屋根修理・リフォームには、国や自治体の補助金制度を利用できる可能性があります。省エネ性向上や耐震などを目的としたリフォームに支給され、費用を大幅に節約することが可能です。
本記事では、屋根修理・リフォームに使える補助金制度を国・自治体別にご紹介します。申請方法や支給条件、補助金を受け取る手順なども解説するので、ぜひ参考にしてください。
屋根修理に補助金は利用できる?
屋根修理における補助金は、「省エネ性向上」「耐震性向上」のいずれかを目的としたリフォームに支給されます。補助金対象となる具体的なリフォーム例を下記にまとめたので、確認してみましょう。
- 屋根に太陽光パネルを設置する
- 屋根に断熱材を敷く
- 屋根に遮熱塗料を塗布する
- 屋根を軽量化する
- 耐風性能の高い屋根材に変更する
基本的に、経年劣化による屋根の修繕・機能改善を目的としたリフォームには補助金制度を利用できません。たとえば「屋根塗装で美観を維持する」「メンテナンス目的で屋根材を交換する」といった場合は、対象とならないため注意が必要です。
ここからは、屋根修理に利用できる国の補助金制度をご紹介します。
また、以下では屋根修理・工事の費用相場や施工事例について解説しています。施工事例では、実際にかかった費用も紹介しているので、気になる方は是非ご覧ください。
関連記事:屋根修理・工事の費用相場
【国】長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存住宅の性能向上や子育て世帯向け改修を支援する国の補助金制度です。劣化対策や耐震性向上、省エネルギー対策など、特定の性能項目を基準値まで向上させ、住宅の長寿命化を図ることを目的としています。
屋根修理の場合は、性能向上リフォーム⼯事費をはじめ、防災性・レジリエンス性の向上改修費、インスペクション等費などが補助対象となります。
性能向上リフォーム工事費 | ①特定の性能項目を一定の基準まで向上させる工事(省エネルギー対策、構造躯体の劣化対策、耐震性、維持管理・更新)②そのほか性能向上工事(インスペクションで指摘を受けた屋根・外壁の改修工事、バリアフリー改修工事、環境負荷の低い設備への改修) |
防災性・レジリエンス性の向上改修工事費 | 自然災害に対応するための改修工事(地震災害・台風・水害への備え、電力・水の確保など) |
インスペクション等に要する費⽤ | インスペクション費⽤、リフォーム履歴作成費⽤、 維持保全計画作成費⽤、リフォーム瑕疵保険の保険料など |
自然災害で被害を受けた屋根の改修のほか、インスペクション*1で指摘を受けた屋根の改修工事でも補助金を受けることができます。なお、インスペクションに必要な費用も補助対象となっているため、業者に依頼する際は相談してみましょう。
そのほか、補助金額や対象者、申請期間については下記をご覧ください。
対象者 | リフォーム内容によって異なる |
利用条件 | ・リフォーム前にインスペクションを実施すること・リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たすこと・リフォーム履歴と維持保全計画を作成すること・必須となる性能項目の工事を行うこと・住戸面積の確保、居住環境、維持保全計画の策定の要件に適合すること |
補助金 | ・評価基準型:100万円/1戸(150万円/1戸)・認定長期優良住宅型:200万円/1戸(250万円/1戸)※リフォーム内容や世帯によって異なる |
申請者 | リフォーム工事の施工業者 |
受付期間 | 2023年5月8日~2023年12月22日 |
長期優良住宅化リフォーム事業は2023年12月現在受付を終了しています。来年の募集再開日は未定なので、公式サイトを随時確認するようにしましょう。申請は先着順で予算枠が埋まり次第終了となるため、リフォームが決まっている場合は早めに申請することが大切です。
*1:中古住宅の売買取引において、建物の屋根・外壁・基礎などに生じたひび割れや雨漏り等の不具合の状況を事前に把握するための調査(一般社団法人福岡県建築住宅センター インスペクション(建物状況調査)とは?より)
【国】住宅建築物安全ストック形成事業
住宅建築物安全ストック形成事業は、住宅・建築物の最低限の安全性確保にかかる改修工事に対し支援を行う事業です。耐震性等の向上やアスベスト対策などの事業について、地方公共団体に対し、国が必要な助成を行います。
各地方公共団体によって補助制度の内容は異なるため、詳しくはお住まいの市区町村に問い合わせるようにしてください。
参照:国土交通省 住宅・建築物耐震改修事業(住宅・建築物安全ストック形成事業)
地方自治体の補助金・助成金も
屋根修理やリフォームには、地方自治体の補助金制度を利用できる場合もあります。利用条件や補助金額は各地方自治体によって異なるため、利用前にしっかり確認しておきましょう。
また、利用できる補助金制度がない自治体もあるため、自分の自治体で適応される制度があるかは、地方公共団体における住宅リフォーム支援制度検索サイトで調べてみてください。
ここでは具体例として、横浜市の「木造住宅耐震改修促進事業」、世田谷区の「エコ住宅補助金」、千葉市の「木造住宅耐震改修補助制度」をご紹介します。
【神奈川県】横浜市木造住宅耐震改修促進事業
横浜市における木造個人住宅の耐震改修工事費用を補助する制度です。補助対象となる工事は下記の通りで、建替え工事は対象になりません。
- 基礎、柱はり、筋かい(耐力壁)の補強、軽量化のための屋根のふき替え等により、耐震診断による点数が1.0以上となる耐震改修工事
耐震性向上リフォームが対象となり、省エネ性向上や美観維持を目的とした屋根修理では補助を受けられないので注意が必要です。
対象住宅 | ・昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工された、2階建以下の在来軸組構法の木造個人住宅(自己所有で、自ら居住しているもの)・上記の住宅で、耐震診断の結果、点数(上部構造評点等)が1.0未満と判定された住宅 |
補助限度額 | ・一般世帯:100万円・非課税世帯:140万円 |
受付期間 | 順次※詳しくは、一般社団法人横浜市建築士事務所協会へ問い合わせてください |
「木造住宅耐震改修促進事業」を利用するためには、横浜市の登録事業者に施工を依頼する必要があります。登録事業者名簿については、こちらをご確認ください。
なお、横浜市省エネ住宅住替え補助制度との併用も可能なので、屋根の断熱リフォーム等を検討している方はチェックしてみましょう。
【東京都】世田谷区エコ住宅補助金
住宅の改修及び省エネルギー・創エネルギー機器類の設置等に対し、費用の一部を助成する制度です。遮熱塗料を使った屋根塗装のほか、外壁や屋根の断熱改修、太陽光システムの設置工事が対象となります。
屋根修理関連における具体的な補助対象工事や補助金額、支給条件を下記で確認してみましょう。
対象者 | ・区内にある自分が所有する住宅(分譲マンションの区分所有を含む)に居住している世田谷区民・区内にある賃貸住宅を所有している世田谷区民 |
対象工事 | ・外壁や屋根等の断熱改修・太陽光発電システムの設置・屋根の高反射率塗装工事・住宅の外壁塗装工事(他の工事との併用した場合) |
対象住宅 | ・既存住宅(建築基準法令に適合している建物であること、耐震性を有する建物であること) |
補助金額 | 工事金額の10%(上限金額は工事内容によって異なる) |
受付期間 | 2023年4月1日から2024年1月31日まで |
工事期限 | 2024年2月28日まで |
参照:世田谷区エコ住宅補助金
「世田谷区エコ住宅補助金」は、屋根塗装だけでなく外壁塗装でも使用できます。ただし、併用するには遮熱塗料を使った屋根塗装が必須となるので、外壁塗装も検討している場合は同時に施工依頼をするのがおすすめです。
【千葉県】千葉市木造住宅耐震改修補助制度
2000年5月31日以前の耐震基準によって建設された木造住宅の耐震改修工事費用の一部を補助する制度です。屋根修理の場合は、耐震性向上における屋根材の軽量化が対象工事に該当します。具体的な対象工事や受付期間、補助金額については下記をご覧ください。
施工者条件 | ・千葉市内に本店、支店、営業所等を開設している者等・補助対象住宅の建設工事を請け負い、新築又は増築した者 |
対象工事 | ・壁の補強・接合部の補強・基礎の補強・屋根等の軽量化など※リフォーム工事や仕上げ材のグレードアップ工事などは対象外 |
対象住宅 | ・耐震診断の結果、上部構造評点が1.0未満であること(※※二段階耐震改修工事の場合は、0.7未満)・市民自らが所有し、居住していること・平成12年5月31日以前の耐震基準によって設計・建設された木造住宅であること(※二段階耐震改修工事の場合は、昭和56年5月31日以前)・在来の軸組工法(骨組が柱と梁)の一戸建てで、2階以下のものであること |
補助金額 | 工事費の5分の4※上限100万円 |
「木造住宅耐震改修補助制度」では「耐震診断」と「耐震改修工事」に対して補助金が支給されます。改修工事で補助を受けるためには、まず耐震診断を行う必要があるので注意しましょう。
※木造住宅耐震改修補助制度は2023年12月現在受付を終了しています。次回募集再開時は未定なので、詳しくは公式サイトをご確認ください。
屋根修理で補助金を受け取る手順
つづいて、屋根修理で補助金を受け取るための手順を解説します。
- 工事着工前に申請する
- 屋根修理工事を行う
- 施工確認後に補助金を受け取る
基本的に、補助金は工事着工前に申請する必要があるため、事前に申請書類を用意しておかなければいけません。
また、補助金を受け取るには実績報告書と請求書の提出が求められます。スムーズに補助金制度を利用できるよう、施工業者と相談しながら進めることが大切です。
STEP1:工事着工前に申請する
屋根修理で利用できる補助金制度を見つけたら、まずは担当窓口へ申請を行いましょう。工事着工前に申請をするのが基本ですが、自治体によっては着工後に申請するケースもあるため確認が必要です。
申請に必要な書類も補助金制度によって異なりますが、大半は各ホームページからダウンロードできます。主に必要な申請書類は、下記の通りです。
- 補助金・助成金の申請書
- 本人確認書類
- 施工見積書
- 住宅の平面図・立面図
- 納税証明書
- 登記事項証明書
書類の準備に時間がかかるケースも多いため、できるだけ早く準備に取り掛かってください。
STEP2:屋根修理工事を行う
必要書類を提出したら、約2週間から1ヵ月前後で補助金支給決定の通知が届きます。通知を受け取ったら、屋根修理業者と契約し施工に着手してください。
補助金を受け取る際に工事前後の写真や施工中の写真が必要な場合もあるので、その場合は事前に業者に伝えておきましょう。また補助金によっては、依頼する施工業者が指定されているケースもあります。
STEP3:施工確認後に補助金を受け取る
屋根修理工事が完了したら、担当窓口に完了報告を行います。実績報告書と請求書の提出で確認が済む場合が多いですが、なかには現地調査が行われることもあるため注意が必要です。
施工確認終了後、約1から2ヵ月後を目安に補助金が支給されます。
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屋根修理・リフォームで利用できる補助金制度をご紹介しました。お住まいの地域に利用できる補助金制度がない場合は、複数の業者の見積もりを比較し、できるだけ安い費用で施工するのがおすすめです。
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