布団に入ると体がムズムズして寝付けない、鼻水やくしゃみが止まらない……その症状、もしかしたら布団に潜むダニが原因かもしれません。
気温が高くなる春から夏にかけては、ダニが繁殖しやすい時期。ダニの餌となる皮脂や毛髪などが付着している布団は、高温多湿を好むダニの格好の餌場となります。
布団に溜まったダニの死骸や糞は、アレルギー反応を引き起こすため、日頃のダニ駆除・対策が欠かせません。
そこで今回は、布団に潜む目に見えないダニの駆除方法や今すぐできる対策について解説します。
布団は家の中でもダニ刺され・繁殖しやすい場所!
ダニの繁殖時期は5〜9月頃。ダニは気温20〜30℃、湿度60~80%の高温多湿な環境を好み、7~8月に繁殖のピークを迎えます。熱や湿気がこもりやすく、ダニの餌となる皮脂やフケなどが多い布団は、ダニが繁殖しやすい環境です。
高温多湿・餌・住処の3つの条件が揃った環境下でのダニの繁殖力は凄まじく、たった1組のつがいが約3ヶ月で100万匹近くまで増えるといわれています。
【ダニが繁殖しやすい条件・環境】
・温度20~30℃
・湿度60~80%
・布団が汚れている(汗や垢、皮脂、毛髪、食べかすなど)
生きているダニの生命力は凄まじく、天日干しのみで死滅させることは難しいでしょう。繊維にしっかりとしがみつく性質を持つため、掃除機や洗濯機だけで完全に駆除することは不可能です。
ダニの侵入経路
ダニの主な侵入経路は、「衣類」「ペット」「ホコリやチリ」の3つ。そもそも、ダニは羽がなく空を飛んで移動することがないため、自力で移動できる範囲は狭めです。
3つのうち一番多いのが、外出先から帰宅した際に衣類やバッグ、髪の毛に付着したダニを家の中に持ち込んでしまうパターン。着ていた服は防ダニ洗濯で洗う、スチームアイロンを当てるなどしてダニを繁殖させないようにしましょう。
また、犬を飼っている家庭は、ダニが侵入するリスクが高く注意が必要です。特に公園や河川敷、草むらに生息するマダニは、人間にも感染する危険性があり重度の場合は死に至るケースもあります。
窓や玄関を開けたときに、ダニが付いたホコリ・チリが風に乗って家の中に入ることもあり、侵入を完全に防ぐことはできません。
布団に潜む人を刺すダニの種類と症状
私たちが寝ている寝具には、チリダニ(ヒョウヒダニ)やコナダニなどさまざまなダニが潜んでいます。このうち人を刺すのが「ツメダニ」「イエダニ」の2種類で、いずれも室内で発生するダニです。
ツメダニ
ツメダニは、体長0.3〜1.0mmほどの小さなダニで、梅雨頃から秋にかけて増殖するダニ。主にソファや布団、カーペットに生息するヒョウヒダニやコナダニなどを餌としていますが、これらを捕食する際に誤って人を刺すことがあります。
ツメダニに刺された場合、直後は自覚症状がないのが特徴です。刺された数時間後から皮膚が赤く腫れあがり、しつこいかゆみを伴います。かゆみの症状には個人差があり、短いと2~3日、長い場合は1週間以上続くこともあるようです。
イエダニ
イエダニは、体長0.7mmとツメダニよりも大きく、肉眼でも確認できるサイズのダニ。気温が上がり始める5月頃に発生し、6〜9月に活動のピークを迎えます。
夜、寝ている間に布団に侵入し、太ももやお腹周りなど皮膚が柔らかい部位を狙って刺すのが特徴です。刺された直後から、赤みやかゆみなどの症状がすぐにあらわれます。
さらに、イエダニは刺すだけでなく吸血することもあるため、感染症を媒介する恐れがあり注意が必要です。
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ダニに刺されたときの対処法は?
内もも(太腿の内側)や二の腕、下腹部など、皮膚が柔らかく衣服で隠れている部分に腫れやかゆみがある場合、ダニ刺されによる症状だと考えられます。刺された箇所のかゆみが1週間以上続くようなら、ダニ刺されの可能性が高いでしょう。
患部は、水で洗い流してからダニ刺されに効く市販薬を塗ってかゆみや炎症を抑えましょう。
患部のかゆみや腫れだけではなく、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった自覚症状もあるときは、皮膚科・眼科を受診した方が良いかもしれません。軽い症状で済むこともありますが、放置するとアレルギー反応や深刻な感染症につながる恐れもあります。
今すぐできる布団に潜むダニの駆除方法
ダニ駆除と聞いて真っ先に天日干しを思いつくかもしれませんが、日革研究所の実験によると、真夏の炎天下でもダニの死滅温度50℃にはならないという衝撃的な結果が出ています。
ダニをこれ以上増やさないためには、「高温乾燥」「湿度を下げる」を徹底して駆除することが重要です。
スチームアイロンを使う
高温多湿を好むダニは、50℃以上で30分間、60℃なら一瞬で死滅すると言われています。そこでおすすめしたい駆除方法のひとつが、スチームアイロンです。
最高200℃以上になるスチームアイロンの蒸気を布団や枕にスチームを吹きかけることで、一瞬でダニ退治できます。汗をかきやすい夏場は、週1ペースで行うのが理想です。
ダニを駆除するポイントは事前準備と事後処理!
まず事前準備として、電気を消してカーテンを閉め、部屋を1時間ほど暗くしておきましょう。ダニは暗い場所を好む習性があるため、布団の奥に潜んだダニを表面に誘い出すことができます。
スチームを噴射する部分に当て布を置き、スチームを3〜5秒ほど噴射。布団全体にまんべんなくスチームを噴射したら、掃除機でダニの死骸や糞を吸い取ります。ダニは湿度60%を超えると活動が活発になるため、スチーム後は乾燥させるのが繁殖を防ぐポイントです。
布団を乾燥させるときは、布団乾燥機を使うのがおすすめです。天日干しではダニを完全駆除できないだけでなく、天候に左右され乾くまでに数時間かかります。
また、長時間日光に当てると劣化や色あせの原因にもなるため、短時間で効率的に布団を乾燥させるなら布団乾燥機が良いでしょう。
布団乾燥機でダニ退治
布団乾燥機を使えば、天日干しのように場所を取らず、天候に左右される心配もありません。最近では、ダニ対策機能を搭載したモデルもあり、50℃以上の温風を長時間送り続けることでダニ死滅効果が期待できます。
ちなみに、ダニは布団乾燥機を1回かけただけでは3割ほどしか死滅しないと言われています。はじめて布団乾燥機をかける場合、1日2回を3日連続で行いましょう。その後は、1週間に1度のペースで布団乾燥機を使うとダニの繁殖をおさえられます。
ビーズクッションは風通しの良い日陰で!
布団や枕、タオルケットなどの寝具は布団乾燥機を使用できますが、ビーズクッションは風通しのよい日陰で干しましょう。
というのも、ビーズクッションの素材は、高熱に弱いものが多く、乾燥機の熱でビーズが溶けたり変形したりする可能性があります。
密着性の高いビーズクッションは、熱がこもりやすくダニが繁殖しやすいため、日陰で平干しして通気性対策をしっかりと行い繁殖を防ぎましょう。
ダニ駆除シートを布団の下に敷く
布団の下に入れておくだけで、手軽にダニを駆除できるアイテムとして、ダニ駆除シートが人気です。ダニ駆除シートは、ダニが好む甘い香りがしみ込んだ粘着シートにダニをおびき寄せて捕獲する仕組み。
粘着シートには、「粘着タイプ」 と 「乾燥タイプ」 の2種類があります。
- 粘着タイプ:ダニをシートにしっかりと粘着させ、逃げられないようにする(死滅できるわけでない)
- 乾燥タイプ:捕獲したダニの水分を吸い取って死滅させるタイプ
ダニ駆除シートは、粘着タイプが主流ですが、捕獲したダニがシートの中で繁殖するリスクが高いという指摘もあります。ダニを完全に駆除したい場合は、捕獲したダニを乾燥させて死滅できる乾燥タイプがおすすめです。
ダニ駆除スプレーを使う
ダニ駆除スプレーは、スプレーするだけで手軽にダニ駆除と同時に予防の両方ができるのが特徴です。ものによっては、約1か月近く効果が持続するタイプもあります。速乾性が高くサラッとしているため、布団が肌にまとわりつく不快感がないのも魅力。
また、天然ハーブを使用している商品もあり、ペットや子どもがいる家庭でも安心して使えます。
布団のダニを増殖させない!普段からできる対策
ダニは人の衣類やペットを介して家の中に持ち込まれるため、侵入を完全に防ぐことはできません。ダニ対策の基本は、ダニを繁殖させない環境作りです。
ここでは、ダニの繁殖を防ぐための具体策を解説します。
掃除機(布団クリーナー)でゴミやダニの死骸を吸い取る
ダニは、食べかすやフケ・皮脂、毛髪などを餌に成長・繁殖します。布団に蓄積したダニの死骸や糞は、鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を引き起こす原因となるため、これらを残さないことが大切です。
布団クリーナーは、掃除機に比べて吸引力が高くダニの餌や死骸などを除去できるため、繁殖を抑える効果が期待できます。
ただし、ダニの死骸や糞は布団表面に、生きたダニは繊維の奥深くに潜り込んでいるため、布団クリーナーだけでは対策は不十分です。
乾燥機で布団の中にいる生きたダニを死滅させ、そのあとに布団クリーナーを使うとダニの除去率がアップします。
防ダニ効果のある布団・マットレスを使う
布団は寝汗や皮脂による臭い・汚れが溜まった布団は、ダニにとって恰好の餌場となります。防ダニ布団やマットレスなどの寝具を使用することで、手入れが面倒な人もより手軽にダニ対策ができておすすめです。
防ダニ寝具は、超極細繊維を高密度に織り込む無特殊な加工で繊維のスキマをなくし、ダニの侵入をシャットアウト。そのため、防ダニ寝具を使えば、布団に寄りつかなくなる忌避効果と、繁殖して増えるのを抑える増殖抑制効果が期待できます。
マットレスの風通しを良くする
熱がこもりやすいマットレスは、使用しない時は立てかけておきましょう。通気性を良くすることでダニが繁殖しづらくなります。
冬場は2~3週間に1回、夏場は1週間に1回行うと効果的です。扇風機やサーキュレーターを使うと室内の空気が循環し、除湿効果も高くなります。
ペット用のダニ予防薬やシャンプーを使う
日常生活の中でペットがダニと遭遇する機会は意外と多く、1年中ノミダニ対策が必要です。
ペットのダニ被害を防ぐには、ノミ・ダニ駆除薬とあわせてペット用の防ダニシャンプーで体を定期的に洗うようにしましょう。
特に犬は散歩やドッグランなど外出の機会が多いため、室内外の猫と比べてマダニが付くリスクが高く、人にも感染する恐れがあります。人が犬に寄生するマダニに咬まれると、原因不明の発熱や嘔吐・下痢等の症状を引き起こし、最悪の場合は死に至るケースもあり注意しなければなりません。
ペットの体にマダニを見つけた場合は、すぐに動物病院を受診し適切な治療を受けましょう。
また、ダニは寝具に潜んで繁殖するため、ペット用ベッドは週に1〜2回洗濯するのが理想です。
布団に潜むダニは、駆除プラスα“繁殖させない環境づくり”が大事
ダニの糞や死骸がたまった布団は、くしゃみや鼻づまり、目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こし健康被害をもたらします。
また、ダニ駆除・予防せず放置するとぜん息悪化の要因にもなるため、スチームアイロンを噴射する、布団乾燥機をかける、ダニ駆除シートを使うなど暑いシーズンはよりこまめな掃除が大切です。
ハウスクリーニングを活用すれば家中のダニを駆除できる
ダニは、布団だけではなく、カーペット・ラグやソファ、畳、ぬいぐるみ、畳みっぱなしの衣類など家中に生息しています。家の中は、ダニが好む温度や湿度を保ちやすく、また人や動物の皮脂やフケなどの餌となる物質が蓄積しやすいため、ダニの住処となりやすいのです。
家族やペットの健康を守るためにも、ハウスクリーニングでダニを徹底的に駆除するのもひとつの方法かもしれません。プロの手を借りることで、毎日の掃除では落としきれなかったカビ汚れやダニを駆除できます。
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