら良い方ですが、5年以上経ち大きな株になれば、1,000粒も夢ではありません。
5. コーヒーの実は苗から育てていつできる?
コーヒーの木は結実までに長い時間がかかります。苗から育ててもうまく育って3年、場合によっては5年以上かかることもあります。
コーヒーの木の栽培における各ポイント
1. 日当たりや場所
コーヒーの原産地は熱帯アフリカ、日当たりの良い場所を好みます。しかし強い直射日光は苦手なので、半日影で育てると良いでしょう。コーヒーの木の生育適温は15~25℃、寒さは苦手なので冬の間は必ず室内に置いてあげてください。
2. 水やり
成長期である春から夏にかけては、たっぷり水をあげてください。逆に冬は週に一度くらい、少し乾燥気味くらいで十分です。
3. 肥料
肥料は成長が盛んな5~9月に、観葉植物用の置き肥を月に1回の割合で与えてください。冬は全く与える必要がありません。
4. 用土
コーヒーの木は水はけのよい土を好みます。植え付け用には赤玉土6:腐葉土2:川砂2の割合で混ぜた土を用意してください。市販の観葉植物の培養土でも大丈夫です。
5. 病気や害虫
コーヒーの木は成長が盛んな春から夏にかけて、害虫被害にあいやすくなります。乾燥している時期に気を付けたいのがハダニです。乾燥が激しい時は霧吹きなどで葉にたっぷり水を与えてください。またカイガラムシ・アブラムシは木の栄養分を吸い取ってしまうので、見つけたら歯ブラシなどで削り取るようにしてください。
コーヒーの木の栽培ステップ
1. 種をまく
冬に収穫できるコーヒーの実・コーヒーチェリーが手に入るのであれば、それを育苗ポットで育ててみましょう。12~1月くらいに種まきして発芽まで約2か月、本葉が開くまで3か月以上かかります。しかしコーヒーチェリーはなかなか手に入りにくいですね。
その場合は園芸店などでパーチメント付コーヒー豆が売っているので、それを購入しましょう。パーチメント付コーヒー豆は一晩水に付けてから種まきしてください。
2. 植える
コーヒーの木は寒さに弱いので、育苗ポットなどを日当たりの良い室内において、暖かくなるまで育ててください。5月頃になったら、大きな植木鉢か地植えに植え替えてください。コーヒーの木は根を張りやすい木なので、植え替えの際には主根の先端を剪定バサミで切落として、側根の成長を促すようにすると良いでしょう。
3. 水やりと追肥
コーヒーの木は春から夏にかけては育成が盛んになるので、この期間はたっぷり水を与えてください。植木鉢であれば、底から流れ出すくらいが良いでしょう。 逆に冬場は週に1回くらいで十分です。
4. 剪定
コーヒーの木には支柱や剪定など、特に必要ありません。しかし葉が密集し過ぎたり、枝が伸びすぎたりしていたら、その部分だけ少し剪定を行ってください。
5. コーヒーの実の収穫方法
コーヒーの木は花の約8割が結実します。開花から約8ヶ月かけて、青い実から黄色、赤と色を変えながら、徐々に大きな実に育っていきます。真っ赤な完熟豆コーヒーチェリーに育ったら収穫です。
6. 収穫後の実の扱い方と加工方法
コーヒーの実を精選する方法には、自然乾燥法と水洗処理法がありますが、家庭でする場合は水処理法の方が手軽にできるようです。まずコーヒーチェリーの皮と果肉を取り除きます。それを水に入れて一晩置き、これを水洗いすると完全に果肉が離れ生豆になります。そして5~10日天日干しします。これがコーヒーの生豆になります。後は好みに炒ってコーヒー豆の出来上がりです。
7. 挿し木で増やす
コーヒーの木は挿し木で増やすことができます。成長した元気な木の枝を枝元から切り取り、葉を6枚程度に剪定して、土に植えてみましょう。新しい芽が出てきたら、しっかり根付いた証拠です。その後は通常通り育てていきます。
最後に
コーヒーの木は育てる環境が限られているため、日本で育てるのが難しい木ですが、温度や水やりなどに気を付ければ育てることは可能です。収穫まで長い年月がかかりますが、苦労した分味わいは格別なものでしょう。
またコーヒーチェリーは、そのまま食べてもジューシーで美味しいようなので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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