ジューシーでみずみずしく、栄養分が豊富でヘルシーな果物。美容や健康効果も高く、古くから人々に愛されています。様々な種類がありますが、「不老長寿の果実」と呼ばれている果物があるのをご存知でしょうか?その果物とはイチジクです。
クワ科に属するイチジクの原産は、アラビア南部です。旧約聖書にも登場する、とても歴史の深い果実です。花を咲かせずに実をつけるように見えることから、漢字では「無花果」と書きます。
品種によって実の成る時期が変わり、品種は大きく分けて夏果、秋果、夏秋兼用があります。寒さに弱いので寒冷地では庭植えに向きませんが、鉢植えやプランターならば大丈夫です。ベランダでも育てられるので、家庭でも育てやすい果実です。
(参照元情報:JAつやま、住友化学園芸、2017年6月現時点情報)
イチジクの年間スケジュールは?
イチジクは植え付けから収穫まで、およそ2年です。 鉢植えやプランターなどで室内栽培も可能です。
1.苗の選び方と品種
イチジクには様々な品種があります。国内で主に売られている、収穫時期が長い夏秋兼用の「ドーフィン」。糖度が30度を超える、極上の甘さが特徴的な「ヌアール・ド・カロン」。寒い地域ならば寒さに強い白イチジクとも呼ばれる、早世日本種の「蓬莱柿」(ほうらいし)がおすすめです。
2.育苗
イチジクは、苗から育てます。植え付けの時期は12~3月。品種によって細かな剪定が必要です。
3.開花
無花果の名前の通り、イチジクの花は見えません。かといって花が咲かないわけではなく、5月頃に果実の中で花が育ち、種となります。
4.収穫
イチジクの収穫時期は植えてから2年目です。品種によって違いますが、収穫時期は6月下旬~10月頃であることが多いです。
夏秋兼用の品種(例:ドーフィン)は早ければ6月下旬以降、秋果の品種(例:蓬莱柿)は8月下旬〜10月にかけての収穫を行います。
イチジクの栽培における5つのポイント
1. 日当たりや場所
イチジクは日光を好むので、日当たりの良い場所で育てましょう。寒冷地での鉢植えなら、冬は暖房の当たらない室内で越冬させましょう。
2. 水やり
庭植えの場合は、日照りが続くケースを除き、基本的に雨水だけで大丈夫です。鉢植えの場合は、表面の土が乾いたら適度に水やりをしましょう。湿度に弱いので、あまり水をあげすぎでもダメです。
3. 肥料
庭植え、鉢植え共に植え付け期にたっぷりと堆肥を混ぜるほか、果実用の化成肥料や、油かすなどの有機肥料を使用しましょう。
4. 用土
水はけ、水もちの良い土であれば、それほど土質による影響はありません。果実用土か、赤玉土小粒7、腐葉土3で配合土を使用するのが良いでしょう。
5. 病気や害虫
イチジクの天敵と呼べる害虫はカミキリムシです。幹の中に卵を植え付け、幼虫が内部を食い荒らしながら成長していきます。幹や葉に木屑のような粉が落ちていたら要注意。侵入した穴を見つけ、ノズルの細い殺虫剤を差込んで駆除しましょう。成虫は見つけ次第捕殺することも、対策として非常に有効です。
イチジクの栽培ステップ
1. 土と植え付け場所を作る
イチジクを植える土は、水はけ、水もちが良い土が適しています。果実用土か赤玉土小粒を7割、腐葉土3割の配合土に堆肥や果実用の化成肥料、油かすなどの有機肥料をよく混合したものを使用しましょう。植え付けの一ヶ月程前から準備しておくと良いでしょう。
植え付け場所は日当たりが良く、たまに日陰が出来る場所が適しています。
2. 植える
12~3月の休眠期に植え付けるのが良いでしょう。深さ、幅共に50cm程度の穴を掘り、根を良くほぐし苗を植えます。地表から50cm程の高さで剪定します。
鉢植えの場合は、10号程の大きさの鉢やプランターを使用し、鉢底に鉢底石を敷くと水はけがよくなります。
3. 水やりと追肥
植え付け後は乾燥しやすいので一日に一度、鉢植えも表面が乾いたらたっぷりと水をあげるのが良いでしょう。夏場などは、乾き具合を見て一日に2回程度あげましょう。
追肥は6月、8月、10月の3回。化成肥料や有機肥料を与えます。鉢植えの場合は、緩効性化成肥料を使うのが良いと言われています。
4. 支柱で誘引
イチジクの栽培には様々な樹形があり、品種によって適した形が変わります。鉢植えに適した自然関心型、樹勢の弱い品種に適した一文字型、杯上型などがあります。品種と相談して、樹形を決めましょう。
5. 剪定
イチジクの剪定は非常に大切なポイントの一つ。収穫時期、樹形によって剪定方法も変わってきます。基本的に摘果の必要はありませんが、新梢が短く、少ないケース。伸びた枝に多くの実がついているケースでは10果程に調整すると良いでしょう。
イチジクを育てるメリットと栄養素2つ
1.市場に出回らないイチジクを食べれる
市場に出回っているイチジクは、そのほとんどがドーフィンか早世日本種です。家庭栽培では、市場に出回っている品種のイチジクだけではなく、珍しいイチジクを自分で育てて収穫し、味わうことが出来ます。
2.カリウムやミネラルが豊富
不老長寿の実と呼ばれるイチジクには、アンチエイジング効果のある栄養素がたくさん含まれています。水溶性の食物繊維も豊富なので、便秘改善にも効果があると言われています。
イチジクがおいしい!イチジクを使って作れるメニュー3つ
1.イチジクジャム
イチジクをジャムに加工すると、保存も効き、多用な料理に使うことが出来ます。忙しい朝など、パンに一塗りするだけで手軽に美味しく栄養を摂取できます。
2.イチジクのコンポート
果物をワインなどで煮込んだコンポートは、ジャムと違い果実の食感や風味を残したヨーロッパの伝統的な調理法です。ジャムが水分を飛ばしているのに対して、コンポートは「煮詰めていないもの」という認識で解釈されているようです。
果実感が残った贅沢なシロップのような、ジャムとシロップの中間あたりの食感でしょうか。
3.イチジクと生ハムのマリネ
生ハムの塩気といちじくの甘さがマッチしたマリネは、ワインなどのお酒のおつまみに出すと喜ばれるでしょう。参考にしたレシピでは、クリームチーズも使われています。
参考URL:イチジクと生ハムのマリネサラダ クックパッドより
最後に
イチジクの栽培はそれほど難しくはなく、家庭菜園初心者の方でもおすすめな果物です。永年性作物なので、安定した収穫が見込めます。
果実をもぎたてのフレッシュな状態で食べてもいいですし、加工してジャムやコンポートにしてもおいしく、イチジクはドライフルーツとしても人気です。ワインともよく合いますよ。
ぜひイチジクを育ててみてください。
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