和室の内壁でよく見られる砂壁は日本の気候に適しているものの、経年劣化によるリフォームを検討する人もいるでしょう。
そこで今回は、砂壁塗装のDIY方法について詳しく解説します。砂壁のメリットやデメリットを理解したうえで、DIYを行っていきましょう。
有限会社江戸川表具内装
砂壁の特徴
砂壁とは、色砂を糊液で練って上塗りした壁のことです。石膏ボードやモルタル、土で作った壁などを仕上げる際に利用します。なお、色砂には天然砂や砕石、貝殻粉、金属粉などが混ざっているのが一般的です。
また、似たような壁に「土壁」があります。土壁とは、土で表面を仕上げた壁のことです。なかには、土で壁全体を作った壁も存在します。
砂壁のメリット
砂壁を利用するメリットは、主に以下の3つです。
- 調湿効果が期待できる
- 防火性に優れている
- 有害物質を吸収する役割がある
砂壁は、高温多湿の日本に最適な調湿性を持った壁材です。湿気が高いときには吸湿をしてくれ、低いときには放湿を行うため、室内の湿度を一定に保てます。そのため、快適な住環境が整うほか、カビやダニの繁殖を抑える効果も期待できます。
また、砂壁は砂や土といった燃えない物質でできていることから、防火性に優れた性質です。耐火性のある住宅を作りたい人には、おすすめの素材だといえるでしょう。 なお、砂壁はアンモニアやホルムアルデヒドといったシックハウス症候群の原因となる有害物質を吸収する効果もあります。
砂壁のデメリット
反対に、砂壁を利用するデメリットは以下のとおりです。
- 砂や土が部屋の中に落ちる
- 工期が長くなるケースがある
- リフォーム費用が高額になる可能性がある
砂壁は劣化が進んだり、堅い物をぶつけてしまったりすると、壁面が削れて砂や土が落ちてしまいます。 そのため、掃除の手間がかかったり、カーテンに汚れがついてしまったりすることで手がかかることもあるでしょう。壁面が削れることで、見た目が悪くなることも懸念されます。
また砂壁を塗るときや解体するときには、ある程度の時間と技術が必要です。壁紙を貼るだけであれば1日で施工が完了することもあるなか、砂壁であれば2~4日かかることもあります。その結果、リフォーム費用が高額になる可能性が高くなるのです。
砂壁のリフォーム方法と費用
砂壁のリフォーム方法は、以下のとおりです。
- 塗装する
- 塗り替えをする
- 壁紙に変える
それぞれのリフォーム方法と費用について詳しく解説します。
塗装する
砂壁を維持したいときは、似た素材を塗り直しましょう。塗り直す方法は、一度砂壁を剥がす方法と上塗りする方法の2種類が一般的です。
6畳の和室をリフォームする場合の費用相場は、床の間がない部屋であれば5万5,000~7万5,000円ほど、床の間がある部屋では6万5,000~10万円ほどです。施工日数は、砂壁の劣化状態によって異なるものの、2~4日を目安にするとよいでしょう。
塗り替えをする(珪藻土・漆喰)
既存の砂壁を、珪藻土や漆喰に塗り替えをする方法もあります。珪藻土は土を原料としており、調湿性や消臭効果が期待できる素材です。カラーバリエーションも豊富なことから、和室のイメージチェンジをしたい人にもおすすめといえるでしょう。
一方、漆喰は石灰石を原料にしており、消臭効果や防カビ効果が期待できる自然の素材です。少しツヤのある滑らかな質感に仕上がるため、優しい雰囲気の和室に変えたい人におすすめします。
6畳の和室をリフォームする場合の相場費用は、床の間がない部屋であれば数千~数万円、床の間のある部屋では7~13万円ほどです。施工日数は、2~4日ほどを目安にするといいでしょう。
壁紙に変える
砂壁の上から壁紙(クロス)を貼り付けて、和室の雰囲気をがらりと変えてしまうのもおすすめのリフォーム方法です。壁紙はデザインのバリエーションが豊富なため、和室から洋室に雰囲気を変えたい人にも最適でしょう。
また、防音性や防汚性といった機能を併せ持つ壁紙も多数あることから、機能性を重視した室内環境を整えることも可能です。 ただし、砂壁に壁紙を張る作業は下地処理が難しく、素人がDIYするのは決して簡単な作業ではありません。
まず、水性シーラーやベニヤ板などで固め、サウンドペーパーやパテ処理などを行って表面を平らにすることで壁紙が張れる状態になります。
そのため、プロの技を持つリフォーム会社に依頼するのが賢明です。 6畳の和室をリフォームする場合の費用相場は、10~15万円ほどです。施工日数は1~2日ほどと短く済むため、短期間でリフォームを完成できます。
砂壁のメンテナンス時期
砂壁のメンテナンス時期は、「砂壁を触っていないのに、砂や土が床に落ちる」「触ると砂や土がボロボロと剥がれる」といった症状が見られるときです。時間が経過したことによって砂壁の密着力が低下すると、砂や土が自然に落ちるようになるのです。
また、カビが発生している場合は、砂壁の調湿機能が低下していると考えられます。砂壁の状況を見ながら、メンテナンス時期を考慮するといいでしょう。
砂壁の塗装をDIYする方法
砂壁のリフォームを業者に依頼すると、どうしても費用が発生します。そのため、少しでも費用を抑えたい場合は、DIYするといいでしょう。ここでは、砂壁の塗装をDIYする方法について詳しく解説します。
砂壁塗装に必要な物
- マスキングテープ
- マスカー(テープと透明のナイロンがセットになっているもの)
- 補修用パテ
- 下塗り材(シーラー)
- 上塗り材
- ハケ
- ローラー
- バット
マスキングテープは、塗料を塗るときに汚れてほしくない場所を保護するために使用します。しかし、マスキングテープだけだと端っこしか養生できないため、マスカーを用いて床などの広範囲を養生するといいでしょう。
砂壁塗装の手順
1.養生・下地補修を行う
まず、塗装する前に養生を行いましょう。養生を行うことで、塗装箇所以外が汚れてしまうのを防ぎます。そして、ほうきなどで砂や土を払い落とします。砂壁にひび割れができていれば、パテを利用して埋めていきましょう。
2.下塗り材を塗る
下地補修が完成したら、下塗り材を用いて砂壁の表面を固めていきます。下塗り材は、吸い込み防止やアク止めが入っているものを選ぶことで、仕上がりがきれいになるのでおすすめです。
狭い場所をハケで塗り、その後広い面をローラーで一気に塗り上げていきましょう。下塗り材は光沢が出るまで、繰り返し塗っていきます。
上塗り材を塗る
下塗り材が乾燥して光沢が出れば、上塗り材を塗っていきましょう。上塗り材も下塗り材と同様に狭い場所をハケで、広い範囲をローラーで塗ります。
最低限のメンテナンスを目的にしているのであれば2回塗りを、きれいに仕上げたい場合は3回塗りがおすすめです。塗装が終わって養生を剥がせば完成です。
砂壁塗装の注意点
砂壁の塗装を行う場合の注意点は、以下のとおりです。
- 養生は半乾きの状態で剥がす
- 塗料を塗るときは気温や湿度を整える
養生は塗料が乾燥してから剥がすと、塗料まで一緒に剥がれる可能性があります。そのため、養生の上についた塗料を触っても指でつかなくなる程度まで乾燥させたら、剥がすようにしましょう。
また、下塗り材・上塗り材ともに、使用できる湿度や気温が決められています。塗料缶に記載された環境を守って、作業を行うのが成功のポイントです。
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砂壁は、日本の高温多湿な気候に適した壁材です。調湿性や防火性が期待できたり、有害物質を吸収してくれたりといった効果があります。
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監修したプロのコメント
近年では砂壁風の壁紙クロス等も多く利用されており、経年劣化による砂のこぼれ等が無くなる為、砂壁のデメリットである掃除がしにくい等を払拭する事が可能になっています。
また、砂壁風の壁紙クロスであればリフォームの際の費用も抑えることが可能です。近年話題になっている壁紙クロスの再生工法も利用する事が出来て、リフォームをする際の検討幅が広がります。
現在では昔と比べて和室自体が減っている傾向にあります。
その理由として、ライフスタイルの欧米化や洋室と比べてコストがかかるという点が主な理由です。
砂壁も勿論メリットがありますが、現在では和室の雰囲気をそのままにコストを抑えてリフォームしやすいように砂壁風壁紙クロスにて施工されているお部屋も増えてきています。
砂壁から砂がボロボロ落ちて来て、何とかしたい。でも予算が…という方は簡単に補修する事も可能です。あくまでも応急処置的な役割ですが、ふすま用の糊を薄めて霧吹きする事で砂こぼれを多少防ぐことも可能です。
砂壁のリフォーム目安としては、砂がボロボロ落ちてくるようであれば砂壁の能力が落ちてきている証拠ですので、そのタイミングで検討されてはいかがでしょうか?
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