古民家ならではの趣を活かし、リフォームで現代風の住みやすい住宅を実現する古民家リノベーションは、今非常に人気を集めています。そのため実際リノベーションを検討している方も増えているかと思いますが、古民家リノベーションを行う際は、メリットだけでなくデメリットも理解しておいた方がいいでしょう。
また、リノベーションにかかる費用負担を少しでも安くできる制度もあります。さらに、理想の古民家リノベーションのためには、業者選びが重要です。この記事では、古民家リノベーションについて詳しく解説します。
古民家リノベーションとは?
古民家リノベーションとは、建築年数の古い家屋をリノベーションし、暮らしやすい快適な住宅にすることです。そもそも、古民家には明確な定義がありません。しかし、築年数が50年以上建っている建物を指すことが多いです。
古民家リノベーションでは、最新設備を導入したり、住みやすいように改築リフォームを行ったりします。古民家独特の雰囲気やデザイン、古材を活かしながら、現代に合った快適な暮らしを実現できるのです。
古民家リノベーションには、古民家ならではの魅力があります。また、固定資産税が安く、補助金制度や減税制度を利用できる場合も多いです。一方、耐震性や断熱性が低いことが多く、劣化具合によっては大規模な工事を要します。
古民家リノベーションで理想の住宅を実現するためには、古民家リノベーションのメリット・デメリットや、注意するポイントを理解し、信頼できる業者を選びましょう。
古民家リノベーションの魅力
古民家リノベーションには、以下のような魅力があります。
- 風情あるレトロな空間にできる
- 古民家の木材は強度が高く、資源環境保護にもつながる
- 固定資産税が安く、補助金制度も活用できる
こうした魅力から、わざわざ古民家を購入し、リフォームする人が増えているのです。ここでは、古民家リノベーションの魅力を詳しく説明します。
風情あるレトロな空間にできる
古民家リフォームの大きな魅力は、風情のある空間を作れることです。古民家では、梁や柱などの古材がむき出しになっていることが多くあります。それらを活用することで、レトロで趣あるデザインが実現するのです。
また、縁側や土間・吹き抜けなど、古民家ならではの空間もあります。住みやすいように間取りをリフォームしつつ、それらの空間を活用することで、現代と昔が融合したモダンで快適な住まいを作れます。
古民家の木材は強度が高く、資源環境保護にもつながる
古民家にはケヤキやヒノキといった木材が使用されていることが多いです。強度が落ちるまで、ケヤキは1200年、ヒノキは800年といわれています。このように、古民家の木材は強度が高いのが特徴です。そのため、古民家の木材を活用してリフォームすることで、基礎が安定した丈夫な住宅づくりが実現します。
また、ケヤキやヒノキなどの自然素材で作られた柱や梁は、現在では入手困難な貴重な古材です。古民家を改修して再利用することで、資源環境保護にもつながります。
固定資産税が安く、補助金制度も活用できる
古民家リフォームは、税制面で2つのメリットがあります。
1点目は、古民家を活用することで、固定資産税を安く抑えられる点です。固定資産税は固定資産税評価額×1.4%で算出されます。この固定資産税評価額が安ければ、その分固定資産税も安くなります。固定資産税評価額は建物の築年数によって変わり、築年数が古い古民家の場合は、評価額が下がるのです。中古住宅を新築に建て替えるリフォームに比べて、固定資産税の費用負担が安くなります。
2点目は、補助金制度を活用できる点です。古民家リフォームにおける耐震工事や断熱工事について、国や自治体が補助金を給付している場合があります。補助金の詳細や対象となる工事内容については、各自治体の窓口やリフォーム会社に相談してみてください。
古民家リノベーションの注意点
古民家ならではの魅力が多い古民家リノベーションですが、以下のような注意点があります。
- 耐震性・耐熱性が低い場合がある
- 費用が予算オーバーしてしまう場合がある
- リフォーム期間が長い
耐震性・耐熱性が低い場合がある
古民家は、強度が高い古材を使用しているため、耐久性に優れています。しかし、1981年以前の旧耐震基準で建てられており、現行の耐震基準は満たしていません。そのため、耐震性が高くなく、大規模な地震で倒壊してしまうリスクもあります。リフォームの際は、耐震性に注意が必要です。
古民家の耐震性を高めるためには、耐震補強工事を行いましょう。耐震補強工事には、以下のような種類があります。
- 地盤をコンクリートで補強する
- 耐力壁に変える
- 木材を金属やダンパーで補強する
- 瓦屋根を軽量な屋根に変える
また、耐熱性や断熱性にも注意が必要です。現在の建築基準で建てられていないため、耐震性と同様、耐熱性が劣っている場合があります。また、古民家は夏の過ごしやすさを重視して作られており、断熱材がほとんど使用されていません。冬場は寒くて過ごしにくい可能性があります。隙間風を防ぐリフォームや、玄関ドア・サッシの交換などが有効です。
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費用が予算オーバーしてしまう場合がある
古民家が劣化している場合、リフォームするためには基礎部分からの工事が必要です。耐震性や耐熱性・断熱性を向上させる工事や間取りの変更など、さまざまな工事が必要になります。さらに快適さを求めるためには、設備の改修や断熱材の追加も大切です。
このように、古民家リノベーションでは、一般的な中古物件をリフォームする場合に比べて多くの工事が必要です。その分費用もかかります。そのため、予算オーバーしてしまう場合があるのです。
リフォーム期間が長い
古民家をリノベーションするにあたって、劣化具合や耐震性の調査が必要です。特に、耐震工事は住宅の基礎部分を見直す工事であり、大がかりな作業が求められます。施工前の調査に多くの時間を要するのがデメリットです。
また、柱や梁などの強度が高く、工事に時間がかかることがあります。工事の途中で腐食や破損、シロアリの被害などに気づく場合も多いです。この場合、追加の工事が必要になり、さらに工期がかかります。
このように、古民家リフォームは長い工期を要し、住めるようになるまで時間がかかるのがデメリットです。
古民家リノベーションの費用相場
古民家リフォームにかかる費用は、工事内容や設備、デザインなどによって異なります。
フルでリノベーションを行う場合、費用相場は、1,000万円程度です。最低でも300万~500万円は必要と理解しておきましょう。古民家の劣化が進んでいたり、耐震補強工事や断熱材の追加などが必要だったりする場合は、3,000万円前後かかることもあります。
部分的にリノベーションを行う場合は、約100万〜200万円前後が相場です。
古民家物件の探し方とポイント
古民家リフォームは、物件選びからスタートです。物件選びにはさまざまな方法がありますが、SUUMOや空き家バンクを活用するのがおすすめです。希望の物件が見つかったら、雨漏りや構造部分に問題はないか確認しましょう。ここでは、古民家物件の探し方とポイントについて解説します。
SUUMO・空き家バンクを活用する
古民家物件を探す方法として、以下のような手段が挙げられます。
- 地元の不動産会社から紹介してもらう
- 知人から紹介してもらう
- ポータルサイトを利用する
特におすすめなのが、ポータルサイトの利用です。「SUUMO 移住・田舎暮らし」を使えば、エリアや条件から古民家を探せます。希望価格や間取り、そのほかこだわり条件から住宅を探せるため、ニーズにあった建物を見つけやすいです。
また、全国の自治体が公開している空き家の情報をまとめた「全国版・空き家バンク」もおすすめです。空き家バンクとは、各自治体が提供している、空き家や住民のいない古民家についてのデータです。「全国版・空き家バンク」では、空き家バンクに登録している全国の物件を、エリアやキーワードなどから一覧で調べられます。移住者を応援する全国の支援制度もチェックできるのも便利です。支援制度を活用することで、さまざまなメリットを享受しながら古民家リフォームを行えます。
雨漏りや構造部分に問題はないか確認する
希望の物件が見つかったら、購入前に必ず事前調査を行いましょう。特に雨漏りの有無や構造部分に問題がないかの確認は重要です。
雨漏りを防ぐためには、防水シートの施工が必要です。防水シートを貼ることで、瓦を支える板地に雨水が侵入するのを防げます。古民家の場合、防水シートが貼られていないケースが多いです。すでに雨漏りがすでに発生している場合もあります。雨漏りが発生している場合は、リフォームと同時に屋根の葺き替えや補修工事も必要です。
このように、防水シートの施工や雨漏りの補修工事など、リフォーム工事にプラスで工事が必要になることがあります。予算オーバーで希望の工事が行えないリスクもあるため、必ず雨漏りの有無を確認してください。
また、構造部分の確認も行いましょう。土台部分の沈下や柱の劣化など、構造部分に重大な異常が見つかると、大規模な工事を要します。構造部分に欠陥がある住宅は避けるのが懸命です。
さらに、リフォームで重要な間取りと水回りについても確認しましょう。特に、キッチン・トイレ・ お風呂・洗面所などの水回りは、暮らしやすさを大きく左右します。水回りは最新設備に交換するのがおすすめです。間取り変更や水回りのリフォームは、古民家リフォームの中でも優先順位が高い施工です。そのため、事前に間取りや水回りについては調査しておきましょう。
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古民家リノベーションの費用を抑える方法
古民家リノベーションの費用を抑える方法として、補助金制度や減税制度の利用が挙げられます。補助金制度や減税制度を活用することで、費用を抑えながらも、希望のリフォームを行えるのです。ここでは、それぞれの制度の概要についてご紹介します。
古民家リノベーションは補助金制度を活用しよう
自治体によっては、古民家リノベーションで補助金制度を利用できる場合があります。対象となる主なリフォーム工事は、耐震・省エネ・バリアフリーです。また、古民家の再生に特化した補助金制度を運用している自治体もあります。補助金制度の詳細や利用条件は自治体によって異なるため、各自治体の窓口やリフォーム業者に確認しましょう。
古民家リノベーションは減税制度を活用しよう
古民家リフォームで使える減税制度は、以下のとおりです。
- 投資型減税
- ローン型減税
- 住宅ローン減税
投資型減税とは、ローンの有無にかかわらず利用可能な、住宅特定改修特別税額控除のことです。対象となる工事を、自己資金あるいは5年未満で返済できるローンを組んで行った場合、投資型減税を利用できます。控除期間は1年間で、所得税の減税額は工事費用の10%です。耐震・省エネ・バリアフリーに関する工事が対象です。耐震と省エネの最大控除額は25万円、バリアフリーは最大20万円と定められています。
ローン型減税とは、5年以上のローンを組んでリフォームを行う場合に利用できる税額控除制度です。耐震工事は対象外ですが、省エネとバリアフリー対策については、控除期間は5年間で、最大62.5万円が控除されます。
住宅ローン減税は、リフォームにあたって返済期間10年以上住宅ローン・リフォームローンを組んだ場合に利用できる制度です。控除期間は10年間で、最大400万円が控除されます。3つの減税制度の中では、控除期間が長く、控除額も大きいのが特徴です。
減税制度を利用することで、所得税の負担が軽減します。補助金制度と合わせて活用してください。
失敗しない古民家リノベーションの業者の選び方
古民家リノベーションを依頼できる会社には、以下の3つがあります。
- 大手ハウスメーカー
- 中堅のリノベーション業者
- 地元の工務店
それぞれにメリット・デメリットがあります。施工事例や費用などを照らし合わせ、適宜相談して選びましょう。
大手ハウスメーカーは、全国展開しており、知名度の高い大手の業者です。施工事例が多く、安心して依頼できます。また、大規模な工事に対応できたり、長期保証やアフターフォローが充実していたりと、大手ならではのメリットがあります。
一方、実際の工事業務を下請けの工務店に依頼していることが多く、マージンが発生して費用が割高になる場合が多いです。また、広告宣伝費のように、直接工事とは関係ない費用も多く、その分が上乗せされて割高になる傾向があります。
中堅のリノベーション業者は、あるエリアで展開している中規模な業者のことです。対応エリア内でのリフォーム事例が豊富で、エリア独自の気候や地形といった特性を理解しているというメリットがあります。一方、大手と同様に実際の業務を下請けにやらせている可能性があるのがデメリットです。
地元の工務店は、地域に密着した小規模な業者です。費用を抑えられるほか、施工者と直接会えるというデメリットがあります。一方、対応しているエリアが限定されているのがデメリットです。また、施工事例が少なく、実績を確認して選ぶのが難しいです。
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今回は、古民家のリノベーションについて、メリット・デメリットや費用相場、探し方のポイントと費用負担を抑える方法などを解説しました。また、リノベーションで失敗しないためには、信頼できる業者を見極めることが大切です。古民家のリノベーション工事を依頼する際は、見積もりを確認し、希望通りの工事を行える適した業者を選定しましょう。
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