中庭があると住宅の中が明るくなるだけでなく、空間にゆとりが生まれて快適さが増します。とはいえ、実際に中庭のある家は少なく、どのような間取りが良いのかと悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、中庭のある家づくりを検討している方に向けて、必要な情報を詳しく紹介しています。具体的な間取りの種類やリフォームのポイント、理想を実現する際の注意点、費用相場も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
中庭とは
中庭とは、建物や塀、壁などに囲まれた庭のことです。隣家との距離が近いときに庭を確保する手段として、また、採光・通風の手段としても中庭を作ることがあります。最近では、インテリア性を高めるために中庭を作ることも珍しくありません。二世帯住宅であれば中庭を各世帯が集まる場所にするなど、ライフスタイルに合わせて活用することが可能です。
中庭のある家をコートハウスと呼ぶことがあります。コートハウスというと何やら新しい住宅スタイルのようなイメージがありますが、京町屋のように日本古来の間取りにも中庭はあります。中庭は隣家から見えにくいため、プライバシーを守りたい方にもおすすめです。
中庭がある住宅の間取りの種類とは
壁や塀、建物などに囲まれた場所にある庭は、すべて中庭です。住宅の広さによっては2つ以上の中庭を作ったり、四角形以外の形状の中庭にデザインしたりすることもあります。
中庭のある住宅の間取りは、大きく「ロの字型」と「コの字型」、「L字型」の3つのタイプに分けられます。それぞれの間取りの特徴について見ていきましょう。
ロの字型
四方を建物で囲んだ中庭を「ロの字型」と呼びます。家の外からは中庭が見えないため、プライバシーを守ることが可能です。隣家との距離が近い場合も、ロの字型の間取りで中庭を作れば、視線を気にせずに安全に過ごせる庭を確保できるだけでなく、採光や通風を良くすることができます。
ただし、中庭が狭い場合は、四方の壁が迫るような感覚になり、開放感がなく、中庭も周囲の部屋も日当たりの悪い薄暗い空間になってしまいます。また、雨水がたまると、家の中にも湿気が入り込んだり、カビが生えたりするので注意が必要です。中庭を設計する時点で排水についても良く考えておきましょう。
また、ロの字型の中庭タイプは、ある程度敷地に余裕がある場合に適したデザインです。しかし、広めに中庭をとっても、日光は太陽が住宅の真上に来たときしか入らないため、洗濯物を乾かすスペースとしては活用しにくいでしょう。
コの字型
中庭の三方を建物で囲んだタイプを「コの字型」と呼びます。ロの字型の間取りデザインと比べると開放感があり、日光を確保できるデザインです。開いている方向から視線が気になる場合は、植物を植えたり塀を高めにしたりすることで、プライバシーを確保しやすくなります。
ただし、敷地や住宅の形状によっては、中庭が外から丸見えになるだけでなく、中庭を取り囲む部屋の内部も丸見えになることがあります。コの字型の間取りならではのオープンな魅力を活かすためにも、日当たりだけでなく防犯面も意識して設計する必要があるでしょう。
なお、ロの字型の間取りと比べると、壁の面積が狭くなるので、建築費用はやや低めとなります。
L字型
L字形状の建物の内側に中庭があるタイプを「L字型」と呼びます。二方向からのみ壁で囲むため、コの字型よりもさらに開放的な雰囲気です。
塀が低いときは、L字型にデザインされた住宅の中庭は外から丸見えになります。中庭に面した部屋の内部も丸見えになるので、視線が気になるかもしれません。
また、設計によっては、中庭というよりは一般的な庭の印象に仕上がることもあります。中庭ならではのプライベートな空間を演出するためにも、住宅の間取りや庭木の配置、塀の高さなどに配慮した家づくりを進めていきましょう。
中庭のある家が支持されるポイントとは
ライフスタイルが多様化するに連れ、人々の暮らしも変わっていきます。中庭のある住宅が人気を集めている理由としては、次のポイントが挙げられるでしょう。
- 日当たりや風通しが良くなる
- 居住空間が広く見える
- プライベートな空間でアウトドアが楽しめる
- 防犯面も安心
それぞれのポイントについて解説します。
日当たりや風通しが良くなる
中庭があることで、日当たりや風通しが良くなります。特にコの字型やL字型のデザインであれば、日光を確保できるだけでなく、開放的な印象になります。
また、中庭に面する部屋や窓にも光が入り、より居心地の良い空間になるでしょう。敷地が狭く、採光や通風が難しいときも、部屋数を減らして中庭にすることで、快適な住空間に仕上がります。
居住空間が広く見える
中庭があることで居住空間が開放的な印象になり、実際のスペース以上に広く見えるようになります。また、外からあまり見えないように配慮して中庭を設計すれば、プライベートな暮らしの場として中庭を利用できるため、より空間を無駄なく活用できます。
プライベートな空間でアウトドアが楽しめる
中庭の広さによっては、バーベキューを楽しんだり、ビニールプールやテントを設置したりしてアウトドアを楽しむこともできます。塀や樹木などで視線を遮れば、プライバシーを確保できるので安心です。また、アウトドアリビングとして、中庭を家族のくつろぎの空間にすることもできます。
防犯面も安心
道路から丸見えの庭とは異なり、中庭はプライバシーを確保できる空間です。視線を遮るように壁や塀、樹木などを配置すれば、防犯面も高めることができ、洗濯物を干す空間としても活かせます。
また、リビングに大きな窓をつける場合も、道路から丸見えでは安心してくつろげません。リビングの前に中庭を配置し、明るさとプライベート感を両立できるようにしておきましょう。
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中庭のある快適な家づくりを実現する際のポイントや注意点
少し工夫して家づくりをすることで、中庭のある家の快適性をさらに高めることができます。家族みんなが過ごしやすい住宅を実現するためにも、次の注意点に注目しましょう。
- 生活動線を考えた間取りにする
- 排水場所を確保し、湿気対策をする
- 窓のサイズや配置に配慮する
- 室温を保てるようにする
- 理想のライフスタイルに合わせた間取りにする
それぞれのポイントについて解説します。
生活動線を考えた間取りにする
生活動線に配慮した間取りにしないと、家の中での移動距離が長くなり、暮らしにくくなってしまいます。例えば、個室からトイレや洗面所が遠い、リビングとキッチンが遠いなどの配置では、部屋間の移動ばかり増えて、生活を楽しむ余裕がなくなるかもしれません。
特にロの字型やコの字型の間取りデザインを選ぶと、向かい合う部屋に移動するだけでも中庭を回り込む必要が生じ、屋内での移動距離が長くなります。家族の生活をシミュレーションし、移動距離が短くなるように部屋を配置しましょう。また、洗濯機と洗濯物を干す空間、ダイニングとキッチンも近くに配置すると、家事がしやすくなります。
排水場所を確保し、湿気対策をする
特にロの字型の間取りデザインを選ぶときは、設計の段階から湿気対策をしておく必要があります。中庭に降った雨水が適切に排水されるように、場所を確保しておきましょう。
窓のサイズや配置に配慮する
中庭に面した部屋に大きな窓をつけると、採光しやすくなり、部屋全体が明るくなります。しかし、中庭が外から丸見えの構造のときは、部屋の中も外からよく見えるので、防犯上好ましくありません。
中庭に面した部屋に窓をつけるときは、窓のサイズや配置に配慮してプライバシーを確保できるように施工プランを立てましょう。また、あまりにも大きな窓をつけると屋内の断熱性が低下することもあるので、リフォーム業者とも話し合い、適切な窓の種類や大きさを選ぶことが大切です。
室温を保てるようにする
中庭のある住宅は、採光を意識して窓を多く設置することが多いです。部屋が明るくなることは良いのですが、その分、断熱性が低下するため、光熱費が高くなる可能性があります。
熱効率を良くするために、床や壁などに断熱材を組み込んだり、中庭周りの窓にペアガラス配置をしたりすることも検討しておきましょう。費用はかさみますが、快適な家づくりを完成させるためにも、明るさだけでなく断熱性も意識しましょう。
理想のライフスタイルに合わせた間取りにする
中庭には採光や通風を良くするなどの実用的な面もありますが、暮らしに変化を与え、家族の理想を実現するという面もあります。中庭で理想のライフスタイルを実現するためにも、どのような間取りが良いのか今一度考えてみましょう。
アウトドアリビングとして中庭を活用したいのであれば、ウッドデッキを敷いて室内履きのまま移動できると便利です。また、バーベキューが目的であれば、キッチンとつながった間取りが望ましいといえます。他にも、家事のしやすい家、家族全員が中庭に集まりやすい家など、実現したいポイントを自由に決めてから家づくりに取り掛かりましょう。
中庭のある家にリフォームする際の費用相場
中庭のある家は、中庭のない住宅に比べて2割ほど建築費用が高くなります。例えば、住宅の建築費が2,500万~3,000万円ほどであれば、中庭ありの建築費は3,000万~3,500万円ほどです。
リフォームするときは既存の住宅の一部を取り壊すことになるため、工事範囲によって費用が変わります。リフォーム業者によっても費用相場は異なるので、いくつかの業者から見積もりを取り、比較しましょう。
庭のリフォーム工事のプロを探す
中庭を作ることで空間にゆとりが生まれ、より自宅での生活を楽しむことができます。家族の意見も取り入れて設計し、適切な業者に依頼しましょう。
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