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  6. 屋根塗装する際に知っておきたい注意点と費用相場を解説
2022/11/08 2024/04/10

長く住宅に住んでいると気になるのが、建物のメンテナンスではないでしょうか。普段見えない屋根も、実は劣化が進んでいるもの。良い状態を長く保つためには、塗装や修理のタイミングを見極めることが必要です。

この記事では、屋根塗装を検討している方に向けて、必要な情報を紹介しています。施工のタイミングや注意点、費用相場も解説しているので、ぜひ参考にしてください。

この記事を監修したプロ
鴨下 秀幸 さん

有限会社カモシタ創建

屋根塗装ってなぜ必要?

屋根は雨風や紫外線などの外的刺激に日夜さらされています。塗料を塗布することで外的刺激から屋根を守ることが必要です。

しかし、塗装をしても、経年劣化などにより塗膜は徐々にはげていきます。定期的に塗料を塗り直してメンテナンスをすることで、屋根を守る効果を長持ちさせることが必要です。

また、塗料によっては防水や防汚、遮熱などの機能があります。定期的に塗り直すことで塗料が有する機能を十分に発揮できる状態にし、住宅を雨漏りや劣化から守りましょう。

【屋根材の種類別】屋根塗装をするタイミングとは

屋根の塗装をし直すタイミングは、住宅の環境や塗料の耐用年数によっても異なりますが、屋根材の種類によっても異なります。屋根材ごとに塗装の目安を紹介するので、家の修繕計画を立てる際の参考にしてください。

スレート(コロニアル)屋根

スレート(コロニアル)屋根は、他の屋根材と比べて安価で、施工性に優れているという特徴があります。しかし、汚れがつきやすく衝撃に弱いため、定期的に塗装し直してメンテナンスをすることが望ましいでしょう。

降雨量が多いと早く劣化するなど、住宅の環境によってもメンテナンスのタイミングは異なりますが、通常は7~12年に1回の塗装が目安になります。ただし、屋根の色が褪せてきているときやカビ、ひび割れなどが見られるときは、早めに業者に塗り直してもらいましょう。

セメント瓦

セメント瓦は他の屋根材と比べると防水性や耐久性が低く、塗料によって保護する必要があります。塗膜がはがれるとセメントが割れることもあり、定期的な塗り直しが必要です。

セメント瓦の塗料の塗り直しは10年に1回が目安になります。しかし、汚れや色褪せが発生して劣化が目立っているときは、10年経っていなくても業者にメンテナンスを依頼するようにしましょう。

ガルバリウム屋根

ガルバリウムは軽量でメンテナンスがしやすく、金属系屋根材の主流として活用されています。また、ガルバリウム屋根にスレート屋根を重ねることもあり、応用範囲が広いことも特徴です。

ガルバリウムは耐久性が高く、他の金属系屋根材よりも錆びにくい素材ですが、定期的に塗装し直すことでさらに長期間良好な状態を維持できます。10年に1回は塗装をし直し、20年に1回は葺き替え工事をすることがおすすめです。

トタン屋根

トタン屋根もガルバリウム屋根と同じく、金属系の屋根材です。安価で軽量というメリットはありますが、錆びやすく雨漏りしやすいというデメリットもあり、近年ではあまり使用されていません。

トタン屋根を選ぶときは、丁寧なメンテナンスが必要です。耐久性が低いので、塗装は5年に1回、葺き替え工事は10年に1回程度に行うようにしましょう。

こんな時は塗装と修繕を!劣化のサインとは

屋根に劣化のサインやトラブルが見られたときは、早めに塗装・修繕をしましょう。屋根のリフォーム時期を決める劣化のサインとしては、次のものが挙げられます。

  • 屋根材のズレ
  • 屋根材のひび割れ
  • 強風・台風で屋根材が飛んだ
  • 雨漏り
  • 築20年以上経過

それぞれについて解説します。

屋根材のズレ

屋根材がズレているときは、ズレた部分から雨水が侵入する恐れがあります。早めに元通りに修繕してもらい、塗装もし直してもらうことが必要です。ただし、ズレが部分的なケースであれば、周辺の屋根材の交換や修理で対応できることもあります。

屋根材のひび割れ

屋根材がひび割れているときは、塗装だけでは対応できません。ひび割れた部分の屋根を交換し、新たに塗装して長持ちさせましょう。

強風・台風で屋根材が飛んだ

強風や台風で屋根材が飛んだときも、塗装の必要はありません。ダメージを受けた屋根材は交換し、なくなったものは追加して置きましょう。

雨漏り

雨漏りがする場合は、まずはどこに問題があるのか突き止める必要があります。屋根の下地が腐っている場合は、下地の張り直しと屋根の葺き替え、屋根塗装の3つが必要です。ケースごとに作業内容が異なるので、信頼できる業者に点検を依頼しましょう。

築20年以上経過

多くの塗料は10~15年程度で寿命になり、機能が落ちてはがれ始めます。築20年以上経過し、一度も塗装し直していないときは、早めに業者に点検を依頼しましょう。屋根の状態によっては、塗装だけでなく修理や葺き替えも必要になることがあります。

屋根塗装の相場価格は

屋根塗装の費用は、屋根の数や面積、勾配、屋根材、塗料の種類などによっても異なります。また、地域や業者によっても異なるので、おおよその相場を把握しておきましょう。

屋根の数

屋根の数が多くなるほど作業工程が増えるため、塗装費用も高額になります。また、家の形状が複雑な場合は屋根の形状も複雑になり、それに沿った足場や養生も必要となるため、工事費用がかさむでしょう。

屋根の面積

屋根の面積が増えると塗装面積も増え、費用も高額になります。なお、屋根は表面だけでなく軒天(軒の裏部分)も塗装が必要です。そのため、軒が張り出した住宅は塗装面積が広くなり、費用も高額になる傾向にあります。

屋根の勾配

勾配が大きい屋根は面積が大きくなるため、塗装費用が高額になります。また、足場が安定しないことがあるため、通常以上に足場を増やす必要が生じ、足場代も高額になることが多いです。

屋根材の種類別費用

屋根材の種類によって、塗料の種類や手間、工法などが変わるため、塗装費用も変わります。屋根材ごとの特徴と塗装費用の相場は以下の通りです。

屋根材特徴塗装費用相場(1㎡あたり)
スレート軽量かつ安価4,000~8,000円
ガルバリウム鋼板錆びに強い6,000~9,000円
ジンカリウム鋼板防音性が高い7,000~12,000円
陶器瓦耐久性が高い8,000~12,000円
セメント瓦耐火性に優れる1,500~3,500円
アスファルトシングル防水性が高い3,500~16,000円

なお、ジンカリウム鋼板と陶器瓦は耐用年数が40~60年と長く、メンテナンスの頻度も比較的少なくて済むため、長い目で見れば割安といえます。

塗料の種類別費用

塗料の種類によっても塗装費用の相場は異なります。

塗料の種類特徴塗装費用相場(1㎡あたり)
アクリル塗料安価で塗りやすいのでDIY向き1,400~1,600円
ウレタン塗料密着性に優れるが耐久性が低い1,700~2,200円
シリコン塗料価格と耐久性のバランスが良い2,300~3,000円
ラジカル塗料塗膜が劣化しにくい2,500~3,000円
フッ素塗料紫外線に強く耐久性が高い3,800~4,800円
光触媒塗料太陽光が当たると防汚性を発揮する4,200~5,000円

フッ素塗料と光触媒塗料は耐用年数が15~20年と長く、定期的なメンテナンスを必要としません。塗装費用は高額ですが、長い目で見れば割安といえます。

地域による価格差

屋根塗装は自然環境によってはがれやすさが異なります。以下の条件に当てはまる地域は屋根塗装がはがれやすく、費用も高めのことが多いです。

  • 降雪量や降雨量が多い
  • 台風がよく直撃する
  • 潮風があたる
  • 直射日光が強い

人件費

人件費によっても塗装費用は変わります。特に塗装する職人さんが自社社員でない場合は、他の業者に依頼するための中間マージンが発生し、割高になることがあるので注意が必要です。人件費を抑えるのであれば、自社の職人さんが対応してくれる中小業者を選ぶほうが良いでしょう。

また、人件費は業者によっても異なります。複数の業者から見積もりを取り、比較して選びましょう。

【坪数別】屋根塗装の費用相場

屋根塗装の費用相場は、住宅の延坪数によって異なります。延坪数が大きくなると塗装面積も広くなるため、工事費用は高額になることが一般的です。塗料の種類や依頼する業者によっても費用は変わりますが、おおよその目安は以下を参照してください。

延坪数費用相場
20坪20万~40万円
30坪30万~55万円
40坪40万~75万円
50坪50万~95万円
60坪60万~125万円

【塗料別】屋根塗装の費用相場

戸建て住宅に用いられることが多いウレタン塗料とシリコン塗料、フッ素塗料において、延坪数別にどの程度の塗装費用がかかるのか相場を紹介します。

延坪数ウレタン塗料シリコン塗料フッ素塗料
20坪15万~20万円20万~25万円30万~35万円
30坪25万~30万円30万~35万円45万~50万円
40坪35万~40万円40万~45万円55万~70万円
50坪45万~50万円55万~60万円70万~80万円
60坪50万~55万円65万~70万円85万~100万円

また、屋根の種類によっても費用相場は異なります。種類ごとの費用目安を見ていきましょう。

トタン屋根

トタン屋根の塗料ごとの費用相場は以下の通りです。

塗料の種類塗装費用相場(1㎡あたり)
アクリル塗料1,200~1,400円
ウレタン塗料1,800~2,000円
シリコン塗料1,800~2,200円
フッ素塗料3,300~4,500円

トタンは雨漏りサビが生じやすいという特徴があるため、定期的にメンテナンスをする必要があります。屋根は家を守る重要な役割を果たす部分です。定期的に塗装し直して家の快適性を高め、長持ちさせましょう。

スレート屋根

スレート屋根の塗料ごとの費用相場は以下の通りです。

塗料の種類塗装費用相場(1㎡あたり)
アクリル塗料700~1,000円
ウレタン塗料1,500~2,000円
シリコン塗料1,800~2,500円
フッ素塗料3,300~4,500円

スレート屋根は耐火性に優れているという特徴がありますが、全般的に劣化しやすいので、こまめに塗り直すことが必要です。

瓦屋根

瓦屋根の塗料ごとの費用相場は以下の通りです。

塗料の種類塗装費用相場(1㎡あたり)
アクリル塗料700~1,000円
ウレタン塗料1,800~2,000円
シリコン塗料2,300~2,500円
フッ素塗料3,100~3,500円

瓦屋根は耐久性に優れる点が最大の特徴といわれています。また、断熱性も高く、1年中快適に過ごせる点も特徴です。塗料の伸びもよく、塗装費用も比較的安価で済みます。

屋根塗装でかかる塗料以外の工事費用

屋根塗装を依頼すると、塗料代に加えて、足場費用などがかかります。どのような費用がかかるのか具体的に見ていきましょう。

足場費用

足場を組んで工事をするため、足場代がかかります。また、飛散防止ネットを張る費用なども必要です。足場関連の費用は、足場の面積や建物の高さなどによって変わります。

その他工事費用

塗装の前に高圧洗浄機などによる洗浄作業が必要です。また、塗料を塗布しない場所を養生する作業や、養生シート、テープなどの費用もかかります。業者から見積もりを取るときは、どのような費用がかかっているのか細部まで確認しておきましょう。

塗装業者のプロを探す

屋根塗装をすることで、住宅がより美しく見えるだけでなく雨漏りのリスクを減らし、住宅を長持ちさせることができます。塗料の特徴や価格を把握したうえで、業者に依頼しましょう。

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監修したプロのコメント

屋根材の種類の中でも、特にコロニアル屋根の塗り替えについては注意が必要です。勾配が小さい屋根ほど塗り替え後に雨漏りする事例が多数あります。

・張り重ねた部分に、塗料が固着するなどして雨水が流れ出ない、滞る、逆流。(毛細管現象) 

・スレート瓦を固定する釘(鋲)に水がつたって屋根裏へいき雨漏り。

これらを防ぐために以下に注意するようにしましょう。

・スレートの塗り替え時に、一定の隙間を確保するタスペーサーというものを使用するが、見積り項目にタスペーサーと記載されているかをチェックする。

・1㎡あたり10個前後の規定量が使用されているか実際に目で見て確認をする。

また、スレートの棟には板金が使用されているため、錆びにくいステンレスの釘に交換してもらうこともおすすめです。

どうしても屋根は日ごろから見えにくい位置にあるため、「気づいた時には大事になってしまった、、」とならないように、5年に1度は定期的な診断を信頼のおける業者に依頼するようにしましょう。

この記事を監修したプロ
鴨下 秀幸 さん

有限会社カモシタ創建

一般住宅からアパート、マンション、工場倉庫まで幅広く塗装施工しています。外壁診断士・埼玉県知事許可・産廃収集運搬業許可の資格・許可を持つ。塗料にはそれぞれ良さがあり、その良さを知り比較しながらお客様のご希望に添えるようにご提案いたします。塗装工事以外にも、屋上やバルコニーなどの防水工事・内外装工事・ガラス断熱・ハウスクリーニングなども対応可能。

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