モルタル外壁の中古住宅購入や外壁塗装を検討しているが、どのような外壁なのか気になるという方もいるかと思います。モルタル外壁は耐火性があり、デザイン性が高い点がメリットです。
本記事では、モルタル外壁の特徴やメリット・デメリット、外壁塗装の際の費用相場を解説します。
モルタル外壁とは?
モルタルとは、セメントと砂、水を混ぜて作られた建築材料です。見た目はコンクリートに似ていますが、材料が異なります。独特の質感がありデザイン性が高く、人気のある外壁材です。
モルタル外壁が日本で使われるようになったのは明治時代で、洋風建築の影響とされています。耐火性が高いことから、関東大震災後に普及しました。
1950年に「建築基準法」が制定された際、外壁材には一定の防火性能を備えることが義務付けられました。これがモルタルの普及を加速させ、1980年代には日本の外壁材の主流を占めるようになります。
その後、サイディング外壁が普及しはじめ、現在の主流となっています。
モルタル外壁の表面仕上げの種類
モルタル外壁は、さまざまな表面仕上げが特徴です。建築スタイルに合わせて、好みのデザインを選べます。
【モルタル壁の主な表面仕上げ】
リシン仕上げ | 最もオーソドックスな仕上げ マットで落ち着いた風合いがある |
リシンかき落とし | リシンを塗布し特定のパターンでかき落とす 個性的な模様を作り出す |
吹き付けタイル仕上げ | タイルのような見た目 耐久性と美観 |
スタッコ仕上げ | 「化粧漆喰(けしょうしっくい)」を専用のスプレーガンで吹き付ける 粗いテクスチャー |
左官仕上げ | 職人の左官技術で仕上げる 滑らかな表面から独特の模様まで幅広い表現ができる |
パターンローラー仕上げ | ローラーを使用して独特のパターンを作る 好みに合わせて多彩な表情にできる |
モルタルとサイディングの比較
モルタルとサイディングの特徴
外壁材として現在主流となっているのはサイディングです。 サイディングとは、壁の広さに合わせてカットしたボードを張り合わせて仕上げた外壁のことを指します。短い工期で安価に施工できる上、耐久性やデザイン性も高いため、近年では外壁材の約8割がサイディングを使用していると言われています。
サイディングの素材には「窯業系」「金属系」「木質系」「樹脂系」の4種類がありますが、最も主流なのは「窯業系」です。
モルタルとサイディングには、構造や見分け方、メンテナンス周期、価格に違いがあります。構造上の大きな違いは継ぎ目の有無です。
モルタル外壁は、コンクリートと砂を混ぜて壁に直接塗るため、継ぎ目がありません。一方で、サイディングはボードを壁に貼るため、板と板の間に継ぎ目が生じます。
デザイン面でも両者は異なります。モルタルは職人が手作業で塗るため、重厚感や独特の味わいが特徴です。一方、サイディングはデザインのバリエーションが豊富で、好みの色を選ぶことができる上、仕上がりに品質のばらつきが少なく、一定の品質を保てます。
メンテナンス周期についても違いがあります。
モルタルのメンテナンスは約10〜15年に一度必要とされるのに対し、サイディングは約10年ごとにメンテナンスが必要です。
モルタルとサイディングの費用相場
30坪に施工する場合の費用相場は、次のとおりです。
モルタル | 約50万~70万円 |
サイディング | 約20万~40万円 |
モルタルの外壁にするメリット
モルタルの外壁にすることで、次のようなメリットを得られます。
耐火性や断熱性に優れている
モルタルの原材料はセメントと砂、水という不燃性の素材で、熱伝導性が低く、耐火性・断熱性に優れています。
熱を通しにくいため、夏でも室内の温度が上がりにくく、比較的涼しく過ごせます。
万一の火災の際も延焼しにくく、有毒ガスが発生することもありません。モルタル外壁の住宅は、火災で内部が全焼しても壁だけは残るというケースも多くみられます。
飛来物などの衝撃に強い
モルタルは衝撃に強く、台風などで飛来物が衝突しても簡単には破損しにくい素材です。耐久性も高く、適切なメンテナンス方法を行えば30年以上は状態を維持できるとされます。
デザインの自由度が高い
モルタルはデザインの自由度が高く、さまざまな色や模様から選べます。とくに左官仕上げは、職人の手作業で温かみや味わいのある外壁になります。
また、サイディングでは難しい複雑な形状の壁でも施工しやすい点も、メリットといえるでしょう。
モルタルの外壁にするデメリット
モルタルには、デメリットもあります。主に、次のような点です。
表面の汚れやひび割れが発生しやすい
モルタルの外壁は表面に凹凸のある仕上げが多く、その質感がメリットである反面、汚れがたまりやすいというデメリットがあります。雨水の跡やカビ、コケなども発生しがちで、家の美観を損ねやすいでしょう。
モルタルはひび割れ(クラック)が発生しやすい点もデメリットです。モルタルは塗装の際に水を使うため、塗材が乾燥する過程で収縮が起こることがひび割れの起こる原因のひとつとされています。
また、サイディングのような継ぎ目のないモルタル外壁は揺れに弱いため、地震が頻発するとひび割れの原因になります。
大きいひび割れは雨水が侵入し、建物内部が腐食するなどのリスクがあるため、放置せず外壁塗装や補修のメンテナンスが必要です。早めに塗装業者に依頼しましょう。
防水性が低い
モルタルは防水性が低いというデメリットもあります。一般的にモルタルは塗装で防水性能を高めるため、経年劣化などで塗料が剥げてくると防水機能が弱まります。雨水が染み込みやすくなるでしょう。
塗料が劣化すると、壁を触ったときにチョークの粉のようなものがつく「チョーキング」と呼ばれる症状が起こる場合もあります。
外壁の塗膜が剥がれていたりチョーキングが起こったりした場合は、早めに防水塗装のメンテナンスを行いましょう。
職人の腕によって仕上がりの質に差が出やすい
モルタルの外壁は、職人の腕に左右されることもあります。仕上がりの質に差が出て、イメージした外壁にできないこともあるでしょう。
そのような事態を避けるためには、業者の選び方が大切です。インターネットなどで、施工実績や施工例を事前に確認するとよいでしょう。
職人による手作業のため工期が長く、費用も高めという点もデメリットです。
モルタルの外壁塗装・外壁補修にかかる費用
モルタル壁の耐用年数は、長くて30年程度です。一方、塗装の寿命は10〜15年程度で、定期的な外壁塗装が必要です。また、劣化状況によっては外壁補修も必要になるでしょう。
ここでは、モルタルのメンテナンスに必要な、外壁塗装・外壁補修にかかる費用相場を解説します。
外壁塗装の費用相場
外壁塗装の坪数ごとの費用相場は、次のとおりです。価格は、塗料の種類によって変わります。
坪数 | 費用相場 |
20坪 | 40〜70万円 |
30坪 | 60〜100万円 |
40坪 | 80〜130万円 |
50坪 | 100〜160万円 |
60坪 | 120〜200万円 |
このほか、外壁塗装工事には諸経費があり、30坪の場合の費用相場は次のとおりです。
- 足場代:8万円前後
- 養生代:3〜4万円
- 高圧洗浄:3〜4万円
- 下地処理:2万円前後
外壁補修にかかる費用
モルタル外壁のひび割れを補修する費用は、1か所につき1万〜10万円が相場です。ただし、構造クラックと呼ばれる大きなひび割れの場合、30万円以上になるケースもあります。
そのため、ひび割れを見つけたら放置せず、早めに補修工事を依頼することが重要です。小さなひび割れの場合は、塗装で修復できる場合もあります。
モルタルの掃除方法
表面の汚れが目立ってきたら、定期的な外壁掃除が必要です。掃除には、外壁用洗剤とブラシかスポンジ、水道ホースを用意します。
掃除の手順は、以下のとおりです。
- ホースで外壁の汚れを上から流す
- 外壁用洗剤を使い、ブラシかスポンジで汚れを優しくこすり落とす
- 洗剤を残さないよう、水で洗い流す
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