精進料理は奥が深く、日本人でも、知らない人は知らないでしょう。ここでは、精進料理の基本や、都内・大阪・京都で精進料理をいただける場所も解説します。
長すぎることなくコンパクトなので、パッと知識を身に付けたい方はぜひご一読くださいね。
精進料理とは?
肉や魚を使わない、野菜・穀類・海藻・豆・きのこ・木の実・果実など植物性の食材のみを使う料理のことです。禅宗(ぜんしゅう)の僧侶による「殺生を禁じ、身と心を清らかにする」という教えの中から生まれました。禅宗の精進料理は菜食ですが味がしっかりとしていることが特徴と言われています。鎌倉時代に生まれた精進料理は、安土桃山時代になり、千利休が創始した茶道の中で懐石料理へと変化しました。
ベジタリアンとは?
菜食主義のことです。主義であり個人の嗜好や選択なので、人によってどの程度菜食主義なのか異なります。肉や魚は食べないけれど乳製品や卵は摂取する、乳製品は摂取する、卵は摂取するなど様々です。宗教や考え方から食べない人もいます。精進料理は禅宗の一つである曹洞宗で「日常の行い全てが仏の道を実践することであり、調理も、食事をいただくこと自体も仏教の実践である」と説いたと言われています。すなわち精進料理もベジタリアン(菜食主義)の一種であると言えるでしょう。
精進料理の基本
五法
5つの調理方法のことです。生・煮る・焼く・揚げる・蒸す、を指します。
五味
5つの味のことです。甘味・塩味・酸味・辛味・苦味、を指します。これに6つ目の味、淡味を加えて六味とされています。淡味とは素材そのものの持ち味を生かす味付けのことです。
五色
5つの色のことです。白・黒・赤・黄・青(緑)、を指します。食材の色だけでなく、お膳の色も含みます。
精進料理を作る時のポイント4つ
1.一つの膳の中に同じ食材を2回使わない
どうしても使う場合は切り方も調理方法も変えて、全く別のものに変えます。
2.食材の大きさを揃える
形と大きさを揃えることで、味や調理ムラが出ないようにします。
3.どこでも手に入る食材を使う
旬の食材もいいものですが、銘柄にこだわる・高級な食材・特別な食材は使用しません。食材がどのようなものでも美味しいものにする、という考え方で作られます。
4.食べた後に相手に不快感を与える食材は使わない
ネギ・玉ねぎ・にら・にんにく・らっきょう・セロリなど、においの強いものや刺激のある、食べる側にとっても好みが分かれる食材は使わないこともあります。
精進料理で使う調味料7つ
1.だし
昆布と干ししいたけからとります。
2.醤油
日本料理でも欠かせないしょうゆ。原料は大豆です。
3.白砂糖
白砂糖を好まなければ、きび砂糖・黒砂糖・甜菜糖などに置き換えてもいいでしょう。いずれも植物性の甘味です。
4.酒
酒も、米や麦など植物性の原料を使って作られる調味料です。
5.米酢
漢字の通り、米を原料に作られる酸味です。
6.味噌
西日本は麦味噌、東日本は米味噌が多いように地域によって使う味噌は異なるでしょう。いずれも植物性の原料です。
7.ごま
ごまどうふは、精進料理の代表です。胡麻和え・胡麻味噌・胡麻酢など、欠かせない脇役です。
精進料理が食べれる!東京・大阪・京都のお店6選
東京
醍醐
港区愛宕に位置します。数寄屋造の店内では、築地から仕入れた食材で作られた懐石形式の精進料理が振る舞われます。
いと正
麻布十番に店を構え、ミシュランで星を獲得しています。
大阪
阪口楼
天王寺駅前、統国寺のそばです。完全予約制なので、訪問する際は事前の手配を忘れずに。
KU-RI
毎日限定20食。調理は漢方養生指導士、ジャパンテーブルアーティスト、野菜ソムリエの資格を持つ松永有希子さんが担当されています。
京都
篩月(しげつ)
天龍寺直営です。京都市右京区、最寄駅は嵐山ですが、駅から少々歩く立地です。
泉仙
府内に4カ所の店舗を構えています。精進料理のみ、精進料理に特化しているわけではなく、会席料理・精進鉄鉢料理・幕内料理・点心・折詰料理を揃えています。
最後に
精進料理は日本料理の考え方の根底になったと言われているそうです。和食と懐石料理はどう違うのか?精進料理とは何か?日本の文化とは何か?など、国際化の高まりにつれ「日本とは何か」「日本とはどのような国か」を考える機会も増えていると言えます。
精進料理について知っておき、説明できると様々な場所で会話の幅が広がるでしょうし、外国人から英語で「精進料理とは何か」「日本にも菜食主義の文化があると聞いたが」など、尋ねられることもあるかもしれません。
また、「いきなりお寺に行く」「いきなり本格的な精進料理を食べる」前に一度足を運んでみやすい精進料理店・懐石料理店もいくつかあります。ぜひ足を運んでみてくださいね。
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