古家付きの土地に新しく住宅を建てるときは、まずは家の解体が必要です。50坪程度の家の解体費用はどの程度かかるのかと疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、解体工事を検討している方に向けて、必要な情報を詳しく紹介しています。解体工事の費用相場や解体に付随する工事、解体費用を抑えるポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
【構造別】50坪の家の解体工事の費用相場
古家付きの土地に住宅を建てるときは、まず古家を解体しなくてはいけません。また、すでに居住している住居を建て替えるときも、解体工事から始める必要があります。
近年は建坪30坪程度の住宅が主流ですが、古民家などは建坪50坪前後の広めの住宅が多くあります。新築住宅の建築の前に、まずは50坪程度の住宅を解体するのにどの程度の費用がかかるのか理解しておきましょう。
構造と地域で費用が異なる
解体工事の費用相場は建物の構造や地域によって異なります。業者によっても異なりますが、中部地方と近畿地方、九州・沖縄地方が比較的相場が安く、北海道・東北地方と関東地方、中国・四国地方は高めのことが一般的です。
また、木造住宅の解体費用は安めですが、鉄骨造とRC造は高めの傾向があります。構造ごとの費用相場を地域別に見ていきましょう。
木造住宅
木造住宅の解体費用は、他の構造の住宅よりも安価です。価格が安い理由としては、重機なしに取り壊せることや比較的工事期間が短いことが挙げられるでしょう。地域や依頼する業者にもよりますが、建坪50坪の住宅であれば150万円程度と見積もることができます。
地域 | 5坪あたりの解体費用単価 | 建坪50坪の住宅の解体費用 |
北海道・東北地方 | 14.5万円 | 145万円 |
関東地方 | 16.0万円 | 160万円 |
中部地方 | 12.5万円 | 125万円 |
近畿地方 | 13.0万円 | 130万円 |
中国・四国地方 | 15.5万円 | 155万円 |
九州・沖縄地方 | 13.0万円 | 130万円 |
ただし、構造の一部に鉄骨が使われているときや建物の一部を再活用するとき、土地や建物に問題があるときは、解体費用がさらに高額になることもあります。トラブルを回避するためにも、再活用や建築上の問題などについては事前に解体業者にしっかりと説明しておきましょう。
鉄骨造住宅
鉄骨造住宅は解体作業に重機が必要になるため、木造住宅よりも価格が高額になります。地域や依頼する業者にもよりますが、建坪50坪の一戸建て住宅で150万~200万円程度は見積もっておきましょう。また、解体作業に手間がかかるので、工期も長引く傾向にあります。
地域 | 5坪あたりの解体費用単価 | 建坪50坪の住宅の解体費用 |
北海道・東北地方 | 17.5万円 | 175万円 |
関東地方 | 21.5万円 | 215万円 |
中部地方 | 13.0万円 | 130万円 |
近畿地方 | 13.5万円 | 135万円 |
中国・四国地方 | 16.5万円 | 165万円 |
九州・沖縄地方 | 10.5万円 | 105万円 |
RC造住宅
RC造住宅は鉄骨造よりもさらに頑丈な構造のため、費用も高額になります。地域や依頼する業者にもよりますが、建坪50坪の一戸建て住宅で2007万~250万円程度は見積もっておきましょう。
地域 | 5坪あたりの解体費用単価 | 建坪50坪の住宅の解体費用 |
北海道・東北地方 | 20.0万円 | 200万円 |
関東地方 | 21.0万円 | 210万円 |
中部地方 | 20.5万円 | 205万円 |
近畿地方 | 27.5万円 | 275万円 |
中国・四国地方 | 24.5万円 | 245万円 |
九州・沖縄地方 | 19.0万円 | 190万円 |
解体工事以外に必要な費用
解体工事の費用相場は地域・構造によっても異なりますが、150万~250万円程度です。ただし、地鎮祭を実施するときや建物が2階建て以上のときはさらに高額になります。また、敷地内に駐車ができないときも、別途、駐車場を借りる費用と駐車場までの運搬費用がかかるため、費用が高額になり、なおかつ工期が延びることもあるので注意が必要です。
他にも、付帯工事やアスベスト除去工事、埋設物撤去工事などが必要なときは、さらに高額な費用を請求されることがあります。それぞれの工事内容と費用目安について見ていきましょう。
付帯工事費用
建物以外に解体する建造物があるときは、付帯工事が必要です。例えば、カーポートや庭木、ブロック塀なども同時に解体する場合は、それぞれに費用が発生します。
また、庭に物置小屋などを設置している場合も、別途解体費用を請求される可能性があります。業者によって価格の算出方法や相場が異なるので、いくつかの業者から見積もりを取って比較しておきましょう。
アスベスト除去費用
建物を解体するときには、建物にアスベスト(石綿)が含まれていないか事前調査をしなくてはいけません。アスベストは以前は断熱材などに用いられていましたが、吸い込むと肺がんなどを発生させる可能性があるため、現在では使用禁止物質です。事前調査によりアスベストが含まれていることがわかったときは、特殊な方法での除去が必要になり、廃棄費用も高額になります。
アスベストが含まれる壁材・床材・屋根材の面積1㎡あたりの廃棄費用相場は、2万~6万円です。自治体によってはアスベストの廃棄に補助金が支給されることもあるので、解体業者や自治体の窓口に問い合わせておきましょう。
埋設物撤去費用
解体工事の途中で埋設物が見つかることがあります。例えば、解体する建物の前に建っていた建物の基礎やコンクリート部分、井戸の一部、廃棄物などが地中に埋まっていることがあるかもしれません。
埋設物が見つかったときは、埋設物の種類に応じた方法で撤去することが必要です。大きなものやアスベストが含まれたものなどが土地に埋まっているときは、撤去費用も高額になります。
また、埋設物に関しては建物を解体するまでわからないため、追加費用として請求される点に注意しましょう。前回の解体があまり丁寧に実施されていないときは、見積もりよりも数十万円高くなる可能性もあります。
解体にかかる期間
解体工事にかかる期間は、建物の大きさや構造にもよりますが、依頼する業者によっても異なります。解体工事の期間が長くなるほど、人件費や重機の費用がかさみ、費用も高額になるので注意が必要です。
また、建て替え目的で解体工事をする場合は、解体期間が長引くと仮住まいで暮らす期間も延び、仮住まいの家賃も高額になる可能性があります。解体工事にかかる一般的な期間を紹介するので、建て替え工事の計画を立てる際の参考にしてください。
50坪の家の解体工事の工期は2週間程度
建坪50坪の一戸建て住宅を解体する場合、工事期間の目安は約2週間となります。建物が平屋の場合は足場を組まずに工事ができる可能性があるため、少し工期も短縮され、10日ほどで解体できることも珍しくありません。しかし、2階建て、3階建てとなると、足場を組むだけでも日数がかかり、状況によっては3週間ほど必要になることもあります。
また、築年数が古いと解体工事の期間も長引くので注意が必要です。例えば、50年以上の築年数の建物の場合、工事中に倒壊する可能性もあるため、通常以上に時間をかけて慎重に解体しなくてはいけません。工期も3週間~4週間は見積もっておく必要があるでしょう。
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解体工事を安く抑えるポイント
建て替えの場合、解体工事の費用があまりにも高額になると、新たに建てる住宅の建築費用の予算が減ってしまうことにもなりかねません。少しでも解体工事の費用を抑えるために実践したいポイントをいくつか紹介します。
- 残置物は自分で処分する
- 建物滅失登記は自分で行う
- 相見積もりを取る
- 補助金を利用する
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
残置物は自分で処分する
建物の中に置いてある家具や家電、庭にあるガーデニング用品、ベンチなどをまとめて残置物と呼びます。残置物も解体業者に処分してもらうことができますが、解体費用には含まれないため、別途費用が発生する点に注意が必要です。
少しでも解体工事にかかる費用を節約したいときは、残置物を自分で処分するようにしましょう。大きさや材質によっては自治体のごみの日に無料で出せるものもあります。また、木製の家具や廃材であれば、のこぎりなどで適度な大きさに切り分けて処理し、燃えるごみに出せる可能性もあるでしょう。
自治体の大型ごみとして廃棄するのもおすすめです。大きさや素材によっても異なりますが、事前に連絡しておけば数百円程度で処分できることもあります。自治体のホームページなどで確認し、適切な日に適切な方法で処分するようにしましょう。
また、家具や家電の場合は、売却できる可能性があります。まだ十分に使えるものであれば、地域のフリーマーケットやインターネットフリマなどに出品してみてはいかがでしょうか。解体業者に依頼するよりは手間がかかりますが、費用を削減できるだけでなく、高価で買い取ってもらうことができれば建築資金の足しにもなります。
建物滅失登記は自分で行う
建物を解体したときは、法務局で建物滅失登記をしなくてはいけません。建物滅失登記の手続きは、解体業者や不動産会社を通して土地家屋調査士に依頼することもできますが、自分で行うこともできます。自分で登記手続きをすると土地家屋調査士に支払う報酬を節約できるので、ぜひご自身でしてみましょう。
登記手続きというと複雑かつ必要書類が多いイメージがありますが、建物滅失登記に関しては当てはまりません。次の書類を解体業者に用意してもらい、法務局で手続きをしましょう。
- 解体業者による押印済みの建物滅失証明書
- 解体業者の印鑑証明書
- 解体業者の業者証明書
なお、土地家屋調査士に依頼する場合、報酬の目安は5万円です。解体業者に印鑑証明書などを発行してもらう際に手数料を請求されることはありますが、自分で手続きをすれば報酬については全額節約できます。解体工事終了後1ヵ月以内に書類を集めて、法務局で手続きをしておきましょう。
相見積もりを取る
解体工事費用は業者によって差が大きいため、複数の業者から見積もりを取って比較検討することが必要です。また、同じ業者であっても、依頼が集中しているときと閑散期では見積もりの金額が異なることもあります。
なお、相見積もりを取るときは、金額だけでなく追加費用についても確認しておきましょう。例えば、地中に埋設物があるときは埋設物撤去費用が発生しますが、見積もりの時点では埋設物の有無を確認できません。見積もりの金額が安い業者でも、埋設物撤去費用を高額に設定している場合にはトータルの費用が高額になるので注意が必要です。
また、インターネットや電話ではなく、実際に建物や敷地内の残置物を確認してから解体費用を見積もってくれるかどうかもチェックしましょう。現場を確認せずに見積もりを取る業者の場合、追加費用が高額になる恐れがあります。
補助金を利用する
自治体によっては、建物の解体に際して補助金が支給されることもあります。建物がある自治体で補助金制度や助成金制度を実施していないか、自治体の窓口やホームページなどで確認しておきましょう。
なお、制度によって適用条件が異なるため、ご自身のケースに該当するかについても確認しておくことが必要です。一般的には、自治体の調査により危険と判断された建物を解体するときや、住宅密集地の木造家屋などの延焼のリスクが高い建物を解体するとき、現行の耐震基準に合致しない建物を解体するときに補助金制度・助成金制度が適用される傾向にあります。
また、解体前のアスベスト調査やアスベストの処分に適用される補助金制度・助成金制度を実施している自治体もあります。いずれの制度も工事前に申請が必要なケースが多いため、解体工事を始める前に制度の詳細情報を調べ、適切に申請手続きをしておきましょう。
ただし、補助金制度・助成金制度では、解体や調査、処分などにかかった費用全額を支給されるとは限りません。実際に発生した費用の1/3~1/2に上限を定められていることもあるので、制度活用前に確認しておきましょう。
解体工事の際の注意点
建物の建築とは異なり、解体はどの業者に依頼してもあまり差が出ないというイメージがあるかもしれません。しかし、実際のところは、依頼する業者によって費用が大きく異なるだけでなく工事の質も大きく変わります。
例えば、あまり丁寧に工事をしない業者であれば、埋設物が十分に撤去できていない可能性も想定されます。建築の際に再度撤去工事が必要になったり、建築スケジュールに遅れが出てしまったりすることもあるでしょう。
良心的な金額で工事を請け負うだけでなく、解体工事のクオリティが高い業者を選ぶためには、次のポイントに注意することが必要です。
- 見積もりの内訳をチェックする
- 安さだけで決めない
- 繁忙期はできるだけ避ける
それぞれの注意点について解説します。
見積もりの内訳をチェックする
解体費用には、アスベスト調査費用や資材別の処理費用、足場代などのさまざまな費用が含まれます。細目ごとに妥当な単価を設定し、適切に費用を見積もっているかどうかチェックしておきましょう。「工事一式」と記載されている場合や、細目の中に「等」が頻出する場合は、見積もりを丁寧に作成しているとはいえない可能性があるので注意が必要です。
また、追加費用としてどのような費用が想定されるのかについても、見積もりの時点で確認しておきましょう。それぞれの工程でどの程度の費用がかかるのか、上限はどの程度なのかについても調べておくことが不可欠です。
安さだけで決めない
複数の解体業者から見積もりを取る場合、金額が適切であるかという点に注目して業者を判断しがちです。実際に相見積もりは割高な業者を選ばないために実施しますが、金額だけに注目すると作業の質やアフターサービスなどに問題がある業者を選んでしまうリスクがあります。
安さだけではなく、今までの実績や地域での評判、担当者の対応なども見て、トータルで判断するようにしましょう。解体業者のホームページがあるときは、事前にチェックしておくことで実績やアフターサービス、対応などを確認できることがあります。
繁忙期はできるだけ避ける
解体工事費用は、同じ業者に依頼しても時期によって差があります。繁忙期はできるだけ避けて依頼するようにしましょう。
なお、いつが繁忙期なのか判断しかねるときは、直接解体業者に尋ねてみることができます。特に解体を急いで実施する必要がないのであれば、信頼できる業者に「閑散期になってから解体をお願いしたい」と伝え、見積もりを依頼しましょう。
また、解体業者に直接解体工事を依頼することも、費用を抑えるポイントです。不動産会社やハウスメーカーから解体業者を紹介してもらうこともできますが、その場合は、紹介料が解体費用に上乗せされているため、少し割高になることがあります。解体業者を紹介してもらったときは見積もりだけ取り、ご自身で探した解体業者の見積もりと比較してから依頼業者を決めることがおすすめです。
また、スケジュールに余裕を持って解体を依頼することも大切なポイントです。建築開始日が迫っている状態で解体業者を探すとなると、複数の業者から見積もりを取ったり、業者の対応や業績を比較したりする時間がないかもしれません。
気持ちの上でも余裕がなくなり、適切な判断をできなくなる可能性もあるので、できれば建築スケジュールを決める前に解体業者選びを済ませておくようにしましょう。また、埋設物が見つかったときなどには解体作業が長引くことがある点にも留意が必要です。
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解体工事をすることで、土地の利用価値が高まります。また、フルリノベーションするときも、外壁や内壁などの一部解体が必要です。費用や評判を比較したうえで、解体業者を選ぶようにしましょう。
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