建物を新築したり増築したりする際、原則として建築確認申請が必要です。建築確認申請では、建物が建築基準法をはじめとする各法令に適ているかを事前にチェックします。建築確認申請には一定の期間や費用がかかり、申請に通らなければ工事を進められないため、事前に概要を理解しておきましょう。
今回は、建築確認申請の流れ費用相場、必要な書類、注意点などを解説します。建物の新築や増築を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
建築確認申請とは
建築確認申請とは、工事しようとしている建築物が建築基準法をはじめとする法令に適しているかを確認する手続きのことです。管轄の自治体もしくは自治体から指定を受けた民間の検査機関が実施します。建築基準法第6条により、建築物を工事する際は一部のケースを除いて申請が必要です。
建築確認では主に、建ぺい率や容積率、採光が十分であるか、省エネ基準を満たしている建物であるかなどが審査されます。当該建物が住むのに適しているかを確認する意味が強いです。
建築確認申請は基本的に施工会社や設計事務所などが行いますが、検査ごとに手数料が発生する点には注意しましょう。
建築確認申請が不要なケース
以下のケースでは、建築確認申請および認定の取得は不要です。
- 防火地域・準防火地域以外での、床面積10平方メートル以下の増改築
- 貯蔵槽など建築基準法で建築物に該当しない建物の設置
- 都市計画区域外で一定規模以下の建物(四号建物、延べ床面積100平方メートル以下の特殊建築物)の建築
たとえば、プレハブ物置のように建築物に該当しないものを設置する工事では、建築確認申請は必要あません。
また、四号建物とは、建築基準法6条1項の四号に規定される建築物で、具体的には以下のような条件を満たす建物を指します。
- 一定規模以上の特殊建築物ではない
- 木造建築物は2階建て以下、延べ面積500平方メートル以下、高さが13メートル以下、軒高が9メートル以下
- 非木造建築物は1階以下、延べ面積200平方メートル以下
建築確認申請が不要であっても、建築基準法が適用される点には注意が必要です。建物によっては固定資産税が課税される可能性があるため、工事の際に必ず確認してください。
建築確認申請の流れ
建築確認申請は、施工会社や設計事務所が行うのが一般的です。施主が行う必要はありませんが、申請にかかる期間や費用相場、必要な書類などは依頼前に理解しておきましょう。
建築確認申請の流れは、以下のとおりです。
- 建築確認:着工前に建築物や建築設備の計画を検査する
- 中間審査:一部の建築についてのみ、工事中に確認する
- 完了検査:申請どおりに建てられているかを確認する
まずは、作成した書類に基づいて建築物や設備の確認を実施します。審査に通れば「建築確認済証」が交付され、着工可能となる仕組みです。
自治体が指定した一部の建築物については、工事中に「中間検査」が行われます。中間検査の目的は、工事終了後に目視で確認できなくなる箇所の確認です。合格すると「中間検査合格証」が交付されます。
工事終了後、申請どおりに建てられているかを確認する「完了検査申請」を経て、基準を満たしていると認定されると「検査済証」が交付されます。
審査に通らなかった場合は、不適合に該当する事項を見直し、再度検査を受けなければなりません。
建築確認申請の期間
建築確認申請にかかる期間は、合計で2〜4ヵ月ほどです。判定に通らない場合は、再度審査を受ける必要があるため、さらに時間がかかることもあります。
建築確認申請の費用相場
建築確認申請には、それぞれの審査ごとに手数料が発生し、地域や建築物の床面積などによって相場は異なります。東京都の場合は、以下のとおりです(一部抜粋)。
たとえば、床面積が30平方メートル以内の建築物については、合計で2万5,000円ほどの費用がかかります。自治体によって費用が異なるので、詳しくは自治体のページを確認してください。
申請に必要な書類
建築確認申請には、以下のように多くの書類が必要です。
- 申請書類(確認申請書、建築計画概要書、委任状など)
- 基本図面(付近見取り図、配置図、各階平面図など)
- 構造関係図書(構造計算書、基礎伏図など)
- 設備関係図書 (電気設備図、昇降機図面、消火設備図面など)
自分ですべての書類を準備するのは大変であり、なかには建築士でないと作成が難しいものもあります。不安な場合は、施工業者や代行業者に依頼するのがおすすめです。
建築確認申請をするときの注意点
建築確認申請を行う際は、以下の点に注意しましょう。
- 申請書類は施工会社や建築士に依頼する
- 申請後に工事内容の変更はできない
- 建築確認済証はしっかり保管する
ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
申請書類は施工会社や建築士に依頼する
前述のとおり、申請時には多くの専用書類を揃える必要があります。書類は、規定に適合しているかを審査するための重要な判断基準です。専門的な書類の作成や内容チェックは素人では難しい場合もあるため、施工業者や建築士などに依頼して進めましょう。
その際は、建築確認申請の代行依頼費が建築費や設計費など含まれるかについて、事前に確認してください。
申請後に工事内容の変更はできない
建築確認申請後は、原則工事内容の変更ができません。間取りや設備などを後から変更したい場合は「計画変更の申請」を行い、変更が適用されるかを再審査する必要があります。
二度手間になってしまう可能性もあるので、工事内容に関しては申請前にきちんと確認しておくようにしましょう。
建築確認済証はしっかり保管する
建築確認申請完了後に交付される建築確認検査済証は、原則として再発行できません。失くさないよう、しっかり保管しておきましょう。
万が一紛失した場合は、建築計画概要書か台帳記載事項証明書で代用可能です。どちらも市区町村の役所で発行できるので、覚えておいてください。
建築計画概要書は、建物の取得年月日や確認番号、検査履歴などが確認できる書類です。また、台帳記載事項証明書では、建築確認済証と検査済証の記録を調べられます。
発行の際には、本人確認書類や建築当時の地名地番、建築確認番号、登記事項証明書の写しなどの用意が必要です。
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本記事では、建築確認申請の流れや費用相場、注意点をご紹介しました。建築確認申請は施工会社や建築士に依頼するのが一般的です。複数の業者から見積もりを取り、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
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