園芸用の植物として人気のバラ。その原産地ははヨーロッパ、中近東、アジアなど世界の各地域にあり、その地域ごとにさまざまな種類があります。その品種は4万種類とも言われています。しかし園芸用だけで見ると約10種類程度に集約され、有名なものでは、大輪で華やかさがあり、いい香りを漂わせるオールドローズ、アーチやフェンスなどを作るのに適しているつるバラ、小ぶりでかわいらしいミニバラなどがあります。
今回はバラの育て方についてご紹介します。
バラの年間スケジュールは?
バラは春の初めに芽吹き、春の初めから初夏頃まで開花、その後生長していき冬には休眠期に入ります。
休眠期である12月から2月頃に苗を植えると、3月頃から芽吹いてきます。5月頃に花の最盛期を迎え、その後落ち着いてくる8月頃に剪定作業をします。剪定は夏と冬に行うのですが、冬の選定は12月下旬から1月頃に行いましょう。
1.苗の購入
バラの苗の購入は休眠期に購入するか、生育期の初めである4~5月頃に購入するのが良いでしょう。
休眠期に売られる苗を大苗、4~5月頃から売られる苗を新苗といい、分かりやすく言うと大苗は大人の苗、新苗は赤ちゃん苗です。
大苗は1年間しっかり育てられた苗なので、新苗と比べると大きく丈夫ですが、購入の時点で実際の花を見ることができないのでをつけるかを見ることができません。また新苗よりも割高です。
新苗はすでに数輪花を咲かせている状態のものも売られているので、花を実際に見ることができますが、若い苗なので育てる際には適切な管理が必要で大苗に比べると手間暇がかかります。
バラの栽培の初心者であったり、きめ細やかな管理をするのが難しい状況であれば大苗を購入して育てるほうが失敗が少なくすみます。
2.育苗
バラは植えてから最初の2,3ヵ月が一番気を配らなければいけない期間です。購入後、バラが植えられた環境に慣れるまでにこのぐらいの期間を要するためです。
この期間に根を張り新芽や葉が出てきますので、じっくり観察してください。
3.開花
バラの開花時期は5月頃からです。花の形は種類によって違うだけでなく、同じ種類のバラでも生育環境により色や形状が違ってきます。自宅で育てる場合には、育て方による個性の違いを見るのもバラを育てる楽しみの一つとなります。
4.収穫
バラは苗を購入し育てて、以降植え替え等で管理していくのが一般的ですが、種の収穫をすることもできます。
咲いた花をそのままにしておくと子房が膨らんできて、そこに種ができます。種はだいたい10月頃にできますので、バラの栽培に慣れてきたら収穫して種からの栽培に挑戦してみるのも良いでしょう。難易度は高いですが、だからこそいつか試してみたいですよね。
バラの栽培におけるポイント5つ
1. 日当たりや場所
バラは日光が少なくても育ちますが、日当たりの良い場所が好ましいです。最低でも1日3時間程度日の当たる場所であれば大丈夫です。
2. 水やり
表面の土が乾いたらたっぷりとあげます。鉢で育てている場合は、そこから水が染みだすぐらいしっかり水やりをしてください。バラは根が蒸れると元気に育ちません。土の様子を見て水をあげるタイミングをはかってください。
ただし、休眠期は週に1回程度で構いません。
3. 肥料
バラには肥料は必須です。「肥料食い」と言われるほど肥料を必要とします。肥料はバラ専用のものが売られているのでそれを使用して下さい。
植える時にたっぷりと土に混ぜておき、追肥は鉢植えの場合は休眠期を開花時期以外の時期に月に1度、地植えの場合は開花時期以外の時期に月に1度やりましょう。
4. 用土
バラは水はけの良い土で育てなければいけません。バラ専用の用土が売られていますのでそれを使用してください。
5. 病気や害虫
バラがかかりやすい病気にウドンコ病と灰色カビ病があります。ウドンコ病は葉の裏側が白くなり、葉が枯れてしまう病気で、薬剤散布により処置できます。灰色カビ病は花に発生するカビで、花を枯らしてしまいます。枯れている花や病気の花を見つけたらこまめに摘み取ってください。
また、カイガラムシやテッポウムシなどの害虫が付くこともあります。害虫を見つけたら薬剤を使用して早めに処置してください。
バラの栽培ステップ
1. 苗を購入する
種から育てるのではなく、苗から育てましょう。種から育てるのは難しいです。
2. 植える
苗を植える場合には、先ほど述べたように大苗は休眠期に、新苗は4~5月頃に植えます。
3. 水やりと追肥
水やりは、表面の土が乾いたらたっぷりと、追肥は開花の時期と鉢植えの場合は休眠期以外は月に1度行います。肥料をしっかりあげることで元気に育ちきれいな花を咲かせますので追肥は必ずしてください。
4. 支柱で誘引
つるバラを育てる場合には支柱で誘引する必要があります。支柱にはアーチ型のものやオリベスク型のものなどがあるので、好きな形のものを選んでください。もちろん普通の棒状のものでも構いません。
支柱の形状にもよりますが、どの支柱を使う時でも太い枝を支柱に沿わせて固定し、空いたスペースに細い枝を巻いていくという方法で誘引します。
つるバラなどのように誘引する必要があるバラ以外は必ずしも支柱は必要ありません。支柱を使用して縦に誘引していく育て方も良いですし、支柱を使わず枝垂れるような形のバラを育てても個性的でおもしろいです。自分の好みに合わせて支柱を使うか使わないか判断して下さい。
5. 剪定
夏と冬に剪定します。夏は弱い枝や枯れている枝、伸びすぎた枝の選定をし、全体のバランスを整えていく目的で剪定します。冬は来年以降に残したい枝以外はバッサリ切り落としてください。
全国のバラの名所5選
神代植物公園(東京都)
東京都調布市にある公園です。こちらのバラ園は春には409品種、約5,200本、秋には約300品種、約5,000本のバラを見ることができます。秋のバラはやや小ぶりなものが多いので見ごろは春、特に5月頃が一番華やかで、毎年バラフェスタを開催しており地元の方や観光客でにぎわっています。
URL:https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/about045.html
中之島公園(大阪府)
大阪府大阪市北区にある中之島公園は、オフィス街にある公園です。春と秋に約310品種、3700本のバラを見ることができます。公園の中央約500mがバラでいっぱいになり、都会の中で癒しとくつろぎの空間となっています。
夜にはライトアップがされ、また違った雰囲気のバラを見ることができます。
URL:http://www.osakapark.osgf.or.jp/nakanoshima/
花フェスタ記念公園(岐阜県)
岐阜県可児市にある公園です。ナゴヤドーム約17個分の敷地に、約7,000品種30,000本が植えられています。春と秋にバラ祭りが開催されたり、バラの育て方相談室やバラ講座が開かれるなど、さまざまな方法でバラを楽しめる公園です。
URL:http://www.hanafes.jp/hanafes/
花巻温泉(岩手県)
岩手県花巻市にある花巻温泉内にあるバラ園です。約5000坪の敷地に450種6,000株のバラが咲き誇ります。その中にはこの庭園で品種改良されたオリジナルのバラも複数あり、それらはここでしか見られません。また、宮沢賢二が設計した日時計も置かれています。
URL:https://www.hanamakionsen.co.jp/rose/
かのやばら園(鹿児島県)
鹿児島県鹿屋市、霧島ヶ丘公園の東側にあるバラ園です。8ヘクタールの広大な敷地に、約100万本のバラが咲き誇る、日本最大級のバラ園です。こちらのバラ園オリジナルのバラもあり、エリアごとに同一種類を集めた作りの園内では希少なバラを一度にたくさん見ることもできます。
URL:http://www.baranomachi.jp/
最後に
ここで紹介したバラの育て方は、超基本編です。
というのも、バラは本当に数多くの方が数多くの種類を育てており、バラの育て方の本も多種多様です。日本のみならず世界的にみてもオリジナリティあふれる育て方が多すぎて、一概にこの方法がいい!とは言えず、多くの方が多くの育て方を試しています。ヤサシイエンゲイというWebサイトも人気なようですね。
まずはここで基本の育て方を覚えて、ご自身が育てる環境などをかんがみて、最適な育て方を見つけてみてください。美しいバラには棘がありますが、ご自身で丹精込めて育てたバラの棘なら許せてしまうかもしれません。
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