芝生の種類によって、刈り込みのタイミングや頻度は異なります。季節ごとに手入れの内容や水やりの頻度も異なるため、正確に理解しておかなければなりません。この記事では、芝生の刈り込み時期や手入れ方法などに関して、ご紹介します。
ご自宅の庭や敷地で芝を育てている方は、最後までご覧ください。
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芝生の刈り込み時期はいつ?
芝生の種類が暖地型芝生と寒地型芝生、どちらに該当するかによって、異なります。暖地型芝生の刈り込み時期は、5月〜10月にかけてです。一方、寒地型芝生の場合は、3月~5月、9月~11月の期間に刈り込みを実施します。
芝刈りの目的
芝刈りの目的は主に以下の2つです。
- 見た目を美しく保つ
- 健康を保つ
- 雑草対策になる
芝生は成長速度が個体によって異なります。芝刈りを怠ると長さがバラバラで、外から見て美しくありません。芝刈りで高さを整えると、光の反射や透過も均一になり、きれいな状態を保てます。
また、芝生の密度を高めて、病気のリスクを抑えるのも芝刈りの目的の1つです。小まめな芝刈りによって光合成が活発化すると、芽数が増えます。
芝生の密度が高まると、雑草の入る隙間も少なくなり、さらに害虫が住みづらくなるため、枯れる心配も少なくなるでしょう。
芝生の適切な刈り込みタイミングと頻度
芝生を刈りこむタイミングは、刈り高から判断します。刈り高とは芝生を刈ったあと、地面から伸びている草丈の高さです。高さの目安と頻度を以下の表にまとめました。
刈り高の目安 | 頻度 |
30mm〜35mm | 週1回 |
刈り高が30mm〜35mmの場合、週1回芝刈りを実施すれば、きれいな状態を保てます。ただし、見た目を損なわないとご自身で判断された場合、刈り高が35mm以上のタイミングで芝刈りをしても問題ありません。
また、刈り高の目安は日本芝と西洋芝の品種によっても、異なります。日本芝と西洋芝の違いに関して以下の表にまとめました。
日本芝
日本芝の意味 | ・日本に昔から生息している |
特徴 | ・日本の気候に合っている ・比較的手入れもしやすい ・暖地型芝生しかない |
生育に適した地域 | 九州~関東地域 |
代表例 | ・高麗芝 ・姫高麗芝 ・野芝 |
西洋芝
西洋芝の名前の意味 | ヨーロッパから輸入している |
特徴 | ・寒さに強い ・乾燥に弱く、手間がかかる ・暖地型と寒地型の両方がある |
生育に適した地域 | 東北地方~北海道 |
代表例 | ・ケンタッキーブルーグラス ・ペンクロス ・ペレニアルライグラス |
たとえば、高麗芝を育てている場合、刈り高は20〜30mmです。高さが30mmに達した時点で刈り込むため、週2回〜3回の頻度で手入れが必要になります。
野芝と高麗芝
野芝は草丈が10〜20cm程度で、葉幅が横に広いほふく茎の品種です。耐寒性や環境適応力に加えて踏みつけにも強く、ゴルフ場や公園などにも利用されています。
一方、高麗芝は葉が密集しており、冬に美しい緑の芝生を維持できる点が特徴です。野芝と同じく踏みつけに強く、ゴルフ場や競技場で利用されています。ホームセンターやネット通販で簡単に購入できるため、一般家庭での人気や認知度も高いです。
ケンタッキーブルーグラスとペンクロス
ケンタッキーブルーグラスは、寒地型西洋芝のなかで世界的な知名度を誇る品種です。日本では主に北海道で栽培されてます。柔らかい質感と美しい青緑の葉形が魅力的で、世界中の方々が庭園で育てています。
一方、ペンクロスは上質な手触りが魅力的な品種です。生育の難易度が高く、日本では主にゴルフ場で使用されています。
芝生の種類別の手入れポイント
刈り込み時期と同様、暖地型芝生と寒地型芝生のどちらの品種を選ぶかによって、ポイントは異なります。暖地型芝生は日本の気候に適した品種が多く、寒地型芝生ほど手間はかかりません。
一方、寒地型芝生は繊細な質感が失われないよう、春と秋を中心に入念なケアが必要です。
暖地型芝生
暖地型芝生の特徴を以下にまとめました。
特徴 | ・乾燥と高温に強い ・日本芝が多い ・関東以南での生育が適している |
生育に適した気温 | 20℃〜35℃以上 |
刈り込み時期 | 5月〜10月 |
暖地型芝生は気温が20℃〜35℃以上の時期に生育します。刈り込み時期は5月〜10月で、10月までに3回〜7回実施するのが目安です。
また、休眠状態に入ると、基本的に刈り込みは必要ありません。ただし、芝生の種類によっては、除草のために特別な刈り込みが必要になるケースがあります。雑草対策にお悩みの場合は、造園工事業者に相談しましょう。
寒地型芝生
寒地型芝生の特徴を以下の表にまとめました。
特徴 | ・質感が繊細かつ柔らかい ・西洋芝が多い ・乾燥に弱い |
生育に適した気温 | 15℃〜20℃ |
刈り込み時期 | 3~5月 9月~11月 |
日照不足に強く、東北以北での栽培に適したタイプです。春と秋に生育スピードが急激に速くなるため、3月〜5月、9月〜11月に芝刈りを実施します。生育のピークに当たる5月は、週1回のペースで芝刈りを実施してください。
また、寒地型芝生は繊細で柔らかい質感が魅力な一方、乾燥に弱いです。土や葉の乾き具合を見ながら、定期的に水やりもおこなう必要があります。
芝生のメンテナンス内容
以下6つの手入れを繰り返し、芝生を育てていきます。
- 芝生の刈り込み
- 芝生の水やり
- 芝生の施肥
- エアレーション
- 目土入れ
- 雑草取り
作業内容や注意点などをみていきましょう。
芝生の刈り込み
芝生を刈りこむ際は、以下の4点に注意しましょう。
①1/3ルールを守る
②少しずつ刈る
③多方向から刈る
④芝刈り後は水をやる
①の1/3ルールとは、現在の長さの1/3だけを刈り取るルールです。1/3以上を刈り取った場合、芝生の生長点も刈り取ってしまい、芝生の衰弱を招きます。最悪の場合は枯れてしまうため、注意しましょう。
また、芝生を刈る際は刈り高に合わせて、少しずつ切っていくのが基本です。一気に短くなると、栄養不足に陥る可能性が生じます。葉の流れが同じ方向にならないよう、前回とは別の方向から切ることを意識してください。
前回は横向き、今回は縦向きなど、多方向から刈り取っていくと、きれいな状態に整えられます。そして、刈り取りが終わったら水をたくさんあげて、生育を促しましょう。庭の面積が広い場合は、芝生用のバリカンや芝刈り機を使うと、効率的に刈り取りを進められます。
はじめて芝刈りをおこなう場合
苗や種から芝生を育てた方向けの内容です。はじめて芝刈りをおこなう場合、根が張っているのを確認してから、判断しましょう。苗を植えた場合、芝を引っ張っても剥がれなければ、刈り込みをしても問題ありません。
一方、種から育てた場合は長さが7cm以上、芽が3本に分裂しているのが前提条件です。条件を満たしている場合は、苗のときと同様に引っ張っても剥がれないかどうか、確認してください。また、芝生を刈り込む際は通常のときと同様、1/3ルールの徹底が必要です。
芝生の水やり
芝の葉や土の表面が乾いたタイミングが、水やりが必要なサインです。水やりの頻度は季節ごとに変わるため、注意しましょう。春と秋は3〜4日に1度のペースでおこない、梅雨は雨の合間に水やりを実施します。
夏は毎日1回水やりをおこない、暑さが厳しい場合は、朝と夕方に2回水やりを実施しましょう。2回実施する場合、夕方の水の量は少なめにしてください。多くの水を頻繁に与えると、土壌深くまで水が行き届かず、衰弱や病気のリスクが高まります。
また、土や葉の乾燥度合いは、お住まいの地域や日差しの量などによって異なるため、細かく調整することが重要です。冬は休眠状態に入るため、水やりの必要はありません。
そして、水やりのタイミングは季節を問わず、午前中に実施するのがおすすめです。日中は気温が高くて水分が蒸発しやすく、根が火傷をする場合があるためかえって病気のリスクが高まります。
芝生の施肥
芝生は生育期と休眠期のサイクルを繰り返して、生育します。芝生の種類を問わず、12月〜2月までは休眠状態のため、肥料を与える必要はありません。野芝や高麗芝などの暖地型芝は3〜11月までの生育期に、毎月1度のペースで肥料を与えます。
一方、寒地型芝は生育が著しい3月〜5月、9月〜10月に毎月1回肥料をまくのが一般的です。夏場は春と秋に比べて生育のペースが落ちるため、施肥は避けましょう。また、芝生用の肥料は有機肥料と化成肥料、配合肥料の3種類に分けられます。
有機肥料
油カスや魚粉、動物の排泄物など、動物や植物の有機物を主原料とした肥料です。肥料をまいたあとは土のなかで微生物が分解し、団粒が形成されます。団粒の働きによって、保水性や通気性、透水性が高まる点がメリットです。
微生物を活性化させる効果もあり、土壌の品質改善にもつながります。ただし、即効性に乏しいため、施肥の効果が出るまで時間が必要です。肥料の種類によっては臭いが強烈で、害虫や鳥獣を引き寄せる可能性もあります。
近隣トラブルに発展する可能性もあるため、臭いが少ないタイプも検討しましょう。
化成肥料
化成肥料とは無機物を化学的に合成した肥料です。チッ素やリン酸、マグネシウムなどの成分を複数含んでいる商品もあります。生育に必要な栄養がバランス良く含まれており、初心者にも扱いやすい肥料です。
成分や粒子の大きさ、かたちが一緒のため、失敗のリスクや管理負担も軽減できます。ただし、有機肥料のような土壌改善効果は期待できません。また、肥料の量が多いと、根が傷む原因になります。
配合肥料
配合肥料はチッ素やリン酸、カリウムなどの成分を2種類以上含んだ肥料です。化成肥料の場合、化学成分が1種類のものも含まれます。配合肥料は化成肥料と同様、初心者向けです。管理がしやすいだけでなく、比較的簡単に入手できます。
また、有機物をベースにしたタイプを選んだ場合、土壌改善効果を期待できる点もプラスです。ただし、肥料の量を間違えた場合は、生育に悪影響が及びます。
エアレーション(芝生の穴あけ)
エアレーションとは、芝生の土壌に穴を開ける作業です。人間によって芝生や土が踏み固められると通気性や排水性が低下し、生育に悪影響を及ぼします。
定期的なエアレーションによって土をほぐし、土壌の通気性や排水性を高めるのが目的です。土が柔らかくなって呼吸しやすい環境が整うと、根の新陳代謝が促進されます。微生物の働きも活性化し、病気や害虫の発生リスクも減らせるでしょう。
水も染み込みやすくなり、芝生の生育にいい影響を及ぼします。また、ローンパンチやガーデンスパイクなどを使うと、土をほぐしやすくなります。エアレーション後は根が切れている状態なため、数週間は養生期間を設けるとなお良いでしょう。
エアレーションは4月〜6月、9月〜10月に1回ずつ実施するのが理想です。年2回おこなうのが難しい場合は、生育への影響が大きい春先にエアレーションを実施しましょう。
目土入れ
目土とは芝生の間に入れる土や砂のことです。新芽の保護や根の生長促進、根の乾燥防止など、目土入れにはさまざまな効果があります。芝生の発育を促すには、サッチの分解が欠かせません。
サッチとは、枯葉や古い根などが蓄積された層のことです。サッチは他の植物より分解されにくく、通気性や排水性の低下を招きます。目土入れによってサッチの分解を促し、芝生の生育や微生物の働きを高めるのが目的です。
また、雨や強風で凹凸が発生した部分を補修する役割も担っています。暖地型芝生の場合は4月~5月、寒地型芝生は9月〜10月に実施しましょう。
雑草取り
雑草は芝の生育に悪影響を及ぼすため、定期的な除草が必要です。仮に雑草が繁殖した場合はキノコやコケが繁殖し、栄養不足や美観性の低下を招きます。除草は、水やりのあとや雨が降った日の翌日におこなうのがおすすめです。
土が柔らかくなっているため、根っこから雑草を取り除けます。土が乾燥した状態や芝刈りのあとは根が残りやすく、芝刈り機も傷つくため、除草は避けましょう。
また、芝生専用の除草剤を使うと、除草の手間を大幅に軽減できます。ただし、日本芝用と比べて、西洋芝用の除草剤は選択肢が少ないです。購入前にラベルで対応可否を確認してください。
芝生の手入れスケジュール【季節別】
4つの季節ごとに暖地型芝生と寒地型芝生、個々の手入れ内容をまとめました。
- 春(3月~5月)
- 夏(6~8月)
- 秋(9~11月)
- 冬(12~2月)
季節や芝生ごとの違いを把握しておきましょう。
春(3月~5月)の手入れ
【暖地型芝生】
生育が活発化する前に、以下の手入れを実施します。
- エアレーション
- 目土入れ
- 施肥
- 雑草取り
晴れの日が続いた場合、土壌の水分が少なくなっている場合は、水やりも必要です。
【寒地型芝生】
寒地型芝生にとって、春先は1年のなかで生育が活発化する季節です。以下の手入れを実施します。
- 水やり
- 芝刈り
- エアレーション
- 目土入れ
- 施肥
- 雑草取り
春先は生育が活発化するため、定期的な水やりと芝刈りが欠かせません。水やりのペースは、3〜4日に1度のペースです。芝刈りは生育速度に応じて、月に1回〜4回実施します。肥料をまくペースは1か月に1度です。
また、エアレーションと目土入れも春先に実施し、芝生の生育を促します。
夏(6月~8月)の手入れ
【暖地型芝生】
夏の時期におこなう主な手入れは以下の2つです。
- 芝刈り
- 施肥
夏に向けて生育速度が加速するため、毎週最低1回は芝刈りが必要です。特に気温が上がる7月と8月は、週2〜3回のペースで芝刈りを実施しましょう。肥料は6月と8月にまきます。また、梅雨を挟むため、晴れの日が続いて土や葉が乾くまで水やりはいりません。
水やりのあとや雨の日の翌日に雑草を抜き、生育への悪影響を防ぎます。
【寒地型芝生】
暖地型芝生と異なり乾燥に弱いため、毎朝の水やりが欠かせません。日当たりがよい場合は遮光シートを活用するのも有効です。あわせて除草剤や殺虫剤を散布し、雑草の繁殖や害虫によるダメージを防ぎます。
また、寒地型芝生は繊細な質感のため、一度傷むと修復が困難です。芝生を守るため、芝刈りや施肥は必要ありません。
秋(9月~11月)の手入れ
【暖地型芝生】
気温の低下にともない生育速度が緩やかになるため、基本的には芝刈りと水やり以外は必要ありません。芝刈りは月に1回〜2回、水やりは週1回〜2回が目安となります。
【寒地型芝生】
暖地型芝生とは対照的に、生育が活発になる季節です。水不足にならないよう、9月の間は毎朝水やりを実施しましょう。暑さが和らぐ10月と11月は、週2〜3回の頻度で問題ありません。
また、芝刈りのペースは春先と同様、芝の生育が速くなるにつれて、回数を増やしてください。肥料をまくペースも同じく、1か月に1度です。
冬(12月~2月)の手入れ
【暖地型芝生】
定期的な除草が必要です。雑草を放置しておくと春先での作業が大変になるため、小まめに雑草を抜いておきましょう。雨の日が何日も振らない場合は、水やりも必要になります。
【寒地型芝生】
休眠状態となるため、基本的に手入れは不要です。乾燥しないよう、水やりだけおこないましょう。
芝刈りの時期についてよくある質問
芝刈りの実施時期に関して、ユーザーから寄せられた質問を以下にまとめました。
ロボット芝刈り機を利用するメリットは?
芝刈りを自動化できるため、体力の消耗を抑えられます。人間と異なり、長時間稼働によってパフォーマンスが落ちる心配もいりません。近年はロボット芝刈り機をレンタルで提供する企業も増えており、初期費用を抑えられます。
雨上がりのあとに芝刈りをしても大丈夫?
絶対に避けてください。芝生が濡れた状態の場合、ハサミやバリカンの刃に付くため、均一の高さに刈るのが非常に難しいです。また、芝刈り機を活用した場合は、故障や感電するリスクが高まります。
芝刈りの頻度はどれくらい?
季節によって異なります。たとえば、暖地型芝生の場合は6月〜8月にかけては、週2〜3回のペースで芝刈りが必要です。一方、12月〜2月は休眠状態となるため、芝刈りは必要ありません。
ゼヒトモから芝生の手入れを依頼する
ご自宅の芝生をきれいな状態に保つには、芝刈りや水やり、施肥など、定期的な手入れが必要です。しかし、仕事や育児、趣味が忙しく、芝生の手入れに十分な時間を取れない方もいるでしょう。
芝生の刈り込みに十分な時間を割けない方は、ゼヒトモから芝生の手入れを依頼してみませんか。ゼヒトモでは簡単な質問に答えていくだけで、AIがあなたのニーズに合うプロとマッチングしてくれます。
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