住宅が築50年を迎えたら、リフォーム工事を検討してみましょう。耐震補強工事や設備の交換、断熱リフォームなど快適な住宅にするための施工は多いです。とくに、地震発生時に倒壊してしまうリスクを防ぐために、耐震補強工事は早急に行う必要があるでしょう。
今回は、築50年住宅のリフォーム内容や耐震補強工事の費用相場、耐震リフォームに活用できる補助金制度などを解説します。リフォームで快適かつ安全な住空間を実現するために、ぜひご覧ください。
築50年の家のリフォームの内容は?
住宅が築50年に達すると、家の老朽化が目立つようになります。理想的な住空間を実現するためには、建て替えも有効ですが、リフォームも選択肢の1つです。リフォームなら、建て替えよりも費用負担を抑えられる傾向にあります。
しかし、築50年の住宅ともなると、どこをリフォームすべきかわからないことも多いでしょう。ここでは築50年の住宅に実施すべきリフォーム内容について解説します。
耐震補強工事
古くなった建物は地震の際に倒壊する危険があるため、耐震補強工事を行うことが必要です。
耐震基準には、1981年6月1日より前に適用されていた旧耐震基準と、それ以降に適用された新耐震基準の2つがあります。しかし、旧耐震基準は震度6以上の大きな地震については考慮していません。そのため、旧耐震基準に基づいて建てられた建物は、大規模な地震が発生した際に耐えられる構造をしていない可能性があるでしょう。
築50年の建物の多くには旧耐震基準が適用されている場合が多いため、地震発生時に備えて耐震補強工事を行いましょう。耐震補強が必要な箇所を明らかにするためには、工事前に耐震診断を受けるのがおすすめです。
水回りや電気系統の交換
築50年の住宅は、水回りや電気系統が劣化している可能性もあります。快適な住まいにするためにも、水回りの設備を新しくするリフォームも検討してみましょう。
一般的に、配管の寿命は20年ほどといわれており、建築後一度も交換していない場合は寿命を過ぎてしまっています。配管が劣化すると水漏れの原因になるため、必ず新しいものに交換しましょう。
また、築50年の住宅ではコンセントが少ないケースが多くみられます。電化製品を使用する機会が増えた現在、快適な住宅を実現するために、コンセントの増設リフォームもおすすめです。
基礎の補修
建物の耐震性を高めるためには、基礎の補修も重要です。建物の基礎には、以下の3つの種類があります。
- べた基礎
- 布基礎
- 独立基礎
このうち、とくに耐震性が高いのは「べた基礎」です。現在では、多くの建物にべた基礎が使用されていますが、築50年の建物の場合は、耐震性が低い独立基礎で作られている可能性あります。独立基礎の場合、地震が起こると基礎から柱が外れてしまうリスクがあるので注意が必要です。
断熱性や気密性の向上
築50年の住居は、断熱性能や気密性が低い場合が多いです。建物の断熱性が低いと、外の暑さや寒さが家の中に入ってきてしまい、夏や冬の時期を過ごしづらくなるでしょう。
また、気密性が低いと、外から隙間風が入り込んで結露を起こしたり、湿気によってカビやダニが発生したりする可能性も。こうした問題を解決するためには、断熱性や気密性を向上させるリフォームが効果的です。具体的には、窓を二重サッシにする、断熱材を厚く敷くなどの対策が考えられます。
耐震対策の種類
日本は地震大国であり、いつ大規模な地震がきてもおかしくないといわれています。地震の被害から建物を守る耐震対策は、以下の3つです。
- 耐震:柱や壁などを補強して揺れに備える
- 免震:揺れが伝わりにくくなる免震装置を設置する
- 制震:揺れを吸収する制震具を設置する
リフォーム工事では、いずれかの工法によって耐震性能を高めましょう。
耐震補強工事の費用相場はいくら?
一般的に、耐震補強工事にかかる費用相場は、約150万円前後といわれています。
ここでは、築50年の住居全体に耐震補強工事を施す場合と部分的に耐震補強工事をする場合の費用相場や耐震リフォーム費用の内訳について解説します。
築50年の耐震補強工事の費用相場
耐震補強工事にかかる費用は、築年数別に変化します。費用相場は、以下のとおりです。
築19年以下 | 約95万円 |
築20〜29年 | 約130万円 |
築30〜39年 | 約170万円 |
築40〜49年 | 約190万円 |
築50年以上 | 約190〜235万円 |
このように、築50年で床面積が60〜80平方メートルの建物の場合、相場は約190万円です。一般的に、築年数が10年経過するごとに、耐震補強工事にかかる費用は約30万円ずつ増加するといわれています。
築50年以上になると、耐震基準を満たすために大幅な工事が必要になるので、全体平均に比べて工事費用が大幅に高くなることもあるでしょう。
部分的な耐震補強工事
建物全体ではなく、外壁の補強や屋根材の軽量化など、部分的な耐震補強工事も可能です。その場合の費用目安は、以下のとおりです。
土台や柱に耐震金物を設置する | 約40万円 |
壁に筋交いを設置して補強する | 約25万円 |
壁に耐震パネルを設置する | 約30〜60万円 |
屋根の補強・屋根材の軽量化 | 約100〜150万円 |
部分的に耐震補強工事を行う際は、全体のバランスが崩れないよう、業者と相談しながら工事箇所を決めましょう。
耐震リフォーム費用の内訳
耐震リフォームでは、柱や基礎などの構造体を補強した後、内装を施してもとの状態に回復させます。見た目にはほとんど変化がないため、耐震リフォームと通常のリフォームを同時に行うケースも少なくありません。
耐震リフォームと通常のリフォームを行う際は、以下のような工事にかかる費用が発生します。
まずは耐震リフォームの内容と費用を明らかにした後、予算内でどの程度の通常リフォームを実施できるか検討しましょう。
耐震リフォームに活用できる補助金制度
耐震リフォームには、決して安くはない費用が発生します。費用を払えるか不安、という方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、耐震リフォームに活用できる補助金・助成金制度をご紹介します。
自治体が実施している補助金制度
多くの自治体が、地震による建物の倒壊被害を防げるよう、耐震診断や耐震リフォームに活用できる補助金制度を実施しています。
自治体によって、木造住宅のみを補助対象にしていたり、補助率が異なっていたりと、補助金制度の内容はさまざまです。まずは、お住まいの自治体が補助金制度を実施しているかを確認し、細かい条件をチェックしましょう。
実施の有無については、各自治体のサイトか以下のサイトから確認できます。
参考:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和4年度版)
国の支援
耐震リフォームに関する国の補助金制度は存在しません。しかし、所得税の特例措置や固定資産税の特例措置が適用される場合があり、結果として費用負担を軽減できる可能性があります。
ここでは、耐震リフォームに活用できる所得税の特例措置と、固定資産税の特例措置について解説します。
所得税の特例措置
所得税の特例措置としては、所得税から一定額を控除する「投資型減税」が挙げられます。
耐震リフォームについては、以下の要件を満たす場合に控除の適用を受けられるのでチェックしておきましょう。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であって、自己の居住の用に供する家屋であること
- 耐震改修をした家屋が、現行の耐震基準に適合するものであること
- 2つ以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること
控除が適用されると、25万円を上限に、耐震リフォーム工事にかかる標準的な費用の額の10%を所得税から控除可能です。
さらに、2022年度の税制改正により、控除対象限度額を超過する部分に加え、耐震リフォームと同時に行うリフォーム工事費用の合計額、あるいは耐震工事の標準的な費用の額のうち、どちらか低い方の5%を所得税額から控除できるようになりました。
参考:国税庁「No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)」
固定資産税の特例措置
以下のような条件を満たす耐震リフォームを実施する場合、翌年度の固定資産税が2分の1に減税されます。
- 1982年1月1日以前から所在する住宅である
- 工事費用が税込50万円を超える
- 新耐震基準に適合する耐震改修工事を行っている など
固定資産税の減税を受けるためには、耐震リフォーム工事完了後、3ヵ月以内に都道府県・市区町村に届け出る必要があります。詳しくは、下記のサイトをチェックしてください。
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本記事では、築50年の住宅のリフォームにかかる費用相場や活用できる補助金制度についてご紹介しました。築50年を超える住宅は劣化している可能性があり、地震による倒壊のリスクもあります。耐震工事リフォームを実施し、安全な住宅にすることが求められるでしょう。
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