マンションやアパートなどの賃貸住宅を退去する際は、退去費用の支払いが必要です。退去費用は原状回復費とハウスクリーニング代から構成され、入居者の負担には一定の判断基準があります。
本記事では退去費用の相場を解説するとともに、退去費用の内容についてご紹介します。退去費用が適正かを判断するためにも、ぜひ最後までご覧ください。
退去費用の相場は?
マンションやアパートを退去するときには、退去費用がかかります。初めての退去では、請求された金額が適正な金額かどうかわからないことも多いでしょう。事前に相場を知っておけば、金額の交渉などの対策ができます。
ここでは、退去費用の相場について、間取りや居住年数、広さ別にご紹介します。
間取り別の費用相場
間取り別の退去費用の相場は、以下のとおりです。退去費用として請求された金額が費用相場より高くないか、チェックしましょう。
間取り | 退去費用の相場 |
ワンルーム・1K・1DK・1LDK | 約5万円 |
2K・2DK・2LDK | 約8万円 |
3DK・3LDK | 約9万円 |
部屋数が多ければ多くなるほど、退去費用の平均額は高くなる傾向にあります。請求された金額が平均より高い場合は理由を確認し、その内容によっては減額などの交渉が必要になるでしょう。
居住年数別の費用相場
居住年数によっても費用相場は変わります。居住年数別の費用相場は、以下のとおりです。
居住年数 | 退去費用の相場 |
3年 | 約5万円 |
4〜6年 | 約6万円 |
7年以上 | 約9万円 |
居住年数が長いほど、退去費用は高額になる傾向になります。長く住むほど汚れが多くなり、故意・過失による傷や汚れが増える可能性も高まるためです。
ただし、通常の利用による経年劣化は入居者の負担になりません。国土交通省のガイドラインには設備の耐用年数について記載されており、借主の負担となるのは耐用年数の経過で残存する価値部分のみとなります。
そのため、10年以上経過し、設備の耐用年数も過ぎている場合には、借主の負担となる交換設備が減ります。退去費用は、安くなる可能性があるといえるでしょう。
広さ別の費用相場
間取り別で請求された金額を平米数で計算すると、1平米あたりの費用相場は以下のとおりです。
広さ(㎡) | 1㎡あたりの費用相場 |
15〜40平米 | 約2,000〜3,000円 |
41〜60平米 | 約1,500〜2,000円 |
61平米以上 | 約1,000〜1,500円 |
部屋が広くなればなるほど、1平米あたりの相場が安くなることがわかります。
大体の退去費用は、これら部屋の間取り・築年数・広さによって予測が可能です。ただし、地域や退去時期・修繕の必要性などで費用は前後するため、あくまでも目安として参考にしてください。
アパートの退去費用とは?
退去費用の内訳は、主に原状回復費とハウスクリーニング代です。ここでは、それぞれの内容や費用相場をみていきましょう。
退去費用の内訳
退去費用は、原状回復費用とハウスクリーニング代の2つで構成されています。賃貸住宅の入居者には部屋を元の状態に戻すという原状回復義務があり、その内容は国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で定めています。
支払い義務のある部分は敷金から差し引かれますが、義務のない部分も支払っている場合は、返金してもらうことが可能です。
ハウスクリーニングとは、専門業者による清掃サービスのことです。ガイドラインでは大家さんの負担が望ましいとしていますが、契約書で入居者の負担とする特約がつけられている場合もあります。その場合は、ハウスクリーニング代も入居者が負担しなければなりません。
敷金から差し引かれるのではなく、契約時に初期費用として支払う場合もあります。事前に契約書を確認し、どちらが負担するのか確認しておきましょう。
原状回復費用とは
原状回復費用とは、賃貸したときの状態に戻すための費用ではありません。国土交通省のガイドラインでは、通常の使用を超える損傷や故障、毀損を元に戻す費用であると定義しています。
部屋を通常どおり使用して傷んだ部分や汚れ、および経年劣化した部分を直す費用は、大家さんが負担します。これらに対する費用は、家賃で支払っていたと解釈されるためです。
入居者が負担するのは、故意・過失による損傷や故障などです。自分に責任がない費用は基本的に支払う必要はないと覚えておきましょう。
【箇所別】原状回復費用の相場
箇所別の原状回復費用の相場は、以下のとおりです。請求された際は、項目ごとにチェックしましょう。
原状回復の箇所 | 費用相場 |
壁紙の張り替え | 約750~900円(1㎡あたり) |
フローリングの汚れの除去 | 約1万円(1カ所) |
サッシのカビの除去 | 約1万~2万円 |
浴室の水垢やカビの除去 | 約1万~2万円 |
キッチンの油汚れの除去 | 約1万5,000〜2万5,000円 |
トイレの水垢・カビ除去 | 約5,000~8,000円 |
床材の張り替え | 約8,000~1万円 |
カーペットの張り替え | 約4万~6万円 |
これらはあくまでも目安の金額で、業者や人件費、補修箇所の状態によって具体的な金額は異なります。
原状回復費用の負担の判断基準
入居者と大家さんのどちらが原状回復費用を負担するかは、ガイドラインで事例が提示されています。内容の一部は、以下のとおりです。
入居者が負担するもの | 大家さんが負担するもの |
・引っ越し作業でついた傷 ・冷蔵庫下のサビ ・タバコの焦げ跡など ・台所の油汚れ ・結露によるカビ ・水漏れによる腐食 ・タバコなどのヤニ、臭い ・くぎ穴、ネジ穴 ・ペットのつけた傷、臭い ・子供の落書き ・キッチンの油汚れ ・水回りの水垢 ・カビ ・設備の破損、故障 | ・家具の設置によるへこみ ・床や畳の日焼けや色落ち ・電気ヤケによる黒ずみ ・画鋲やピンなどの穴 ・設備設置による跡 ・網戸の張り替え ・エアコンの内部洗浄 ・設備の寿命による故障 ・グレードアップ |
これは一例であり、原状回復の状態が発生した原因や内容により、どちらが費用を負担するかは異なります。基本的に経年劣化などは大家さんの負担ですが、故意・過失と判断される場合は入居者が負担します。
たとえば、経年劣化による床の色落ちは大家さんの負担になりますが、汚れを放置したことが原因の色落ちは入居者が負担しなければなりません。
故意・過失の客観的な判断基準はなく、判断するのは退去する際に立ち会う管理会社や内装業者です。故意・過失でないことを説明ができない場合は入居者が負担する場合もあるため注意してください。
ハウスクリーニング代とは
ハウスクリーニングとは、掃除の専門業者が清掃するサービスです。貸主が清掃作業をするのではなく、専門の業者に清掃を依頼する費用がハウスクリーニング代になります。
ハウスクリーニングでは、主に以下のような清掃を行います。
- エアコン清掃
- 床の清掃
- ワックス掛け
- 汚れたクロスの清掃・張り替え
- 水回りの清掃
- ベランダの清掃
- 換気扇の清掃
- カーペットの洗浄
部屋の使用状態や業者によって作業内容と費用は変わり、どの範囲まで清掃を行うかも貸主によって異なります。
【広さ別】ハウスクリーニング代の費用相場
ハウスクリーニング代は広さによって価格が変わり、広さ別の費用相場は以下のとおりです。
広さ(㎡) | 費用相場 |
~30㎡未満 | 約1万5,000円~3万円 |
30㎡~50㎡未満 | 約3万円~5万円 |
50㎡以上~ | 約5万円〜 |
ハウスクリーニングは業者によって金額が異なります。また、卒業や転勤などで退去が多い3月・9月は需要が増え、価格が上がる傾向にあるでしょう。相場よりも高い金額を請求された場合は、理由を確認しておいてください。
退去費用を抑えるポイント
高額の退去費用を請求され、困った経験のある人は少なくありません。退去費用を抑えるには、いくつかのコツがあります。管理会社との交渉や、汚れや毀損をできる限り自分で清掃・修復することでも費用が安くなる可能性はあります。
ここでは、退去費用を抑えるポイントについてご紹介します。
管理会社と交渉
退去時の費用が相場よりも高いと感じた場合、管理会社に交渉することで値引きに応じてもらえるケースがあります。交渉する際はただ「高すぎる」というだけでなく、高いという根拠を示すことが必要です。事前に電話し、納得できない部分について問い合わせましょう。
交渉では国土交通省のガイドラインや契約書の内容を見ながら、金額が妥当かについて説明してもらいます。妥当性がないのであれば値下げの交渉をしましょう。
管理会社によっては入居時にチェックリストが渡され、最初からあった傷や汚れを記録している場合もあります。リストがあればそれも一緒に確認し、金額が適正かをチェックしてください。
できる範囲の汚れは自分で掃除
自分で対応できる範囲の汚れはできるだけ掃除しておくことで、クリーニング費用が安くなる可能性があります。
故意・過失として入居者に原状回復を求められるのは、汚れた状態を放置していた場合がほとんどです。放置により発生したカビなどの汚れは、簡単な掃除では落とすことができません。日常的に掃除をしていれば、退去時の負担も抑えることができます。
たとえば、以下の点を心がけることで、退去費用を抑えることが可能です。
- 窓の結露はこまめに拭き取る
- お風呂は浴槽だけでなく壁や床も掃除する
- ヘアピンなど錆びやすいものを水回りに放置しない
- 料理をするたびにキッチンを掃除する
特に退去前は油汚れやクロス、トイレの汚れを掃除しておくと、費用を抑える効果が期待できるでしょう。
可能な範囲で修復
立ち会いで確認される前に、穴や傷など自分で補修できる部分はできるだけ修復しておきましょう。補修キットを利用して目立たない状態にしておけば、修繕費用が請求されない可能性があります。
ただし、傷の状態が大きい場合はきれいに修復するのが難しいため、避けた方が無難です。修復に失敗すると状態がさらに悪くなり、かえって費用が高くなる場合もあります。
なお、エアコンや給湯器など高額な設備が通常の使用で壊れた場合には、すぐ大家さんか管理会社に報告しましょう。すぐに報告すれば、修理してもらえる可能性が高いです。放置したまま退去の日を迎えると、修理費用を請求されるケースがあるため注意してください。
繁忙期を避けて退去
進学や転勤などで引越しが多くなる3月や9月は、ハウスクリーニングも繁忙期にあたります。また、大掃除のシーズンになる11月〜12月も忙しい時期です。料金が高くなるため、時期をずらして退去することが価格を抑えるコツといえます。
1ヶ月時期を早める、もしくは遅くすることで、価格を下げられるでしょう。
ただし、大家さんとの契約によっては「費用は一律〇〇万円とする」といった定額の取り決めをしている場合もあります。退去前に、まずは契約書を確認してみるとよいでしょう。
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今回は、退去費用の内訳や費用相場、安く抑えるポイントをご紹介しました。請求された退去費用が妥当かを判断するためには、事前に相場を知っておくことが重要です。
- 退去費用について相談したい
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