水墨画は高尚で垣根が高いというのは思い込みでした!
水墨画といえば『お宝鑑定団』や『美術館の掛け軸』で見た目が高そうな墨絵、という印象を持っていませんか? なんだか高尚な縁遠いモノのような気がしますよね! Zehitomo編集部もそう思っていましたが、実は水墨画はめちゃくちゃ手軽で身近なアートだったんです! 水墨画はヨガやマインドフルネスみたいな集中が自然にできる上、最短2年で講師の資格をとってお教室を開く人もいるという注目のアートなんです。
今回は意外に簡単で楽しい『大人の趣味』水墨画をご紹介します!
本日の水墨画のレッスンと記事監修 辻 鵬水先生
辻 鵬水先生のプロフィール
国内外のコンクール入賞歴がある水墨画のプロ
わかりやすい教え方とアート全般への知識と情熱は、お話を聞いているだけで楽しくなってしまいます。子育て中のママでもあります。先生の詳しいプロフィールは記事の終わりにあります。
水墨画はアートだっ! カラフルで楽しい水墨画をご紹介
ブルーカラーがアクセントの現代的な水墨画ですね。今年の寅年に合わせて書かれた虎の画。
水墨画で作ったランタン。自分の好きな絵を描いて、GOODSにするのも楽しい!
現代の水墨画は、上の写真のようにカラーの今風なおちゃめなイラストがあったりして、『水墨画って格調高い山水の画』という印象を裏切るアートになっているんです。
水墨画は黒と白だけでなく、カラー彩色もある
上の写真は水墨画で使う練岩。
練岩は膠の含有量が多いので、軸装の際に裏打ちをしても色が流れてしまう恐れがありません。
きれいな画をそのまま楽しめます。
えっ? 牛乳で描く水墨画があるの?
水墨画:辻 鵬水先生
竹と雪乃水墨画。格調高いアートな雰囲気が見ててとても素敵でした。
この竹に積もる雪はなんと牛乳が使われているのだとか!?
おもしろいですね!
水墨画の道具は100均でもそろうよ!お手軽に始められるところが魅力
水墨画は難しいと思いきや、基本的に道具は3つ『紙と筆と墨』だけなんです。
墨絵は墨と紙、筆さえあれば描けるので、西洋画のように、沢山の絵の具が必要というわけではありません。
この3つがあれば描けるので、すごくお手軽に始められます。最初のうちは、墨はお習字の墨汁でOKだし、紙もお習字の紙を裏返して使うので大丈夫です。
伝統的なアートなのに思い立ったらすぐ始められるのがすごいところです。
極端に言えば100均でも道具はそろいます。筆も紙も墨も、お習字用のモノが100均で売ってますから!
とはいえ、辻 鵬水先生にお聞きすると、筆だけは画材屋さんでちょっといいもの(1000円位のもの)を購入したほうが、最初から水墨画の楽しさを味わえるから、オススメだそうです。
ほんのちょっとした筆運びで仕上がりが変化するからです。
水墨画のコレすすめ♪
竹の画は初心者でも練習でうまく描けるオススメの題材
生徒さんに聞いてみました! 水墨画の何が好きですか?
生徒さん
・描いているときはひたすら集中して無心になれるところです。
辻 鵬水先生
・水墨画はその昔、禅の修行にも取り入れられていたくらいで描いているウチに無我の境地になるというか、無心になれるアートなんです。日常生活で忙しい人ほど、ハマっちゃう人が多いんです。
生徒さん
・水墨画を書く前に、まず硯で墨をすります。この作業が大好きです。
墨をすっていると、だんだん心が凪になって落ち着いてきます。
辻 鵬水先生
・墨も良い墨ほど、匂いがいいんです。
この匂いを嗅ぐうちに、精神が落ち着いていくという方が多いんです。
生徒さん
・絵を描いたら、作品になる
辻 鵬水先生
・部屋に飾ったり、Tシャツやマグにプリントして日常生活に自分作のアートを取り入れるのも楽しいです。
先生や生徒さんに水墨画の魅力を語ってもらううちに、Zehitomo編集部員はものすごく水墨画に対して期待が高まってワクワクしてきました。
そんな人気のアート・水墨画をZehitomo編集部の初心者が体験してみます!
水墨画を初心者が体験! 初めて描いてちゃんと絵になるのか?
Zehitomo編集部員が水墨画の体験レッスンに挑戦してみました。水墨画は難しそう・・・という印象を持っていましたが、意外や意外、絵の出来は置いておいても、ものすごく集中できたし、無心になれたし、先生のお話は興味深いし、水墨画は面白すぎました!
では、次にZehitomo編集部員が体験したレッスンの流れを紹介します。
1.描く題材を先生と相談しながら決める
先生がお持ちの水墨画のお手本の中から、描きたいものを選びます。
色鮮やかな水墨画もありました。
植物が好きなので、今日の体験画は南天に決定。
画のお手本と、描き方の手順があるので、わかりやすいです。
そして、実際に先生が横で見本を描いてくれます。
2.先生がお手本を描いてくれる
先生がお手本を描いてくれるのを、横から上からよく見ます。
筆の運び方や筆の使い方など、実際に見るととてもよくわかります。
そして、なんと言っても、先生の動作が美しいのです!
描きながらの解説もまた知的好奇心を刺激される内容で、まさに大人の趣味心をくすぐりました。
筆運びや順番、墨の濃淡の作り方など、リアルで描いてもらうので、わかることが多いです。
上から見たところ。水墨画の醍醐味である、画の濃淡の出し方もバッチリわかりました!
美しい水墨画があっという間に出来上がりました。先生、描くのが早いです!
実際に自分で水墨画を描いてみます!
1.まずはお道具をスタンバイ。紙、硯、墨、筆洗いとお皿を用意します。
この写真のお道具だけで、今日のお題『南天の水墨画』を描きます。
2.墨をする
墨をすります。のの字を描くように優しく墨をするそうです。
だんだんと墨のいい匂いがしてきました!
小学生のときの習字の墨汁の匂いと似てますが、もっと洗練されたいい匂いがします。
吹き出し
匂いがいい、落ち着く~
3.まずは線を書く練習
最初は線を書く練習をしました。南天の枝を描くための練習です。筆で線を書くのは、意外に難しかったです。グダグダやってたら、先生が見本を見せてくれました。手の一部を机に固定してシュっと筆を運ぶのがコツだそうです。
4.枝を描く
見本を見ながら木の部分を書きます。
なかなか難しくてビックリ
めちゃくちゃ集中します。
5.実の部分も描いて出来上がり
実の部分も描きます。濃淡をつけて描きました。
でもなんだかうまくいきません!
枝具合がどうもリアルにならないんです。
先生が教えてくださった通りに、見本通りにやってるのに、なにか違うんです。
6.先生のお手本と比べてみました
お手本どおり描いたのに、先生の画と比べるとヘタさ具合が一目瞭然です。
葉っぱの形がヘタとかそういうことは置いておいても、なんだかおかしい初心者の画・・・。
先生「水墨画を描くようになって、それまで何気なく見ていた景色や植物をよく観察するようになりました。花を見たら、花の細部や枝ぶりも観察するし、いろんなモノをより五感で感じるようになり世界が広がりました。」
確かに上の図のように『自分の描くものは、なにかが違う』と思ったら、次は草木をよく観察するようになります。
水墨画は、『紙に書いて終わり』の世界ではなく、日常生活の感覚まで磨いて行くようです。
7.水墨画を体験してみて思ったこと
墨絵は遠い世界のものだと思っていました。
西洋画やデッサンよりハードルが高いと思っていましたが、やってみると意外に手軽で初心者でも楽しめました。
絵心がなくても、十分楽しめたのにはビックリしました。
その上、墨をするとき、筆を運ぶとき、全てにおいて、その世界に没頭できる素敵なものでした。道具も筆と墨と紙だけでいいところも魅力的。
何よりいいのが、先生のお話で世界が広がること。
先生のお話で、「今まで知らなかったこと」や、「断片的に知っている日本の文化の歴史」がつながって知的好奇心も広がります。まさに大人の習い事にふさわしい世界です。
独学やオンラインでも水墨画は学べるけど、実際に先生が横で墨をすって、筆使いを見せてくれる『対面レッスン』のほうが、学べることや感じられることは多いです。
もし興味がわいたら、対面でリアルな水墨画のレッスンを体験してみてください。
あなたの世界が広がること間違いなしです。
マインドフルネスやヨガに近い集中を水墨画でも感じられる
書くことにひたすら集中して五感を研ぎ澄ませる感覚はマインドフルネスやヨガと近い感じをうけました。
マインドフルネスとは、「今、ここ」に意識を集中するメソッドです。世界中で大流行しました。
(マインドフルネスはマサチューセッツ大学医学部大学院教授のジョン・カバット・ジンが開発した禅から思想などの宗教色を分離した今に集中する『マインドフルネス低減法』をベースにした科学的なメソッド。)
ただ、マインドフルネスやヨガは、集中するのが初心者にとって簡単ではありません。
水墨画は、集中しようと意識しなくても、自然と無になり集中できるのがすごいところです。
初心者の私も筆を手に持って紙に向き合っただけで「今、ここ」に全神経を集中しました。
おかげで画をかきあげた後は充実感も感じたし、集中の反対のリラックス状態になりました。日頃のストレスを忘れてリフレッシュできたのです。
体験レッスンの帰りもずっと楽しい気分が続き、取材だけではなく、今後も水墨画のレッスンを続けることを検討しているくらいです。
アットホームなお教室ならではの交流も楽しい
今回おじゃましたのは、辻 鵬水先生の自由が丘の教室です。
他の生徒さんが展示会に向けて黙々と筆を運んでおられました。
さすがの筆運び。迷いなくすーっと次々と紙に花を咲かせています。
展示会に出品する水墨画を選んでいるところ。ステキな画ですね!
辻先生が所属している 国際墨画会所属では、師範資格をとろうと頑張ってる20代30代の女性も多いのだとか。『水墨画を教える仕事』って響きがカッコいいですよね! マインドフルネスや自分のアートを極めることができるので、水墨画は本当に大人の趣味としてオススメです。
今回のレッスンでお世話になった水墨画のプロ
辻 鵬水先生
優しく知識が深く、丁寧な指導をしてくれました。 とっても楽しい時間、ありがとうございました。 水墨画の良さにZehitomo編集部員は開眼しました! 辻 鵬水先生の教室の詳細はこちら>>>>
辻 鵬水先生経歴・資格・・・ 国際墨画会所属 師範資格取得 【受賞歴】 文部科学大臣賞 東京都知事賞 朝日新聞社賞 フジサンケイビジネスアイ賞 国際墨画会準大賞 【メディア出演】 三井不動産CM 「わたしのニホンバシ」編 AbemaTV 全力部活E高 水墨画で年賀状指導 【活動】 国際墨画会 渋谷直営教室 講師5年担当 自由が丘認定教室 講師7年目 カルチャー&フィットネス マナビバにて指導 高齢者施設にてレクリエーション 上野松坂屋、赤坂アークヒルズ、日本伝統文化会館などの和文化催事にてワークショップ開催 2009年〜国際墨画会展 毎年出品 2011年フランス パリ4区美術館 「紙と墨 多様性のアジア」出品 2013年エストニアタリン市 アダムソン・エリック「日本の墨絵展」出品 2017年 京都清水寺「古と優艶の書画展」出品 2021年 国立新美術館「雪舟展」出品
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