更年期症状の軽減にヨガが効果的といわれています。更年期特有のイライラやほてり、冷えなどが、ヨガによって軽減するケースもあるようです。
この記事では、更年期症状にヨガが効果的とされる理由について、わかりやすく解説します。また、おすすめのヨガのポーズや実施時の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
更年期症状にヨガが効果的な理由
更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間の合計10年間のことです。なお、月経が来なくなってから12ヶ月が過ぎたとき、1年前を振り返って閉経と判断します。
閉経は50歳ごろに迎えることが一般的とされていますが、個人差が大きく、40代の前半で閉経を迎える方や50代後半の方もいます。
更年期に表れる変化のうち、他の病気由来でないものが「更年期症状」です。症状が重く、日常生活に支障を来たすときは「更年期障害」と呼ばれます。更年期症状は、次の3つに分類できます。
- 血管拡張と放熱に関する症状:発汗、ほてり、ホットフラッシュなど
- その他の身体症状:めまい、動悸、頭痛、肩こり、冷え、しびれなど
- 精神症状:イライラ、落ち込み、情緒不安定、抑うつ、不眠など
更年期症状を緩和する効果を期待できるとされているのが、ヨガの呼吸法や瞑想です。その理由について見ていきましょう。
ヨガの呼吸法や瞑想が自律神経を整える
ヨガの呼吸法や瞑想には、副交感神経を優位にする効果があるといわれています。自律神経は交感神経と副交感神経の2つで成り立っていますが、副交感神経が優位になると心身がリラックスし、不安や不眠といった精神的な不調が改善されやすくなります。
更年期は女性ホルモンのバランスが崩れ、些細なことで落ち込んだり、悩みやストレスを抱えたりしがちです。また、40代~50代という仕事や家庭に忙しい世代であることも、ストレスの原因になることもあります。
ヨガの呼吸法や瞑想を生活に取り入れ、自律神経を整えていきましょう。
肩こりや腰痛などの身体の不調対策になる
更年期のつらさは、精神的なものだけではありません。肩こりや腰痛、頭痛、便秘など、身体的な不調を感じる方もいます。
ヨガのポーズには、肩こりや頭痛などを引き起こす筋肉の緊張やこわばりを取り除くものもあります。正しい姿勢でポーズをとることで、身体的な不調を軽減していきましょう。
更年期に効果のあるヨガのポーズ10選
更年期特有の不調に効果があるとされるヨガのポーズを紹介します。精神的不調と身体的不調にアプローチするポーズをそれぞれ分けて紹介するので、ぜひ実践してみてください。
呼吸法〜瞑想から精神面の不調にアプローチするヨガポーズ5選
呼吸法や瞑想にフォーカスしたポーズをとることで、イライラや抑うつなどの精神面の不調が緩和されることもあります。おすすめのヨガポーズを5つ紹介します。
1. シャバアーサナ(屍のポーズ)
シャバアーサナ(屍のポーズ)は、リラックスを目的としたポーズです。3分程度の時間をかけることで、体内にエネルギーを溜めます。
- 仰向けに寝転び、両手を体の横側に伸ばす。脇と腕の間にはこぶし1つ分のスペースを空ける
- 手のひらを上に向け、脚は軽く開く
- 顎を軽く引いて目を閉じ、全身の力を抜く
- 4秒かけて鼻からゆっくりと呼吸を吸い、8秒かけて鼻から吐くのを2分間続ける
腰に負担がかかるときは、膝の下にクッションを入れましょう。また、ポーズが終わった後に、あぐらや正座の姿勢で瞑想時間を設けてください。
2. 針の穴のポーズ
針の穴のポーズはリラックスを目的としたポーズですが、背骨や股関節のストレッチ効果や腰痛緩和効果も期待できます。
- 仰向けに寝転び、両足を揃えて膝を立てる
- 両手は体の横に沿わせ、左足首を右膝に乗せ、左膝を横に開く
- 右膝を胸に引き寄せ、両足の間から左手を通して脛の上で両手を組む
- 首の後ろがしっかりと伸びたら、右足首を左膝に乗せ、右膝を横に開く
- 左膝を胸に引き寄せ、両足の間から右手を通して脛の上で両手を組む
脛の上で両手を組めないときは、太ももの後ろなどの無理のない場所で組んでください。肩と背中を浮かせないように意識すると、リラックス効果が高まります。
3. デッドウォーリア
デッドウォーリアは、体のゆがみ改善を目的としたポーズです。
- 両足を肩幅より広めに開き、両膝を立てて座る
- 両手は体の後ろにつく
- 股関節からの動きを意識して、両足を右側に倒す
- 肘を下ろしてから、手のひらで床を押して背骨を伸ばし、10回深呼吸をする
- 両足を左側に倒し、背骨を伸ばしてから10回深呼吸をする
痛みを感じるときは無理に伸ばさず、クッションを体の下に入れてからポーズをとるようにしてください。
4. 猫のポーズ(キャット&カウ)
猫のポーズ(キャット&カウ)は、背骨全体を動かすポーズです。自律神経を整える効果があるといわれています。
- 四つん這いになり、肩の真下に手のひらをつく
- 脚は腰幅に開き、股関節の真下に膝をつき、つま先は寝かせる
- 息を吸い、吐きながら尾骨から順に頸椎まで背骨を丸める
- 背骨をしっかりと丸めてから、息を吸いながら尾骨から順に頸椎まで背骨を反らせる
- 3~4を5セット繰り返す
背骨一つひとつの動きに集中すると、より効果が深まります。
5. 真珠貝のポーズ
真珠貝のポーズは、骨盤周りのゆがみを調整する効果を期待できます。また、骨盤周りの血流が改善されるため、生理痛の緩和効果や骨盤底筋の強化効果もあるといわれています。
- あぐらの姿勢で座る
- 両足裏を合わせて、股関節を無理なく開く
- 脚の内側から両手を出し、足の甲をつかむ
- 息を吸いながら背筋を伸ばし、吐きながら上体を前に倒す
- 呼吸がしやすいところで、3~5秒キープする
無理に上体を倒すのではなく、背中を伸ばした状態で倒せるところまで倒してください。
身体的な不調にアプローチするヨガポーズ5選
更年期に見られることが多い、肩こりや便秘などの身体的な不調にアプローチできるヨガポーズを5つ紹介します。気になる部分にアプローチするポーズを選び、無理のないペースで続けてみてください。
1. 立位前屈のポーズ(ウッターナーサナ)
立位前屈のポーズ(ウッターナーサナ)は、太ももの裏側や背中などの大きな筋肉を伸ばすポーズです。肩こりの改善や代謝促進の効果も期待できます。
- 両足の親指をつけ、足先が膝と同じ向きになるように意識して背筋を伸ばして立つ
- 息を吐きながら、上半身を前に倒す
- 両手を床につき、息を吸いながら腰と背骨、胸を前に伸ばす
ハムストリングを痛めているときは、避けてください。また、首に痛みがあるときは、目の前に台を置き、台の上に頭を乗せる程度に前屈しましょう。
2. スフィンクスのポーズ
スフィンクスのポーズは、背筋や上腕筋を強化し、腰痛の予防効果を期待できます。また、リラックス効果もあるため、無理のない範囲で続けましょう。
- 正座した状態で両肘を床につける
- 肘が横に開かないように、手首の真後ろに肘が来るように意識する
- 片足ずつ後ろに伸ばし、おへそと前腿、鼠蹊部を床につける
- 手のひらと前腕で床を押し、息を吸いながら胸を持ち上げる
胸を持ち上げたときに、首の後ろを伸ばすようにしてください。目線を斜め下に向けると、首が伸びやすくなります。
3. ガス抜きのポーズ
ガス抜きのポーズは、腸内環境を改善し、お腹の張りを軽減する効果を期待できます。肌荒れや口臭の改善も期待できるでしょう。
- 頭から足先までまっすぐになることをイメージしながら、仰向けに寝る
- 呼吸を整え、両膝を立てる
- 両膝を胸に引き寄せ、両手で抱え込む
- 息を吐きながら、膝をさらに引き寄せる
- 20~30秒、深呼吸をする
- 息を吸いながら、ゆっくりと頭を下ろす
- 息を吐きながら、手足をほどき、仰向けの姿勢に戻る
疲れているときは、筋肉がこわばり、ポーズをとるのが難しいと感じるかもしれません。ポーズがとりにくいときは、背中と腰のストレッチをしてから取り組みましょう。
4. 英雄のポーズ1(ウォーリア1)
英雄のポーズ1(ウォーリア1)は、股関節の可動域を広げ、下半身の筋力を強化する効果が期待できます。また、集中力の向上にも役立つとされています。
- まっすぐに立ち、左足を後ろに大きく引く
- 前後のかかとが一直線上にあることを確認し、左足先を斜め45度に傾ける
- 骨盤を右足のほうに向け、右足を踏み込む
- お腹を強く引き締め、息を吸いながら両手を下から上に持ち上げる
- 3~5回程度、呼吸を繰り返す
- 元の姿勢に戻り、右足を後ろに大きく引く。同様に姿勢をとり、3~5回程度、呼吸を繰り返す
余裕があるときは、両手を掲げる姿勢のときに指先を見るようにしてください。
5. 開脚前屈のポーズ(ウパヴィシュタコーナーサナ)
開脚前屈のポーズ(ウパヴィシュタコーナーサナ)は、脚の内側と裏側を伸ばし、背骨を強化するポーズです。鼠蹊部を緩めるため、他のポーズも深まりやすくなります。
- 膝を伸ばした状態で座る
- 脚を90~120度程度に開く
- 両手で足裏か親指をつかみ、息を吐きながら前屈する
- 呼吸5回分、姿勢をキープする
- 息を吸いながら上半身を起こし、最初の姿勢に戻る
腰に痛みがあるときは、折りたたんだブランケットの上に座り、上半身が垂直になるようにしてください。
更年期世代がヨガを行う際の注意点
ヨガによって更年期症状の緩和を期待できますが、やり方によってはかえって調子を崩すこともあり得ます。更年期世代がヨガを行うときの注意点を紹介するため、慎重に実施してください。
自分のペースで行う
正しくポーズをとっても、すぐに効果が表れるとは限りません。ヨガの効果には個人差があるため、時間がかかっても焦らず、自分のペースで続けていきましょう。
また、疲れたときにはすぐに止めることも大切です。身体が固い人やケガをしている人なども、無理をせず、できる範囲内でポーズをとるようにしてください。
ケガに気をつける
閉経すると骨密度が急激に低下します。ちょっとした動きで骨が折れることもあるため、ケガをしないように注意をしてください。
寝転んだ姿勢や座った姿勢でできるポーズなら、身体にかかる負担を軽減できます。無理のない範囲でポーズをとりましょう。
風通しのよい場所で行う
更年期症状の一つに、上半身ののぼせやほてりが急に生じる「ホットフラッシュ」があります。顔が熱くなったり、汗が止まらなくなったりする症状です。
ヨガをするときは、ホットフラッシュが起こらないように風通しのよい涼しい場所を選びましょう。また、通気性のよい衣類を着用することも大切です。
事前に水分を摂取する
年齢とともに、筋肉組織内の水分量が減ります。口内が乾きやすくなるだけでなく、脱水症状や疲労感につながることもあるため、こまめに水分を補給することが大切です。
ヨガをする前に、適度に水分を補給してください。
ホットヨガは控える
高温多湿の環境でヨガをする「ホットヨガ」は、汗をかきやすく、短時間で運動効果が得やすいとされています。
しかし、交感神経が優位になりがちなため、更年期には向いていません。スタジオでヨガをするときは、ホットではなく通常の部屋タイプを選ぶようにしてください。
更年期のヨガに関するよくある質問
更年期症状が気になるときは、ヨガが助けになるかもしれません。更年期のヨガによくある質問とその答えを紹介します。ぜひ参考にしてください。
ヨガを始める際に必要なアイテムは?
ヨガを始めるときは、通気性がよく、身体を締め付けないウェアが必要です。また、腰や脚の負担を軽減するためにも、ヨガマットも準備しておきましょう。ヨガスタジオによっては、あらかじめ用意されていることもあります。
ヨガはどれくらいの頻度で行えばいい?
週2~3回の頻度でヨガを実施すると、変化を感じやすいといわれています。ただし、無理のない範囲で続けていきましょう。
ヨガの効果はいつごろ実感できる?
ヨガの効果を実感するには、少なくとも3か月はかかるといわれています。ただし、個人差があるため、短期間で感じる方もいますが、3か月を過ぎても実感できない方もいるでしょう。
効果を感じられなくても、正しい姿勢でポーズを続けることは無意味なことではありません。日常生活で使わない筋肉を伸ばすだけでも、凝りの解消やリラックス効果を期待できます。
ヨガにおすすめの時間帯は?
ヨガは食前にするのがおすすめです。食後は内臓に負担がかかるため、少なくとも3時間は空けるようにしてください。
また、明け方や夕方、寝る前はリラックス効果が高く、入眠をスムーズにするといわれています。寝つきがよくないときにも、リラックス効果のあるヨガのポーズを試してみてはいかがでしょうか。
更年期世代がヨガを始める方法
更年期は疲れやすく、骨密度も低下するため、身体に負担をかけないように注意をしてヨガを実践してください。また、間違ったポーズや呼吸法をすると、かえって心身に不調が生じる可能性もあるため、ヨガの正しい知識を有する先生に教えてもらうことも大切です。
更年期世代がヨガを始める方法を紹介します。ぜひ参考にして、ご自身のペースで続けていきましょう。
自宅でヨガを行う
ヨガ教室に通う時間がない方は、自宅でヨガに取り組んでみることをおすすめします。ヨガマットを敷き、正しいポーズと呼吸法で無理のないペースで続けてください。
ただし、独学ではポーズのポイントがつかめず、期待するような効果を得られない可能性があります。また、モチベーションを維持するのも難しいため、慣れないうちはヨガインストラクターに出張してもらうのも一つの方法です。
ヨガレッスンに通う
ヨガ教室に通えば、プロのインストラクターに指導してもらえるため、より効果を実感しやすいでしょう。また、大勢の仲間とヨガをすることで、モチベーションを維持しやすいのもメリットです。
ゼヒトモなら、お近くのヨガ教室を簡単に見つけられます。年齢に合ったレッスンプログラムを選べば、更年期症状の緩和にもつながりやすくなるでしょう。ぜひゼヒトモで、お近くのヨガ教室を見つけてください。
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