カンノンチクは、中国南部から東南アジアに分布している常緑小低木です。漢字では観音竹と書きますが、竹(ちなみに竹はイネ科)の仲間ではなく、ヤシ科です。
名前の由来は沖縄県の観音山という寺院にあった、竹のような植物ということから来たようです。別名はリュウキュウカンノンチク(琉球観音竹)、またはラピス(ラテン名Rhapisの音写)といい、花言葉はスマートな彼女、日々の平安です。
比較的耐寒性が強く育てやすいので、室内向きの観葉植物として広く利用されています。高さが3mくらいと低めで、生育もゆっくりで、光沢のある、手を広げたような葉は、班入りのものや緑のものがあります。
同じ仲間でシュロチク(棕櫚竹)があります。カンノンチクとシュロチクの違いはカンノンチクは葉の幅が太く成長も比較的早いですが、シュロチクは葉の幅が細く成長はもっとゆっくりで、カンノンチクより寒さに強いことが挙げられます。
カンノンチクの原産地は?
原産地は中国南部から東南アジアで、その地帯に分布しています。このことからも推測できるように暑さに強く、少し寒さに弱い特徴があります。
カンノンチクの品種の種類とその特徴
ダルマ
園芸店などでよく出回っている品種で、成長スピードは緩やかな品種です。
アヤニシキ
人気があり、手ごろな大きさで売られていることが多いのでプレゼントにもぴったりです。
小判
小判型の丸目の葉が特徴です。
カンノンチクの年間スケジュールは?
カンノンチクはゆっくり生育し、一年中楽しめる植物です。
1.苗の購入
植え付けに適した時期が5~6月ですから、その時期に購入するのがいいでしょう。気候が暖かくなるにつれ、生産者の方々が越冬した選りすぐりの植物を出荷し、市場もたくさんの種類の元気な観葉植物で活気づきます。暑すぎる時期でも植物は元気がなくなるため、購入にいい時期は春から初夏にかけてです。冬に欲しくなったら、春まで待って購入してもよいでしょう。
2.育苗
置き場や水やりの仕方に気をつけ、風通しの良いところで育てましょう。後ほど解説します。
3.最も生育が活発な時期
夏場が年中で最も発育の盛んな時期です。肥料を与え、通風と採光に注意して1日に1~2回たっぷりと水を与えます。
肥料は一度に多量に与えるよりも、少量にして回数を多く与えましょう。油粕に骨粉が入った固形肥料を中粒2個を与え、液体肥料ならばハイポネックスなどの2000倍希釈液を月に二度が目安です。
カンノンチクの栽培における各ポイント
1. 日当たりや場所
明るい日陰を好みます。春から秋の生育期は明るい日陰に置き、たまに外の日陰で風に当ててあげましょう。秋になり最低気温が15℃を切ってきたら室内で、冬はレースカーテン越しの日光に当たる場所に置きます。冬は3℃以上で管理します。(班入りは寒さに弱いため5℃以上で管理しましょう。)
クーラーや暖房の風が当たってしまうと葉っぱが乾燥で枯れてしまいますので、置き場に気をつけましょう。
2. 水やり
鉢の土の表面が乾いたらたっぷり水を与えますが、夏場は乾く前に与えましょう。夏に水不足になると、葉先が枯れてしまいます。冬(11~3月)は土の表面が乾いてから3~4日後に与える程度でかまいません。冬に水を与えすぎると根腐れを起こしてしまいがちです。冬場は乾かし気味で育てましょう。
スプレーで葉水をすると(葉に水をかけてあげること)、つやがよくなりますよ。水やりの時の受け皿の水は必ず捨ててください。水が腐って病気になるのを防ぎます。
3. 肥料
5~6月、また9月頃、緩効性の化成肥料を控えめに与えます。もしくは春から秋にかけて2週間に1回液肥を与えます。冬は肥料は与えません。
4. 用土
赤玉土、鹿沼土、日向土、川砂など水はけのよい土をブレンドして使うこともできますし、もし手に入るなら(ネットだとあるようです)バランスよくブレンドされた専用用土が便利です。
5. 病気や害虫
葉先が枯れる
水やりが多すぎても少なすぎても葉先が枯れてしまいます。
ハダニ
ハダニが発生すると、葉が白くかすれたように見えます。葉の裏を見てハダニがいたらすぐに薬剤で駆除しましょう。
カイガラムシ
日当たりと風通しが悪い環境でよく発生します。対策は戸外で日光にあてることです。室内だと紫外線が弱くて害虫には快適な状態になります。こまめにこすり落として、水やりの時葉っぱの裏にもスプレーしてあげましょう。
カンノンチクの栽培ステップ
1. 苗・木を購入する
ガーデニング専門のお店で専門知識がある方から購入すると、いろいろアドバイスがもらえるのでおすすめです。
2. 日々のお手入れ
乾燥を嫌うため、葉にスプレーで水をあげると、つやが出て乾燥防止にもなります。葉先が枯れた場合ははさみで葉先だけ切りましょう。
3. 水やりと追肥
土が乾いたら与えます。夏は乾燥させないように注意し、冬は乾かし気味に、土が乾いた数日後に与えましょう。夏の追肥は月2回、2000倍希釈液肥を与えるのでよいでしょう。
植え替えについて
頻度
底から根が出てきたら根詰まり気味ということなので、植え替えをします。根詰まりさせたままだと鉢の中の空気がなくなり、根が呼吸しにくくなって枯れてしまいます。また、2年以上植え替えていない場合も植え替えをしましょう。植え替えの時期は5~6月が一番適しています。9〜10月も植え替えできます。
植え替えの手順
加湿、乾燥共に苦手な植物なので、用土は矢作砂の単用を使ったり、専用の土もありますので、それを使用するのが無難でしょう。
鉢は一回り大きなものを用意し、鉢底にゴロ石を入れて、少し培養土を入れておきます。古い土を水の中で落としておいたカンノンチクを鉢の真ん中に据え、隙間なく培養土を入れ、少し押さえてあげます。土の高さは鉢の淵まで3〜4cmあるくらいがよいでしょう。
植え替えた後は水苔などを鉢の土の上に敷くと、見ためも美しく、乾燥防止になります。植え替え後一ヶ月は風のあまり当たらない、半日陰に置いて、保護してあげましょう。
カンノンチクに花は咲くの?
花が咲くのは非常に珍しく、何十年に一度と言われています。花の時期は6,7月です。
カンノンチクの冬の手入れについて
冬は根腐れしやすいので、水やりは夏ほど頻繁にはやらないように、乾かし気味に育てます。肥料もあげなくてよいです。冬は室内で明るい場所で育てます。
カンノンチクの増やし方は?
地面から子株が出て増えるので、植え替えの時に株分けで増やします。気温の低いときに根を痛めるのは禁物で、5~6月が株分けに適しています。根の発生と再生がされにくい植物なので、株分けの時は根を痛めないように気を付けることが大切です。
根をほぐすときには水を張った容器の中で土を洗い流すようにほぐしましょう。細かく分けずに2、3株つけて分けるか、1株のものは葉が7枚以上ある大きなものを分けます。小さなものを分けると生育がよくありません。
最後に
玄関やお部屋に置いて楽しむ観葉植物カンノンチク。今回はカンノンチクの育て方のポイントについてお伝えしました。いかがでしたでしょうか?愛好家にもとても人気がありますが、今回見てきたとおり、初心者にも比較的育てやすいので、ぜひ育ててみてください。その姿は和にも洋にも溶け込み、素敵な空間を提供してくれるはずです。
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