畳は時間の経過だけでなく、日々の生活での摩擦でも劣化していきます。美しい状態を保つためにも、畳の裏返し、表替えと新調について知って、適切なタイミングで対処するようにしましょう。
この記事では、畳のメンテナンス方法と業者に依頼する際の費用相場について解説します。
畳の構造とは?
畳は「畳表」と「畳床」、「畳縁」の3つの部位によって構成されています。表替えを行う前に、それぞれの部位が持つ役割と特徴を押さえておきましょう。
畳表
畳表(たたみおもて)とは、畳表面に当たる部分です。「い草」が使われる事が多く、保温機能や除湿機能、天然素材由来のリラックス効果などを持っています。ただし、水分を吸収しやすく汚れがつきやすいのが難点で、経年劣化が激しいのがデメリットです。そのため、樹脂や和紙などを使用している畳も多く見られるようになっています。
畳床
畳床(たたみどこ)とは、畳の中心となる部分です。藁を糸締めし固めたものを何層も重ねて、圧縮してつくられています。畳床の質によって、畳の弾力性や断熱性などが異なり踏み心地のよさも変わるため、非常に重要な部分です。藁の代わりに、発泡スチロールやボードなど、人工的な素材が使われる事も多くあります。
畳縁
畳縁(たたみべり)とは、畳の縁を縫い付けている布の部分です。畳を摩擦から保護したり、隙間を調整するために役立ちます。最近では無地のものだけでなく、さまざまな色柄のものが流通しており、デザイン性を求める人は畳縁にこだわるのもよいでしょう。
まずは畳の裏返しから
- 裏返しの目安:購入から約2~4年後
畳のお手入れで最初におこなうのは、畳の「裏返し」です。畳の裏返しは、畳の裏表を逆さまにし、畳縁を付け替えておこないます。
畳の色あせや、染みの汚れなどが気になったら裏返して綺麗な状態を保ちましょう。比較的簡単にできるメンテナンス方法なので、畳の傷みが酷くない場合は有用だと言えます。
裏返しでも対応できないほど傷んでしまったら、表替えをおこないましょう。
次に畳の表替えをおこなう
- 表替えの目安:購入から約5年~7年後
裏返しの次におこなうのは、畳の「表替え(おもてがえ)」です。表替えは、畳床は交換せずに、畳表と畳縁のみを新しく交換しておこないます。畳床を使い続けられる状態であれば、表替えだけで十分綺麗な状態にできるでしょう。畳表は「い草」が使われている事が多いですが、他の素材も多く販売されています。傷みにくい人工素材も使いやすいのでおすすめです。
畳床の経年劣化が進んでしまった場合は、畳を新調しましょう。
時間が経ったら畳を新調する
- 新調の目安:購入から約15年後
畳床が劣化し、表替えをしても綺麗な状態を保てなくなってしまったら、畳を「新調」しましょう。新調では畳そのものを全く新しいものに交換します。元々使っていた畳の素材にこだわらず、違ったもの・異なる色の畳を選ぶのもよいでしょう。部屋の雰囲気を変えたい時にも役立つメンテナンス方法です。
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畳の正しい手入れ方法
畳を長持ちさせるためには、日頃から正しいお手入れをしておく必要があります。畳に湿気を吸わせないように、適度に換気を行いましょう。ホウキや掃除機をかける時は、畳の目に沿うようにしてください。なお、雑巾で拭く際はから拭きをしましょう。
また、畳は直射日光に弱いため、変色を防ぐにはカーテンや障子で遮るようにしてください。
カビ・ダニを防ぐために風通しのよい場所に干すのもおすすめです。水気を除去できますが、この場合も直射日光を避け、日陰で干すようにしましょう。
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おすすめの畳の種類
畳の種類によって、見た目が異なるだけでなく、品質や耐久性も異なります。主な種類と特徴、選び方について解説します。
- 国産い草
- 中国産い草
- 和紙畳
- 琉球畳
国産い草
国産い草は耐久性が高く、見た目が美しいのが特徴です。特に天然熊本県産は高品質で、人気が高い品種なので、どのい草を選ぶか迷ったら熊本県産のものがよいでしょう。客間や茶室など、人を招く場所の畳替えには、高品質の国産い草がおすすめです。
中国産い草
中国産い草は比較的安価で、コストパフォーマンスが高いのがメリットです。費用を抑えて畳を交換したり部屋の模様替えをしたりするなら、中国産い草にも注目してみましょう。近年は品質も向上しており、国産品に引けをとらなくなっています。
和紙畳
和紙畳とは、い草ではなく和紙で作られている畳です。メンテナンスがしやすく、デザイン性が豊富だというメリットを持っています。和紙を樹脂でコーティングし編み込んだもので、耐久性と撥水性に優れているのが特長です。日光による変色や劣化が少なく、カビやダニなどの発生も少なくメンテナンスしやすい傾向にあります。
琉球畳
琉球畳は、正方形で縁がないタイプの畳です。モダンな和室に適しているデザインで、耐久性が高いというメリットがあります。他の畳とは雰囲気が異なる質感とビジュアルなので、個性を出したい時に使うとよいでしょう。
畳を選ぶポイント
畳縁はささくれやすい縁を守り、畳を長持ちさせる役割があります。しかし、ささくれが生じにくい和紙畳なら、畳縁がなくても長期的に使用可能です。縁なしのデザインを選びたい時は、和紙畳を選びましょう。
縁なしのたたみは半畳タイプのものが多く、より個性的な空間を演出できます。和室というよりは和テイストの部屋にしたい時は、縁なし半畳タイプが適しているでしょう。
畳の目の方向が互い違いになるように配置すれば、格子模様のような空間になり、更におしゃれに仕上がります。
畳の表替えを業者に依頼する場合の費用相場
畳の表替えをDIYするのは、あまりおすすめできません。まだ使い続けられる畳を傷ませないためには、業者に依頼して表替えをおこなってもらうのが最適です。ここでは、費用相場をご紹介します。裏返しにかかる費用相場
張替え方法・交換部分 | 1畳あたりの料金目安 |
表替え | 4,000円〜13,000円 |
裏返し | 4,000円〜9,000円 |
畳縁の交換 | 3,000円〜 |
畳床に問題がない場合は、表部分だけの張替える「表替え」を検討してみましょう。グレードによって大きく差がありますが、中国産い草なら6畳で32,000円程度で表替えできることもあります。
「裏返し」とは、既存の畳表を剥がして、裏返しにして再度張る方法のことです。畳表を処分する必要がないため、表替えよりは安価な傾向にあります。
畳縁が擦り切れているときは、縁の交換も検討してみましょう。
裏返しにかかる費用相場は、1畳あたり4,000円~9,000円程度です。裏返しの作業を依頼する時は、畳縁の張替えも同時におこなってもらえるかどうか確認しましょう。費用が異なるため、どこまでが依頼の範囲になるのか確かめておくのが重要です。
表替えにかかる費用相場
表替えにかかる費用相場は、1畳あたり4,000円~13,000円程度です。ただし、他t三面と畳縁の質によって大きく費用が上下するため、一概には言い切れません。
同じ国産のものでもグレードが異なればその分コストは高くなりますし、中国産のものよりも国産品の方がコストが上がる傾向にあります。そのため、1万円以下で済む場合もあれば、2万円以上かかる事もあるため、予算との相談が必要です。
新調にかかる費用相場
畳表の種類・生産地 | 1畳あたりの料金目安(和紙畳は半畳) |
国産い草 | 14,000円~20,000円程度 |
中国産い草 | 7,000円~7,500円程度 |
和紙畳 | 11,000円~16,000円程度(半畳) |
畳床が劣化してる、面面でも大きな汚れや破れがある、15年以上使用している場合などは、新しい畳に丸ごと交換する「新調」が良いでしょう。
6畳の部屋の畳をすべて交換する場合なら、国産い草で84,000~120,000円程度、中国産い草で42,000~45,000円程度、和紙畳で132,000~192,000円程度かかります。
また、国産い草の畳のなかには、い草だけでなく藁床(畳の芯部分)にもこだわった高級品もあります。主に寺社や茶室などで使われますが、1畳あたり50,000円以上の価格となります。
畳のグレードを下げれば1万円以下で新調する事もできますが、畳床が持つ機能性を重視するとコストが上がるので、何を優先するかを決めておきましょう。わらを使ったものだけでなく、断熱効果があるボードを使ったり、防音機能や調湿機能などを持っているものを採用したり、畳床のバリエーションに注目するのも大切です。また、新調時には古い畳の処分費用も必要なので考慮しておきましょう。
畳の張替えや新調に関するよくある質問
畳の張替え・新調に関して、よくある質問とその答えをまとめました。
畳の張替えと新調の違いは何ですか?
張替えとは、畳表だけを交換する「表替え」の事です。新しい畳表を張る時は「張替え」と呼び、畳表を裏返してから張る時は「裏返し」といいます。
一方、新調は藁床からすべて新しくする事です。費用はかさみますが、長期間使用すると藁床が薄くなるだけでなく、ダニが住みつく事もあるため、定期的に新調するようにしましょう。
畳の張替えや新調にはどれくらいの時間がかかりますか?
裏返しは1日程度で完了しますが、表替えには2〜3日、新調は3〜5日程度かかることが一般的です。業者のスケジュールや作業内容によるため、依頼する前に確認しましょう。
畳の表替えは業者に依頼して適切におこなおう
畳の表替えはDIYで簡単にできるものではありません。もし失敗したら畳そのものを交換しなくてはならなくなってしまうため、業者に依頼して適切な作業をしてもらいましょう。
その際に優良業者を選ぶために有用な手段として、相見積もりをとる事が挙げられます。相見積もりとは複数の業者から見積もりをとる方法です。1社ずつ見積もりをとるのは時間も手間もかかりますが、相見積もりであればその必要はありません。
費用面だけでなく、アフターフォローや保証などのサービス面も簡単に比較検討できるため、効率的に業者選びをおこなえます。ぜひ相見積もりの活用を検討してください。
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