アメリカの熱帯地域が原産のモンステラは、ツル性の植物で、自然界にあるものは2mから6mほどの背丈になります。種類は約30種ほどあり、切れ込みが入ったり穴があいている葉の形状が特徴で、日本では観葉植物として人気があります。
モンステラという名前は、ラテン語の「モンストラム」という言葉から由来しており、これは英語でいうと「モンスター」と同意語で「怪物」を意味します。葉の形状や薄暗い場所で生息していることからこのような名前になったのではと言われています。
モンステラとは?
モンステラの特徴
モンステラの特徴はやはり葉の形状にあります。モンステラの葉は成長とともに切れ込みが入ったり穴があいたりと、個性的な形になります。また、葉の大きさも大きいので、見た目がダイナミックで、観葉植物として飾っても存在感があります。
乾燥に強いこと、日陰でも比較的丈夫に育てられることなどから、初心者でも比較的簡単に扱えると言われています。
モンステラの原産地
モンステラはアメリカ熱帯雨林気候区が原産地です。アメリカ熱帯雨林気候区とは、中央アメリカからメキシコまで一帯のことををいいますこの地域は薄暗いジャングルとなっており、そこで生息するモンステラは直射日光や強い日差しに弱く、明るい日陰を好みます。
モンステラの年間スケジュールは?
モンステラは春から初夏(5月~7月)にかけて、気温が20度~25度ぐらいの時期が一番元気に成長し、秋から冬は休眠期に入るため成長はほとんどストップします。
モンステラを育てる際の年間スケジュールは、生育期である5月~7月頃に肥料や植え替え等を行えば、あとは適度な水やり程度のお世話で育てられます。
1.苗の購入時期
モンステラは人気があることからか、生花店や園芸店などで1年中売られています。最近ではインターネットでの販売も増えていますので、いつでも購入可能です。
ですが、5月~7月頃の生育期に一番出回るので、より多くの種類から選びたい、希少種を育ててみたいという場合はそのころに探すと選択肢が広がります。
2.育苗
モンステラは比較的育てやすい植物なので、育苗に関してさほど神経質になる必要はありません。日々のお世話や環境の整備さえきちんとしておけば問題なく育てられます。
3.鉢植えを植え替えるタイミングは?
5月~7月の生育期に植付や植え替えするのがおすすめです。この時期の苗が一番元気に成長するので、この時期に育苗することで、休眠期までにしっかり根を張ることができ、秋から初春にかけての寒い時期を乗り越える力をつけられるためです。
4.収穫
葉っぱは良く知られているモンステラですが、実は花が咲き、実となり、その実を収穫して食べることができます。モンステラの花は肉穂花序(ニクスイカジョ)といい、花が次第に実になってそれを食べることができます。
実を食べられる種類はモンステラ デリシオーサという種類で、育て方によっては鉢植えでも地植えでも花を咲かせられることがあります。ですが、観葉植物として育てている状態では実際には花が咲くことはめったにないようです。
花を咲かせて食したいと考えるときの収穫時期については、花の時期が終わり穂の部分のみになってから数週間で熟してくるので、その熟したころが収穫時期です。
モンステラの栽培における各ポイント
1. 日当たりや場所
モンステラはもともと熱帯地方のジャングルで生息している植物です。ジャングルのように湿度が高く鬱蒼とした場所を好むので、日が当たり過ぎる場所はあまり適していません。直射日光に当たると葉が焼けてしまうため、絶対に避けましょう。
また、寒さにも弱いので5度を下回らない環境で育ててください。冬は室内の明るい場所、夏は屋外に置く際には直射日光が当たらない日陰か半日陰が好ましいです。
2. 水やり
比較的乾燥にも強いのですが、水やりは必要です。夏は毎日、春と秋には土の表面が乾いたらたっぷりと、冬は休眠しているので乾燥気味にしておきましょう。
水をあげる際には、鉢の中が蒸れてしまうと根腐れ等の原因となるのであげすぎないようにしてあげてください。土の表面が乾いてきて、ちょっと乾燥気味かなというタイミングで水やりをするのがコツです。
葉水も好むので、時々葉っぱにもお水をあげましょう。モンステラの大きな葉っぱはほこりをかぶりやすいので、葉っぱの掃除も兼ねて、濡らしたタオルなどで拭いてあげるのも良いですよ。
3. 肥料
基本的に肥料は不要です。ですが、より大きく育てたいと思うのであれば、5月~7月頃の生育期にゆっくりした効き目の固形状の肥料をあげてください。生育期以外の肥料は成長の悪影響になるので避けましょう。
本来肥料をあげなくても良いモンステラに肥料をあげると、かなりの勢いで成長します。室内用観葉植物として育てながら想像以上に大きくなり過ぎないよう、加減しながら肥料をあげるようにしてください。
もし葉っぱが弱っているようでしたら、即効性のある液体肥料を2週間に1回程度あげて様子を見ましょう。肥料は観葉植物用として売られているもので問題ありません。
4. 用土
市販の観葉植物の土で問題ありません。
5. 病気や害虫
モンステラがかかりやすい病気は葉焼け、立枯病(タチガレビョウ)、根腐れです。葉焼けは直射日光に当たることで起こります。モンステラに直射日光は厳禁ですので置き場所に気を付けてください。
立枯病(タチガレビョウ)と根腐れは、どちらも多湿により起こる病気です。水のやり過ぎにも注意します。
また、つきやすい害虫はハダニとカイガラムシです。ハダニは乾燥により発生するため、葉水などにより乾燥を防ぐと付きにくくなります。付いてしまっているのを見つけたら、薬剤で駆除してください。カイガラムシは成虫になると薬剤でもなかなか駆除しきれない害虫です。もし発見したらすぐに駆除します。幼虫の段階であれば薬剤で効果がありますが、成虫になってしまっていたらブラシでこすりとるなどして駆除しましょう。
モンステラの栽培ステップ
1. 植える
モンステラは鉢で売られていることがほとんどなので、売られている状態で育てても良いです。その後は鉢底の様子と成長を見ながら適時植え替えを行ってください。だいたい購入してから2年を目安に植え替えを行うと良いでしょう。
植え替えは5月~7月頃の生育期にしてください。植え替えの際は鉢植えでも地植えでも構いませんが、先に述べたようにモンステラは5度以下では育ちづらい植物ですから、地植えをするときは「越冬ができる環境かどうか?」がポイントです。一度越冬に成功したら翌年以降も越冬可能となるようなので、興味のある方は地植えに挑戦してみるのも良いでしょう。
小さなものであれば水栽培も可能です。卓上のインテリアグリーンとして楽しむのも良いでしょう。
2. 水やりと追肥
夏は毎日、春と秋には土の表面が乾いたらたっぷりと、冬は休眠しているので乾燥気味にしておきましょう。葉水も好むので、水やりの際には葉にもお水をあげましょう。
肥料は基本的には不要ですが、大きく育てたいときは生育期に固形肥料を与えてください。それとは別に、葉が弱っているときには即効性のある液体肥料の使用をおすすめします。
3. 支柱で誘引
モンステラはつる性の植物なので、成長につれて添え木で支柱をしてあげましょう。支柱でモンステラを縦に支えることで、密集していた葉に隙間ができ、風通しや日当たりが良くなります。支柱をせずに育てると横に広がります。
横に広がる形状を楽しむのも一つの楽しみ方ですが、成長とともに横に広がりすぎて収拾がつかなくなる可能性が高いため、支柱をする方がおすすめです。
支柱には太くまっすぐなものを選び、葉の収まり具合を見ながら結び付けて下さい。
モンステラを見たい!全国の植物園・観葉植物園
アロハガーデンたてやま
千葉県館山市にある道の駅「南房パラダイス」に隣接する動植物園です。
温室の中に熱帯、亜熱帯植物の展示をしており、ハイビスカスやブーゲンビリアなど南国の花々を鑑賞できます。モンステラは滝の横にあり、大きな葉が存在感を示しています。また、温室ならではの地を這うモンステラの姿も見られます。
植物だけでなく動物もいるので、より南国の雰囲気を味わえる施設です。
夢の島熱帯植物館
東京都江東区です。ドーム型の温室の他にイベントホール、映像ホール、カフェを併設した複合施設で、温室で実際に植物を見るだけでなく、映像や体験を通してより深く熱帯植物を知ることができるスポットです。
モンステラは温室内のいたるところにあります。中でも巨大モンステラの存在感は圧巻。家庭で育てる観葉植物とは全く違い、迫力がありますよ。スコール体験や植物の即売会などのイベントを随時開催しています。
板橋区立 熱帯環境植物館
東京都板橋区です。東南アジアの熱帯雨林を再現している植物館です。この植物館にはミニ水族館が併設されており、海から山まで続く熱帯環境を見ることができるというのが特徴。モンステラも育てられていますよ。高山植物のエリアは冷室になっているので、夏は涼しく快適です。
筑波実験植物園
茨城県つくば市です。およそ14ヘクタールの敷地面積があり、日本だけでなく世界各地の植物約3,000種類を見ることができる施設です。モンステラは敷地内の温室エリア内にあり、さまざまな植物の中でたくましく育っている姿を見られます。
とにかく広い敷地に多数の植物があるため1日中いても飽きない植物園です。
下賀茂熱帯植物園
静岡県賀茂郡です。下賀茂温泉の温泉熱を利用した温室で、さまざまな熱帯植物が育てられています。ハイビスカスやブーゲンビリアをはじめとする色鮮やかな花々をいつでも見ることができます。
モンステラは2016年の夏に花を咲かせた姿が公開されています。立派な花が咲いているので、タイミングが合えばまた見ることができるかもしれません。
最後に
最初にモンステラの名前の由来はラテン語の「モンストラム」、つまり「異常・怪物」だとご紹介しましたが、ハワイでは葉の切込みから光が差し込むことから「希望の光を導く」とも言われているようです。
そんな素敵ないわれのあるモンステラをご自宅でもぜひ育ててみてください。
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