自宅にカーポートを設置したい場合は、固定資産税の有無が気になるところでしょう。固定資産税とは、固定資産を所有する所有者に対し、固定資産に応じて課税する税のことです。
結論として、カーポートは固定資産税の課税要件を満たさないため、税金がかかりません。一方で、カーポートと同じ車庫に分類されるガレージは、固定資産税の対象となる可能性があるため注意が必要です。
この記事では、固定資産税の3つの課税要件や、カーポートとガレージを設置する際の税金について解説します。
参照:総務省|固定資産税の概要
カーポートは固定資産税がかからない
自宅にカーポートを設置する場合、固定資産税の対象には含まれません。この後に詳しく解説しますが、課税対象となる要件3つのうち、カーポートは「外気分断性」を満たさない構造のため、固定資産税がかからないというわけです。
- 外気分断性
- 土地定着性
- 用途性
固定資産税がかかるカーポートの条件とは?
基礎構造や用途などの要件を満たす場合は、固定資産税の課税対象に該当します。カーポートを例として挙げながら、課税対象となる建物の要件について詳しく解説します。
屋根があり、3方以上を外周壁や建具で囲われていること(外気分断性)
外気分断性とは、外気を分断するもの(=屋根や周壁など)を有していることです。3方以上を外周壁や建具に囲われた屋根付きの建物は、固定資産税の課税要件である外気分断性を満たすと判断されます。
カーポートは屋根を有しますが、その他の部材は柱のみです。3方向を囲う壁がない構造のため、外気分断性は認められません。
基礎等で土地に固定されていること(土地定着性)
土地定着性とは、基礎などによって土地に定着している状態のことです。固定措置がとられており、簡単に移動ができない建物が該当します。
カーポートは柱で土地に固定されているため、固定資産税の課税要件である土地定着性を満たします。
居住、作業、貯蔵等に利用できる状態にあること(用途性)
固定資産税の課税要件である用途性とは、建物が目的のために使える状態であることです。主な用途には、居住・作業・貯蔵などが挙げられます。
カーポートは車庫として設置されるものであり、日差しや雨などから車を守る役割があるため、用途性を満たすと判断できます。
ソーラーカーポートに固定資産税がかかる場合も
ソーラーカーポートは、屋根の上に太陽光パネルを搭載した車庫です。ソーラーカーポートは、出力10kW未満の太陽光パネルを搭載した住宅用と、出力10kW以上の太陽光パネルを搭載した産業用の2つのタイプがあります。
出力10kW以上の太陽光パネルは、事業用設備に区分されるため、先ほどお話した3つの課税要件に関わらず、固定資産税の課税対象です。
そのため、産業用のソーラーカーポートを購入する場合は固定資産税がかかることを考慮する必要があります。固定資産税がかかるか不安な方は、地方自治体や設置業者に相談をしましょう。
ガレージは課税対象?税金がかかるケース
カーポートは外気分断性を満たさないため、固定資産税の対象外であることがわかりました。それでは、カーポートと同様に駐車スペースとして設置されるガレージは、課税対象に該当するのでしょうか。
ガレージに固定資産税がかかるかどうかは、構造によって決まります。ここでは、シャッターあり・なしに分けて、ガレージと固定資産税の関係を解説します。
【課税対象】シャッター付きのガレージ
シャッター付きのガレージは、固定資産税の課税対象です。ガレージの設置には基礎工事が必要なため、課税要件の土地定着性を満たします。車を保管する役割を果たすことから、用途性も満たすと判断できるでしょう。
また、シャッターを含めて3方以上が壁で囲われているため、外気分断性にも該当します。課税対象となる建物の要件をすべて満たすことから、シャッター付きのガレージを設置する場合は固定資産税を支払わなければいけません。
【ケースバイケース】シャッターの付いていないガレージ
シャッターの付いていないガレージも、シャッター付きのガレージと同様に土地定着性と用途性を満たします。では、固定資産税の有無をどのように判断するかというと、外気分断性に該当するかがポイントです。
3方以上が壁で囲われておらず、外気が分断されない状態であれば、固定資産税の課税対象とはみなされません。
一方で、3方以上に壁がある場合は外気分断性を満たすため、シャッターなしのガレージでも固定資産税がかかります。
固定資産税と建ぺい率の関係は?
結論、固定資産税と建ぺい率に直接的な関係はありませんが、二つの違いを理解しておくとカーポートを建てる際に大変役立ちます。
カーポートの建設を検討されている方はぜひご覧ください。
建ぺい率とは
建物は、建ぺい率(敷地の平面的な広さに対して、建物を建てられる割合)と容積率(敷地面積に対する建物のすべての階の床面積を合計した面積の割合)によって規模や密度が定められています。(参照:国土交通省_市民景観まちづくりリーフレット⑥)
例えば、敷地面積が100㎡、建築面積が40㎡の場合、建ぺい率は40%です。これは、敷地の40%に建物を建ててよいことを示しています。
また、敷地面積が100㎡で延床面積(すべての階の床面積を合計した面積)が200㎡の場合、容積率は200%です。
建ぺい率・容積率は、人口の過密化及び火災時の延焼の防止、日当たりや風通しを確保するために定められており、一般的なカーポートも建ぺい率の対象にあてはまるため、面積の広いカーポートを設置した際は、その分建てられる家の面積が減ることを覚えておきましょう。
さらに、後付けで既存の住宅に設置する場合は建ぺい率を超えないようにする必要があります。
建ぺい率の緩和措置
2019年6月に施行された、建築基準法の一部を改正する法律により延焼防止性能の高い建築物の建ぺい率を10%緩和する措置が適用されることとなりました。(引用:建築:建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について – 国土交通省 (mlit.go.jp))
適用条件は以下の4つです。
- 柱の間隔が2m以上
- 天井の高さが2.1m以上
- 外壁のない部分が4m以上連続
- 地階を除いて階数が1であるか
高い開放性を有すると認めた建物に該当した場合は、緩和措置を受けることができ、端から1m後退した部分を建物面積とすることができます。
建ぺい率は、各地域ごとで定められているため、カーポートを建てる際は、必ず地域の自治体に確認をしましょう。
カーポートを建てる際の注意点3選
カーポートを建てる際は、以下の3点を事前に確認する必要があります。
確認ポイント①隣地境界線や道路境界線の位置
隣地境界線や道路境界線の位置を確認しましょう。隣地境界線は、敷地と敷地の境界を示す線のことです。
「建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない」(民法234条)と定められているため、必ずカーポートを建てる際は、隣地境界線より50㎝離さなければなりません。
また、土地と道路の境界を示す道路境界線を建築物が越えてしまうと、建築基準法違反となるため、こちらも注意が必要です。
確認ポイント②柱の来る位置
カーポートの構造上、必ず柱を建てる必要が出てきますが、場所によっては、車のドアや物置の開け閉め、駐車の邪魔になったりすることも。
柱を建てる位置は事前に、出入りの邪魔にならないかどうか確認を行いましょう。最近のメーカーでは、1本や2本の柱で建つカーポートも販売されています。
確認ポイント③積雪には耐積雪強度が高いカーポートを
通常、カーポートの耐積雪強度は積雪約20㎝です。
しかし、積雪の多い地域だと、通常のカーポートでは耐久性が足りない可能性も。
自身が積雪の多い地域に住んでいる場合は、支柱が四本あり、かつ耐積雪強度が高いカーポートを選ぶことを検討しましょう。
ゼヒトモにおけるガレージ・カーポート施工事例
雨風から愛車を守り、住まいの外観もおしゃれに格上げしてくれるカーポート・ガレージ。ゼヒトモでの施工事例を参考に、理想の空間を実現するためのヒントを見つけてみてください。
花壇を撤去し広々とした空間に!後方支持型カーポートで高級感を演出
1つ目は、高級感あふれる後方支持型カーポートの設置した事例です。
既存の花壇を解体して駐車場の奥行を延長し、より広々とした空間を確保。後方支持型のデザインを採用したことで車の出し入れがスムーズになり、機能性と美観を兼ね備えたカーポートが実現しました。
腐食した木製カーポートを鉄骨×人工木材で完全再生!耐久性と美観を両立
2つ目は、木製のカーポートを全面改修した事例です。
腐食が進んだ木製カーポートと屋根上テラスを一新し、より耐久性の高い構造へと生まれ変わりました。具体的には、鉄骨の下地に人工木材を組み合わせて再構築し、基礎も新たに入れ替えることで、強固でメンテナンスフリーの製品へとアップグレード。
カーポートの耐久性が大幅に向上し、長期的な維持管理の手間を大きく軽減できています。
ゼヒトモでガレージ・カーポートの施工のプロを探す
カーポートは原則として固定資産税がかかりませんが、ガレージを設置する場合は、構造によって課税される可能性があるため注意が必要です。
また、カーポートやガレージの設置には建ぺい率も関係します。固定資産税や建ぺい率は地域ごとで異なるため、建設する前は必ず地域の自治体やプロに相談及び調査の依頼をすることがおすすめです。
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