筋トレに慣れてきた中級者の方は、POF法やレストポーズ法などを取り入れたトレーニングがおすすめです。トレーニングメニューに関しても、難易度や負荷の高い種目にチャレンジしてみましょう。
本記事では、効果的に筋肉を鍛える中級者向けのトレーニングメニューを紹介します。筋トレメニューの組み方や意識したいポイントなども解説するので、これまでの筋トレに慣れて刺激が少ないと感じている方はぜひ参考にしてください。
筋トレ中級者の目安は?
筋トレを始めてからしばらくすると、自分はどのくらいのレベルなのかと気になることもあるのではないでしょうか。初級者から中級者になったといえるのはどこからなのか、目安となる基準は「BIG3の最大挙上重量」と「筋トレの知識」の2つです。
ここでは、初級者から中級者になったといえるのはどこからなのか、筋トレ中級者の判断基準を解説します。
筋トレBIG3の最大挙上重量で判断する
筋トレのレベルを判断する基準に、筋トレBIG3の最大挙上重量があります。筋トレのBIG3とは「ベンチプレス」「デッドリフト」「スクワット」の3種目を指し、それぞれの種目で挙げられる重さ(最大挙上重量)で判断する方法です。
体重比で以下の重量を持ち上げることができれば、中級者と判断できます。
ベンチプレス | デッドリフト | スクワット | |
男性の体重比 | 1.25倍 | 2倍 | 1.5倍 |
女性の体重比 | 0.75倍 | 1.25倍 | 1.25倍 |
例えば、体重が60キロの男性の場合、ベンチプレスで75キロの重さを持ち上げられれば、中級者と判断できます。
最大挙上重量はトレーニングの成果を数値化できる客観的な指標であり、自分のレベルを把握するのに役立ちます。定期的に最大挙上重量をチェックすることで、トレーニングプログラムの調整が必要かどうかも判断できるようになるでしょう。
参考:フィットネスワールドマガジン | RM換算表
筋トレに関する知識で判断する
筋トレに関する知識がどのくらいあるかで、自分の筋トレレベルを判断する方法もあります。トレーニング歴が長くても、間違った知識で非効率な筋トレをしている場合は中級者と言えません。
具体的には、以下の知識があれば中級者と判断できるでしょう。
- 主要な筋肉群の名称と機能を理解している
- トレーニングでどこの筋肉を鍛えているかがわかっている
- 鍛えたい筋肉に効率的な負荷をかけられる
- トレーニングの種目を把握し、正しいフォームでトレーニングできる
- トレーニングの原則(過負荷の原則、漸進性の原則など)を理解している
たとえば「胸筋を効果的に鍛えるためには、ベンチプレスだけでなくインクラインベンチプレスやダンベルフライなど、異なる角度からのアプローチが重要である」といった知識を持ち、実践できている場合は中級者と言えます。
あくまでも目安ですが、中級者レベルの知識を持っていれば、自身のトレーニンメニューを適切に設定することが可能です。
中級者が効果的に筋トレするには
中級者が効果的に筋肉を鍛えるには、より高度なトレーニング手法を取り入れることが重要です。
従来の基本的なトレーニング方法に加えて、POF法やレストポーズ法などを取り入れてみましょう。意識して鍛えたい部位がある場合は、種目数やセット数を増やすのもおすすめです。
本章では、中級者向けの効果的な筋トレ方法について詳しく解説します。
POF法を取り入れる
POF法とは、筋肉に刺激を与えて筋肥大を目指すトレーニングのことを指します。「Position Of Flexion」の略称で、アメリカのボディビル雑誌の編集者・スティーブ・ホフマンによって提唱されました。
POF法では、ひとつの部位に負荷のタイミングが異なる3種目で筋肉を鍛えることで、効率的にトレーニングするのが特徴です。「どの動作・位置で筋肉に最も負荷がかかるか」で種目を分類し、トレーニングメニューを選択します。
通常、筋トレにはひとつの部位に対してさまざまな種目があり、それぞれターゲットとする筋肉に負荷がかかるタイミングが異なります。一方POF法は、異なるタイミングで負荷をかけるので、筋肉が刺激に慣れてトレーニング効果が落ちるのを防げるのが魅力です。
参考:明楽フィットネスクラブ | 筋トレを科学する(POF法)
POF法の種目
POF法で行う筋トレPOF法では、負荷のかかり方や位置によって種目を以下の3つに分類します。
種目 | 特徴と代表的なメニュー |
ミッドレンジ種目 | ・動作の中盤に最も負荷がかかる種目 ・ベンチプレス、スクワット、デッドリフトなど |
ストレッチ種目 | ・筋肉が伸びた状態のときに1番負荷がかかる種目 ・ダンベルフライ、ラットプルダウン、フレンチプレスなど |
コントラクト種目 | ・筋肉が収縮したときに1番負荷がかかる種目 ・ケーブルフライ、シーテッドロー、フロントレイズなど |
これら3つの動きからアプローチすることで、より広い可動域にアプこれら3つの動きからアプローチすることで、より広い可動域にアプローチできます。個人の体力レベルや目的に応じて、種目や順序を適宜調整しましょう。
【胸】POFトレーニングメニュー
ここからは、POF法を取り入れてトレーニングをする場合の具体的なメニューを紹介します。大胸筋など胸の筋肉を鍛える場合のメニューは、以下のとおりです。
種目 | メニュー | 重量・トレーニング回数・セット数 |
ミッドレンジ種目 | ベンチプレスダンベルプレス | ・最大の8割程度の重量 ・8〜10回を3〜5セット ・3分程度の休憩を入れる |
ストレッチ種目 | ダンベルフライ | ・10〜15回が限界の重量 ・10〜15回を3〜5セット ・2分程度の休憩を入れる |
コントラクト種目 | ケーブルクロスオーバー | ・5kg〜10kg程度の軽めの重量 ・15〜20回を3〜5セット ・1分程度の休憩を入れる |
なおPOF法でメニューを組むときは「ミッドレンジ→ストレッチ→コントラクト」順番で組むのがおすすめです。3パターンの種目分類をバランス良く組み込み、効率的に筋肉を鍛えましょう。
【背中】POFトレーニングメニュー
つづいて、背筋など背中の筋肉を鍛えるトレーニングメニューを見てみましょう。
種目 | メニュー | 重量・トレーニング回数・セット数 |
ミッドレンジ種目 | 懸垂デッドリフト | ・最大の8割程度の重量 ・8〜10回を3〜5セット ・3分程度の休憩を入れる |
ストレッチ種目 | ダンベルプルオーバー | ・最大の8割程度の重量 ・8〜10回を3〜5セット ・3分程度の休憩を入れる |
コントラクト種目 | ラットプルダウンシーテッドロウ | ・15〜20回が限界の重量 ・15〜20回を3〜5セット ・1分程度の休憩を入れる |
背筋のPOFトレーニングメニューは、広背筋を中心に僧帽筋や菱形筋なども含めた背部全体の筋肉を効果的に刺激することを目的としています。
また重量・トレーニング回数・セット数に関しては、種目に応じて正しく設定することが大切です。3つの中で最も重量を扱えるミッドレンジ種目は高重量×低回数、筋肉を伸ばすストレッチ種目は低重量×高回数、フォームが重要となるコントラクト種目は低重量×高回数に設定してみましょう。
レストポーズ法を取り入れる
レストポーズ法とは、限界がきた時点で数十秒間休息をとり、再びセットを継続するトレーニング方法です。休憩を短くして短時間内に反復運動を繰り返すことで、通常のトレーニングとは異なる刺激を与えます。
筋肉により大きな負荷をかける方法なので、筋力アップを目指す筋トレ中級者におすすめです。ここでは、レストポーズ方を取り入れたトレーニングのやり方を見ていきましょう。
レストポーズ法のやり方
通常のトレーニングではインターバルを2〜3分とりますが、レストポーズ法では20秒から40秒のみ休憩します。レストポーズ法のやり方やメニューの組み方について、ベンチプレスを例に紹介しましょう。
- 5回はできるものの、6回目はできるかどうかわからない程度の重量を選ぶ(フォームを崩さずに続けられる重量)
- ベンチプレスを5回程度行う
- バーをラックに戻し、20秒~30秒程度のインターバルをとる
- 再度ベンチプレスを1~3回行う
- バーをラックに戻し、30秒程度のインターバルをとる
- もう一度ベンチプレスを1〜2回行う
レストポーズ法は、筋肉が回復しきっていない状態でさらに1〜3回行い、追い込んでいくのがポイントです。継続して筋肉を刺激することで、より効率的に筋肉を鍛えられます。
中級者がレストポーズ法を行う目安は1週間に各種目1~2セット
中級者がレストポーズ法を行う目安は、1週間に各種目1〜2セット前後です。トレーニングする時間がないときや追い込みが足りないと感じたときにだけ取り入れるのもひとつの方法です。
毎日行うと筋肉が回復する時間を確保できず、オーバートレーニングのリスクが高まってしまいます。オーバートレーニングに陥ると筋肉の成長が妨げられるだけでなく、倦怠感や食欲不振といった症状が出る可能性もあるので注意してください。
レストポーズ法を取り入れる際は、ほかのトレーニング方法と併用することが重要です。月曜日と木曜日にレストポーズ法で胸筋や背中を鍛え、火曜日や金曜日はほかの部位を通常のトレーニングで鍛えるといった組み方が良いでしょう。
週に1度は筋トレの休息日を設け、筋肉を十分に休息させることも大切です。
レストポーズ法の注意点
効率的に筋肉を鍛えられるレストポーズ法ですが、高強度のトレーニング法なのでオーバーワークにならないよう注意が必要です。
中級者でトレーニングに慣れているとはいえ、毎回のメニューに取り入れると予期せぬ怪我につながってしまいます。以下の注意点を必ず守ったうえで、レストポーズ法を実践しましょう。
- ウォームアップをする:レストポーズ法の前にウォームアップを行い、肉と関節を刺激しておく。軽い重量でのセットや動的ストレッチングがおすすめ
- 正しいフォームを維持する:常に正しいフォームを意識し、崩れた場合は怪我を避けるためにすぐ中断する
- 適切な重量を設定する:8〜10回繰り返せる重量を選択することが重要。重すぎる重量を選ぶと、怪我のリスクが高まる
これらの注意点を守らなければ、かえって逆効果になることも考えられます。特に初めてレストポーズ法を取り入れる場合は、経験豊富なトレーナーの指導を受けるのがおすすめです。
鍛えたい部位の種目数・セット数を増やす
中級者がより筋肉を鍛えたいときは、単純に鍛えたい部位のメニュー数やセット回数、重量を増やすのも効果的です。種目数とセット数を増やすことで、筋肉の全体的な成長が促進され、バランスの取れた体づくりが可能になります。またトレーニングのバリエーションが増えることで、モチベーションの維持につながるのもメリットです。
ただしメニュー数を増やすと、その分トレーニングの時間も長くなります。時間が長くなることでトレーニングを継続しにくくなる場合は、分割法を取り入れてみましょう。分割法とは、今まで1日で全身を鍛えていたトレーニングメニューを部位別に分割する方法です。
メニューを増やして長くなったトレーニング時間を分割することで、鍛えたい部位を集中的に鍛えられます。分割法の具体的な組み方については、後ほど解説します。
筋トレ中級者に適した種目数・セット数
筋トレ中級者に適した種目数とセット数の目安は以下のとおりです。
鍛える筋肉群 | 種目数 | セット数 | 総セット数 |
大筋群(胸、背中、脚) | 3〜4種目 | 各種目3~4セット | 9〜16セット |
小筋群(肩、上腕二頭筋、上腕三頭筋) | 2~3種目 | 各種目3~4セット | 6~12セット |
補助的な筋群(腹筋、前腕) | 1~2種目 | 各種目2〜3セット | 2〜6セット |
たとえば胸筋を鍛えたい場合は、以下のようなトレーニングが考えられます。
- ベンチプレス:4セット
- インクラインダンベルプレス:3セット
- ケーブルフライ:3セット
- ディップス:3セット
4種目で合計13セットのトレーニングを行うことで、胸筋の上部・中部・下部をバランスよく刺激できます。
ただしこれらの種目数やセット数はあくまでも目安なので、個人の体力レベルや回復能力に応じて調整することが大切です。トレーニングの強度や頻度によっても適切な種目数とセット数が変動するので、身体の状況を見ながら判断しましょう。
【自宅でできる】中級者向けの筋トレメニュー6選
ここからは、自宅でできる中級者向けの筋トレメニューをご紹介します。トレーニングジムに通う時間がないときでも、効果的に筋肉を鍛えられるメニューを6つ厳選しました。ぜひ、筋力アップに役立ててください。
デクラインリバースプッシュアップ
デクラインリバースプッシュアップは、胸筋を鍛えるメニューです。通常のプッシュアップ(腕立て伏せ)の負荷を高めた自重トレーニングで、中級者に適しています。
- 椅子や台に足を乗せ、腕立て伏せの姿勢を作る
- 手の向きを自分に向ける
- 体が一直線になるよう姿勢を整える
- 腕立て伏せを行う
上部胸筋により大きな負荷をかけ、肩関節の可動域を広げられるのが特徴です。またコアの安定性も必要とされるため、全身的な筋力向上にもつながります。
鍛えられる筋肉 | 大胸筋上部・上腕三頭筋 |
おすすめの人 | ・バストラインを整えたい女性 ・たくましい胸板を手に入れたい男性 |
トレーニング時のコツ | ・胸筋上部を鍛えたい場合は手の位置を肩よりも前に置き、大胸筋下部を鍛えるときは手の位置を肩と同じ位置に置く ・効かせる部位を意識し、丁寧に行うこと |
アーチャープッシュアップ
弓を引くような動作から「アーチャー(射手)」という名前がついた自重トレーニングです。通常の腕立て伏せよりも筋肉に高い負荷を与えるため、中級者に向いています。
- うつ伏せになり、手幅を肩幅の2倍にして床に両手をつく
- 背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せる
- 手の向きを外側に向ける
- 片側に腕を伸ばし、逆の片側に脇を絞めながら身体を沈める
アーチャープッシュアップは前鋸筋の強化にもつながるため、上半身の総合的な筋力向上に効果的です。鍛えられる筋肉やトレーニング時のコツについては、以下をご覧ください。
鍛えられる筋肉 | 大胸筋下部・中部 |
おすすめの人 | ・上半身を引き締めたい人・プッシュアップに慣れ、より負荷の高いトレーニングをしたい人 |
トレーニング時のコツ | ・脇を絞め腕を縦に曲げる・片方の腕を最大限に伸ばし体を沈める・肘が肩よりも前に出ないようにする |
ジャックナイフ
別名V字腹筋とも言われる、強度の高い腹筋トレーニングです。全身でVの字を作る腹筋運動で、フォームがジャックナイフに似ていることから名付けられました。
- 床に仰向けになる
- 両手を上に伸ばし、膝を立てる
- 息を吐きながら、両足と上体を同時に持ち上げる
- お腹に意識を集中し、腰を中心に身体がVの字になるまで足と上体を上げる
- 息を吸いながらゆっくりと元の体勢に戻る
ジャックナイフは腹筋群全体、特に上部腹直筋と腹斜筋を鍛えたいときにおすすめのトレーニング種目です。体幹の安定性と柔軟性を向上させる効果もあり、筋トレ中級者に向いているでしょう。
鍛える筋肉 | 腹直筋上部・下部 |
おすすめの人 | ・シックスパックの腹筋を手に入れたい人・姿勢を改善したい人 |
トレーニング時のコツ | ・腹筋に意識を集中させる・背中が丸くならないよう注意する・元に戻すときの動作をゆっくり行う |
足上げサイドクランチ
横向きで行うクランチで、お腹の横にある腹斜筋を鍛えるトレーニングです。足を上げることで負荷が高くなるため、中級者に適したメニューと言えます。
- 仰向けになり横を向く
- 左手で体を支え、両足を上げて右手を頭に組む
- 足を上げたまま、横向きに上半身を起こす
- ゆっくりと2の状態にもどる
- 反対側も同様に行う
ウエストラインの引き締めと体幹の回旋力向上に有効なので、美ボディを目指している方やダイエット目的での筋トレにもおすすめのメニューです。腹斜筋を集中的に刺激できるため、体幹の側面の安定性向上につながります。
鍛える筋肉 | 腹斜筋 |
おすすめの人 | メリハリのあるボディラインを作りたい人 ・体幹を鍛えたい人 |
トレーニング時のコツ | ・体を上げるときに息を吸い、おろすときに息を吐く ・足をしっかりと閉め、下半身を固定する |
ピストルスクワット
ピストルスクワットは、片足でスクワットを行う難易度が高いトレーニングです。脚の筋力のほか、下半身の柔軟性やバランス感覚の向上が期待できます。
- 肩幅より少し狭く足を開く
- 一本足の体勢になる
- 両手を前方へ伸ばす
- 一本足のまま膝を曲げ腰を下へ落としていく
- 体を支えている足の太ももが床と平行になったら動作を止める
- ゆっくりと体を持ち上げながら2の体勢に戻る
ピストルスクワットでは大腿四頭筋・ハムストリングス・臀筋といった筋肉を効果的に鍛えられるのが魅力です。片足で行うことにより、左右の筋力差改善にも貢献します。
鍛える筋肉 | 大殿筋・大腿四頭筋・ハムストリングス |
おすすめの人 | ・バランス力を養いたい人 ・下半身を効果的に鍛えたい人 |
トレーニング時のコツ | ・腹筋に力を入れ、バランスを取る ・最後まで体を下げる |
ブルガリアンスクワット
ブルガリアンスクワットは、ピストルスクワットと同様に片足で行うスクワットのことです。ピストルスクワットに比べて簡単で、椅子やベンチ台に後ろ足を乗せて前足に重心をかけます。
強度が高いトレーニングなので、スクワットに慣れ、筋肉への刺激が少なくなったと感じる中級者に最適です。
- 椅子から60~90cmほど離れ、後ろ向きで立つ
- 椅子に足先を乗せ、反対側の足を前に出す
- 背筋を伸ばし、ゆっくりと前方の足を曲げる
- 90度まで曲げたら元の姿勢に戻す
ブルガリアンスクワットは通常のスクワットよりも前足に負荷が集中するため、下半身の筋力を効果的に向上させられるのが魅力です。
鍛える筋肉 | 大殿筋・大腿四頭筋・ハムストリングス・ふくらはぎ |
おすすめの人 | ・下半身全体を引き締めたい人 ・基礎代謝をアップさせたい人 |
トレーニング時のコツ | ・頭から腰までまっすぐにする ・つま先を膝と同じ方向にする ・上半身が前傾しすぎないように注意する |
効果的な筋トレメニューの組み方
中級者が効果的に筋肉を鍛えるには、トレーニングの組み方にも配慮する必要があります。適切なメニューの組み方により、オーバートレーニングのリスクを軽減しながら、継続的な筋力向上と筋肥大を実現することが可能です。
ここでは、分割法とプッシュプルでトレーニングメニューを組む方法を見ていきましょう。
分割法で組む
分割法は、特定の筋群や部位ごとに日を分けてトレーニングする方法です。重点的に強化したい部位がある場合におすすめの方法で、増強したい筋肉を効率的に鍛えられます。
また、1回の筋トレ時間が短いため疲労度が少なく、ひとつの部位を鍛えている間に別の部位を回復させられるのもメリットです。一度に鍛える部位の数が少なくなることで集中して取り組めるようになり、トレーニング効果も上がりやすくなります。
一般的な分割法には、2分割・3分割・4分割などがありますが、中級者の場合は3分割または4分割で取り組んでみましょう。
【分割法】1週間のトレーニングメニュー
筋トレ中級者が分割法でトレーニングする場合の、1週間のメニュー例は以下のとおりです。
曜日 | 鍛える部位 | メニュー例 |
月 | 胸・三頭筋 | ベンチプレス:4セット×8-10回インクラインダンベルプレス:3セット×10-12回ディップス:3セット×10-12回トライセップスプッシュダウン:3セット×12-15回 |
火 | 背中・二頭筋 | デッドリフト:4セット×6-8回チンニング:3セット×8-10回ベントオーバーロウ:3セット×10-12回ハンマーカール:3セット×10-12回 |
水 | 休息 | ー |
木 | 脚・腹筋 | ピストルスクワット:4セット×8-10回レッグプレス:3セット×10-12回レッグカール:3セット×10-12回クランチ:3セット×15-20回 |
金 | 肩・上腕 | ミリタリープレス:4セット×8-10回サイドレイズ:3セット×10-12回リアデルトフライ:3セット×10-12回バーベルカール:3セット×10-12回 |
土 | 休息 | ー |
日 | 休息 | ー |
週末はしっかり休み、平日4回の部位別トレーニングで鍛えるメニューです。週末も筋トレしたい場合は、1日おきに休息を挟む週3〜4回のメニューにする方法もあります。休息をとりながら、効率のいいトレーニングができるでしょう。
プッシュプルで分ける
プッシュプル法は、プッシュ系の筋肉を鍛える日とプル系の筋肉を鍛える日に分けてトレーニングを組む方法のことです。
プッシュ系の筋肉とは押す動作の際に使われる筋肉で、大胸筋や肩、上腕三頭筋などが該当します。一方プル系の筋肉は引く動作に使う筋肉のことで、背中の筋肉や上腕二頭筋、三角筋後部、ハムストリングスなどがこれにあたります。
プッシュとプルの筋肉を交互に鍛えることでトレーニング頻度を増やせるほか、筋肉への刺激が増えることでより早く筋肉増強を図れるのがメリットです。
プッシュプル法には、2分割(上半身と下半身)・3分割(プッシュ、プル、脚)など、さまざまなバリエーションがあります。重点的に鍛えたい部位や疲労度に応じて、自分に適したトレーニングメニューを考えましょう。
【プッシュプル】1週間のトレーニングメニュー
プッシュプルで分ける場合、中級者には週4回のトレーニングがおすすめです。1週間のトレーニングメニュー例をご紹介します。
曜日 | 鍛える部位 | メニュー例 |
月 | プッシュ(胸・肩・三頭筋) | ベンチプレス:4セット×8-10回インクラインダンベルプレス:3セット×10-12回ミリタリープレス:3セット×8-10回サイドレイズ:3セット×10-12回トライセップスプッシュダウン:3セット×12-15回 |
火 | プル(背中・二頭筋) | デッドリフト:4セット×6-8回チンニング:3セット×8-10回ベントオーバーロウ:3セット×10-12回フェイスプル:3セット×12-15回バーベルカール:3セット×10-12回 |
水 | 休み | ー |
木 | 脚・腹筋 | スクワット:4セット×8-10回レッグプレス:3セット×10-12回ルーマニアンデッドリフト:3セット×10-12回カーフレイズ:3セット×15-20回プランク:3セット×30-60秒 |
金 | 全身(軽めの負荷で) | プッシュアップ:3セット×12-15回ダンベルロウ:3セット×12-15回ボディウェイトスクワット:3セット×15-20回ディップス:3セット×10-12回 |
土 | 休み | ー |
日 | 休み | ー |
上記のトレーニングメニューでは、関連する筋群を同時に刺激しながら、適切な回復時間を確保しています。1週間の最後の筋トレ日に軽い全身トレーニングを入れることで、血流を促進し、回復を助ける効果が期待できるでしょう。
筋トレの負荷を適切に管理する方法
効果的な筋力向上と筋肥大を実現するには、筋トレの負荷を管理することが大切です。トレーニングの効果は総負荷量という数値で管理でき、以下の計算式で求めます。
- 重量×回数×セット数×可動域
トレーニング効果を高めるには、この総負荷量を高めることが重要です。
重量が大きくても回数やセット数が少なければ、総負荷量は下がってしまいます。軽い重量でも回数やセット数を増やして総負荷量を上げれば、トレーニング効果を高めることが可能です。
総負荷量には、可動域(正しいフォーム)も関わります。重量や回数、セット数の数値が高くても、可動域が狭ければ総負荷量が下がり、トレーニング効果は得られません。
総負荷量により、効果を数値に表して管理することは、モチベーションアップにもつながるでしょう。
筋トレ後の回復を早める方法
筋トレ後の筋肉は、疲労物質が溜まり、筋繊維が損傷している状態です。筋トレの効果を高めるには、筋肉の回復を早めることが重要。ここでは、トレーニング後の筋肉の回復を早めるケアをご紹介します。
ストレッチをする
筋トレ後に、筋肉の回復を早めるにはストレッチが効果的です。筋トレ後の筋肉は疲労で凝り固まっており、血流の悪い状態になっています。ストレッチで筋肉をほぐすことで血流が良くなり、早い疲労回復が期待できます。
また、血流が促進されることで自律神経の副交感神経が優位になり、睡眠の質も高くなるのがメリットです。睡眠中は筋肉の成長を促すホルモンが分泌されるため、深い眠りにつくためにも筋トレ後のストレッチが大切と言えます。
ストレッチをする際は、鍛えた筋群を中心に全身をほぐすのがポイントです。トレーニング直後にストレッチすれば、翌日に疲れが残りにくくなります。
参考:医療法人社団 西宮回生病院 | 習慣づけよう!運動の「前と後」のストレッチ
水分補給をしっかりする
筋トレでは体内の水分を消耗し、筋肉に疲労物質が溜まります。疲労物質を早く取り除くには、水分をしっかり補給することが大切です。水分は血液やリンパの流れを良くし、疲労物質を体外へ排出してくれます。
筋肉の60%〜70%は水分でできているため、筋肉を育てるにはその分水分を多く摂取しなければなりません。冷たい水は身体が冷えて代謝を下げてしまうため、疲労回復には常温の水が効果的です。
具体的には、トレーニング中は15〜20分ごとに150〜250mlの水分を摂り、トレーニング後は失った体重分の水量を2〜6時間かけて補給すると良いでしょう。
また水分補給では、電解質を含むスポーツドリンクを適宜摂取することも重要です。水だけで水分補給していると体液中の水分とイオンのバランスが悪くなり、かえって脱水症状を起こす可能性もあります。
特に夏場の筋トレでは水分を多く消耗するので、のどの渇きを感じる前から計画的に水分を補給してください。
食事バランスを整える
運動後の筋肉回復には、筋肉を作る材料であるタンパク質が欠かせません。タンパク質は食事から摂取できますが、食事だけで十分に摂れない場合はプロテインを利用するのもよいでしょう。プロテインは脂質や糖質を抑えながら、効率的にタンパク質を摂取できます。
ただし、筋肉を回復させて育てるには、タンパク質だけでなくほかの栄養素も大切です。タンパク質の代謝には肝臓や腎臓が関わるため、タンパク質ばかり摂取すると肝臓や腎臓に負担をかけることになり、疲れやすい身体になってしまいます。アミノ酸やビタミン、ミネラルなどの栄養素をバランス良く摂ることが重要です。
休息日を設ける
筋トレ中級者が筋肉を早く回復させるためには、休息日を設けることも大切です。同じ部位を続けてトレーニングしないのはもちろん、週に1〜2日は完全休養日を設けるようにしてください。
筋トレの部位を分散させているつもりでも、筋トレではどうしてもほかの部位に刺激を与えてしまいます。早く筋肉を鍛えたいからと毎日トレーニングしていると、筋肉が休まらず良い効果が得られないので注意が必要です。
休息日を挟みながら筋トレをするほうが、結果として効率的に筋肉を鍛えられるでしょう。なお休息日は十分な睡眠を取り、ストレス管理にも注意を払うことがポイントです。
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今回の記事では、筋トレ中級者に向けたトレーニングやメニューの組み方をご紹介しました。基本的な筋トレに慣れた中級者の方は、POF法やプッシュプル法などのトレーニング方法を取り入れるのがおすすめです。
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